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2章 わたしに何ができるかな?
第45話 大きい村④青い竜
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「どこ行くの?」
双子にみつかった。
わたしともふさまは目を合わせて、兄さまたちに事情を話した。そしてみんなで森に行くことになった。
村から出たところで、もふさまは大きくなりみんなで乗り込み、森まで駆ける。あっという間だ。
そこからは、馬よりちょっと大きいぐらいの大きさになった。わたしたちにまた背中に乗るように言う。先頭は兄さまが乗り、次がわたし、アラ兄、ロビ兄の順で乗った。もふさまは落ちないように毛にしっかり掴まれという。わたしたちが引っ張ったりぶら下がったりしてもこの大きさなら痛くはないという。先頭の兄さまがうまいことつかまって、わたしはその兄さまにつかまった。もちろん、もふさまはゆっくり歩いてくれた。それでもわたしたちが歩くよりはずっと早い。
もふさまの記憶を頼りにこの辺でやつをみつけたと言ったところに、Cと書かれた布が木に巻いてあった。
『そうだよな。まさかあのバカが500年も眠っているわけ……』
「この森も獣がいないみたいだね」
ロビ兄が呑気に言った。
もふさまがピクッとする。
そういえば、この森は、小さい村の方もそうだったけど獣を見かけない。音があまりない。
もふさまがスタスタと歩き出した。もふさまに乗っているからそう感じなかったが、かなり奥まできたんじゃないかな? 時々地面の匂いを嗅ぐようにして辿りついたところに、洞窟のような入り口が見えた。
中から微かに、ズコー、スー、ズコーという規則正しい音が聞こえる。
『あのバカは本当に眠っているのか?』
もふさまはそのまま洞窟に突入した。暗い。それでも、もふさまの足に迷いはない。進むにつれて、寝息のようなズゴーという音が大きくなった。
洞窟の壁が微かに光っているところがある。
「光ゴケだ」
アラ兄が呟く。光ゴケが増えていき、辺りがよく見えるようになる。反響するズゴーという音も、かなり大きい。青い尻尾だ。尻尾の先でさえ、わたしが抱きついても届かない太さだが。
もふさまが伏せて下りるように言われた。
そして子犬サイズほどに小さくなると、もっと奥へと走っていく。わたしたちもついて行った。ツルツルの真っ青な体は畏怖よりもきれいと思わず見入ってしまう。青いドラゴンが顎を地面につけてデローンと伸びきったまま眠っていた。顔が見えた。まぶたがわたしが丸まったぐらいの大きさだ。どうやってこの洞窟に入ってきたんだろう? 上を見上げると光ゴケで明るかったので気づかなかったが、天井が吹き抜けのようになっていた。ということは、雨なんかも降っただろうに。雪も積もったかもしれない。
もふさまが大きなシードラゴンの鼻面を殴った。猫パンチのように。
ドラゴンは鼻をひくっとしたけれど、それだけだった。
『起きろ!』
もふさまが怒鳴る。
まぶたがピクッとした。
『お前はいつまで眠るつもりだ?』
まぶたがゆっくりと上がっていく。
これまた透き通った青のきれいな目だった。青い目はギョロっとあたりを見回して、わたしたちで目を止める。ずいぶんじっくりと見て、瞬きをした。
『シードラゴンよ、起きたか?』
青い目がもふさまの方へと動く。
『あれ、お前は……ずいぶんおっきくなったなー』
子犬サイズなんだけど。もふさま前はもっともっと小さかったってこと?
『我とカイを食べた後、ずっと寝てたのか?』
『ん? いや、何度か貝を取りに行って。君を探したんだけど、そのたび、いなくて。仕方ないからここらの森で食べて。やっと、お腹がいっぱいになったから、帰る前にひと眠りしたんだ。森の守りがしっかりしていて、ここらは心地いいからな』
シードラゴンは体を起こした。洞窟の壁に体が当たって、壁が崩れる。
もふさまが大きくなって、わたしたちを抱え込んだ。
『自分の体の大きさを考えろ』
『ご、めーーん』
落石がおさまると、もふさまは手を離してまたサイズダウンした。わたしたちは、もふさまにお礼を言った。
シードラゴンは体を震わせて、やっぱりサイズダウンして馬ぐらいのチビドラゴンになった。
ツルツルのピカピカで、なんか、かわいらしい。
『この子たちは?』
『我の友だ』
シードラゴンが体を震わせると、キュキュっと音がする。笑っているみたいで、なんか、かわいい。
『そうか! 友達ができたんだね、よかった。ふふふ、小さな人族よ。私は海の王者、シードラゴンだ』
「リディア、です。兄たちに、通訳します」
断りをいれて、兄さまたちに告げる。
「はじめまして。フランツです」
「アランです」
「ロビンです」
シードラゴンは目をギョロっと動かして楽しそうに見ている。
『お前、どれくらい寝てたかわかるか、500年は経ってるぞ?』
『嘘、本当に? まずい、一族の集い、すっ飛ばしちゃったよ』
シードラゴンは少し考え込み。
『謝りに行ってくる!』
と羽を広げた。
『お前がここで眠るから、森に獣が入ってこれないようだった。眠りたい時は聖域に来い。でも7日までだ。それ以上は起こすからな』
シードラゴンは楽しそうに笑った。
「そっか、そりゃ悪いことをしたね。後で詫びのものを届けるよ」
『いや、お前の持ち込んだ貝殻で助かったこともあったから、詫びはいらない』
もふさまが告げるとドラゴンはますます笑った。
「貝殻で、助かりました! ありがと!」
わたしがお礼を告げると兄さまたちも感謝の言葉を述べた。
驚いた顔をしてから、にっと笑う。
『君たちはドラゴンが怖くないの?』
「もふさまの友達なら怖くないです」
シードラゴンはキュキュっと体を震わせて笑ったような音を出す。
『君がそんなに素直なのは、人族と触れ合ったからだね。ふふ。また遊びにくるよ。今は急ぐから、じゃあね』
今度こそ、シードラゴンは羽を広げ吹き抜けから飛びたっていった。途中で大きくなって羽ばたくとすごい風が起こり、近隣の森から鳥やら何やらが飛びたって、空がとんでもないことになった。
馬サイズになったもふさまに乗って洞窟をさらに進むと、小さい村の近くの森にでた。洞窟で繋がっていたんだ。
村に帰れば子供たちに青いドラゴンを見たか?と尋ねられる。大興奮している。大人たちも畑が戻り、それを祝福するかのように飛来したドラゴンを喜んでいるようだ。
この世界でもドラゴンは魔物の頂点にいるみたいだけど、そんな王者が弱っちい人に積極的に絡んでくるわけではないので、憧れに近い位置付けであるようだ。もふさまに聞いてみても、ドラゴンは高位の魔物みたいだ。よくわからないけれど、聖獣に転化するものもいるらしい。
人の住むところでは魔物よけの結界が張られているそうだけど、その結界は高位の魔物には効かない。ただ高位の魔物はいたずらに町を襲うなんてことはそうそうないようだから、呑気にドラゴンが飛んでいったと喜んでいられるのかもしれない。
わたしたちは笑いあった。そばで見ちゃったもんね。話もした! シードラゴンに領地をあげての感謝をするところだけど、なんでそれを知っているっていう話になるので、わたしたちだけの秘密にすることにした。
双子にみつかった。
わたしともふさまは目を合わせて、兄さまたちに事情を話した。そしてみんなで森に行くことになった。
村から出たところで、もふさまは大きくなりみんなで乗り込み、森まで駆ける。あっという間だ。
そこからは、馬よりちょっと大きいぐらいの大きさになった。わたしたちにまた背中に乗るように言う。先頭は兄さまが乗り、次がわたし、アラ兄、ロビ兄の順で乗った。もふさまは落ちないように毛にしっかり掴まれという。わたしたちが引っ張ったりぶら下がったりしてもこの大きさなら痛くはないという。先頭の兄さまがうまいことつかまって、わたしはその兄さまにつかまった。もちろん、もふさまはゆっくり歩いてくれた。それでもわたしたちが歩くよりはずっと早い。
もふさまの記憶を頼りにこの辺でやつをみつけたと言ったところに、Cと書かれた布が木に巻いてあった。
『そうだよな。まさかあのバカが500年も眠っているわけ……』
「この森も獣がいないみたいだね」
ロビ兄が呑気に言った。
もふさまがピクッとする。
そういえば、この森は、小さい村の方もそうだったけど獣を見かけない。音があまりない。
もふさまがスタスタと歩き出した。もふさまに乗っているからそう感じなかったが、かなり奥まできたんじゃないかな? 時々地面の匂いを嗅ぐようにして辿りついたところに、洞窟のような入り口が見えた。
中から微かに、ズコー、スー、ズコーという規則正しい音が聞こえる。
『あのバカは本当に眠っているのか?』
もふさまはそのまま洞窟に突入した。暗い。それでも、もふさまの足に迷いはない。進むにつれて、寝息のようなズゴーという音が大きくなった。
洞窟の壁が微かに光っているところがある。
「光ゴケだ」
アラ兄が呟く。光ゴケが増えていき、辺りがよく見えるようになる。反響するズゴーという音も、かなり大きい。青い尻尾だ。尻尾の先でさえ、わたしが抱きついても届かない太さだが。
もふさまが伏せて下りるように言われた。
そして子犬サイズほどに小さくなると、もっと奥へと走っていく。わたしたちもついて行った。ツルツルの真っ青な体は畏怖よりもきれいと思わず見入ってしまう。青いドラゴンが顎を地面につけてデローンと伸びきったまま眠っていた。顔が見えた。まぶたがわたしが丸まったぐらいの大きさだ。どうやってこの洞窟に入ってきたんだろう? 上を見上げると光ゴケで明るかったので気づかなかったが、天井が吹き抜けのようになっていた。ということは、雨なんかも降っただろうに。雪も積もったかもしれない。
もふさまが大きなシードラゴンの鼻面を殴った。猫パンチのように。
ドラゴンは鼻をひくっとしたけれど、それだけだった。
『起きろ!』
もふさまが怒鳴る。
まぶたがピクッとした。
『お前はいつまで眠るつもりだ?』
まぶたがゆっくりと上がっていく。
これまた透き通った青のきれいな目だった。青い目はギョロっとあたりを見回して、わたしたちで目を止める。ずいぶんじっくりと見て、瞬きをした。
『シードラゴンよ、起きたか?』
青い目がもふさまの方へと動く。
『あれ、お前は……ずいぶんおっきくなったなー』
子犬サイズなんだけど。もふさま前はもっともっと小さかったってこと?
『我とカイを食べた後、ずっと寝てたのか?』
『ん? いや、何度か貝を取りに行って。君を探したんだけど、そのたび、いなくて。仕方ないからここらの森で食べて。やっと、お腹がいっぱいになったから、帰る前にひと眠りしたんだ。森の守りがしっかりしていて、ここらは心地いいからな』
シードラゴンは体を起こした。洞窟の壁に体が当たって、壁が崩れる。
もふさまが大きくなって、わたしたちを抱え込んだ。
『自分の体の大きさを考えろ』
『ご、めーーん』
落石がおさまると、もふさまは手を離してまたサイズダウンした。わたしたちは、もふさまにお礼を言った。
シードラゴンは体を震わせて、やっぱりサイズダウンして馬ぐらいのチビドラゴンになった。
ツルツルのピカピカで、なんか、かわいらしい。
『この子たちは?』
『我の友だ』
シードラゴンが体を震わせると、キュキュっと音がする。笑っているみたいで、なんか、かわいい。
『そうか! 友達ができたんだね、よかった。ふふふ、小さな人族よ。私は海の王者、シードラゴンだ』
「リディア、です。兄たちに、通訳します」
断りをいれて、兄さまたちに告げる。
「はじめまして。フランツです」
「アランです」
「ロビンです」
シードラゴンは目をギョロっと動かして楽しそうに見ている。
『お前、どれくらい寝てたかわかるか、500年は経ってるぞ?』
『嘘、本当に? まずい、一族の集い、すっ飛ばしちゃったよ』
シードラゴンは少し考え込み。
『謝りに行ってくる!』
と羽を広げた。
『お前がここで眠るから、森に獣が入ってこれないようだった。眠りたい時は聖域に来い。でも7日までだ。それ以上は起こすからな』
シードラゴンは楽しそうに笑った。
「そっか、そりゃ悪いことをしたね。後で詫びのものを届けるよ」
『いや、お前の持ち込んだ貝殻で助かったこともあったから、詫びはいらない』
もふさまが告げるとドラゴンはますます笑った。
「貝殻で、助かりました! ありがと!」
わたしがお礼を告げると兄さまたちも感謝の言葉を述べた。
驚いた顔をしてから、にっと笑う。
『君たちはドラゴンが怖くないの?』
「もふさまの友達なら怖くないです」
シードラゴンはキュキュっと体を震わせて笑ったような音を出す。
『君がそんなに素直なのは、人族と触れ合ったからだね。ふふ。また遊びにくるよ。今は急ぐから、じゃあね』
今度こそ、シードラゴンは羽を広げ吹き抜けから飛びたっていった。途中で大きくなって羽ばたくとすごい風が起こり、近隣の森から鳥やら何やらが飛びたって、空がとんでもないことになった。
馬サイズになったもふさまに乗って洞窟をさらに進むと、小さい村の近くの森にでた。洞窟で繋がっていたんだ。
村に帰れば子供たちに青いドラゴンを見たか?と尋ねられる。大興奮している。大人たちも畑が戻り、それを祝福するかのように飛来したドラゴンを喜んでいるようだ。
この世界でもドラゴンは魔物の頂点にいるみたいだけど、そんな王者が弱っちい人に積極的に絡んでくるわけではないので、憧れに近い位置付けであるようだ。もふさまに聞いてみても、ドラゴンは高位の魔物みたいだ。よくわからないけれど、聖獣に転化するものもいるらしい。
人の住むところでは魔物よけの結界が張られているそうだけど、その結界は高位の魔物には効かない。ただ高位の魔物はいたずらに町を襲うなんてことはそうそうないようだから、呑気にドラゴンが飛んでいったと喜んでいられるのかもしれない。
わたしたちは笑いあった。そばで見ちゃったもんね。話もした! シードラゴンに領地をあげての感謝をするところだけど、なんでそれを知っているっていう話になるので、わたしたちだけの秘密にすることにした。
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