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3章 弱さと強さと冬ごもり
第79話 ケリーナダンジョン④情報を売る子供
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階段を登ると、不思議なエリアがあった。
「これがセーフティーゾーンだ。ここには魔物が入ってくることはない」
父さまが教えてくれた。冒険者は何日も泊まったりしてダンジョンを攻略していくそうだ。このセーフティーゾーンで休憩したり、テントを張ったりする。
『セーフティーとかいうのは面白いな。面白い結界の張り方だ』
もふさまが楽しそうにあたりの匂いを嗅ぎ回った。
お腹が空いたので、ここで昼食をとることにした。
お弁当はおにぎりと唐揚げもどきと、甘い卵焼きと、ブッコロリーを茹でたもの。見かけも味もブロッコリーまんまだ。ピドリナさんが初挑戦したおにぎりは、いいあんばいだ。塩加減もだけど、ご飯の口の中でのほどけかたが最高! さすが料理人は違うね! みんなでワイワイ話しながら食べて、デザートのリンゴンをシヴァがナイフで切り分けてくれたまでは覚えているが、わたしはお腹がいっぱいになり眠ってしまったみたいだ。
「子供だけで来たのか?」
おじいさまの呆れたような声音で目が覚めた。
目を擦ると、わたしより少し上ぐらいの子と、兄さまぐらいの子と、もう少し大きな子がいた。3人はとても粗末な服を着ていて、何もかもが汚れていた。だいぶ寒くなってきたというのに、ズボンの丈がふくらはぎ下ぐらいまでしかない。それも擦れていてボロボロだ。
「親、いねーし。子供だけでも食いぶち稼ぐためにダンジョンも入るよ」
あっけらかんと言われる。
「孤児院にいるのか?」
シヴァが声をかけた。
「孤児院にいたんだけど、院長が嫌なやつだから出て、おれたちだけで暮らしてる」
よくよく聞くと、さっきの4階のボスの対処の仕方を教えて、報酬をもらい、それで生計を立てているらしい。このダンジョンは子供でも入れるので、そうしてセーフティーのゾーンをうまく利用してこもり、4階でヒンヒをいくら倒しても終わりがなく難儀している冒険者に情報を売っていたようだ。
「それで、今度は5階の情報を売りに来たのか?」
子供は首を横に振る。自分たちより小さな子供が5階に上がっていくのを見て、思わず上がってきてしまったみたいだ。
セーフティーをうまく使うといっても、絶対魔物のいるところを通ることになる。それなのに、彼らは無傷。何か秘策でもあるのかな?
邪魔はしないから5階の攻略の仕方を見ていていいかと尋ねてくる。今度はそれを売るつもりなのだろう。
「5階は魔物がかなり強い。4階までうろちょろしているところを見るとギフトで安全にいられる何かがあるんだろうが、5階はもう危険だ。下の階へ行け」
シヴァがすげなく言った。
「なんだよ、ケチ!」
おお、シヴァに口答えするとは勇気あるね。
「そんな小さい子が大丈夫なら、おれたちだって大丈夫だ」
「わたし、魔法ある」
わたしがいるからって、わたしより大きな自分たちは大丈夫と思われても困る。
「おれたちもギフトある」
一番大きな赤毛の子が言った。
「忠告はしたぞ」
シヴァは気にしないことにしたようだ。それにみんなも倣う。
気にはなるが、何を言っても聞き入れないだろうという気がした。
「リー」
アラ兄に呼ばれて見ると、下唇に親指の爪を当てている。
ハッとする。
いけね。また指を食べていた。
気をつけるようにはしているのだが、時々おしゃぶりしていて、ときにはアラ兄に身振りで注意される。
『来たぞ』
ゴツゴツした岩がいっぱいあるフィールドだ。
急に影が。鳥? 大きい。ワシ?
岩より低く屈む。
「風魔法を使う?」
兄さまたちが相談している。
飛んでいったのがUターンしてきた。
ついてきた3人に何かしようとしたようだが、弾かれる。誰かが結界みたいのを使えるんだね、ほっとする。
「あ」
父さまが短く言って、
「岩に触るな、魔物だ」
と叫んだ。
魔物?
