プラス的 異世界の過ごし方

seo

文字の大きさ
上 下
135 / 930
3章 弱さと強さと冬ごもり

第135話 冬ごもり④雪の楽しみ

しおりを挟む
 朝起きると庭より外側が一面銀世界だった。夕方に降り始めた雪がしんしんと降り積もったようだ。

 おお、ケインのはしゃぎっぷりがすごい。
 え? ひよこ? ひよこちゃん、雪平気なの?
 馬小屋側は雪が積もっているので、そこでひよこちゃんも激しく雪の上を転げ回っている。雪玉つかないの? 大丈夫?

 え? もふさま?
 わたしと一緒に起きたのに、というか、外に出たかったけれど、わたしが起きるのを待っていてくれたのか。一目散に部屋を出たと思ったら、ああ、ケインたちと雪にダイブして体中に雪をつけて面白がっている。寒くないのか?

「リー、外においで」

 げ、みつかった。
 楽しそうだが、寒そうだなー。
 今は雪が止んでいるみたいだが。
 普段より服を一枚足しているけれど、それでも寒い。

「リディー、アランとロビンが呼んでいるぞ」

 知ってる。

「寒そう」

 居間の暖炉から離れられなくなる。
 わたしのコートを取ってきた父さまが、コートを着せてくれて、帽子とマフラー、それから手袋もしてくれる。

「ほら、雪と戯れておいで」

 強制ですか。
 仕方ないから、靴をゆっくりと履いて外に出ていく。
 みんな馬小屋前の雪で遊んでいる。
 あ、雪だるま。
 庭は雪が積もってないから歩けたが、ふわふわの雪は歩くのも一苦労だ。わーん、足が抜けない。兄さまが抱きあげてくれた。
 あれ、兄さま背が伸びた? それに今までよりずいぶん軽々と抱きあげてくれるような。

「ほら、リーだよ」

 わたしを抱きあげた兄さまを引っ張るようにして、雪だるまの前に連れていく。小さな雪だるまはわたしのようだ。一体何時間前から作っていたのか。全員分の雪だるまがある。
 父さまのが一番大きくて、……一番大きい。母さまのには下のだるま部分にコブがついている、弟か妹だろう。アルノルトさんのは大きくてなんとなく細い。その隣に寄り添っているのがピドリナさん。そこからがくんと小さくなって兄さま、アラ兄、ロビ兄、わたしの順で雪だるまがあった。


 ケインともふさまは雪にはしゃぎながらの追いかけっこをしている。めちゃくちゃ楽しそう。アオは雪の上を滑るようにしている。身が軽いからできることだね。ベアは暖炉の前でぬくぬくしていた。同じく赤ちゃんだろうに、ひよこちゃんたちは雪に埋まりながらもなんのそのだ。本当にこの子たちはコッコの雛なんだろうか?
 
 わたしはユキウサギを作った。母さまへのプレゼントだ。それかわいいということで、みんなも作っている。教えてあげたのはわたしなのに、みんなの作ったウサギの方がかわいい。これだから器用な奴らは……。
 母さまに持っていくと、平等に喜んでくれた。

 せっかくなのでカマクラを作ることにした。これなら大雑把なわたしでも不器用さはさほど目だたないだろう。大きな雪山を作って、中をくり抜く。ちょっと、いえだいぶ、もふさまに手伝ってもらった。

「リディー何してるの?」

「カマクラ作ってる」

「カマクラ?」

「この中でご飯食べたりする。灯りともすときれい」

「へー」

 カマクラの話を聞いたことがあるだけなので作り方とかは知らない。水をまいて雪を固めるって聞いた気がするけど、わたしは魔法で最後に固めておく。

 遊び倒して疲れたのを自覚する。そういえば朝ごはんも食べずに遊んだね。
 ケインやもふさま、ひよこちゃんを馬小屋に入れて、雪玉をとって乾かす。温風だよ。ご飯の用意をすると一心に食べ出した。ケインの今日のご飯はワラと野菜だ。
 もふさまとわたしたちは家の中に入って暖炉の前で手をかざす。
 びっしょりなのもだけど土で汚れてもいたので、服も着替えることになった。


 簡単な朝ごはんにして、各自のルーティーンに戻る。
 ケインとひよこちゃんを庭に放す。
 畑の世話をしてお勉強だ。母さまはわたしに朗読させながら編み物をしている。読み終えれば終了だ。

