プラス的 異世界の過ごし方

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12章 人間模様、恋模様

第471話 収穫祭①双子の守り方

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 学園から王都の家に帰ると、立派な馬車が引きあげていくところだった。
 親戚の皆さま、勢揃い! 毎月のイベント化しているからか、慣れたものだ。お茶を飲んでいてもらって、急いで支度をして集まる。
 子供たちの用意ができたところで、領地の町の家前に転移して、父さまと挨拶をし、皆さまはカトレアの宿に。
 皆さまが祝ってくださるお誕生日会は明日。今日は家族でエリンとノエルの7歳のお誕生日を祝う。わたしたちからのお祝いは、いくつもの秘密にしていたことを打ち明けることだ。これからはダンジョンも解禁だ。もふさま、もふもふ軍団のことも話すのだ。

 エリンとノエルにぎゅーっと抱きつかれた。

「姉さま、一緒に散歩しよう」
「そうだ、歩いて町外れの家に帰ろう!」

 左右からエリンとノエルに引っ張られる。
 わたしは父さまや兄さまたちに、そうすることを告げて、双子と一緒に歩き出した。

 もふさまが少し前をトテトテと歩いていく。

「何か話があるんでしょ?」

 ふたりは目を合わせている。

「姉さまには先に言っておこうと思って」

「なぁに、ノエル?」

「今すぐじゃないけど、僕、クジャク家の養子に入ろうと思う」

「な、何を……」

「僕たちが家族なのは、変わらないよ」

 ノエルが深い笑みで笑った。
 この子、こんな大人っぽい笑い方をする子だった?

「姉さま、あたしもいつかはお嫁に行くわ。それと同じよ。ノエルは公爵家にお嫁に行くの」

 わたしは手を解いて、ふたりの前に出る。

「どうして……養子に?」

「習っているんだ、転移を。クジャク公爵さまから」

 ……打ち明けたんだ。

「それで養子の話がでたの?」

「うーうん。後継者がいない話は聞いたけれど、そんなこと言われたことないよ。僕が思ったんだ。遠縁だけど血は繋がっているし、公爵家なら転移の力も、家族のことも守っていける」

「ノエルがそう思って、エリンに話しただけ?」

 ふたりが頷く。そうか。

「それに今は、思いついただけなのよね? 考えは変わるかもしれないわよね?」

 ふたりは目を合わせている。

「クジャク公爵さまはいい方よ。でも、7歳になったばかりのあなたたちが、そんなことを考えていたら、父さまも母さまも泣いちゃうわ」

「大丈夫だよ。僕たちは離れていたって家族ってことは変わらない。おじさまも6歳の時にこう言ったんでしょ? それで姉さまの婚約者になったんだ」

 ノエルはニコッと笑った。

「シュタイン領は姉さまたちが継げばいい。そしたらロビン兄さまも、アラン兄さまも〝ここ〟から離れられないから」

 !

「……エリンの未来視で何か観たのね?」

 ふたりはぶんぶんと顔を横に振った。その顔が歪んでいる。

「あたしの未来視は確かじゃないし。未来はどんどん変わるもの」

 エリンは何かに怯えている。

「どんな未来を観たの?」

 できるだけ優しく尋ねた。

「姉さまはシュタイン領にいないとダメなの!」

「そうだよ、ここは姉さまの魔力に満ちているけど、他は危険だよ」

「わたしが他の国に行く、未来を観たのね……」

 エリンがびくっとした。
 ふと、エリンとノエルがニアを威嚇したことを思い出す。
 あの時、すぐ後にアラ兄やロビ兄がガゴチに行くなんていうから、ふたりのことかと思ったけれど、わたしがガゴチに行く未来を観ていたんだとしたら?
 ふたりがニアに突っかかっていたのはアラ兄たちではなく、わたしが行く国だと思ったからでも意味が通じる。

「その未来、すぐかな? 姉さま、もっと大きかった?」

 手を取りながら尋ねれば

「……もう少し先だと思う」

 そう言ったエリンを、ノエルが心配そうに見る。
 エリンは急に顔をあげた。

「姉さま、ガゴチにお嫁にいっちゃ嫌!」

 極まったようにエリンが言う。

「エリン!」

 ノエルが叫ぶ。お嫁って言った? それもガゴチ?
 わたしはエリンの両肩に手を置いた。

「エリン、姉さまは兄さまと婚約してる。未来で、兄さまは?」

 エリンはウルウルした目でわたしを見た。けれど言葉が出ないみたいだ。
 わたしは隣のノエルを見た。

「ノエルは聞いて知ってるんだよね? それでそんなふうにならないように、守るために公爵家に養子に行くって考えた、違う?」

 エリンが泣き出した。滅多に泣くような子じゃない。

「ノエル、その未来で、兄さまはどうしたの?」

「よくわからないけど、悪い人だったってつかまりそうになって逃げて、そのまま。姉さまがガゴチの将軍の子供と結婚した」

「姉さま、ごめんなさい」

「なぜエリンが謝るの?」

 わたしは笑えているかな?

「エリンが教えてくれたことで、対策がたてられる」

「え?」

「未来は変わっていくのでしょう? そうならないように回避することもできるわ」

「おじさまは、捕まったりしない?」

「対策をたてるのに、もっといろいろ知りたいわ。わかっていることだけでいいから、教えてくれない?」

 それから、ふたりががりで教えてくれた。
 やっぱり兄さまが悪いことをして捕まるのではなく、恐らく侯爵子息だったことがバレて捕まることになり、その疑いをはらすため調べようと逃げたのではないかと思う。
 そこからわたしがガゴチに嫁ぐ経緯はわからない。また別の末来視で盛大な結婚式を挙げているところを観たようだ。結婚ってことは早くても4年先のこと。

 わたしはこのことを、しばらくの間3人の秘密にしてほしいと言った。父さまには話すつもりだけど、兄さまには言っていいのかわからない。

 わたしはわたしたちを守ってくれようとした、末の双子を抱きしめた。
 そしてけれど、わたしはまだお姉さんぶりたいのだと。
 末っ子を守らせてほしいのだと言った。双子が抱きついてきた。
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