岩だと思っていたものが、動き出す。岩を連ねた蛇みたいな生き物だ。
まさかこの岩全部?と青ざめる。
「剣が効かない」
おじいさまの剣も弾かれている。
ゴタンゴ:岩でできた魔物。火、水、土、風魔法は効かない。体に1点ある粉砕点を突くのが有効
その粉砕点はどこなのさ。わたしの鑑定じゃダメだ。
「おじいさま、ゴタンゴ、粉砕点突くしかない」
声をあげると、おじいさまの瞳が鮮やかになる。
きれい。そういえば、わたしも鑑定している時、何か変わっているのかな? だとしたら隠蔽しとかないとまずいはず。
「前から3つ目の岩の右下だ」
シヴァが動いた。わたしを抱えたまま、ゴタンゴの右側にまわり、下の方を剣で突いた。
勘? 色が違うわけでもなし、その1点以外ついたところで剣が負けたかもしれないのに。
見事岩続きの3メートルはあったゴタンゴが粉砕した。
灰色の石が残る。
「伏せろ!」
父さまの叫び声。
またワシ?
いや、羽毛な感じじゃない。車サイズのナメクジに羽があるみたいな。
「メルトスラッグフライだ」
前世と似通った言葉がよく使われている。それでいくと、溶かす空飛ぶナメクジって感じじゃない? なんて嫌な魔物!
あんなのに抱きかかえられても、溶かされても嫌なんですけど。
「な」
なんか足で掴んでる。
え?
「エイブ!」
子供たちが叫び声を上げる。
ええ??
あの足でつかまれてるの、一番小さな子?
「シヴァ、おろして。フライ離したら、子供、受け取れる?」
おろしてもらって答えを待たずに声をあげる。ナメクジっていったら塩でしょ。
「風で、塩爆弾!」
バッグから出すふりをしてつかんだ塩を、空飛ぶナメクジに投げつける。
一直線にナメクジのところまで飛んで行き、上でブレイクする。
白い粉がナメクジの体に降り注ぐ。
傾き、身をよじり、子供を離した。シヴァが走り込む。
間に合わない!
「「「「風」」」」
父さまと兄さま、双子の声が合わさる。
風で浮かそうとした4人の魔法が合わさって、ナメクジがいたところよりも高くまで子供が飛んだ。
「調整しろ、ゆっくりおろすぞ」
父さまが言って、魔力を調整しながら子供の高度を下げていく。
今度はゆっくりだったので、シヴァが抱えた。子供は気を失っていた。
「エイブ!」
ふたりの子が駆け寄る。
「わかったか? ダンジョンは危険なんだ。今だってお嬢や坊ちゃんたちが魔法を使わなかったら、この子の命はなかった」
そういうと、しゅんとうなだれた。
魔力がいっぱいあるわけでないから、いつも危ないと思った時に結界のようなものを張っているようだ。急に近づいてきたナメクジには気がつかなかったみたい。
そんな危ない橋を渡るようなやり方で……、今までよく生きていたものだと思ってしまった。
でも、わたしは家族がいたから。だからのうのうとしていられたけれど。
保護者がいなくて、頼れる人がいなかったら、自分たちで食い扶持をみつけるしかなくて。
食べ物は一階の野菜とかでいけるとしても、その他いろいろお金がかかってくるわけで。
彼らなりに危険ではあるけれど、生きる方法を模索した結果なんだろう。
寝ぐらにしているのは町の端だというので、ダンジョンはここで切り上げ、彼らを送っていくことにした。一番上の子が気を失っているエイブを背負うといったが、あきらかに大変そうなのでね。
各フロアには出口に転移できる場所があるそうだ。なんて至れり尽くせりな。
シヴァが気を失った子を抱えていたので、わたしは頑張って歩いた。けれど、町外れにいく前には差が大きく開くようになったので、父さまに抱えられた。
いっぱい魔法を使っていたから、魔力は大丈夫か尋ねられる。ボードを確かめたが50も減ってなかった。そういうと静かに驚かれた。
「これがセーフティーゾーンだ。ここには魔物が入ってくることはない」
父さまが教えてくれた。冒険者は何日も泊まったりしてダンジョンを攻略していくそうだ。このセーフティーゾーンで休憩したり、テントを張ったりする。
『セーフティーとかいうのは面白いな。面白い結界の張り方だ』
もふさまが楽しそうにあたりの匂いを嗅ぎ回った。
お腹が空いたので、ここで昼食をとることにした。
お弁当はおにぎりと唐揚げもどきと、甘い卵焼きと、ブッコロリーを茹でたもの。見かけも味もブロッコリーまんまだ。ピドリナさんが初挑戦したおにぎりは、いいあんばいだ。塩加減もだけど、ご飯の口の中でのほどけかたが最高! さすが料理人は違うね! みんなでワイワイ話しながら食べて、デザートのリンゴンをシヴァがナイフで切り分けてくれたまでは覚えているが、わたしはお腹がいっぱいになり眠ってしまったみたいだ。
「子供だけで来たのか?」
おじいさまの呆れたような声音で目が覚めた。
目を擦ると、わたしより少し上ぐらいの子と、兄さまぐらいの子と、もう少し大きな子がいた。3人はとても粗末な服を着ていて、何もかもが汚れていた。だいぶ寒くなってきたというのに、ズボンの丈がふくらはぎ下ぐらいまでしかない。それも擦れていてボロボロだ。
「親、いねーし。子供だけでも食いぶち稼ぐためにダンジョンも入るよ」
あっけらかんと言われる。
「孤児院にいるのか?」
シヴァが声をかけた。
「孤児院にいたんだけど、院長が嫌なやつだから出て、おれたちだけで暮らしてる」
よくよく聞くと、さっきの4階のボスの対処の仕方を教えて、報酬をもらい、それで生計を立てているらしい。このダンジョンは子供でも入れるので、そうしてセーフティーのゾーンをうまく利用してこもり、4階でヒンヒをいくら倒しても終わりがなく難儀している冒険者に情報を売っていたようだ。
「それで、今度は5階の情報を売りに来たのか?」
子供は首を横に振る。自分たちより小さな子供が5階に上がっていくのを見て、思わず上がってきてしまったみたいだ。
セーフティーをうまく使うといっても、絶対魔物のいるところを通ることになる。それなのに、彼らは無傷。何か秘策でもあるのかな?
邪魔はしないから5階の攻略の仕方を見ていていいかと尋ねてくる。今度はそれを売るつもりなのだろう。
「5階は魔物がかなり強い。4階までうろちょろしているところを見るとギフトで安全にいられる何かがあるんだろうが、5階はもう危険だ。下の階へ行け」
シヴァがすげなく言った。
「なんだよ、ケチ!」
おお、シヴァに口答えするとは勇気あるね。
「そんな小さい子が大丈夫なら、おれたちだって大丈夫だ」
「わたし、魔法ある」
わたしがいるからって、わたしより大きな自分たちは大丈夫と思われても困る。
「おれたちもギフトある」
一番大きな赤毛の子が言った。
「忠告はしたぞ」
シヴァは気にしないことにしたようだ。それにみんなも倣う。
気にはなるが、何を言っても聞き入れないだろうという気がした。
「リー」
アラ兄に呼ばれて見ると、下唇に親指の爪を当てている。
ハッとする。
いけね。また指を食べていた。
気をつけるようにはしているのだが、時々おしゃぶりしていて、ときにはアラ兄に身振りで注意される。
『来たぞ』
ゴツゴツした岩がいっぱいあるフィールドだ。
急に影が。鳥? 大きい。ワシ?
