プラス的 異世界の過ごし方

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6章 楽しい学園生活のハズ

第243話 クラブ紹介

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「リディア、元気ないね?」

 キャシーに覗き込まれる。

「朝ごはんも残していたよね? それじゃなくても少ないのに」

「少し風邪気味かも」

「風邪?」

 やっぱりもふもふ軍団と眠っていて、いつも〝あったか〟だったんだな。一昨日はみんなと眠ったからそれなりに暖かかったんだけど。もう1枚上掛けを足して寝るしかないな。

「貴族っぽくないけど、やっぱり、お嬢さまなんだね」

 ダリアがよくわからない感心をした。なんだそりゃ。

「今日はクラブ活動の発表を見るだけだから、よかったね」

「帰ったらすぐに寮で眠るといいよ」

 心配してくれるのが嬉しくて、お礼を言う。

「ありがとう。あ、わたし王都に家があるから、週末は家に帰るんだ」

「あ、そうなの? いいなー。でも家で栄養つけてきた方がいいよ。寮のご飯じゃ、よくならないよ」

 わたしもそんな気がするとそっと思った。



 入園式を行なった講堂で、クラブ活動のガイダンスがあるという。
 仕切るのは生徒会で、司会はブライだった。
 クラブは49種類のクラブと43個の同好会からなるそうだ。
 人数が6人以上になると同好会からクラブに格上げされるらしい。予算も同好会とクラブでは全然違うそうだ。
 掛け持ちをすることも可能だが、ただ名前を載せているだけの幽霊会員はポイントが下がっていくらしい。
 先に同好会から2分ずつ説明があるという。もらった冊子を参考に、とのことだ。
 クラブ活動は見開きでページをもらっているが、同好会は半ページ、1ページに2つの同好会が押し込まれていた。なかなかの格差でえげつなく感じる。

 最初に、生徒会からの活動報告があった。
 2年生からしか入れないけれど、生徒会執行部はクラブのひとつのようなものだという。執行部員は他のクラブには属せないらしい。
 仕事はいっぱいあるし、入るには試験がありそれに合格しないとですが、充実感は保証します。興味を持ったらぜひ生徒会を覗きにきてくださいと結ばれた。

 そして持ち時間2分の同好会紹介が始まった。
「自然を愛する会」休みの日に自然豊かなところでぼーっとするのが主な活動らしい。
 静かに演説もあれば、テンション高く外国語でまくしたて、外国語同好会だとハッスルしていた会もあった。学園にいながら、本場の外国語を学べる!とキャッチーに語っていた。
 最初の説明と同好会の発表だけで、2時間が経っている。

 クラブ活動になると、持ち時間が4分と倍になり、そして派手な演出になる。
49クラブもあれば、たとえ1つ4分でも3時間以上かかることになるのだから仕方ないけれど。時間厳守は大事なことのようで、ひとつのクラブが終わってすぐに次のクラブが始まり、いやーかなり情報過多だ。余韻も何もない。

 運動部たちは、舞台で所狭しとパフォーマンスをして見せた。エンターテインメントが次々と目の前で繰り広げられていく、そんな感じだ。

 アラ兄は魔具クラブに入っていたようだ。2年生なのに広報を受け持っているようで、いくつもの魔具を同時に発動させ、魔具の真髄に迫るんだと力強くアピールしていた。
 ロビ兄は魔導騎士クラブに所属していて、幻術だろう大きな鳥に乗って現れた。すっごくかっこよかった。男女関係なく、誰が見てもかっこいい〝部隊〟で憧れの眼差しで舞台に視線が釘付けだ。戦っていなくても、剣と盾を持ち幻獣に乗っている〝ビジュアル〟だけで凄い。三つ子の魂百までじゃないけれど、あの○○剣と繰り出していたパフォーマンスが、熟成されこんな形で昇華されるとは感慨深い。
 お昼を挟み、全てのクラブと同好会の発表が終了した。わたしは気分じゃなかったのでお昼ご飯は食べずに、席で休んでいた。
 終わりのホームルームもやり過ごし、やっと家に帰れると思うとほっとする。

 寮に帰り、寮の門で兄さまたちと待ち合わせの予定だったが、なんか疲れたなーと動くのが面倒くさい。

「リディー」
「兄さま」

 D組の教室の席にいたと思うが、目の前に兄さまがいた。兄さまの手が頬に寄せられる。冷たくて気持ちいい。

「リディー」
「家に帰る」

「うん、そうだね。そうしよう。何も心配しなくていいよ。私が家に連れて帰る」

 ああ、よかった、家に帰れるや……。




 次に目を開けたとき、アオのドアップだった。

「リディア、大丈夫でちか」

「アオ?」

『リディア!』

「もふさま!」

 もふさまとアオをかき懐く。
 もふもふと、ビロードのような手触り。

『私もいるぞ』

『リー』
『リー』

『わたくしもいますよ』

「本……物……?」

 あ、王都のわたしの部屋だ。ベッドの中だった。
 本物だ、ぎゅーっと強く抱きしめる。

『どうした、リディア』

「すっごく、会いたかったみたい」

 わたしたちの間にレオとアリとクイとベアが入り込んでくる。
 ぎゅーっと丸ごと抱きしめる。

 軽いノックの後入ってきたのは、私服のロビ兄だ。

「リー、大丈夫か?」

「ロビ兄……」

「熱があったんだ、町医者に診てもらって薬草を煎じたのを飲んだ。覚えてる?」

 わたしは首を横に振った。
 ロビ兄がわたしの頭を撫でる。

「張り切りすぎたか? 父さまと母さまもついていたんだけど、エリンとノエルがリーの部屋の前から離れないから、ふたりを連れてフォンタナ家に行った」

 ああ、また心配かけちゃった。

『我と一緒にいないから、風邪をひくんだ』

 確かにその通りなので反論できない。

『我らが学園に一緒に行かないとだめだな』

「……そういうわけにはいかないんだよ……」

 一瞬でもそうだったらよかったのにと思ってしまった。
 誰もいない部屋に帰るのはとても淋しい。
 甘ったれてる。それは百も承知だけど、あったことを報告したり、相談できないのは淋しいね。一緒に眠れないのは淋しい。でも、学園に通うみんなは〝そう〟なんだよね。寮で〝一人きり〟を乗り越えていくんだ。

「リディア、学園の話聞きたいでち」

「食べながら話すのはどうだ? ピドリナがリディアの好きなお粥を作ってくれたよ」

「ピドリナが?」

「起きられるか?」

 もちろんと頷いて起き上がったが、少々フラフラする。

「部屋に持ってこようか?」

 心配そうにロビ兄に言われ、わたしは首を横に振った。
 きっとみんな心配しているから。

 ロビ兄が最強ガウンを取ってくれた。膝丈まであるガウンで、とってもあったかい。もふさまを抱っこするのと同じぐらい暖かくて一番寒い時にいつも着ているやつだ。ピドリナかヘリが夜着に着替えさせてくれたのだろう。真冬の最強ガウンを羽織れば寒いことはない。寮にも持って行こうかな。

 ロビ兄に手を引かれ、もふもふ軍団に寄り添われ食堂に行った。
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