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2章 わたしに何ができるかな?
第37話 長い夜<後編>
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「おれ、出る」
頭が言葉を理解した時には、ロビ兄は窓を開けて飛び降りていた。わたしは駆け寄って窓から下を見た。
タン、と座り込んだが微かにこちらを見上げたのがわかった。
キッチンの見張りが動いた。ロビ兄に素早く音もなく近づく。
光るものを振り上げたが、突風でそれが飛ばされた。兄さまの風魔法だ。
兄さまも飛び降りる。その後を小さいもふさまが続いた。
「ロビン、フランツ……」
母さまの手が震えている。
ロビ兄が逃げて、手にした物を飛ばされて驚いた敵も走る。その前に一瞬で落とし穴が現れ、体勢を崩す。兄さまがその穴を大きな板のようなもので塞いだ。キッチンのドアか?
アラ兄に服を引っ張られる。
「母さまも、リーも、もうちょっと頑張って」
アラ兄が先頭に立って、一段ずつ階段を降りていく。キッチンの出入り口だったところから出ると、板の上にロビ兄と兄さまが座っていた。
母さまが駆け寄って、静かに子守唄を歌う。下からの突き上げがなくなり静かになった。
板を外せば、穴の中で男がいびきをかいている。
アラ兄が持ってきたシーツで縛り上げる。
母さまがロビ兄と兄さまをそれぞれ抱きしめた。
敵はあとひとりだ。
今と同じようにロビ兄がおびき寄せ、フォローは兄さま。土魔法で落とし穴を作り閉じ込めるという。
敵の位置をマップモードで確認して、玄関近くに移動する。
敵は呑気に口笛を吹いている。味方が返り討ちにあっている可能性なんか思いつかず、今も思惑通りにことが運んでいると思っているのだろう。
ロビ兄はわたしたちを見て頷いてから動いた。
敵は反射的にロビ兄を目で追い、追いかけた。恐るべき速さだ。ロビ兄が捕まっちゃう!
「ロビ兄!」
声でわたしを認めた敵が、一瞬わたしを見たと思った時には、片手で摘みあげられていた。
かなり距離をとっていたのに、いつの間に!
「こんなちっこいのもいるのか。まぁ、女なら高く売れるか」
ゾッと鳥肌が立つ。
兄さまがタックルをしてきたのを、蹴り上げる。
「兄さま!」
「その子を離しなさい!」
敵が棒を振り上げている母さまを見遣る。
「母親か。ふーーん、ずいぶん上玉じゃねーか」
男は納得したような、意味ありげに母さまを見ている。舌舐めずりでもしそうな感じだ。
「ウッセー、泣くんじゃねー」
冷静に状況を分析できても、わたしの上辺はそうもいかない。捕まえられてからヒック、ヒック、ビエーンと泣き続けている。怒鳴られて、泣き声が張り合うように大きくなった。
「殴るぞ、こら!」
「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
力の限り声を上げた。
「ウッセーー!」
振り落とされた。
一瞬息ができなくて、くぐもった音がわたしから出た。
「リーーーーー!」
アラ兄の絶叫。視界の端で、もふさまが大きくなったのが見えた気がした。
『我の友に何をした?』
地を揺るがすような大きな唸り声。地面から湯気が立つかのように揺らぎが立ちのぼる。同時に、真っ暗の中、森という森から鳥が飛び立つ。
「リディア!」
目には溢れんばかりの涙。悲痛な声に、頬は紅潮している。……母さま。
目を覚ますと聖域だった。肩がどうにかなったみたいだけど、母さまが治してくれていた。
他は誰も大きな怪我はなかったようだ。軽い怪我は母さまがすでに処置済み。よかった。
2階で眠ったふたりと、下で眠らせたひとりと、もふさまが気絶させたひとりは風魔法でひとところに集め、土魔法で作った牢屋にぶち込んでおいたそうだ。
そうして聖域に避難してきたようだ。夜明け前って感じだが、聖域はほのかに明るかった。
「守れなくて、痛くて怖い思いをさせてごめんね」
そういう母さまの頬を両手で挟む。
「母さま、守ってくれたよ。魔法、凄かった」
『守れなくて、悪かった』
「もふさま、助けてくれて、ここに連れてきてくれてありがとう」
大きなもふさまに抱きつく。日向の匂いがする。
「兄さまたちも凄かった! かっこよかった!」
3人は照れたように笑った。
「リーもかっこよかったよ。あの場で手にしているものを最大限に生かして、逃げる計画を立てて」
「怖いの我慢して挑んで」
「だから今、みんなで、こうしてここにいる!」
もふさまがいなかったら最後やばかったけど、本当、みんなすごい働きをした。
それから、わたしたちはちょっと眠った。しっかり明るくなってから家に戻ってみると、大変なことになっていた。
もふさまが人がいっぱいいるっていうから、近くで降りて、歩いて帰ったんだけど。
夜中に近隣の森から一斉に鳥が飛び立ったので、町の人たちや近隣の領地の人たちが何事かとこちらに赴いたようだ。
父さまも嫌な予感がして、今日の午後に村を引き上げる予定だったが、未明から家を目指した。