「リディーは何の楽器を弾いてみたい?」

「楽器?」

「貴族の嗜みよ。女性はお茶会でみんなと演奏することもあるのよ」

 なんかやることが増えていく。

「婚約者いる。お茶会行かない」

「どうしても行かなくちゃいけないこともあるのよ」

「一番簡単なの何?」

「リディー、そういうことではないのよ。これからいろいろな楽器を見ることがあるでしょう、その中で興味を持ったら教えてちょうだい。音楽は心を豊かにするわ」

 それに異論を唱える気はないが、問題は何にしてもけっこうな練習量が必要ってことだ。
 今でさえ時間が足りないっていうのに。



 お昼は子供たちだけ、カマクラで〝鍋〟にした。

「雪穴の中で、鍋、すげー」

「何で溶けないんだろう」

「溶けないようしてる」

 真ん中で焚き火をし、お鍋を乗せている。人が触れるところはコーティングしているから、本物のカマクラより冷え冷えではないはずだ。

「カニ、うまー」

「え、ロビ兄、もうちょっと茹でようよ」

「大丈夫、大丈夫」

「野菜がおいしい」

 あったまるし、寒い時はお鍋に限るね。
 もふさまお皿に顔を突っ込んでいる。聖獣は熱いのも冷たいのも平気なのかしら。




「父さまと毎日会えないのは淋しいな」

 しめの雑炊を食べながら、アラ兄が口にする。

「どういうことでちか?」

 アオが不思議そうな顔をしている。
 あ、あの時アオはいなかったか。
 わたしたちは、父さまの事情を話した。
 アオは破顔する。

「なんだ、それなら、その家にサブルームを作ればいいでち」

「できるの?」

「リディアがやるでち」

「わたし!?」

「メインさまのマスターはリディアでち。リディアの魔力ならギリギリできないことはないと思うでち。メインさまに相談するといいでち」

 サブルームには、メインルームから移動が可能だ。ということは、夜、向こうの家で眠っていることにして、サブルーム、メインルーム経由で父さまは母さまのいる部屋に帰ることができる。
 サブルームに仮想補佐網が芽生えれば、サブハウスとなるそうで。サブハウスのことはサブルームの管理人が全てを把握、この家のことをハウスさんが把握しているように、誰が何をしようとしているなどがわかるようになる。危険時にはサブルームに避難が可能。
 また、使用人さんがいるからできないけれど、わたしたちもメインルーム、サブルーム経由でサブハウスの町の家に行くことができる。ということは、町にもあっという間に行ける。いやわかっているよ。できるけど、使用人さんがいるから使えないってことは。

 みんなが行き来はできないとしても、こちらの家のように何かあった時に安全なところにいけたり、父さまが眠るのに部屋にいることにして、こちらの家に帰ってこられたら、それだけで素晴らしいことではないでしょうか!
 わたしたちは急いで片付けをして、父さまたちを交えて相談することにした。
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

弟子に”賢者の石”発明の手柄を奪われ追放された錬金術師、田舎で工房を開きスローライフする~今更石の使い方が分からないと言われても知らない~

今川幸乃
ファンタジー
オルメイア魔法王国の宮廷錬金術師アルスは国内への魔物の侵入を阻む”賢者の石”という世紀の発明を完成させるが、弟子のクルトにその手柄を奪われてしまう。 さらにクルトは第一王女のエレナと結託し、アルスに濡れ衣を着せて国外へ追放する。 アルスは田舎の山中で工房を開きひっそりとスローライフを始めようとするが、攻めてきた魔物の軍勢を撃退したことで彼の噂を聞きつけた第三王女や魔王の娘などが次々とやってくるのだった。 一方、クルトは”賢者の石”を奪ったものの正しく扱うことが出来ず次第に石は暴走し、王国には次々と異変が起こる。エレナやクルトはアルスを追放したことを後悔するが、その時にはすでに事態は取り返しのつかないことになりつつあった。 ※他サイト転載

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

転生した愛し子は幸せを知る

ひつ
ファンタジー
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢  宮月 華(みやつき はな) は死んだ。華は死に間際に「誰でもいいから私を愛して欲しかったな…」と願った。  次の瞬間、華は白い空間に!!すると、目の前に男の人(?)が現れ、「新たな世界で愛される幸せを知って欲しい!」と新たな名を貰い、過保護な神(パパ)にスキルやアイテムを貰って旅立つことに!    転生した女の子が周りから愛され、幸せになるお話です。  結構ご都合主義です。作者は語彙力ないです。  第13回ファンタジー大賞 176位  第14回ファンタジー大賞 76位  第15回ファンタジー大賞 70位 ありがとうございます(●´ω`●)

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

処理中です...