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9章 夏休みとシアター
第356話 独り占め
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サブハウスから戻ったわたしは、はしゃいで見せたのにカラ元気なことを見破られ、あらぬ疑いを兄さまに向けさせてしまった。
一晩眠ったら気持ちが前向きになってきた。まだ何も決まったわけではないし。わたしはね、実子のノエルに継がせた方がいいとか、そういう胸が塞がる気がする思いだと、もやもやしてしまうんだと思う。そうではなくて他にやりたいことがあるとか、ノエルが絶対的に領主に向いているとか、そういう理由なら、わたしも応援できると思う。
今はまだ兄さまがこうじゃないかと思っただけのこと。それなのにもやもやするのも何か違うよな、と思った。そのことは胸に置いておくけれど、せっかくの夏休みを潰してしまったらもったいない! そう思うことができた。
やりたいことがいっぱいあるから、時間は足りないくらいなのだ。
なんて思っていたら、時間がもっとなくなった。うちの領に学園の生徒が詰めかけたからだ。カトレアのところに予約がいっぱい入っているのは聞いていたんだけど、まさかそれが学園の生徒だったとは。
前からウチの領地に興味があったみたいだけど、いつも混んでいるから予約が取れなかったらしい。けれど、今なら空いていると目星をつけていたみたいで、友達同士で遊びにくる予定だったようだ。保護者は執事やメイドさんを立てている。
何かしら顔を合わせたことがある人が含まれているので、誰かしらが挨拶に行くことになった。
一番最初にやってきたのはケイズさまの団体。
父さま、ホリーさんとのアポイントもしっかりとっていて、それが終わってからカトレアの宿で友達と合流したようだ。
父さまから、ケイズさまがわたしと話をしたいと言っていると聞いていたので、宿に行って予定を合わせた。わたしはわたしが宿に赴いてどこかで話せればと思っていたんだけど、町の家まで来てくれるという。友達に見られたくないのかなと思ったので、その提案に頷いた。
ケイズさまはスッキリした顔をしていた。
「おかげさまで、食料品ではありませんが、商品のいくつかを外国に売らせてもらえることになりました」
ホリーさんから聞いていた。ケイズさまの粘りがちだったと。
口に入るものは、目の届かないところで売るのは嫌で、ホリーさんからも散々売り出さないかと言われたんだけど、勘弁してもらっていた。ケイズさまは熱い思いを語ったそうだ。ホリーさんが〝食品は外国に売りたくない〟と頑なな姿勢を見せると、それなら食品以外のものなら?と提案してきたという。
ホリーさんが舌を巻くぐらいウチの商品の良さを知っていて、こんないいものを世界に広めないのは冒涜ですとまで言って、ホリーさんは納得させられていたそうだ。
「わたしは何もしていません。すべてはケイズさまのお力ですわ」
悪いけど、本当に無駄足になると思っていた。
ケイズさまはちょっと顔を赤らめて頭をかいた。
「領主さまから、シュタイン嬢との婚約の話は断られてしまいました」
吹っ切れた表情だ。
「シュタイン嬢の兄上から聞きました。シュタイン嬢の悪い噂に対して婚約者の方がされていたことを。何もしていないだなんて俺の早とちりでした、すみません」
「いいえ、わたしも最近まで知りませんでした」
椅子を勧めたけれど、すぐお暇するからとふたりとも応接室で立ち話をしている。婚約者ではない男女なので、部屋のドアも全開だ。
「あの、ウチの商品をよく知ってくださっていると聞きました」
「ああ、とてもいいものだから。……最初はシュタイン嬢への興味でした。でも商品を手にして、売れているわけがわかりました。それで広めたいって思ったんです」
そう微笑むケイズさまはとても頼り甲斐のある人に見えた。
それから少しだけ、学園の授業のことや、クラブのことを話した。授業はクラスによって先生も違ったりするので、習ったことのない先生の話は新鮮だ。お互いに思いつく会話がなくなり、一瞬静けさが舞い降りる。
わたしは伝えることにした。でもその前に不思議だったことを聞いてみる。
「……ケイズさまとわたしは接点がありませんでした。なのに、どうしてわたしに、その……好意を持ってくださったんですか?」
「ほっぺが……」
ほっぺ?
「ふっくらしたほっぺがとてもかわいらしくて。とても柔らかそうで」
ちょっと、待った! わたしの存在意義は〝ほっぺ〟なの?
「いつも楽しそうにしていて。食事をいつも一生懸命食べていて。
いつだったか、シュタイン嬢が友達と話しているところに遭遇しました。友達が怖がっていることを心を尽くして励まされていた。その気持ちがとても優しくて、それがすごくいいと思ったんです」
顔が赤くなっているに違いない。
もしわたしをいいと思ったきっかけがあるのなら聞いてみたいと思った。それだけだったのに、そんな風に思ってもらっていたなんて。
ケイズさまはわたしを見て、わたしのしたことをいいと思ってくださったんだ。好意を持ってくださったんだ。
「ケイズさま、わたしに好意を寄せてくださって嬉しかったです。それを伝えるのはとても勇気がいることでよね、わたし、言っていただいて、少しだけ自分に自信を持ちたいって思えたんです。だから、あの、嬉しかったです、ありがとうございました」
ケイズさまは目を大きくして、少し照れて、そして何か言おうとしたけれど、その口を閉じた。
そしてふっと笑う。
?
