453 / 823
11章 学園祭
第453話 貢献の種類
しおりを挟む
学園祭が終わった。
上半身を起こして、伸びをする。
ううーーーー。ラグは敷いているけど床の上で寝たから体が強張っている。
まだみんなすやすや眠っていた。もふさまもだ。
後夜祭が終わってから、寮でも打ち上げをした。
食堂で騒ぎながら楽しくご飯を食べ、お風呂に入り、仲良し同士で部屋に集まったようだ。1年生はわたしの部屋に集まり、そのまま雑魚寝した。
鳥のさえずる声に誘われ、カーテンを開けて窓を開けた。夜更かししたから心ゆくまで寝かせてあげたいけど、そうすると食堂がしまって朝ごはんが食べられなくなっちゃうから。
気持ちのいい朝に、ひとり、またひとりと起きあがり、伸びをする。
今日から2日間、学園祭休みだ。そして次の日が休息日なので実質3日間お休みとなる。保護者が王都へ来ていることもあり、届け出をすればみんな外出やお泊りをすることもできる。泊まる場合は保護者に該当する人からの書面も必要だけど。わたしは今日1日寮で過ごし、その後王都の家に帰るつもりでいる。
クレープ屋はチョコ以外あまり元手がかかっていない。ってなわけで、お客さんがいっぱいきてくれたこと、みんなが高速に捌けたこともあり、寄付額を突破することができた!
みんなでもちろん大喜びしたが、余っている材料でお礼をできないかとみんなが言う。テントの設置、解体を手伝ってくれたドーン男子寮の子たち。それから、保護者の宿を提供してくれたフォンタナ家に。
それはいい案だと、いっぱいクレープを作って、寮とフォンタナ家に届けに行った。わたしは道案内も含めて、フォンタナ家にも行く。
兄さまたちに報告すると、一緒について来てくれることになった。
後ろから何人かが駆けてきた。イシュメルたちだ。アダムもいるから驚いた。どうしたの?と聞くと、フォンタナ家にお礼が言いたいと。それじゃあと大所帯で向かうことになった。
フォンタナ家の人々、アマンダおばさまは快く迎えてくださって、お礼を受け取ってくれた。男の子たちは揃ってフォンタナ家の鍛錬に目が釘付け。なぜ?
いろんな話をしているうちに、クレープ屋の売り上げが寄付額に届いた話になり、おばさまたちは首を傾げた。それでわたしたちは、寄付をすることになった経緯を話した。黙って聞いていたおばさまは、その後にちょっと出かけましょうかと言った。
ドーン寮の女の子たちをゾロゾロ引き連れて、教会にたどり着いた。教会を通り過ぎ、その敷地の奥にある建物に入る。
そこは併設されている孤児院だった。
小さな子供たちが身を寄せ合っていた。おばさまを見ると嬉しそうに走り寄ってきた。わたしたちは子供たちと遊んだり、掃除したり、繕い物をしたり、お料理をしたりして過ごした。
帰りにおばさまは「奉仕活動を手伝ってくれてありがとう」とわたしたちに言った。
「寄付も奉仕活動のひとつなの。お金を必要とする時もあるし、人の手を必要としているところもあります。自分のできる範囲内で支えていくのが、社会貢献だと思うわ」
おばさまは笑った。
そっか。わたしは寄付ばかりに頭がいってしまったけれど、社会貢献は何もお金だけじゃない! こういう奉仕活動だっていいんだ。
わたしたちは目を合わせた。そっか、そうだったんだ!
それからフォンタナ家に着くまでの間、わたしたちは奉仕活動についておばさまにいろいろと話を聞いた。わたしたちにもできそうなことがあった。お金を捻出しなくても、社会貢献をする方法が!
