115 / 823
3章 弱さと強さと冬ごもり
第115話 名も無いダンジョン⑥ウロ
しおりを挟む
お腹が落ち着いたので出発することにした。
ラッキーマウスやおいしいお肉と会えなかったのは残念だけど。
いよいよお目当ての地下2階だ。デュカート、デュカート!
2階への階段は湧き水の右側の石をどかすと……
【ラッキーマウスが湧き水の右側にあった石の上に乗る、その上で飛び跳ねると石がごろんと転がった。同時に重たい扉が動くような音がして、横の壁がスライドした。口を開けたそこには下へと続く階段があった】
ノートに書いてあった通り、重たい扉が動くような音がして、横の壁がスライドした。下へと続く階段がある!
おおーーーーーーー。
階段は父さまが抱っこしてくれた。ひよこちゃんに笑われた気がした。こういうよくない方の勘って当たるもんなんだよね。いいもん、ひよこちゃんに笑われたって。階段で転げ落ちたりするほうが迷惑かけるし、ふん。
「マスターはなんでダンジョン来たんでちか?」
「前マスターさん、ダンジョン、攻略ノート見て、いい、思った。デュカート毛皮欲しい」
「……ダンジョンの魔物の毛皮はドロップでしかおちないでちよ。それにデュカートは人前に姿を現さないし、討伐しても毛皮は落ちないでちよ。前マスターが手に入れたのは幸運なんでち」
「なんでかは、わからない。けど、わたし、触る。ドロップしやすくなる」
それになぜか、ここではわたしは触ってないが勝手にドロップしている。
アオがぐるりと体を捻って、口、いや、嘴を開けてわたしを見ている。
「マスターは、前はラッキー……マウスだったんでちか?」
いや、人だったよ。あれ、でも覚えているのが稀なんだから、他の何かであった時もあったのだろう……。輪廻も世界を超えるものなのかしら? よくわからないので慎重に言っておく。
「……その記憶、ない」
アオはわたしをひたすら見ていた。
地下2階は草原フィールドだ。ノート通り、ときどきひょろーんとした木があるが、見渡す限りの草原だ。敵がきたら一発でわかる。父さまがおろしてくれる。
幅が広がったので、兄さまと双子がわたしの左右にきた。
何やら双子が言い合っている。
「どうした?」
兄さまが仲裁に入る。
「アランが嫌がるんだ」
「何を?」
「だって兄さま、ロビンが戦うときにフォーメーションを組もうっていうんだ」
ふむふむ。
「おれが先制攻撃をかけて『正義の鉄拳を受けるがいい』っていうから、アランも攻撃して『ふっ、他愛もない』って言うんだ。かっこいいだろう?」
ロビ兄の瞳がキラキラしている。
父さまとアルノルトさんはいち早くあらぬ方を向いた。
「かっこいい台詞を譲ってやってるのに、何が嫌なんだよ」
「……ロビンには言ってもわからないと思う」
「兄さま!」
ロビ兄が兄さまにすがる。
「うーーん、ロビンは素手で、拳で戦うのか?」
「いや、剣と魔法」
「それなら鉄拳はおかしいんじゃないかな?」
「そっか、拳じゃないもんな。うーーん。風雷斬りは使ったし、双竜剣もあるから……」
考え込んでロビ兄が静かになった。さすが、兄さま。ロビ兄を傷つけずに封じ込めた!
アラ兄は口パクで兄さまにお礼を言っている。
「この階は、デュカートと……何が出るんだっけ?」
「デュカート、ヒンドラ、サイレントリーフ」
「どんな魔物だろうね? 父さまは知ってる?」
「ヒンドラは知らないな。サイレントリーフは植物の魔物だったと思うが」
「水色!」
大声が出た。
「水色?」
「消えた!」
ロビ兄に答える前に、水色の点が消えてしまった。
「消えた?」
首を傾げるアラ兄に尋ねる。
「見た?」
「見た?」
さらに首を傾げられた。
「マップ、水色、点出た。一瞬」
わたしは興奮してマップに水色の点が一瞬出たことを伝えた。みんな見てないみたい。
「青い点は人だけど、水色って何?」
「わからない。もふさま、何か、感じた?」
『我は何も感じなかったぞ?』
もふさまが言った瞬間にマップに赤い点が現れた。少し前方にあるひょろんとした木だ。
風もないのに、木の葉たちが揺れる。
葉のひとつがわたしたちに向かって飛んできた。それを父さまが剣で一振り。葉っぱが真っ二つになった。
次々と葉っぱが飛んできた。数で勝負をかけてきた? ロビ兄が手を突き出す。
「火炎風!」
体を対象にむかい横にして前方に手を突き出す姿勢は、役者のようだ。ロビ兄、ポーズを練習してたんだ……。
手の先からでた炎は風に乗り、舞ってきた葉っぱ全てに燃え広がり、一瞬にして落ちる。ポージングといい、やるねぇ。
全ての葉が攻撃してきて丸裸になったはずのひょろんとした木にワサワサともう葉がついている。
なんですと!?
