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8章 そうしてわたしは恋を知る
第341話 葉っぱのパスポート
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「でも時が経ち、それが過ちだったことを知った。約束どおり彼女が泣かないよう尽力するつもりだけど、彼女の婚約者は兄上だ。そのことも話し合ったよ」
わたしの手を一瞬だけ強く握る。
「メロディー嬢はいずれ私の義姉になる。私が慕っている方は別にいる」
よく見えないけど、ロサは真剣な表情をしているんだろうなと思った。
「……リディア」
〝嬢〟をつけずに呼ばれて少し驚く。
「君はどうして兄上のことを尋ねたり、私の恋心を気にしたりするんだい?」
「……辛い恋ではないといいなと思ったの」
ゆっくりと手が解かれる。
「そうか。私は私に関心を持ってくれたのかと思って期待してしまったよ」
「関心はあるよ。わたしたち友達だもの。友達の恋は応援したいから」
本当のところは、メロディー嬢とは距離を置きたくて、ロサの想い人ならどうしたもんかなーと思って聞いたのだけど。
ガチャガチャと鍵を開けているような音がする。
「本当に大丈夫だね? 脱けられるんだね?」
わたしは頷く。
ロサはわたしの頭を軽く撫でて、ドアに向かって歩いて行った。
わたしは本棚に身を寄せる。
ドアが開き、光が渡ってくる。
「殿下」
「ああ、悪い。うたたねしていたようだ」
「ご無事で何よりです」
護衛騎士とロサの会話が聞こえ、ドアが閉まり、暗い室内に戻る。
『リディアよ、どうするのだ? 我がドアを蹴破るのか?』
「うーうん、聖樹さまと繋がりが強くなったからできると思うんだ」
わたしはもふさまを抱え込んだ。
もふもふ軍団がリュックの中から飛び出してきた。
『暗いね』
魔法陣を聖樹さまと一緒に拵えていたというもふもふ軍団。でも、もふさまはほぼわたしに寄り添ってくれていたから、どうやって聖樹さまの元に行っていたのか不思議だった。どうも、もふもふ軍団は魔力が高いから、聖樹さまの木漏れ日空間へ自由に行き来していたみたいなんだよね。転移というよりルーム間の移動と同じ感じなんだと思う。聖樹さまの個人テリトリーに聖樹さまが承認した者だけが受け入れてもらえる。
わたしは魔力が増えた。時々聖樹さまとシンクロしたかのように学園の隅々に魔力が渡っていくのがわかるときがあった。
「みんないつも聖樹さまのところに飛んでるんでしょ? わたしもやってみようと思うんだ」
『そうだな。今のリディアなら繋がりがより確かになっているから、できるかもしれない』
もふさまが言うなら、より確実だ。
『リーは聖樹さまの物を持ってるから、いつでもいけるよ』
『うん、いつでも来ていいって、聖樹さま言ってるもん』
聖樹さまの持ち物って……、ああ、あの葉っぱ! あれがパスポートなのね。ファンタスティック!
「聖樹さまのところに行くよ」
もふさまとリュックの中に呼びかける。
聖樹さまの元へ! と思えば、目を開けた時には木漏れ日空間にいた。できた!
「聖樹さま、突然すみません」
わたしはまず謝った。
『構わんよ。リディアにはいろいろ協力してもらっているからな』
遅い時間なのでまた来ることを約束して外に出た。
黄色い点がポツンとあったので、アラ兄とあたりをつけて走っていく。
「リー!」
「アラ兄、ごめんなさい!」
「無事でよかった。探したんだぞ。どこにいたんだ?」
わたしは図書館で眠ってしまったこととロサとのことを話した。麦わら帽子の試算をしていてちょっと寝不足だったから。わたしは大きい口を開けてあくびをしてたので、アラ兄がわたしに何か言いたげだったことに気づかなかった。
次の日の朝、アイリス嬢に門のところで待ち伏せをされた。
「おはようございます、リディアさま」
「おはようございます、アイリスさま」
「今日もクラブを休まれますの?」
「はい、用事があって」
「そうですの……あたしメロディーさまとお話してわかったことがありますの。それで、リディアさまに一言申しあげようと思って、ここで待っておりましたのよ」
「リディア、先行くね」
「うん、そうして」
キャシーが心配そうにわたしを見ている。わたしは大丈夫と頷いて見せた。
「あたし、すぐにわかりました! だからあの方とは仲良くなれる気がしません」
アイリス嬢はプリプリしている。
「メロディーさまはフランツさまのことを慕っているんですわ」
わたしは思わずアイリス嬢の口を押さえた。
アイリス嬢がモゴモゴなんか言ってる。
「ゔーーー、ゔーーー」
後ろから抜かしていく人たちにジロジロ見られている。
往来でなんてことを言い出すんだ、この娘は!
