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15章 あなたとわたし
第615話 子供たちの計画②焼肉
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「これ、なんの肉だ?」
「多分、ジャンピングボウ」
ジュージューと脂の焼け落ちる音がたまらない。
「二人とも野菜も食べなよ。葉っぱで包んでもいいし、大根おろしと一緒にでもいいから。お肉ばかりだと、もたれるよ」
真っ白のご飯に、よく焼いたお肉にたっぷりタレをつけて、ご飯の上に。
大きく口を開けて、ご飯とお肉を一緒にあむり。
うう、おいしいーっ。
次は大根おろしと一緒に。こっちもたまらん。
野菜もね、タレをつけていっぱいいただくよ。
熱を加えて甘くなった野菜。そこに甘じょっぱいタレと絡んで、美味しいが相乗効果を奏でだす。
葉っぱ野菜にお肉を巻いて、タレをつけていただくのも、おいしいよね。
『リディア、おかわり』
もふさまにニッコニコで、おかわりを促される。
焦げる前の肉をとっておいたから、いっぱい溜まっている。
「はい、もふさま。タレと大根おろしどっちにする?」
『大根おろしにするかな』
「はーい、どうぞ」
上にもっさり大根おろしをのせ、お醤油をかける。
「二人とも少食だね」
「今日はかなり食べているんだが」
「そうか? おいしくて食べすぎてしまったんだけど」
もふもふ軍団と比べちゃ悪いか。
わたしも久々に食べ過ぎた。肉を食べた!って感じがする。
それにしても地下といってもさすが王宮!
焼肉といえば換気どうしようと思ったんだけど、ここは特別な空調管理がされているそうで、空気もいつもクリーンがかけられているように調整されていた。
いいな、その技術欲しい!
みんなで後片付けだ。
王子でもこういうことできるんだね。見直した!
ふたりはわたしの指示に従う。
油のついたお皿やなんやかんやは、ざら紙と呼ばれる、不純物の入った質の悪い紙で汚れを拭き取る。それから水洗いだ。
ロサに汚れを拭いてもらい、わたしが水洗いして、アダムに水気を拭き取ってもらった。3人でやるとすぐに終わった。
鉄板も最後に焼いた時にゴミは取り除き、油を全体に行き渡しておいたから、冷めたらすぐしまえるし。
お茶の用意をして、第一回目の作戦会議をすることにした。
ロサが紅茶の茶葉を持ってきてくれたので、それでお茶をいれる。
二人ともお腹がいっぱいなので、お菓子はいらないというけれど、クッキーだけ一応出しておいた。
もふさまの分は専用のお皿に。
「そういえば、ふたりは初対面なのに、ずいぶん打ち解けてますね」
アダムとわたしは目を合わせる。
「ブレド、言ってなかったが、私たちはクラスメイトなんだ」
「は? 義兄上は5年生ですよね?」
「学園長に勧められたんだ。学友の素晴らしさを知って欲しいと。第1王子と名乗ると学園を楽しめないだろうから、どこかの貴族ということにして、通ってみたらどうかとね」
学園長ってまともなんだね。
幽閉決定な第1王子だと明かしていたら、なかなか友達なんか出来そうにないもの。
「歳が近いと私の顔を知るものもいるからね、去年も1年生で通ったんだが、……体調を悪くしてほとんど通えなくなった。……今年の1年生はふたりも貴族がD組にいるから、今年は留年ということにしてD組にどうかと言われたんだ」
アダムがD組に現れたのは、学園長の導きだったのか。
「南部貴族のゴーシュ・エンターさまが第1王子さまだったなんて、驚きました」
ロサに訝しい目で見られた。
よし、これからエンターさま呼びでいいね。ゴットさま呼びは、絶対いつかいい間違える気がしてたから助かる。
もふさまがクッキーを食べ終わり、わたしの膝の上に乗ってきた。
背中をゆっくりと撫でる。
「へぇー。ふたりはクラスメイトか……。リディア嬢、ほっぺをつつきたいと言ったのはもしかして義兄上かな?」
あ、ああ、ロサよく覚えてるな。
ゴホッとアダムが咳き込んだ。
「大丈夫?」
アダムは片手を上げて、もう片方は口に手をやっている。
「そうそう、エンターさまは、すぐにからかうんだよ」
「……リディア嬢が着替えていて驚いたんだ。どうやって着替えたの?」
「え? どうやってって普通にだけど?」
言ってから思い出した。ホックか……。
「ああ、エンターさまに後ろのホック外してもらった」
ブフォッとアダムが紅茶を吹き出した。
「どしたの? 大丈夫?」
変なとこに入ったのかな? さっき咳もしてたから、体調が悪い?