これは本体である木を攻撃しないととみんなが思っただろうとき、木が動いた。
風で動いたとかじゃなくて、根っこが足みたいになって地上に出て、スタコラとこちらに向かってきた!
ひょろんとしていても、2階建ての家以上の高さはある。それが向かってくることを想像して欲しい、めっちゃ怖いから!
パニックになりわたしは背をむけた。何がどうなったのかわからないが、わたしは摘みあげられた。アオを落としてしまった。落ちたアオは弾んだ。そして後ろを振り返る。
アオがひよこちゃんたちが、もふさまが、兄さまが、アラ兄が、ロビ兄が、父さまがアルノルトさんが、何かを言って口を開けている。わたしには周りの風の音しか聞こえない。わたしは後ろ向きに飛びあがり、木のウロの中にポイっと入れられた。
え? 中は空洞でわたしは落ちる。
ええ? あきらかにおかしい! 下まで落ちたって2階だての高さのはずなのに、わたしは落ち続ける。
ひよ
ん? わたしの髪の中からひよこちゃんが出てきた。
なんで、どこからひよこちゃんが! いや、髪の中だけど、いつの間にそこに?
ポーンとわたしは跳ねた。トランポリンみたいな上に落ちたようで、5、6回、ぽんぽん跳ねて、……酔いそうになった。やっと跳ねるのが終わり。わたしは当たりを見回した。
木のウロの中に落ちたのに、そこはまた草原だった。ある程度の大きさの広場のようで、いい感じに木もいっぱいあって。
わたしは目を擦った。見間違いじゃない。木から木へ茶色い四角いっぽいものが飛んでいる。
薄いピンク色のトランポリンから降りたいが、膝が笑っていて、動けない。
ひよ!
しっかりしろと言われているような気がする。
わたしは四つん這いになることに成功した。そのままハイハイしてピンクのところから降りようと思ったのに、わたしの顔ぐらいの大きさの茶色いものいっぱいに囲まれていた。もふもふした茶色の生き物。真っ黒のビー玉のような瞳が輝いている。体の内側は白い。似ている、これ、前の世界では〝ももんが〟と呼ばれていた。
ラッキーマウスやおいしいお肉と会えなかったのは残念だけど。
いよいよお目当ての地下2階だ。デュカート、デュカート!
2階への階段は湧き水の右側の石をどかすと……
【ラッキーマウスが湧き水の右側にあった石の上に乗る、その上で飛び跳ねると石がごろんと転がった。同時に重たい扉が動くような音がして、横の壁がスライドした。口を開けたそこには下へと続く階段があった】
ノートに書いてあった通り、重たい扉が動くような音がして、横の壁がスライドした。下へと続く階段がある!
おおーーーーーーー。
階段は父さまが抱っこしてくれた。ひよこちゃんに笑われた気がした。こういうよくない方の勘って当たるもんなんだよね。いいもん、ひよこちゃんに笑われたって。階段で転げ落ちたりするほうが迷惑かけるし、ふん。
「マスターはなんでダンジョン来たんでちか?」
「前マスターさん、ダンジョン、攻略ノート見て、いい、思った。デュカート毛皮欲しい」
「……ダンジョンの魔物の毛皮はドロップでしかおちないでちよ。それにデュカートは人前に姿を現さないし、討伐しても毛皮は落ちないでちよ。前マスターが手に入れたのは幸運なんでち」
「なんでかは、わからない。けど、わたし、触る。ドロップしやすくなる」
それになぜか、ここではわたしは触ってないが勝手にドロップしている。
アオがぐるりと体を捻って、口、いや、嘴を開けてわたしを見ている。
「マスターは、前はラッキー……マウスだったんでちか?」
いや、人だったよ。あれ、でも覚えているのが稀なんだから、他の何かであった時もあったのだろう……。輪廻も世界を超えるものなのかしら? よくわからないので慎重に言っておく。
「……その記憶、ない」
アオはわたしをひたすら見ていた。
地下2階は草原フィールドだ。ノート通り、ときどきひょろーんとした木があるが、見渡す限りの草原だ。敵がきたら一発でわかる。父さまがおろしてくれる。
幅が広がったので、兄さまと双子がわたしの左右にきた。
何やら双子が言い合っている。
「どうした?」
兄さまが仲裁に入る。
「アランが嫌がるんだ」
「何を?」
「だって兄さま、ロビンが戦うときにフォーメーションを組もうっていうんだ」
ふむふむ。
「おれが先制攻撃をかけて『正義の鉄拳を受けるがいい』っていうから、アランも攻撃して『ふっ、他愛もない』って言うんだ。かっこいいだろう?」
ロビ兄の瞳がキラキラしている。
父さまとアルノルトさんはいち早くあらぬ方を向いた。
「かっこいい台詞を譲ってやってるのに、何が嫌なんだよ」
「……ロビンには言ってもわからないと思う」
「兄さま!」
ロビ兄が兄さまにすがる。
「うーーん、ロビンは素手で、拳で戦うのか?」
「いや、剣と魔法」
「それなら鉄拳はおかしいんじゃないかな?」
「そっか、拳じゃないもんな。うーーん。風雷斬りは使ったし、双竜剣もあるから……」
考え込んでロビ兄が静かになった。さすが、兄さま。ロビ兄を傷つけずに封じ込めた!