やっと辿りつけば人だかり。敷地内は荒れていた。土でできた牢屋みたいのに、男4人が寝ていて、庭はめちゃくちゃ。出入り口のドアは壊れていて、家の中も荒らされていた。そして家族の姿がない。
最初にやってきた町の人たちも、家の中を探して誰もいなくて。でも賊を捕まえているようだから、わたしたちがどこかに避難をしているだけだと父さまを励ましているところにわたしたちが戻ったみたいだ。
「父さま!」
兄さまが大声で言って駆け出した。双子も走り出した。
母さまはわたしを抱っこしたまま早足になる。
父さまも駆けてきて、兄さまを抱き上げる。そのまま双子を掬いあげ、神様に感謝の言葉を述べた。そのまま母さまに駆け寄って、子供たちをおろして、みんなをまとめて抱きしめる。
「無事、だな?」
父さまが涙いっぱいで確かめる。
「はい、あなた」
母さまが答える。
それから何があったかを話し、町の自警団の人たちに寝ている男たちは連れて行かれた。
森で一斉に鳥たちが飛び立ったのを知っているか聞かれたが、それどころじゃなかったので覚えていないと答えた。
壊れたドアはヤスのお父さん、大工の棟梁たちが直してくれた。前よりも頑丈な鍵もつけられた。それから兄さまたちは修行に力を入れるようになったし、魔法にも磨きをかけている。もふさまは夜に見回りをして、何か魔法みたいのをかけるようになった。父さまは執事に来てもらうと言った。意味がよくわからないのだが、父さまの何かが楽になるならそれでいいと思う、うん。
ウチに押し入った男たちは、イダボアに生息するゴロつきだった。子供がすごい数の魔物をおろしにきたというのを小耳に挟み、それが誰かを調べ、兄さまたちは名乗らなかったそうなのだが、多分、ウチだろうと目をつけたみたいだ。
ゴロつきのうちのひとりは大きな白い魔物に襲われたと言っているそうだが、それは夢でもみたのではないかと片付けられた。みんな最後は母さまの子守唄で眠ったことになっていたからね。
次の日にわたしたちも事情聴取を受けた。わたしは小さいから父さまと一緒にいくだけだ。父さまからも何も話さなくていいと言われたので、怖かったと痛かっただけを伝えた。これも詳細を父さまに伝えたときに、決めたことだ。
最初はざっくり話した。家族以外もいたからね。そして敵が連れて行かれて、家の中を片付けた。その日のうちに大工さんたちが壊れたドアを直してくれた。鍵がなおったのは次の日だ。
庭は土魔法できれいにし、元通りになったように見えた。
そして詳細を父さまに報告。わたしのステータスボードを見て、言葉を失くしていた。
ちなみに、ステータスにオープンをつけると他の人にも見えるようだから、気をつけてとそこは注意を促した。
父さまは気を取り直して、勇気ある行動をとったロビ兄を称え、状況を把握し、補って大事を防いだ兄さまを褒めた。冷静に自分の役割を受け止めて行動に移したアラ兄を誇りに思うといい、ギフトで子供たちを守りきった母さまを称賛した。もふさまに感謝を伝え、そしてわたしには「ありがとう」と言った。わたしもギュッと抱きついた。えへへ。
わたしのかっ飛んだステータスボードの改良で最悪な事態からは免れているが、かっ飛んでいることには変わりないので、一切能力のことは人前で話さないように注意された。
だから事情聴取も父さまと一緒だし。まあ、調べる方も5歳児がまともに話せるとは思っていないから、聞いたことの辻褄があうかを確かめる意味で聴きたかっただけだろう。
だから、望まれた通り、怖かったと痛かったを繰り返した。
ギルドの偉い人が来て謝罪された。ゴロツキに子供が魔物を大量におろした情報を小遣い稼ぎで流した職員はクビにしたそうだ。謝ってすむことではないが、と。
これはもふさまも反省した。というか、平謝りされた。治ったし、すぐに気を失ったから痛みもあまり覚えていないのだが、怖い思いと痛い思いをさせたのは自分のせいだと、みんなに謝った。父さまは謝罪を受け取り、でもそれ以上にいつも子供たち、私たちを守ってくださることに感謝していますと告げた。
わたしたちは、これからは捌いてもらうのは遠くのギルドで、それも変装し、わたしたちだとバレないように気をつけようと決めた。
この事件で、漠然と森から守られている一家だの、大黒柱がいない領主邸で、夫人と子供たちだけで大の男4人を捕らえたのはさすが辺境伯の血筋だのと、知れ渡っていったのを当人たちだけが知らなかった。
頭が言葉を理解した時には、ロビ兄は窓を開けて飛び降りていた。わたしは駆け寄って窓から下を見た。
タン、と座り込んだが微かにこちらを見上げたのがわかった。
キッチンの見張りが動いた。ロビ兄に素早く音もなく近づく。
光るものを振り上げたが、突風でそれが飛ばされた。兄さまの風魔法だ。
兄さまも飛び降りる。その後を小さいもふさまが続いた。
「ロビン、フランツ……」
母さまの手が震えている。
ロビ兄が逃げて、手にした物を飛ばされて驚いた敵も走る。その前に一瞬で落とし穴が現れ、体勢を崩す。兄さまがその穴を大きな板のようなもので塞いだ。キッチンのドアか?