「寒いんじゃない?」
「大丈夫ですか? 義兄上?」
「……大丈夫だ」
「……リディア嬢には、信頼できる侍女をつけましょう」
「……それがいいだろう」
「え? 他の人に言っちゃいけないんじゃないの? 陛下から言われたでしょ?」
「そうだとしても、貴族令嬢に侍女をつけないなんてあり得ないだろ?」
「わたし、ひとりで大丈夫だよ?」
「「いや、侍女は大切だから」」
声揃えて言わなくても。
わたしは渋々頷いた。
「それから相手を油断させるために。義兄上が動いている目的を作った方がいいと思うんだ」
アダムはそれに頷いた。
「私もそう思っていた」
アダムが動く目的?
「それで、私が他国の土地活用の論文を書くのに調べていておかしなことを見つけ、義兄上に相談に乗ってもらっていると装うのはどうでしょう」
「お互いの目眩しになるってわけだな?」
お互いの目眩し?
ふたりは頷き合う。
「それならここに、ブレドの仲間も入れるようにしよう」
「お願いします。あ、リディア嬢、それでいいよね?」
「イザークたちも巻き込むってことね? みんながいいなら、わたしはありがたいけど……」
ブレーンが増えるわけだからね。
それに……兄さまと会えるなら、実験ができる。
ロサは微かに首を傾げた。そして尋ねられる。
「……リディア嬢は、計画をわかっているんだよね?」
「計画ってこれから立てるのよね?」
「細かいところは……そうだけど、あれ、なんだかわかってない気がするな」
「リディア嬢、ここがどこか知ってるよね?」
アダムに頷く。
「第1王子さまが、2年後から住むところなんですよね?」
「……あれ、わかってなかったのか?」
え? 何が?
「多分、ジャンピングボウ」
ジュージューと脂の焼け落ちる音がたまらない。
「二人とも野菜も食べなよ。葉っぱで包んでもいいし、大根おろしと一緒にでもいいから。お肉ばかりだと、もたれるよ」
真っ白のご飯に、よく焼いたお肉にたっぷりタレをつけて、ご飯の上に。
大きく口を開けて、ご飯とお肉を一緒にあむり。
うう、おいしいーっ。
次は大根おろしと一緒に。こっちもたまらん。
野菜もね、タレをつけていっぱいいただくよ。
熱を加えて甘くなった野菜。そこに甘じょっぱいタレと絡んで、美味しいが相乗効果を奏でだす。
葉っぱ野菜にお肉を巻いて、タレをつけていただくのも、おいしいよね。
『リディア、おかわり』
もふさまにニッコニコで、おかわりを促される。
焦げる前の肉をとっておいたから、いっぱい溜まっている。
「はい、もふさま。タレと大根おろしどっちにする?」
『大根おろしにするかな』
「はーい、どうぞ」
上にもっさり大根おろしをのせ、お醤油をかける。
「二人とも少食だね」
「今日はかなり食べているんだが」
「そうか? おいしくて食べすぎてしまったんだけど」
もふもふ軍団と比べちゃ悪いか。
わたしも久々に食べ過ぎた。肉を食べた!って感じがする。
それにしても地下といってもさすが王宮!
焼肉といえば換気どうしようと思ったんだけど、ここは特別な空調管理がされているそうで、空気もいつもクリーンがかけられているように調整されていた。
いいな、その技術欲しい!
みんなで後片付けだ。
王子でもこういうことできるんだね。見直した!