フォンタナ家に戻ると、父さまもきていた。
そこでフォンタナ男爵さまやみんなと話している。
どうしたのだと尋ねると、明日、ダンジョンに行くことになっていた。
D組の男の子たちがダンジョンに行きたがったみたいだ。
魔法戦を1学期の間学んでいれば、初歩的な武術は身についたとみなされるらしい。
でもダンジョンは危険な場所だ。怪我をしても自己責任。軽々しく人を連れていけるところでもない。ということで、冒険者ギルドに入っていること、それから魔法戦の成績が3以上であれば参加OKとなったそうだ。
それを聞いてもふさま大興奮。わたしの周りをぐるぐると走り回る。これ、わたしは〝生贄の舞〟と呼んでいる。ただ走ってるだけなんだけど。でも、これをやられると、わたしは生贄にするための儀式でもされているような気分になるのだ。
それからダンジョンで、最低限ひとりマモメットを2匹を狩るのが決定事項らしい。
ケラが日帰りで行っているから王都の近くにダンジョンがあるのかと思ったらそれは違った。正しくは転移門から行くそうだ。王都とか、大きい街には転移門なるものがあるらしい。門を潜ると、他の転移門に通じる。シュタイン領のある北方面には転移門はあまりないようだ。でもシュタイン領が栄えたことで、その道筋にも人が集まり出したため、転移門を設置する案も出ているそうだ。
そうなったら、行き来しやすくなる!
今日は南方面のシンシアという街へ転移をし、そこからすぐのところにあるダンジョンに向かうという。王都からシンシアへの転移代がマモメットと同じくらいだそうだ。その往復代金分のマモメットを自分で狩るようにということらしい。
D組男子はほとんどギルドカードを持っていた。びっくり。家の手伝いで隣町まで行ったりするのは普通のことなので、10歳になると身分証明書として加入することが多いらしい。それで薬草採取みたいなのをやればお小遣い稼ぎにもなるし。
イシュメル、オスカー、ニコラス、リキ、スコット、レズリー、アダムが参加するという。今日はアダムが一緒に来て驚いた。ニコラスからアダムは寮でもあまり見ないと聞いていたからだ。学園でも身バレしないためか、教室以外では見かけないから。フォンタナ家にお礼という口実で外に出てみたかったのかなと思った。
でもアダム、あんたギルドカード持ってるの? というか、父さまと一度会ってるよね、いいの?と思ってしまったが、顔を合わせていたものの、父さまは6年前に会ったアダムと、ゴーシュ・エンターが同一人物とは思わなかったようだ。
女子からはラエリンとロレッタがダンジョンに行くといい出した。
一応参加者はフォンタナ家の人と木刀で打ち合いをして、みんなオッケーが出たみたいだ。
わたしはテストなしでダンジョンオッケーなので、みんなから訝しげに見られた。家族がいるからテストがないわけじゃないよ。わたし、ダンジョンで魔物倒したことあるから。実績だから!
上半身を起こして、伸びをする。
ううーーーー。ラグは敷いているけど床の上で寝たから体が強張っている。
まだみんなすやすや眠っていた。もふさまもだ。
後夜祭が終わってから、寮でも打ち上げをした。
食堂で騒ぎながら楽しくご飯を食べ、お風呂に入り、仲良し同士で部屋に集まったようだ。1年生はわたしの部屋に集まり、そのまま雑魚寝した。
鳥のさえずる声に誘われ、カーテンを開けて窓を開けた。夜更かししたから心ゆくまで寝かせてあげたいけど、そうすると食堂がしまって朝ごはんが食べられなくなっちゃうから。
気持ちのいい朝に、ひとり、またひとりと起きあがり、伸びをする。
今日から2日間、学園祭休みだ。そして次の日が休息日なので実質3日間お休みとなる。保護者が王都へ来ていることもあり、届け出をすればみんな外出やお泊りをすることもできる。泊まる場合は保護者に該当する人からの書面も必要だけど。わたしは今日1日寮で過ごし、その後王都の家に帰るつもりでいる。
クレープ屋はチョコ以外あまり元手がかかっていない。ってなわけで、お客さんがいっぱいきてくれたこと、みんなが高速に捌けたこともあり、寄付額を突破することができた!
みんなでもちろん大喜びしたが、余っている材料でお礼をできないかとみんなが言う。テントの設置、解体を手伝ってくれたドーン男子寮の子たち。それから、保護者の宿を提供してくれたフォンタナ家に。
それはいい案だと、いっぱいクレープを作って、寮とフォンタナ家に届けに行った。わたしは道案内も含めて、フォンタナ家にも行く。
兄さまたちに報告すると、一緒について来てくれることになった。
後ろから何人かが駆けてきた。イシュメルたちだ。アダムもいるから驚いた。どうしたの?と聞くと、フォンタナ家にお礼が言いたいと。それじゃあと大所帯で向かうことになった。
フォンタナ家の人々、アマンダおばさまは快く迎えてくださって、お礼を受け取ってくれた。男の子たちは揃ってフォンタナ家の鍛錬に目が釘付け。なぜ?