岩より低く屈む。
「風魔法を使う?」
兄さまたちが相談している。
飛んでいったのがUターンしてきた。
ついてきた3人に何かしようとしたようだが、弾かれる。誰かが結界みたいのを使えるんだね、ほっとする。
「あ」
父さまが短く言って、
「岩に触るな、魔物だ」
と叫んだ。
魔物?
岩だと思っていたものが、動き出す。岩を連ねた蛇みたいな生き物だ。
まさかこの岩全部?と青ざめる。
「剣が効かない」
おじいさまの剣も弾かれている。
ゴタンゴ:岩でできた魔物。火、水、土、風魔法は効かない。体に1点ある粉砕点を突くのが有効
その粉砕点はどこなのさ。わたしの鑑定じゃダメだ。
「おじいさま、ゴタンゴ、粉砕点突くしかない」
声をあげると、おじいさまの瞳が鮮やかになる。
きれい。そういえば、わたしも鑑定している時、何か変わっているのかな? だとしたら隠蔽しとかないとまずいはず。
「前から3つ目の岩の右下だ」
シヴァが動いた。わたしを抱えたまま、ゴタンゴの右側にまわり、下の方を剣で突いた。
勘? 色が違うわけでもなし、その1点以外ついたところで剣が負けたかもしれないのに。
見事岩続きの3メートルはあったゴタンゴが粉砕した。
灰色の石が残る。
「伏せろ!」
父さまの叫び声。
またワシ?
いや、羽毛な感じじゃない。車サイズのナメクジに羽があるみたいな。
「メルトスラッグフライだ」
前世と似通った言葉がよく使われている。それでいくと、溶かす空飛ぶナメクジって感じじゃない? なんて嫌な魔物!
あんなのに抱きかかえられても、溶かされても嫌なんですけど。
「な」
なんか足で掴んでる。
え?
「エイブ!」
子供たちが叫び声を上げる。
ええ??
あの足でつかまれてるの、一番小さな子?
「シヴァ、おろして。フライ離したら、子供、受け取れる?」
おろしてもらって答えを待たずに声をあげる。ナメクジっていったら塩でしょ。
「風で、塩爆弾!」
バッグから出すふりをしてつかんだ塩を、空飛ぶナメクジに投げつける。
一直線にナメクジのところまで飛んで行き、上でブレイクする。
白い粉がナメクジの体に降り注ぐ。
傾き、身をよじり、子供を離した。シヴァが走り込む。
間に合わない!
「「「「風」」」」
父さまと兄さま、双子の声が合わさる。
風で浮かそうとした4人の魔法が合わさって、ナメクジがいたところよりも高くまで子供が飛んだ。
「調整しろ、ゆっくりおろすぞ」
父さまが言って、魔力を調整しながら子供の高度を下げていく。
今度はゆっくりだったので、シヴァが抱えた。子供は気を失っていた。
「エイブ!」
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「わかったか? ダンジョンは危険なんだ。今だってお嬢や坊ちゃんたちが魔法を使わなかったら、この子の命はなかった」
そういうと、しゅんとうなだれた。
魔力がいっぱいあるわけでないから、いつも危ないと思った時に結界のようなものを張っているようだ。急に近づいてきたナメクジには気がつかなかったみたい。
そんな危ない橋を渡るようなやり方で……、今までよく生きていたものだと思ってしまった。
でも、わたしは家族がいたから。だからのうのうとしていられたけれど。
保護者がいなくて、頼れる人がいなかったら、自分たちで食い扶持をみつけるしかなくて。
食べ物は一階の野菜とかでいけるとしても、その他いろいろお金がかかってくるわけで。
彼らなりに危険ではあるけれど、生きる方法を模索した結果なんだろう。
寝ぐらにしているのは町の端だというので、ダンジョンはここで切り上げ、彼らを送っていくことにした。一番上の子が気を失っているエイブを背負うといったが、あきらかに大変そうなのでね。
各フロアには出口に転移できる場所があるそうだ。なんて至れり尽くせりな。
シヴァが気を失った子を抱えていたので、わたしは頑張って歩いた。けれど、町外れにいく前には差が大きく開くようになったので、父さまに抱えられた。
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