アラ兄に服を引っ張られる。
「母さまも、リーも、もうちょっと頑張って」
アラ兄が先頭に立って、一段ずつ階段を降りていく。キッチンの出入り口だったところから出ると、板の上にロビ兄と兄さまが座っていた。
母さまが駆け寄って、静かに子守唄を歌う。下からの突き上げがなくなり静かになった。
板を外せば、穴の中で男がいびきをかいている。
アラ兄が持ってきたシーツで縛り上げる。
母さまがロビ兄と兄さまをそれぞれ抱きしめた。
敵はあとひとりだ。
今と同じようにロビ兄がおびき寄せ、フォローは兄さま。土魔法で落とし穴を作り閉じ込めるという。
敵の位置をマップモードで確認して、玄関近くに移動する。
敵は呑気に口笛を吹いている。味方が返り討ちにあっている可能性なんか思いつかず、今も思惑通りにことが運んでいると思っているのだろう。
ロビ兄はわたしたちを見て頷いてから動いた。
敵は反射的にロビ兄を目で追い、追いかけた。恐るべき速さだ。ロビ兄が捕まっちゃう!
「ロビ兄!」
声でわたしを認めた敵が、一瞬わたしを見たと思った時には、片手で摘みあげられていた。
かなり距離をとっていたのに、いつの間に!
「こんなちっこいのもいるのか。まぁ、女なら高く売れるか」
ゾッと鳥肌が立つ。
兄さまがタックルをしてきたのを、蹴り上げる。
「兄さま!」
「その子を離しなさい!」
敵が棒を振り上げている母さまを見遣る。
「母親か。ふーーん、ずいぶん上玉じゃねーか」
男は納得したような、意味ありげに母さまを見ている。舌舐めずりでもしそうな感じだ。
「ウッセー、泣くんじゃねー」
冷静に状況を分析できても、わたしの上辺はそうもいかない。捕まえられてからヒック、ヒック、ビエーンと泣き続けている。怒鳴られて、泣き声が張り合うように大きくなった。
「殴るぞ、こら!」
「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
力の限り声を上げた。
「ウッセーー!」
振り落とされた。
一瞬息ができなくて、くぐもった音がわたしから出た。
「リーーーーー!」
アラ兄の絶叫。視界の端で、もふさまが大きくなったのが見えた気がした。
『我の友に何をした?』
地を揺るがすような大きな唸り声。地面から湯気が立つかのように揺らぎが立ちのぼる。同時に、真っ暗の中、森という森から鳥が飛び立つ。
「リディア!」
目には溢れんばかりの涙。悲痛な声に、頬は紅潮している。……母さま。
目を覚ますと聖域だった。肩がどうにかなったみたいだけど、母さまが治してくれていた。
他は誰も大きな怪我はなかったようだ。軽い怪我は母さまがすでに処置済み。よかった。
2階で眠ったふたりと、下で眠らせたひとりと、もふさまが気絶させたひとりは風魔法でひとところに集め、土魔法で作った牢屋にぶち込んでおいたそうだ。
そうして聖域に避難してきたようだ。夜明け前って感じだが、聖域はほのかに明るかった。
「守れなくて、痛くて怖い思いをさせてごめんね」
そういう母さまの頬を両手で挟む。
「母さま、守ってくれたよ。魔法、凄かった」
『守れなくて、悪かった』
「もふさま、助けてくれて、ここに連れてきてくれてありがとう」
大きなもふさまに抱きつく。日向の匂いがする。
「兄さまたちも凄かった! かっこよかった!」
3人は照れたように笑った。
「リーもかっこよかったよ。あの場で手にしているものを最大限に生かして、逃げる計画を立てて」
「怖いの我慢して挑んで」
「だから今、みんなで、こうしてここにいる!」
もふさまがいなかったら最後やばかったけど、本当、みんなすごい働きをした。
それから、わたしたちはちょっと眠った。しっかり明るくなってから家に戻ってみると、大変なことになっていた。
もふさまが人がいっぱいいるっていうから、近くで降りて、歩いて帰ったんだけど。