「あ、すみません、婚約者の方が心配しているようなので、残念ですがここまでにします。破れましたが、シュタイン嬢を好きになってよかったです。
友人たちと仲良くなったのも、想い人であるシュタイン嬢への対応がなってなさすぎるとみんなからダメ出しをされまして。……それまで、彼らに俺は持ち上げられている状態でした。けれどそれが一気に距離が近くなって、友人を得ることができました。俺、今、すごく楽しいんです」
「わたしこそ、お気持ちがとても嬉しかったです」
そういうと、彼はとても素敵に微笑んだ。
「今後は取引先として、ご記憶いただければ幸いです」
かしこまって挨拶をされたので、わたしもカーテシーで返す。
「では、これからもよろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
ケイズさまを送り出してから振り向けば、そこには兄さまがいた。
本当に兄さまだ。
「兄さま、待っててくれたの?」
てっきり、どこかへ行っていると思っていたのに。
「婚約者が私以外の男とふたりきりでいたのに、離れられないよ。ヤキモキしてたんだ」
どこかくすぐったい台詞だ。
わたしは今兄さまを独り占めしてるんだなと思った。
こうやっていつも兄さまの視線がわたしだけに向いていたらいいのに。
でも学園が始まったら、そんなことはなくなる。兄さまはあの人の護衛をする……。
でも、今だけはわたしの兄さまだもんね。未来に怯えているだけじゃ時間がもったいない。夏休みの間、存分に独り占めしてやる。
「どうしたの、リディー、難しい顔をして」
鼻の頭を指で弾かれる。
「兄さま、砂漠フェアのユハの実を飲んでみた? 暑い時はすっごくおいしく感じるの。飲みに行こう!」
兄さまの手を引く。
「リディー、走ると転ぶよ」
「兄さま、わたしをいくつだと?」
うわっ。お約束に転びそうになったところを、兄さまに手を引っ張られ、大きくなったもふさまが下に入ってくれたので事なきを得た。
『だからリディアだけでも座って話せと言ったのだ。立ったまま長話したからだろう。我が運んでやる』
うわぁ。もふさまが跳ねたので、上のわたしもポンと跳ねてもふさまの背中へ横座りにおさまっていた。
「いいよ、もふさま、歩く」
ウチの聖獣さまはわたしにどんどん過保護になってくる。クスクス笑う兄さま。
「主人さまに甘えさせてもらうといい。ユハの実をみんなで飲もう」
リュックの中からも喜びの声があがった。
一晩眠ったら気持ちが前向きになってきた。まだ何も決まったわけではないし。わたしはね、実子のノエルに継がせた方がいいとか、そういう胸が塞がる気がする思いだと、もやもやしてしまうんだと思う。そうではなくて他にやりたいことがあるとか、ノエルが絶対的に領主に向いているとか、そういう理由なら、わたしも応援できると思う。
今はまだ兄さまがこうじゃないかと思っただけのこと。それなのにもやもやするのも何か違うよな、と思った。そのことは胸に置いておくけれど、せっかくの夏休みを潰してしまったらもったいない! そう思うことができた。
やりたいことがいっぱいあるから、時間は足りないくらいなのだ。
なんて思っていたら、時間がもっとなくなった。うちの領に学園の生徒が詰めかけたからだ。カトレアのところに予約がいっぱい入っているのは聞いていたんだけど、まさかそれが学園の生徒だったとは。
前からウチの領地に興味があったみたいだけど、いつも混んでいるから予約が取れなかったらしい。けれど、今なら空いていると目星をつけていたみたいで、友達同士で遊びにくる予定だったようだ。保護者は執事やメイドさんを立てている。
何かしら顔を合わせたことがある人が含まれているので、誰かしらが挨拶に行くことになった。
一番最初にやってきたのはケイズさまの団体。
父さま、ホリーさんとのアポイントもしっかりとっていて、それが終わってからカトレアの宿で友達と合流したようだ。
父さまから、ケイズさまがわたしと話をしたいと言っていると聞いていたので、宿に行って予定を合わせた。わたしはわたしが宿に赴いてどこかで話せればと思っていたんだけど、町の家まで来てくれるという。友達に見られたくないのかなと思ったので、その提案に頷いた。
ケイズさまはスッキリした顔をしていた。
「おかげさまで、食料品ではありませんが、商品のいくつかを外国に売らせてもらえることになりました」
ホリーさんから聞いていた。ケイズさまの粘りがちだったと。
口に入るものは、目の届かないところで売るのは嫌で、ホリーさんからも散々売り出さないかと言われたんだけど、勘弁してもらっていた。ケイズさまは熱い思いを語ったそうだ。ホリーさんが〝食品は外国に売りたくない〟と頑なな姿勢を見せると、それなら食品以外のものなら?と提案してきたという。
ホリーさんが舌を巻くぐらいウチの商品の良さを知っていて、こんないいものを世界に広めないのは冒涜ですとまで言って、ホリーさんは納得させられていたそうだ。
「わたしは何もしていません。すべてはケイズさまのお力ですわ」