いろんな話をしているうちに、クレープ屋の売り上げが寄付額に届いた話になり、おばさまたちは首を傾げた。それでわたしたちは、寄付をすることになった経緯を話した。黙って聞いていたおばさまは、その後にちょっと出かけましょうかと言った。
ドーン寮の女の子たちをゾロゾロ引き連れて、教会にたどり着いた。教会を通り過ぎ、その敷地の奥にある建物に入る。
そこは併設されている孤児院だった。
小さな子供たちが身を寄せ合っていた。おばさまを見ると嬉しそうに走り寄ってきた。わたしたちは子供たちと遊んだり、掃除したり、繕い物をしたり、お料理をしたりして過ごした。
帰りにおばさまは「奉仕活動を手伝ってくれてありがとう」とわたしたちに言った。
「寄付も奉仕活動のひとつなの。お金を必要とする時もあるし、人の手を必要としているところもあります。自分のできる範囲内で支えていくのが、社会貢献だと思うわ」
おばさまは笑った。
そっか。わたしは寄付ばかりに頭がいってしまったけれど、社会貢献は何もお金だけじゃない! こういう奉仕活動だっていいんだ。
わたしたちは目を合わせた。そっか、そうだったんだ!
それからフォンタナ家に着くまでの間、わたしたちは奉仕活動についておばさまにいろいろと話を聞いた。わたしたちにもできそうなことがあった。お金を捻出しなくても、社会貢献をする方法が!
フォンタナ家に戻ると、父さまもきていた。
そこでフォンタナ男爵さまやみんなと話している。
どうしたのだと尋ねると、明日、ダンジョンに行くことになっていた。
D組の男の子たちがダンジョンに行きたがったみたいだ。
魔法戦を1学期の間学んでいれば、初歩的な武術は身についたとみなされるらしい。
でもダンジョンは危険な場所だ。怪我をしても自己責任。軽々しく人を連れていけるところでもない。ということで、冒険者ギルドに入っていること、それから魔法戦の成績が3以上であれば参加OKとなったそうだ。
それを聞いてもふさま大興奮。わたしの周りをぐるぐると走り回る。これ、わたしは〝生贄の舞〟と呼んでいる。ただ走ってるだけなんだけど。でも、これをやられると、わたしは生贄にするための儀式でもされているような気分になるのだ。
それからダンジョンで、最低限ひとりマモメットを2匹を狩るのが決定事項らしい。
ケラが日帰りで行っているから王都の近くにダンジョンがあるのかと思ったらそれは違った。正しくは転移門から行くそうだ。王都とか、大きい街には転移門なるものがあるらしい。門を潜ると、他の転移門に通じる。シュタイン領のある北方面には転移門はあまりないようだ。でもシュタイン領が栄えたことで、その道筋にも人が集まり出したため、転移門を設置する案も出ているそうだ。
そうなったら、行き来しやすくなる!
今日は南方面のシンシアという街へ転移をし、そこからすぐのところにあるダンジョンに向かうという。王都からシンシアへの転移代がマモメットと同じくらいだそうだ。その往復代金分のマモメットを自分で狩るようにということらしい。
D組男子はほとんどギルドカードを持っていた。びっくり。家の手伝いで隣町まで行ったりするのは普通のことなので、10歳になると身分証明書として加入することが多いらしい。それで薬草採取みたいなのをやればお小遣い稼ぎにもなるし。
イシュメル、オスカー、ニコラス、リキ、スコット、レズリー、アダムが参加するという。今日はアダムが一緒に来て驚いた。ニコラスからアダムは寮でもあまり見ないと聞いていたからだ。学園でも身バレしないためか、教室以外では見かけないから。フォンタナ家にお礼という口実で外に出てみたかったのかなと思った。
でもアダム、あんたギルドカード持ってるの? というか、父さまと一度会ってるよね、いいの?と思ってしまったが、顔を合わせていたものの、父さまは6年前に会ったアダムと、ゴーシュ・エンターが同一人物とは思わなかったようだ。
女子からはラエリンとロレッタがダンジョンに行くといい出した。
一応参加者はフォンタナ家の人と木刀で打ち合いをして、みんなオッケーが出たみたいだ。
わたしはテストなしでダンジョンオッケーなので、みんなから訝しげに見られた。家族がいるからテストがないわけじゃないよ。わたし、ダンジョンで魔物倒したことあるから。実績だから!
74
お気に入りに追加
1,239
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる