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6章 楽しい学園生活のハズ
第240話 押しつけられた
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わたしが教室に入るのと入れ違いに出てきたのは金髪碧眼の男爵、オスカー・ボビーだ。すれ違うときにチラッとわたしを見たけれど何も言わなかった。
「大丈夫?」
レニータが気遣ってくれる。
「うん、平気」
「さすが貴族ね、婚約者がいるのね」
ジョセフィンに言われる。
笑みを返せば、ふんふん頷いていた。
席につき、窓の外に目を遣る。中庭なので時々制服や運動着姿の生徒が通った。
ピンク髪には近づきたくない。
留学生の聖女候補ともだ。
兄さまのファンにこれからも絡まれそうだし。
でも何より最初にドーン女子寮をなんとかしなくては。
生活の基盤系のストレスは響くからね。
まずは図書館に行って、寮のことは誰の?どこの?管轄なのか調べなくては。
それからなんで先輩たちがあの状況を許しているのかを知りたい。何もしなかったわけはないと思うんだよね。それでも従っているのはそうするしかなかったからじゃないかと思う。それが何なのか、知っていないと対策は立てられない。ただ寮長の先輩、素直に話してくれるかな、年下に。それに勘違いならいいんだけど、わたしにいい感情を持っていない気がしたんだよなー。問題は起こすなって言った。これは間違いなく問題に発展するだろうなー。それを喜んで答えてくれるとは思えない。
考え事をしていたら、ホームルームが始まっていた。
先生が入ってきたことにも気づかなかった。
「では、クラスの代表、委員長と、副委員長を決めてくれ。立候補はいないか?」
先生がみんなを見渡す。
「ポイントがつくぞ。いないかー?」
手を挙げる子はいなかった。
「じゃあ他薦だな。まだそう親しくもないだろうが、1日一緒に過ごしたんだ、見えてきた部分もあるだろう。推薦する者はいないか?」
レニータとキャシーが揃って振り返りわたしを見た。嫌な予感がしたので微かに首を横に振る。ふたりは前を向いた。ふぅと息をつくと先生と目が合ったので、慌てて逸らした。
「誰かいないか、クラスをまとめられると思う者、協力したいと思える者が」
「先生」
「アイデラ、おう自薦か他薦か?」
猫目の、クセの強い子はアイデラという名前みたいだ。
「このクラスにはちょうど貴族がふたりいます。そのふたりがやればいいと思います」
わたしは手を挙げた。
「シュタイン、何だ?」
「学園内で身分は関係ないはずです。貴族だからという理由でクラス委員を押しつける、コホン、クラス委員をするのはおかしいと思います」
「みんなはどう思う? アイデラの意見がいいと思うか、シュタインの意見が頷けると思うか」
パッと手が挙がる。
「はい、レズリー」
「うん、貴族だからって理由でクラス委員はおかしいと思う」
「イシュメル」
先生が次に指したのは、さっき喧嘩を売ってきた青い髪の男の子だ。
「貴族に仕切られるのは腹が立つから、俺がやる」
「おお、立候補が出たか」
「先生、私、副委員やります!」
立ち上がったのはアイデラだ。
どこまでも突っ走っていきそうなふたり組ではあるが、なかなかいいんじゃない?と思った。
「お前とやるなら、俺は降りる」
「イシュメルったら照れちゃって」
アイデラは頬をほんのり赤くして嬉しそうにしている。本気でそう思っているみたいだ。
「先生」
「何だ、ボビー?」
もう一人の貴族、オスカー・ボビーが立ち上がる。
こんな声なんだ。バリトンの落ち着いた心地いい声だ。
「確かクラス委員は男女で組むはずですよね?」
「その通りだ」
「でしたら、立候補は平民の男子ですから、副委員は貴族の女子からはいかがでしょう」
何だって?
「男子と女子。平民と貴族。バランスがいいかも!」
「貴族と平民が混ざったうちのクラスならではだね!」
わたしは見たよ、オスカー・ボビーがニヤリと笑ったのを。
「先生!」
「何だシュタイン」
「わたしは意見をまとめるとか、そういうことができるとは思えません」
「そんなことないよ。さっきも先輩に臆することなく意見を伝えてたし」
「いつも堂々としているしね」
そんな擁護はいらないのに。
「さっきもイシュメルと仲良さそうだったし」
「「「仲良くない」」」
わたしとイシュメルとアイデラ3人の声が重なる。
「先生、私だって立候補なのに」
オスカーがすかさずいい声でアイデラに尋ねる。
「アイデラさんは僕とクラス委員をやりたいの?」
「私はイシュメルとやりたいけれど、あなたがどうしても私とやりたいというのなら考えてあげてもいいわ」
おおっと予想外の返事きたー。オスカーはちょっと動揺している。
「俺はアイデラとなら委員はやらない」
イシュメルが言い切る。
「まとめると、このクラスからふた組の候補がある。イシュメルとシュタイン組かアイデラとボビー組か。さて、ここからどうやって決めるかだな」
「わたしはやりたくないです!」
わたしは元気に手を挙げた。
「多数決にするか?」
「何でわたしの意見を無視するんですか?」
「他薦とはそういうものだからだ」
他薦って言ったって、わたしを推薦じゃなくて、貴族というくくりの推薦じゃないか。
「じゃあ、どちらの組がいいか聞くから、いいと思う方に手を挙げること」
「イシュメルとシュタイン組がいいと思うもの」
4人以外の手が挙がる。
「満場一致だな」
……またひとつ面倒ごとが増えた。
「大丈夫?」
レニータが気遣ってくれる。
「うん、平気」
「さすが貴族ね、婚約者がいるのね」
ジョセフィンに言われる。
笑みを返せば、ふんふん頷いていた。
席につき、窓の外に目を遣る。中庭なので時々制服や運動着姿の生徒が通った。
ピンク髪には近づきたくない。
留学生の聖女候補ともだ。
兄さまのファンにこれからも絡まれそうだし。
でも何より最初にドーン女子寮をなんとかしなくては。
生活の基盤系のストレスは響くからね。
まずは図書館に行って、寮のことは誰の?どこの?管轄なのか調べなくては。
それからなんで先輩たちがあの状況を許しているのかを知りたい。何もしなかったわけはないと思うんだよね。それでも従っているのはそうするしかなかったからじゃないかと思う。それが何なのか、知っていないと対策は立てられない。ただ寮長の先輩、素直に話してくれるかな、年下に。それに勘違いならいいんだけど、わたしにいい感情を持っていない気がしたんだよなー。問題は起こすなって言った。これは間違いなく問題に発展するだろうなー。それを喜んで答えてくれるとは思えない。
考え事をしていたら、ホームルームが始まっていた。
先生が入ってきたことにも気づかなかった。
「では、クラスの代表、委員長と、副委員長を決めてくれ。立候補はいないか?」
先生がみんなを見渡す。
「ポイントがつくぞ。いないかー?」
手を挙げる子はいなかった。
「じゃあ他薦だな。まだそう親しくもないだろうが、1日一緒に過ごしたんだ、見えてきた部分もあるだろう。推薦する者はいないか?」
レニータとキャシーが揃って振り返りわたしを見た。嫌な予感がしたので微かに首を横に振る。ふたりは前を向いた。ふぅと息をつくと先生と目が合ったので、慌てて逸らした。
「誰かいないか、クラスをまとめられると思う者、協力したいと思える者が」
「先生」
「アイデラ、おう自薦か他薦か?」
猫目の、クセの強い子はアイデラという名前みたいだ。
「このクラスにはちょうど貴族がふたりいます。そのふたりがやればいいと思います」
わたしは手を挙げた。
「シュタイン、何だ?」
「学園内で身分は関係ないはずです。貴族だからという理由でクラス委員を押しつける、コホン、クラス委員をするのはおかしいと思います」
「みんなはどう思う? アイデラの意見がいいと思うか、シュタインの意見が頷けると思うか」
パッと手が挙がる。
「はい、レズリー」
「うん、貴族だからって理由でクラス委員はおかしいと思う」
「イシュメル」
先生が次に指したのは、さっき喧嘩を売ってきた青い髪の男の子だ。
「貴族に仕切られるのは腹が立つから、俺がやる」
「おお、立候補が出たか」
「先生、私、副委員やります!」
立ち上がったのはアイデラだ。
どこまでも突っ走っていきそうなふたり組ではあるが、なかなかいいんじゃない?と思った。
「お前とやるなら、俺は降りる」
「イシュメルったら照れちゃって」
アイデラは頬をほんのり赤くして嬉しそうにしている。本気でそう思っているみたいだ。
「先生」
「何だ、ボビー?」
もう一人の貴族、オスカー・ボビーが立ち上がる。
こんな声なんだ。バリトンの落ち着いた心地いい声だ。
「確かクラス委員は男女で組むはずですよね?」
「その通りだ」
「でしたら、立候補は平民の男子ですから、副委員は貴族の女子からはいかがでしょう」
何だって?
「男子と女子。平民と貴族。バランスがいいかも!」
「貴族と平民が混ざったうちのクラスならではだね!」
わたしは見たよ、オスカー・ボビーがニヤリと笑ったのを。
「先生!」
「何だシュタイン」
「わたしは意見をまとめるとか、そういうことができるとは思えません」
「そんなことないよ。さっきも先輩に臆することなく意見を伝えてたし」
「いつも堂々としているしね」
そんな擁護はいらないのに。
「さっきもイシュメルと仲良さそうだったし」
「「「仲良くない」」」
わたしとイシュメルとアイデラ3人の声が重なる。
「先生、私だって立候補なのに」
オスカーがすかさずいい声でアイデラに尋ねる。
「アイデラさんは僕とクラス委員をやりたいの?」
「私はイシュメルとやりたいけれど、あなたがどうしても私とやりたいというのなら考えてあげてもいいわ」
おおっと予想外の返事きたー。オスカーはちょっと動揺している。
「俺はアイデラとなら委員はやらない」
イシュメルが言い切る。
「まとめると、このクラスからふた組の候補がある。イシュメルとシュタイン組かアイデラとボビー組か。さて、ここからどうやって決めるかだな」
「わたしはやりたくないです!」
わたしは元気に手を挙げた。
「多数決にするか?」
「何でわたしの意見を無視するんですか?」
「他薦とはそういうものだからだ」
他薦って言ったって、わたしを推薦じゃなくて、貴族というくくりの推薦じゃないか。
「じゃあ、どちらの組がいいか聞くから、いいと思う方に手を挙げること」
「イシュメルとシュタイン組がいいと思うもの」
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