プラス的 異世界の過ごし方

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13章 いざ尋常に勝負

第531話 狐福⑩ユオブリアを選ぶ理由

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 ロサはわたしを国に連れていく計画は失敗したのだと言った。自分がそうはさせないと。それからセイン国とホッテリヤからの追随はないと言い切った。なぜそんなことがわかる?と言ったジュエル王子に、そんなことにかまけている暇はなくなるからだと冷たく言った。
 甘味の取り引き相手でなくなったセインの代わりにユオブリアが甘味を買うと。でも、まだわたしに関わるというのなら、取り引きもしないし、いや、面倒だ。ここでミーア王女との諍いがあったことにして、2度と国には帰れないことになると言った。
 ロサが優勢のまま話は進み、話はついたようだ。全てロサの話を飲んだ。

 話し終えると、もふもふ軍団はそれぞれみんな、何かを考えているようだった。一気に説明したので、わたしもやっと息をつく。

 ジュエル王子は戦意を喪失していたから、とんとん拍子で進んだところはあると思う。 
 まあ実際は、初めて王命で手配を任されたが、よくわからないし、高圧的にシュシュ族に丸投げしたのだろう。
 シュシュ族はバンデス山で同胞を狩らない約束を取り付け、女王を見極めることを請け負った。そして、女王候補にわたしが当てはまるかチェックをしに来た。大陸違いで場所が離れていたため、年若い子狐に任せてみたのだろう。人選ミスだと思うけど。
 で、わたしが純潔でないと聞き、当て嵌まらなくなった。と、すったもんだーになり、他の候補を探せと言われる。その後にシュシュ族が嘘をついたと思ったのかどうかは知らないけれど、わたしが純潔な文書を見てしまう。
 といった流れだったのだと思う。


 ワーウィッツの王さまが神聖国の復興のさせた方を知っていたのは、バンデス山が聖地で、そこを所有する国だからかな。シュシュ族のことを知っていたんだものね。元々神聖国の領地だったのなら、王にだけ伝承されてきたとしてもそれほど不思議はない。
 同じように隣国のホッテリヤもバンデス山の秘密を知っていたのではないだろうか? だからそれを所有しているワーウィッツを羨んでいた。セイン国とどう繋がっているのかはわからないけれど、セイン国がバンデス山にこだわるということはホッテリヤと手を組んだのかと思わせるよね。

 セインとホッテリヤ、ワーウィッツはわかる。だけど、そこに割り込んできた使者、フォルガード王国は、神聖国を立ち上げるための情報をどうやって知ったのだろう?
 神聖国を立ち上げられると、何が変わるというんだろう?
 神聖国があればユオブリアを出し抜ける。なぜ、そう思うんだろう?
 …………………………………………。

 誘拐犯たちの言ってたことがめちゃくちゃだったのは、思うに、〝聖女〟と〝女王〟がこんがらがっていたんじゃないかと思うんだよね。
 シュシュ族のいうことには、女王とは女性、13歳以上。純潔。聖なる血筋であること。光属性を持ち、魔力が十分にあること。それが精霊王をおろせる器であり、条件なんだと思う(13歳以上ってところで、わたしはあと1年無理なんだけど!)。
 誘拐犯たちが〝証〟といっていたのは、予想だけど、聖なるお方をおろし、そこが聖域になることじゃないかと思うんだよね。あの場所にいればいい、何もしなくていいって言ってたのはそういうことかなって。
 聖女にプラスして絶対に光属性があり、魔力たっぷりというのが、女王の素質があるってことなんだと思う。女王は聖なる方をおろすことができ、言うなれば依代? そして、聖なる方が降りた場所は聖域になる。聖女は聖域で聖なる力を使わないと命を削る。
 女王は聖なる方をおろす器となり、聖女は女神の力を受け入れ、使うことができる存在。
 この関係性がごっちゃになっていた気がする。
 それを知っていたワーウィッツの王なら、聖女候補を誘拐した話を聞いて、〝何も知らない〟って言葉が飛び出したのも頷ける。

 聖女がユオブリアを選ぶ理由。そうせざるを得ない理由があると言っていた。
 ……それは奇跡の力は聖域で使わないと命を削るから。
 ユオブリアには聖域があり、だから歴代の聖女はユオブリアで生きた。
 だってそうでなければ、聖女の力を使ってしまった時、命が削られてしまうから。
 女王とは、聖なる方をおろす器。聖なる方が御坐《おわ》せば、そこは聖域となる。
 バンデス山でなら条件が合い、そこで女王が立ったなら、ユオブリアだけでなくエレイブ大陸に聖域が誕生する。バンデス山は聖域ではなく、特別な場所ぐらいに思われているんだろうな。

 ワーウィッツは神聖国の末裔なのかもしれない。
 バンデス山が聖域か?と思った時に、狐狩りの狩人が入れるのが変だと思ったんだよね。それにシュシュ族を知らない時は、バンデス山の毛皮が上物とわかったら、それこそ隣接した国やならず者たちが不法侵入して毛皮を乱獲することがあると思っちゃうし。でもそれがないのは、ワーウィッツの……神聖国の末裔しか入れないんじゃないかと思う。〝聖域〟は許可がないと入れないところらしいから。
 ほぼわたしの仮説だけど、大きく外れていないだろう。

『愚かな……』

 絞り出すような声で、もふさまが言った。
 本当に人は愚かだね。

『愚かで哀しい』

 レオが言った。その通りだ。

〝聖女〟って稀にしか現れないのに。それもその力がないと、どうにもならないぐらいのことがあるから現れる節がある。
 生きている間に聖女が現れるかなんてわからないのにさ。それも現れたら、世界の危機なのにさ。それを待ち望んでいる。
 わたしたちはアイリス嬢の未来視で聖女が現れると知っているけれど、神殿だって、他の人たちだって、なんとなく聖女現れそうじゃない?ってところで話を展開させているわけだ。

 その聖女がユオブリアに留まるってことで、羨ましかったわけだよね。
 まあ、その気持ちはわからないでもない。
 聖女の条件、女王の条件、神聖国の復興の条件、それらは細々ほそぼそと、けれど確実に、子孫に伝えられてきたのだろう。
 本当のところ、ユオブリアにだけ聖女が現れるというか、居着くというのは、他の外国からしたら頭に来ないのかなーと思っていたので、筋が通った気がする。人間らしいとも言えるかもしれない。

 聖女もなぜユオブリアを選ぶんだろう?と思っていたんだけど、そりゃ命が削られないところにいるよね。
 聖女が自国に、せめて同じ大陸にいて欲しい。だから聖域を作りたい。
 その思いもわかる。
 問題は、聖女の条件はまだしも、神聖国の復興の仕方を知っている人と、実際やらせる指揮をとった人が別ってこと。その女王にわたしを推すことができる人がいたってことだ。しかもフォルガード。
 どこでメロディー嬢が関わっているのかわからないけど。

 彼女は本当にどの部分でどれだけ関係しているのだろう?
 その人たちと、どこで知り合って、なんの目的で関わった、メロディー嬢!
 うーむ、彼女はわたしを女王とやらにすることが目的か……。

 頭がおかしくなりそう!

 わたしが女王候補になれると、使者は、フォルガードは、なんでわかったんだろう? シュシュ族でもないのに。
 あーーー、もう!

 ロサとアダムはメロディー嬢をどうするんだろう?
 ロサも兄さまもメロディー嬢が関わっているかもしれないことは、わたしに言いたくなかったってこと。

 ……ジュエル王子が訴えたとしても、メロディー嬢はフォルガードの使者と間を取り持っただけだ。それは大したことではない?
 それがわたしの想像通り、他大陸の他の国で聖域を作るむねを知ってのことだったら、それはどういうことになるんだろう? ユオブリアにとって罪にはならないのかな? ……ならないか。
 だって悪いことをするわけではない。聖域が増えるだけなんだもの。
 そこでマイナスというか、わたしが女王になるのが嫌という思いがあるから嫌なことであって。
 もしわたしが女王になりたいと願ったならwin-winなのだから、どこにも問題はなくて裁かれることもない?

 わたしはこれからも、メロディー嬢にわたしが嫌なことを企てられるのだろうか? それは個人的なことだから直に被害がなければ訴えることでもなく、だから兄さまやロサはメロデイー嬢のことをわたしに伝えないのだろうか?

 聖域の予想を、ロサや兄さまに話した方がいいのかな?
 でも……兄さまたちはわたしにメロディー嬢のことを言わなかったのに?
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