アラ兄は口パクで兄さまにお礼を言っている。
「この階は、デュカートと……何が出るんだっけ?」
「デュカート、ヒンドラ、サイレントリーフ」
「どんな魔物だろうね? 父さまは知ってる?」
「ヒンドラは知らないな。サイレントリーフは植物の魔物だったと思うが」
「水色!」
大声が出た。
「水色?」
「消えた!」
ロビ兄に答える前に、水色の点が消えてしまった。
「消えた?」
首を傾げるアラ兄に尋ねる。
「見た?」
「見た?」
さらに首を傾げられた。
「マップ、水色、点出た。一瞬」
わたしは興奮してマップに水色の点が一瞬出たことを伝えた。みんな見てないみたい。
「青い点は人だけど、水色って何?」
「わからない。もふさま、何か、感じた?」
『我は何も感じなかったぞ?』
もふさまが言った瞬間にマップに赤い点が現れた。少し前方にあるひょろんとした木だ。
風もないのに、木の葉たちが揺れる。
葉のひとつがわたしたちに向かって飛んできた。それを父さまが剣で一振り。葉っぱが真っ二つになった。
次々と葉っぱが飛んできた。数で勝負をかけてきた? ロビ兄が手を突き出す。
「火炎風!」
体を対象にむかい横にして前方に手を突き出す姿勢は、役者のようだ。ロビ兄、ポーズを練習してたんだ……。
手の先からでた炎は風に乗り、舞ってきた葉っぱ全てに燃え広がり、一瞬にして落ちる。ポージングといい、やるねぇ。
全ての葉が攻撃してきて丸裸になったはずのひょろんとした木にワサワサともう葉がついている。
なんですと!?
これは本体である木を攻撃しないととみんなが思っただろうとき、木が動いた。
風で動いたとかじゃなくて、根っこが足みたいになって地上に出て、スタコラとこちらに向かってきた!
ひょろんとしていても、2階建ての家以上の高さはある。それが向かってくることを想像して欲しい、めっちゃ怖いから!
パニックになりわたしは背をむけた。何がどうなったのかわからないが、わたしは摘みあげられた。アオを落としてしまった。落ちたアオは弾んだ。そして後ろを振り返る。
アオがひよこちゃんたちが、もふさまが、兄さまが、アラ兄が、ロビ兄が、父さまがアルノルトさんが、何かを言って口を開けている。わたしには周りの風の音しか聞こえない。わたしは後ろ向きに飛びあがり、木のウロの中にポイっと入れられた。
え? 中は空洞でわたしは落ちる。
ええ? あきらかにおかしい! 下まで落ちたって2階だての高さのはずなのに、わたしは落ち続ける。
ひよ
ん? わたしの髪の中からひよこちゃんが出てきた。
なんで、どこからひよこちゃんが! いや、髪の中だけど、いつの間にそこに?
ポーンとわたしは跳ねた。トランポリンみたいな上に落ちたようで、5、6回、ぽんぽん跳ねて、……酔いそうになった。やっと跳ねるのが終わり。わたしは当たりを見回した。
木のウロの中に落ちたのに、そこはまた草原だった。ある程度の大きさの広場のようで、いい感じに木もいっぱいあって。
わたしは目を擦った。見間違いじゃない。木から木へ茶色い四角いっぽいものが飛んでいる。
薄いピンク色のトランポリンから降りたいが、膝が笑っていて、動けない。
ひよ!
しっかりしろと言われているような気がする。
わたしは四つん這いになることに成功した。そのままハイハイしてピンクのところから降りようと思ったのに、わたしの顔ぐらいの大きさの茶色いものいっぱいに囲まれていた。もふもふした茶色の生き物。真っ黒のビー玉のような瞳が輝いている。体の内側は白い。似ている、これ、前の世界では〝ももんが〟と呼ばれていた。
136
お気に入りに追加
1,239
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。
まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。
温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。
異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか?
魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。
平民なんですがもしかして私って聖女候補?
脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか?
常に何処かで大食いバトルが開催中!
登場人物ほぼ甘党!
ファンタジー要素薄め!?かもしれない?
母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥
◇◇◇◇
現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。
しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい!
転生もふもふのスピンオフ!
アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で…
母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される
こちらもよろしくお願いします。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる