プラス的 異世界の過ごし方

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3章 弱さと強さと冬ごもり

第83話 兄妹喧嘩と女子会③人形遊び

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「こんにちは」

 ミニーとサロのお父さんはわたしを見ると、こんにちはと挨拶を返してくれた。

 シヴァが挨拶をしてから、お泊まりにもふさまが一緒でいいかを尋ねる。ご主人は快くいいと言ってくれた。それではよろしくお願いします、と、多分父さまからのお持たせを渡す。

「これは、どうも。お心遣いありがとうございます。領主さまにもよろしくお伝えください」

 とご主人が頭を下げ、二階へと声をかける。

「ミニー、リディアちゃんがいらしたぞ」

 バタバタバタと階段を降りてくる音がする。

「では、お嬢、明日迎えにきますから。楽しい時間をお過ごしください」

「シヴァ、ありがと!」

「リディア、もふさま、いらっしゃい。もう、みんな来てるのよ。上がって」

「お邪魔します」

 靴を脱いで2階の住宅スペースに上がる。雑貨屋さんだけあって、飾ってあるものがユニークでかわいい。

 サロとお母さんにも挨拶をしてパウンドケーキを渡した。ミニーに手をひかれ、ミニーの部屋に入る。

 4人の女の子がそれぞれに声をかけてくれた。4人とも顔を合わせたことがある子たちだった。
 カトレア、10歳。宿屋の娘さんだ。オレンジ色の髪で茶色の瞳。母さまの呪いの道具を探すのにお世話になった。
 チェリ、9歳。赤髪で茶色の瞳。
 8歳のマール。濃い茶色の髪を三つ編みにしている。茶色の瞳で面倒見がいい。
 7歳のヨム。八百屋の娘で、ふわふわのオレンジの髪をしている。人見知りだ。
 そして、5歳のミニー。薄い茶髪に深緑の瞳。おしゃまな印象だ。
 カトレアとチェリは直接話したことはなかった。

 人気はもふさまだ。もふさま、頬擦りされても嫌がってない。……なんで?
 もうすぐ夕ご飯だからと、それまでミニーの宝物を見せてもらったりした。


 そのひとつは人形だった。短いのと長い木の枝を十字にして布を巻き付けたもの。名前はサンドラちゃんだ。
 お姉さんたちは心得があり、サンドラに話しかける。

「こんにちは、サンドラ。あたし、マールよ。今日は泊まらせてもらうの。よろしくね」

「こんにちは、マール。こちらこそ、よろしくね」

 少しだけ声音を変えて、人形を動かす。
 これ、これだよ、わたしが求めていたものは!
 5歳児、人形遊び、おままごと。昔すぎて忘れていたよ。いいことを思い出させてくれた。

 こういう遊びは子供の心がないと気恥ずかしいからね。王子さまは人形遊びなんてしたことがあるかね? もしわたしと話したいとでも言ったら人形遊びを持ちかけよう。どこまで耐えられるか見ものだ。

「私はカトレアよ、よろしくね」

「カトレア、よろしくね!」

「わたしはチェリよ、サンドラ。仲良くしてね」

「チェリ、仲良くしましょうね」

「サンドラ、こんにちは。ヨムよ。よろしくね」

「ヨム、こんにちは、よろしくね」

 みんなサンドラに挨拶をしていく。わたしの番だね。

「はじめまして。リディアよ。よろしくね」

 わたしは木の枝の手だろう部分と握手した。

「サンドラ、ミニーといつも、何して遊ぶ?」

 わたしは尋ねた。
 サンドラは左右に揺れる。

「いっぱい話したり、新しい服を考えてくれたりするのよ」

「服?」

 サンドラは床に寝そべった。ミニーがサンドラを入れていた箱から新たに何かを取り出した。真っ赤な布の切れ端だった。

「うわー、目立つ赤ね」

 チェリは興奮したように大きな声を出した。
 確かに、目に鮮やかな赤だ。

「これで、服を作ろうと思うの」

 ミニーがサンドラに赤い布を巻き付けた。
 巻き付けていくと白い上着にふんわり広がっていく赤いドレスのようで、かわいらしく見える。

「素敵よ、サンドラ」

 カトレアが褒めるとマールも頷いた。

「あたしもそんなスカート欲しい」

「ドレス!」

 ミニーがいうと、マールは慌てて謝った。

「ごめん、訂正するわ。そんなドレスが欲しい」

 赤いドレスをまとったサンドラは、どこか誇らしげに見えた。

「リディア、あなたのお家にあたしのお友達はいる?」

「いないの。帰ったら、作る。そしたら、遊んで、くれる?」

 サンドラは全身で頷いてくれた。



 夕ご飯は具沢山のスープと蒸しパンみたいなパンだった。ダイニングでみんなでいただいた。もふさまにもいっぱい用意してくれた。
 サロがカトレアに憧れているのが丸わかり。ミニーも気づいているようだ。カトレアは大袈裟に捉えることもなく、そつなく対応している。10歳、大人だ。

 ご飯の後は早速夜着に着替えた。ご飯の間に準備してくれたんだろう。ミニーの部屋はお布団が敷き詰められていて、ゴロ寝できるようになっていた。真ん中だけ丸くスポットが開いていて、そこに大きめのお盆がおかれ、コップが6つと小さめのお皿が1つ置かれていた。

 ミニーがコップとお皿にお水をついでいく。みんなが干した果物や、チーズやら、食べ物を置いたので、わたしもクッキーを置いた。

「これ、なあに?」

 とマールに尋ねられたので、クッキーだと伝えた。味は食べてもらうのが一番わかるので、みんなに取ってもらった。すぐに口にしてくれて

「うわー、おいしい!」

「口の中でジュワーって溶けてく」

『これもうまいな!』

 好評で嬉しくなる。もふさま、口の中に詰めすぎ。喉につまらせないかドキドキする。
 わたしが作ったんだというと、尊敬の目で見られた。慌てて、できるところだけ、と付け加えた。

「よく女子会、するの?」

 と聞くと、

「なに、女子会って? ああ、女の子だけだから? なんかいいね」

 最年長の10歳のカトレアがこれからは〝女子会〟と呼ぼうと言ってくれた。

「2年前までは時々集まってたよ。ミニーが行きたいって駄々こねてね。でも一人でまだ眠れなかったからダメだったんだよね」

 8歳のマールが教えてくれる。
 2年前といえば、前領主が税をあげたそこらへんか。

「今日は、開いてくれて、ありがとうね、ミニー」

 9歳のチェリが感謝するとみんな次々にミニーにお礼を言った。

「リディアはお泊まり全然止められなかった?」

「うっ。ちょっと兄さまたちから」

「ああ、妹離れできないのよねー」

 ミニーが櫛で髪を梳きながら言う。

「サロもそうなの?」

 ヨムが尋ねれば、ミニーは眉間にシワを寄せた。

「ウチでやるならいいけど、まだお泊まりは早いって」

「フーーン。サロがねぇ」

「カトレアに家に来て欲しかったんじゃない?」

 マールが暴露する。

「カトレア、兄ちゃん、ムガイだから嫌わないでね」

 ミニーが眉を八の字にして言う。ミニーのところも兄妹仲がいいんだね。

「嫌わないよ。特別好きでもないけど」

 カトレアはサバサバしていた。

「男はガキだから、妹離れできないの。女の子の方が大人になるのが早いのよねー」

 チェリの猫みたいな少し吊り上がったくりっとした茶色い目がかわいらしく光った。
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