ふたりはわたしの指示に従う。
油のついたお皿やなんやかんやは、ざら紙と呼ばれる、不純物の入った質の悪い紙で汚れを拭き取る。それから水洗いだ。
ロサに汚れを拭いてもらい、わたしが水洗いして、アダムに水気を拭き取ってもらった。3人でやるとすぐに終わった。
鉄板も最後に焼いた時にゴミは取り除き、油を全体に行き渡しておいたから、冷めたらすぐしまえるし。
お茶の用意をして、第一回目の作戦会議をすることにした。
ロサが紅茶の茶葉を持ってきてくれたので、それでお茶をいれる。
二人ともお腹がいっぱいなので、お菓子はいらないというけれど、クッキーだけ一応出しておいた。
もふさまの分は専用のお皿に。
「そういえば、ふたりは初対面なのに、ずいぶん打ち解けてますね」
アダムとわたしは目を合わせる。
「ブレド、言ってなかったが、私たちはクラスメイトなんだ」
「は? 義兄上は5年生ですよね?」
「学園長に勧められたんだ。学友の素晴らしさを知って欲しいと。第1王子と名乗ると学園を楽しめないだろうから、どこかの貴族ということにして、通ってみたらどうかとね」
学園長ってまともなんだね。
幽閉決定な第1王子だと明かしていたら、なかなか友達なんか出来そうにないもの。
「歳が近いと私の顔を知るものもいるからね、去年も1年生で通ったんだが、……体調を悪くしてほとんど通えなくなった。……今年の1年生はふたりも貴族がD組にいるから、今年は留年ということにしてD組にどうかと言われたんだ」
アダムがD組に現れたのは、学園長の導きだったのか。
「南部貴族のゴーシュ・エンターさまが第1王子さまだったなんて、驚きました」
ロサに訝しい目で見られた。
よし、これからエンターさま呼びでいいね。ゴットさま呼びは、絶対いつかいい間違える気がしてたから助かる。
もふさまがクッキーを食べ終わり、わたしの膝の上に乗ってきた。
背中をゆっくりと撫でる。
「へぇー。ふたりはクラスメイトか……。リディア嬢、ほっぺをつつきたいと言ったのはもしかして義兄上かな?」
あ、ああ、ロサよく覚えてるな。
ゴホッとアダムが咳き込んだ。
「大丈夫?」
アダムは片手を上げて、もう片方は口に手をやっている。
「そうそう、エンターさまは、すぐにからかうんだよ」
「……リディア嬢が着替えていて驚いたんだ。どうやって着替えたの?」
「え? どうやってって普通にだけど?」
言ってから思い出した。ホックか……。
「ああ、エンターさまに後ろのホック外してもらった」
ブフォッとアダムが紅茶を吹き出した。
「どしたの? 大丈夫?」
変なとこに入ったのかな? さっき咳もしてたから、体調が悪い?
「寒いんじゃない?」
「大丈夫ですか? 義兄上?」
「……大丈夫だ」
「……リディア嬢には、信頼できる侍女をつけましょう」
「……それがいいだろう」
「え? 他の人に言っちゃいけないんじゃないの? 陛下から言われたでしょ?」
「そうだとしても、貴族令嬢に侍女をつけないなんてあり得ないだろ?」
「わたし、ひとりで大丈夫だよ?」
「「いや、侍女は大切だから」」
声揃えて言わなくても。
わたしは渋々頷いた。
「それから相手を油断させるために。義兄上が動いている目的を作った方がいいと思うんだ」
アダムはそれに頷いた。
「私もそう思っていた」
アダムが動く目的?
「それで、私が他国の土地活用の論文を書くのに調べていておかしなことを見つけ、義兄上に相談に乗ってもらっていると装うのはどうでしょう」
「お互いの目眩しになるってわけだな?」
お互いの目眩し?
ふたりは頷き合う。
「それならここに、ブレドの仲間も入れるようにしよう」
「お願いします。あ、リディア嬢、それでいいよね?」
「イザークたちも巻き込むってことね? みんながいいなら、わたしはありがたいけど……」
ブレーンが増えるわけだからね。
それに……兄さまと会えるなら、実験ができる。
ロサは微かに首を傾げた。そして尋ねられる。
「……リディア嬢は、計画をわかっているんだよね?」
「計画ってこれから立てるのよね?」
「細かいところは……そうだけど、あれ、なんだかわかってない気がするな」
「リディア嬢、ここがどこか知ってるよね?」
アダムに頷く。
「第1王子さまが、2年後から住むところなんですよね?」
「……あれ、わかってなかったのか?」
え? 何が?
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