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6章 楽しい学園生活のハズ
第267話 ドーン女子寮の総会③リコール
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喉の奥がひっついたかのように声を出しづらく感じる。
「再戦はあくまでも認められないということですか?」
ガネット寮長を見上げれば、彼女は頷く。
「私はアベックスの寮長とやりあって負けたの。私が再び挑んでも同じ結果になると思うわ」
「最初から諦めて、より良くなる努力をせず、寮長の役割を果たさないのですね?」
お腹に力を入れる。打ち合わせ済みでもキツイのはキツイ。
でも、わたしはわたしの役割を全うする。寮の生活を改善すると決めたのだから。
「わたしは、ガネット寮長のリコールを請求します」
「……寮長のリコールは総数の5分の1の賛同よ。女子寮は91名だから18名の賛同で執行されるわ」
ざわざわしている。リコールって何? と聞き合っている。
「では、私ガネットのリコールに賛同するものは挙手を」
わたしを含め1年生全員の手が挙がる。マリンもアイデラも。一度だけわたしを信じてくれと頭を下げた。みんな不安げな顔をしながらも手を上げてくれている。
ガネット寮長は見回して挙手を数える。
「1年生全員で17名ね」
リコールを知る先輩からほっとした息が漏れる。
ガネット寮長が手を挙げた。
「これで18名。リコールを執行します」
ごくんとわたしの喉がなる。寮則では当事者も有権者となる。
「ねー、ガネット、リコールってどういうこと?」
「ねぇ、リズ。意味がわからないなら挙手を取る前に確認を取らなくちゃ。みんないつもそうだった。私に丸投げ。従ってはくれるけれど、自分から行動したことなんか今までなかったじゃない? でも今度の1年生は違うわ。自分たちで調べて、ただよくないというだけじゃなくて案も考えている。私、寮長やっていて疲れたの、もうたくさんだわ。私は抜けるから、あとはあなたたちでやってちょうだい。私の意見は全てシュタインさんに同意するとして預けるわ。委任状は後で書くから」
そう言い捨てて、ガネット先輩は食堂から出て行った。
「ガネット」
追いかけようとする先輩にいい放つ。
「退出される時は、委任してからにしてください」
当然だが、めちゃくちゃ睨まれる。気づかなかいふりで進める。
「司会進行を受け持ちますね。新寮長はどなたがなりますか?」
ぐるりと見渡せば睨まれるけど、立候補はない。
「では、他薦にしますか?」
「あなたがなればいいじゃない」
ガネット先輩はそう流れるだろうと予想していた。
「わたし1年生ですよ。それにわたしの意見に反対なのですよね?」
「1年生でも、あなた貴族だもの、渡り合えるでしょう?」
「わかりました。引き受けます。わたしは寮長の役割を果たすべく頑張りますので、皆さんもより良い寮生活のために、寮生の役割を果たしてくださいね」
にこりと笑っておく。
「さて、わたしは食費を削らない方法の案をだし、その理由を説明してきました。どうしても反対という方は挙手をして確固たる理由も言ってください」
ガネット先輩の予想通り挙がる手はない。
「あのぉ……」
気の弱そうな先輩がわたしを見ている。
「反対とかではないけれど、聞きたいことが」
「なんでしょう?」
「今まで削って捻出した寄付金額を学園祭で儲ければいいというけれど、その目処は立っているんですか? さっき聞いた金額を、本当に?」
質問されてちょっと安心する。ガネット先輩が優秀だから、任せておけば一番いいようになっていくから、そこに甘えてしまったんだ。トップが得体の知れない新入生になったことで、少しは気持ちが〝しゃん〟としたみたいだ。
「せっかくの学園祭なので、みんなの得意分野というか、織り交ぜてできることにしたいと思っています。今はまだ皆さんのことを知らないので、今急にやることになってもできることで案を立てました。休息日に食べてもらった〝おにぎり〟あれを作り売ることにしたとしたら、この値段とこの数を完売すればクリアです」
わたしは紙に書いてきた数式をみんなに見せる。
これもガネット先輩から用意しておいた方がいいと言われたことだ。
「なぜ、この数にしているかというと、食費を削る以外の、人件費、掃除業者の費用を削った学園祭までの額がこちらだからです」
「っていうことは、その額が資金となるのね?」
「そうです」
先輩たちはお互いに顔を合わせている。
「よくわかりました。ありがとう」
質問してきた先輩はぎこちない笑顔でそう言った。
「他に質問や言いたいことなどありませんか?」
見回したが声は掛からなかった。
「後から異を唱えるのは無しですよ? いいですね? では食費は削らないことにします」
1年生が拍手をする。
やったー! これでこれからちゃんとご飯を食べられる!
「では、続きまして、再戦についてです。こちらへの意見はありますか?」
隣の人とこしょこしょ話して、手が挙がる。
次々に質問がされた。
どう話をもっていくのか。何で勝負するのか。勝負で決まることは何なのか。勝負に勝てると思っているのか。
全てはこれから決めていくことだし、相手の意見もあるからどう流れるかはわからないけれど、こう持っていこうと思っているところは説明したし、みんなの意見を取り入れていく。
消灯の時間まで話しても詳細まで決めることはできず大まかな流れだけになったが、再戦を持ち込むことになった!
やっぱりどうしても、負けた感はつきまとい、退学の恐怖が頭にあって、寄付も辛い記憶になりそうなところが嫌だという気持ちがあったのだろう。
納得のいく形での勝負なら、負けた方が退学という無茶なことでなければ再戦はやぶさかではないそうだ。総合点は実はいい勝負での負けだったみたいだ。だから最後は逆にわたしがみんなの足を引っ張るのではと心配された。そ、そうならないように気をつけなければ。
ミス・スコッティーが消灯だとドアをガンガン叩いてきた。
わたしたちは各自部屋に戻ることにした。誰かのお腹が鳴った。そうだった。今日は夜食を食べていない。寮母にみつからないようにおにぎりを配り、隣の部屋の人にガネット先輩にも届けてほしいと渡した。
さて、明日はミス・スコッティーと話さなくてはいけないから、早起きをしなくては。早く終わったらガネット先輩へ報告に行きたかったが、今日は無理そうだ。再戦の手筈が整うまで旧寮長のガネット先輩と新寮長のわたしは仲の悪いフリをするつもりだ。なんたって寮長を引き摺り下ろした張本人だからね。
部屋に戻るとかなり疲れていたようで、もふもふ軍団の質問攻めにあったけれどそれにも答えられず、お風呂も入らないでそのままベッドにダイブして眠ってしまった。
「再戦はあくまでも認められないということですか?」
ガネット寮長を見上げれば、彼女は頷く。
「私はアベックスの寮長とやりあって負けたの。私が再び挑んでも同じ結果になると思うわ」
「最初から諦めて、より良くなる努力をせず、寮長の役割を果たさないのですね?」
お腹に力を入れる。打ち合わせ済みでもキツイのはキツイ。
でも、わたしはわたしの役割を全うする。寮の生活を改善すると決めたのだから。
「わたしは、ガネット寮長のリコールを請求します」
「……寮長のリコールは総数の5分の1の賛同よ。女子寮は91名だから18名の賛同で執行されるわ」
ざわざわしている。リコールって何? と聞き合っている。
「では、私ガネットのリコールに賛同するものは挙手を」
わたしを含め1年生全員の手が挙がる。マリンもアイデラも。一度だけわたしを信じてくれと頭を下げた。みんな不安げな顔をしながらも手を上げてくれている。
ガネット寮長は見回して挙手を数える。
「1年生全員で17名ね」
リコールを知る先輩からほっとした息が漏れる。
ガネット寮長が手を挙げた。
「これで18名。リコールを執行します」
ごくんとわたしの喉がなる。寮則では当事者も有権者となる。
「ねー、ガネット、リコールってどういうこと?」
「ねぇ、リズ。意味がわからないなら挙手を取る前に確認を取らなくちゃ。みんないつもそうだった。私に丸投げ。従ってはくれるけれど、自分から行動したことなんか今までなかったじゃない? でも今度の1年生は違うわ。自分たちで調べて、ただよくないというだけじゃなくて案も考えている。私、寮長やっていて疲れたの、もうたくさんだわ。私は抜けるから、あとはあなたたちでやってちょうだい。私の意見は全てシュタインさんに同意するとして預けるわ。委任状は後で書くから」
そう言い捨てて、ガネット先輩は食堂から出て行った。
「ガネット」
追いかけようとする先輩にいい放つ。
「退出される時は、委任してからにしてください」
当然だが、めちゃくちゃ睨まれる。気づかなかいふりで進める。
「司会進行を受け持ちますね。新寮長はどなたがなりますか?」
ぐるりと見渡せば睨まれるけど、立候補はない。
「では、他薦にしますか?」
「あなたがなればいいじゃない」
ガネット先輩はそう流れるだろうと予想していた。
「わたし1年生ですよ。それにわたしの意見に反対なのですよね?」
「1年生でも、あなた貴族だもの、渡り合えるでしょう?」
「わかりました。引き受けます。わたしは寮長の役割を果たすべく頑張りますので、皆さんもより良い寮生活のために、寮生の役割を果たしてくださいね」
にこりと笑っておく。
「さて、わたしは食費を削らない方法の案をだし、その理由を説明してきました。どうしても反対という方は挙手をして確固たる理由も言ってください」
ガネット先輩の予想通り挙がる手はない。
「あのぉ……」
気の弱そうな先輩がわたしを見ている。
「反対とかではないけれど、聞きたいことが」
「なんでしょう?」
「今まで削って捻出した寄付金額を学園祭で儲ければいいというけれど、その目処は立っているんですか? さっき聞いた金額を、本当に?」
質問されてちょっと安心する。ガネット先輩が優秀だから、任せておけば一番いいようになっていくから、そこに甘えてしまったんだ。トップが得体の知れない新入生になったことで、少しは気持ちが〝しゃん〟としたみたいだ。
「せっかくの学園祭なので、みんなの得意分野というか、織り交ぜてできることにしたいと思っています。今はまだ皆さんのことを知らないので、今急にやることになってもできることで案を立てました。休息日に食べてもらった〝おにぎり〟あれを作り売ることにしたとしたら、この値段とこの数を完売すればクリアです」
わたしは紙に書いてきた数式をみんなに見せる。
これもガネット先輩から用意しておいた方がいいと言われたことだ。
「なぜ、この数にしているかというと、食費を削る以外の、人件費、掃除業者の費用を削った学園祭までの額がこちらだからです」
「っていうことは、その額が資金となるのね?」
「そうです」
先輩たちはお互いに顔を合わせている。
「よくわかりました。ありがとう」
質問してきた先輩はぎこちない笑顔でそう言った。
「他に質問や言いたいことなどありませんか?」
見回したが声は掛からなかった。
「後から異を唱えるのは無しですよ? いいですね? では食費は削らないことにします」
1年生が拍手をする。
やったー! これでこれからちゃんとご飯を食べられる!
「では、続きまして、再戦についてです。こちらへの意見はありますか?」
隣の人とこしょこしょ話して、手が挙がる。
次々に質問がされた。
どう話をもっていくのか。何で勝負するのか。勝負で決まることは何なのか。勝負に勝てると思っているのか。
全てはこれから決めていくことだし、相手の意見もあるからどう流れるかはわからないけれど、こう持っていこうと思っているところは説明したし、みんなの意見を取り入れていく。
消灯の時間まで話しても詳細まで決めることはできず大まかな流れだけになったが、再戦を持ち込むことになった!
やっぱりどうしても、負けた感はつきまとい、退学の恐怖が頭にあって、寄付も辛い記憶になりそうなところが嫌だという気持ちがあったのだろう。
納得のいく形での勝負なら、負けた方が退学という無茶なことでなければ再戦はやぶさかではないそうだ。総合点は実はいい勝負での負けだったみたいだ。だから最後は逆にわたしがみんなの足を引っ張るのではと心配された。そ、そうならないように気をつけなければ。
ミス・スコッティーが消灯だとドアをガンガン叩いてきた。
わたしたちは各自部屋に戻ることにした。誰かのお腹が鳴った。そうだった。今日は夜食を食べていない。寮母にみつからないようにおにぎりを配り、隣の部屋の人にガネット先輩にも届けてほしいと渡した。
さて、明日はミス・スコッティーと話さなくてはいけないから、早起きをしなくては。早く終わったらガネット先輩へ報告に行きたかったが、今日は無理そうだ。再戦の手筈が整うまで旧寮長のガネット先輩と新寮長のわたしは仲の悪いフリをするつもりだ。なんたって寮長を引き摺り下ろした張本人だからね。
部屋に戻るとかなり疲れていたようで、もふもふ軍団の質問攻めにあったけれどそれにも答えられず、お風呂も入らないでそのままベッドにダイブして眠ってしまった。
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