「喋らないでくださいね?」
こくんと頷くのを見てから手を離す。
アイリス嬢は大きく息をした。
「なんてことをおっしゃるんですか?」
わたしはさらに声を潜めた。
「かの方は第1王子さまの婚約者ですよ? 他の方を慕っているなんて言ったら反逆にもとられるかもしれません。その相手が兄さまなんて、兄さままで反逆に巻き込む気ですか?」
さーっと顔を青くした。ことの重大さに気づいたようだ。
この考えなし娘が!
幸い誰にも聞かれてないと思うけど。
「あたしはただ、あの方がフランツさまに狙いを定めているから。今のあたしはフランツさまの目に入っていないから。リディアさまの言うことなら聞く耳があると思って。フランツさまに気を確かに持つように言っていただきたくて……」
「アイリスさま、わたし前にも申し上げましたけど、に……フランツさまはわたしの婚約者です。変なことはおっしゃらないでください」
「リ、リディアさまーー」
わたしは振り返らずに第1校舎の中に入った。
全く、メロディー嬢が兄さまを好きなんて、一体なんの冗談だ。
メロディー嬢はロサと……。
ロサは今メロディー嬢とそんな関係じゃないみたいに言っていた。別の人を慕っていると。そしてメロディー嬢も慕っている人がいると言っていた。ロサのことだと思っていたけれど、違うのかな? 元さやで第1王子さまかな?
まさか、本当に兄さまを好きだったりしないよね?
妖精みたいに華奢ではかなげでかわいい娘が、兄さまを好きだったらどうしよう。そりゃあ、第1王子さまの婚約者なのだからそれ以上に発展することはないとしても。あんなきれいでかわいい方が兄さまを想っていたら。それを兄さまが知ってしまったら……それは心穏やかでいられない。
わたしの手を一瞬だけ強く握る。
「メロディー嬢はいずれ私の義姉になる。私が慕っている方は別にいる」
よく見えないけど、ロサは真剣な表情をしているんだろうなと思った。
「……リディア」
〝嬢〟をつけずに呼ばれて少し驚く。
「君はどうして兄上のことを尋ねたり、私の恋心を気にしたりするんだい?」
「……辛い恋ではないといいなと思ったの」
ゆっくりと手が解かれる。
「そうか。私は私に関心を持ってくれたのかと思って期待してしまったよ」
「関心はあるよ。わたしたち友達だもの。友達の恋は応援したいから」
本当のところは、メロディー嬢とは距離を置きたくて、ロサの想い人ならどうしたもんかなーと思って聞いたのだけど。
ガチャガチャと鍵を開けているような音がする。
「本当に大丈夫だね? 脱けられるんだね?」
わたしは頷く。
ロサはわたしの頭を軽く撫でて、ドアに向かって歩いて行った。
わたしは本棚に身を寄せる。
ドアが開き、光が渡ってくる。
「殿下」
「ああ、悪い。うたたねしていたようだ」
「ご無事で何よりです」
護衛騎士とロサの会話が聞こえ、ドアが閉まり、暗い室内に戻る。
『リディアよ、どうするのだ? 我がドアを蹴破るのか?』
「うーうん、聖樹さまと繋がりが強くなったからできると思うんだ」
わたしはもふさまを抱え込んだ。
もふもふ軍団がリュックの中から飛び出してきた。
『暗いね』
魔法陣を聖樹さまと一緒に拵えていたというもふもふ軍団。でも、もふさまはほぼわたしに寄り添ってくれていたから、どうやって聖樹さまの元に行っていたのか不思議だった。どうも、もふもふ軍団は魔力が高いから、聖樹さまの木漏れ日空間へ自由に行き来していたみたいなんだよね。転移というよりルーム間の移動と同じ感じなんだと思う。聖樹さまの個人テリトリーに聖樹さまが承認した者だけが受け入れてもらえる。
わたしは魔力が増えた。時々聖樹さまとシンクロしたかのように学園の隅々に魔力が渡っていくのがわかるときがあった。
「みんないつも聖樹さまのところに飛んでるんでしょ? わたしもやってみようと思うんだ」
『そうだな。今のリディアなら繋がりがより確かになっているから、できるかもしれない』
もふさまが言うなら、より確実だ。
『リーは聖樹さまの物を持ってるから、いつでもいけるよ』
『うん、いつでも来ていいって、聖樹さま言ってるもん』
聖樹さまの持ち物って……、ああ、あの葉っぱ! あれがパスポートなのね。ファンタスティック!
「聖樹さまのところに行くよ」
もふさまとリュックの中に呼びかける。
聖樹さまの元へ! と思えば、目を開けた時には木漏れ日空間にいた。できた!
「聖樹さま、突然すみません」
わたしはまず謝った。
『構わんよ。リディアにはいろいろ協力してもらっているからな』
遅い時間なのでまた来ることを約束して外に出た。
黄色い点がポツンとあったので、アラ兄とあたりをつけて走っていく。
「リー!」
「アラ兄、ごめんなさい!」
「無事でよかった。探したんだぞ。どこにいたんだ?」
わたしは図書館で眠ってしまったこととロサとのことを話した。麦わら帽子の試算をしていてちょっと寝不足だったから。わたしは大きい口を開けてあくびをしてたので、アラ兄がわたしに何か言いたげだったことに気づかなかった。
次の日の朝、アイリス嬢に門のところで待ち伏せをされた。
「おはようございます、リディアさま」
「おはようございます、アイリスさま」
「今日もクラブを休まれますの?」
「はい、用事があって」
「そうですの……あたしメロディーさまとお話してわかったことがありますの。それで、リディアさまに一言申しあげようと思って、ここで待っておりましたのよ」
「リディア、先行くね」
「うん、そうして」
キャシーが心配そうにわたしを見ている。わたしは大丈夫と頷いて見せた。
「あたし、すぐにわかりました! だからあの方とは仲良くなれる気がしません」
アイリス嬢はプリプリしている。
「メロディーさまはフランツさまのことを慕っているんですわ」
わたしは思わずアイリス嬢の口を押さえた。
アイリス嬢がモゴモゴなんか言ってる。
「ゔーーー、ゔーーー」
後ろから抜かしていく人たちにジロジロ見られている。
往来でなんてことを言い出すんだ、この娘は!
「喋らないでくださいね?」
こくんと頷くのを見てから手を離す。
アイリス嬢は大きく息をした。
「なんてことをおっしゃるんですか?」
わたしはさらに声を潜めた。
「かの方は第1王子さまの婚約者ですよ? 他の方を慕っているなんて言ったら反逆にもとられるかもしれません。その相手が兄さまなんて、兄さままで反逆に巻き込む気ですか?」
さーっと顔を青くした。ことの重大さに気づいたようだ。
この考えなし娘が!
幸い誰にも聞かれてないと思うけど。
「あたしはただ、あの方がフランツさまに狙いを定めているから。今のあたしはフランツさまの目に入っていないから。リディアさまの言うことなら聞く耳があると思って。フランツさまに気を確かに持つように言っていただきたくて……」
「アイリスさま、わたし前にも申し上げましたけど、に……フランツさまはわたしの婚約者です。変なことはおっしゃらないでください」
「リ、リディアさまーー」
わたしは振り返らずに第1校舎の中に入った。
全く、メロディー嬢が兄さまを好きなんて、一体なんの冗談だ。
メロディー嬢はロサと……。
ロサは今メロディー嬢とそんな関係じゃないみたいに言っていた。別の人を慕っていると。そしてメロディー嬢も慕っている人がいると言っていた。ロサのことだと思っていたけれど、違うのかな? 元さやで第1王子さまかな?
まさか、本当に兄さまを好きだったりしないよね?
妖精みたいに華奢ではかなげでかわいい娘が、兄さまを好きだったらどうしよう。そりゃあ、第1王子さまの婚約者なのだからそれ以上に発展することはないとしても。あんなきれいでかわいい方が兄さまを想っていたら。それを兄さまが知ってしまったら……それは心穏やかでいられない。
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