悪いけど、本当に無駄足になると思っていた。
ケイズさまはちょっと顔を赤らめて頭をかいた。
「領主さまから、シュタイン嬢との婚約の話は断られてしまいました」
吹っ切れた表情だ。
「シュタイン嬢の兄上から聞きました。シュタイン嬢の悪い噂に対して婚約者の方がされていたことを。何もしていないだなんて俺の早とちりでした、すみません」
「いいえ、わたしも最近まで知りませんでした」
椅子を勧めたけれど、すぐお暇するからとふたりとも応接室で立ち話をしている。婚約者ではない男女なので、部屋のドアも全開だ。
「あの、ウチの商品をよく知ってくださっていると聞きました」
「ああ、とてもいいものだから。……最初はシュタイン嬢への興味でした。でも商品を手にして、売れているわけがわかりました。それで広めたいって思ったんです」
そう微笑むケイズさまはとても頼り甲斐のある人に見えた。
それから少しだけ、学園の授業のことや、クラブのことを話した。授業はクラスによって先生も違ったりするので、習ったことのない先生の話は新鮮だ。お互いに思いつく会話がなくなり、一瞬静けさが舞い降りる。
わたしは伝えることにした。でもその前に不思議だったことを聞いてみる。
「……ケイズさまとわたしは接点がありませんでした。なのに、どうしてわたしに、その……好意を持ってくださったんですか?」
「ほっぺが……」
ほっぺ?
「ふっくらしたほっぺがとてもかわいらしくて。とても柔らかそうで」
ちょっと、待った! わたしの存在意義は〝ほっぺ〟なの?
「いつも楽しそうにしていて。食事をいつも一生懸命食べていて。
いつだったか、シュタイン嬢が友達と話しているところに遭遇しました。友達が怖がっていることを心を尽くして励まされていた。その気持ちがとても優しくて、それがすごくいいと思ったんです」
顔が赤くなっているに違いない。
もしわたしをいいと思ったきっかけがあるのなら聞いてみたいと思った。それだけだったのに、そんな風に思ってもらっていたなんて。
ケイズさまはわたしを見て、わたしのしたことをいいと思ってくださったんだ。好意を持ってくださったんだ。
「ケイズさま、わたしに好意を寄せてくださって嬉しかったです。それを伝えるのはとても勇気がいることでよね、わたし、言っていただいて、少しだけ自分に自信を持ちたいって思えたんです。だから、あの、嬉しかったです、ありがとうございました」
ケイズさまは目を大きくして、少し照れて、そして何か言おうとしたけれど、その口を閉じた。
そしてふっと笑う。
?
「あ、すみません、婚約者の方が心配しているようなので、残念ですがここまでにします。破れましたが、シュタイン嬢を好きになってよかったです。
友人たちと仲良くなったのも、想い人であるシュタイン嬢への対応がなってなさすぎるとみんなからダメ出しをされまして。……それまで、彼らに俺は持ち上げられている状態でした。けれどそれが一気に距離が近くなって、友人を得ることができました。俺、今、すごく楽しいんです」
「わたしこそ、お気持ちがとても嬉しかったです」
そういうと、彼はとても素敵に微笑んだ。
「今後は取引先として、ご記憶いただければ幸いです」
かしこまって挨拶をされたので、わたしもカーテシーで返す。
「では、これからもよろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
ケイズさまを送り出してから振り向けば、そこには兄さまがいた。
本当に兄さまだ。
「兄さま、待っててくれたの?」
てっきり、どこかへ行っていると思っていたのに。
「婚約者が私以外の男とふたりきりでいたのに、離れられないよ。ヤキモキしてたんだ」
どこかくすぐったい台詞だ。
わたしは今兄さまを独り占めしてるんだなと思った。
こうやっていつも兄さまの視線がわたしだけに向いていたらいいのに。
でも学園が始まったら、そんなことはなくなる。兄さまはあの人の護衛をする……。
でも、今だけはわたしの兄さまだもんね。未来に怯えているだけじゃ時間がもったいない。夏休みの間、存分に独り占めしてやる。
「どうしたの、リディー、難しい顔をして」
鼻の頭を指で弾かれる。
「兄さま、砂漠フェアのユハの実を飲んでみた? 暑い時はすっごくおいしく感じるの。飲みに行こう!」
兄さまの手を引く。
「リディー、走ると転ぶよ」
「兄さま、わたしをいくつだと?」
うわっ。お約束に転びそうになったところを、兄さまに手を引っ張られ、大きくなったもふさまが下に入ってくれたので事なきを得た。
『だからリディアだけでも座って話せと言ったのだ。立ったまま長話したからだろう。我が運んでやる』
うわぁ。もふさまが跳ねたので、上のわたしもポンと跳ねてもふさまの背中へ横座りにおさまっていた。
「いいよ、もふさま、歩く」
ウチの聖獣さまはわたしにどんどん過保護になってくる。クスクス笑う兄さま。
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