夜中に近隣の森から一斉に鳥が飛び立ったので、町の人たちや近隣の領地の人たちが何事かとこちらに赴いたようだ。
父さまも嫌な予感がして、今日の午後に村を引き上げる予定だったが、未明から家を目指した。
やっと辿りつけば人だかり。敷地内は荒れていた。土でできた牢屋みたいのに、男4人が寝ていて、庭はめちゃくちゃ。出入り口のドアは壊れていて、家の中も荒らされていた。そして家族の姿がない。
最初にやってきた町の人たちも、家の中を探して誰もいなくて。でも賊を捕まえているようだから、わたしたちがどこかに避難をしているだけだと父さまを励ましているところにわたしたちが戻ったみたいだ。
「父さま!」
兄さまが大声で言って駆け出した。双子も走り出した。
母さまはわたしを抱っこしたまま早足になる。
父さまも駆けてきて、兄さまを抱き上げる。そのまま双子を掬いあげ、神様に感謝の言葉を述べた。そのまま母さまに駆け寄って、子供たちをおろして、みんなをまとめて抱きしめる。
「無事、だな?」
父さまが涙いっぱいで確かめる。
「はい、あなた」
母さまが答える。
それから何があったかを話し、町の自警団の人たちに寝ている男たちは連れて行かれた。
森で一斉に鳥たちが飛び立ったのを知っているか聞かれたが、それどころじゃなかったので覚えていないと答えた。
壊れたドアはヤスのお父さん、大工の棟梁たちが直してくれた。前よりも頑丈な鍵もつけられた。それから兄さまたちは修行に力を入れるようになったし、魔法にも磨きをかけている。もふさまは夜に見回りをして、何か魔法みたいのをかけるようになった。父さまは執事に来てもらうと言った。意味がよくわからないのだが、父さまの何かが楽になるならそれでいいと思う、うん。
ウチに押し入った男たちは、イダボアに生息するゴロつきだった。子供がすごい数の魔物をおろしにきたというのを小耳に挟み、それが誰かを調べ、兄さまたちは名乗らなかったそうなのだが、多分、ウチだろうと目をつけたみたいだ。
ゴロつきのうちのひとりは大きな白い魔物に襲われたと言っているそうだが、それは夢でもみたのではないかと片付けられた。みんな最後は母さまの子守唄で眠ったことになっていたからね。
次の日にわたしたちも事情聴取を受けた。わたしは小さいから父さまと一緒にいくだけだ。父さまからも何も話さなくていいと言われたので、怖かったと痛かっただけを伝えた。これも詳細を父さまに伝えたときに、決めたことだ。
最初はざっくり話した。家族以外もいたからね。そして敵が連れて行かれて、家の中を片付けた。その日のうちに大工さんたちが壊れたドアを直してくれた。鍵がなおったのは次の日だ。
庭は土魔法できれいにし、元通りになったように見えた。
そして詳細を父さまに報告。わたしのステータスボードを見て、言葉を失くしていた。
ちなみに、ステータスにオープンをつけると他の人にも見えるようだから、気をつけてとそこは注意を促した。
父さまは気を取り直して、勇気ある行動をとったロビ兄を称え、状況を把握し、補って大事を防いだ兄さまを褒めた。冷静に自分の役割を受け止めて行動に移したアラ兄を誇りに思うといい、ギフトで子供たちを守りきった母さまを称賛した。もふさまに感謝を伝え、そしてわたしには「ありがとう」と言った。わたしもギュッと抱きついた。えへへ。
わたしのかっ飛んだステータスボードの改良で最悪な事態からは免れているが、かっ飛んでいることには変わりないので、一切能力のことは人前で話さないように注意された。
だから事情聴取も父さまと一緒だし。まあ、調べる方も5歳児がまともに話せるとは思っていないから、聞いたことの辻褄があうかを確かめる意味で聴きたかっただけだろう。
だから、望まれた通り、怖かったと痛かったを繰り返した。
ギルドの偉い人が来て謝罪された。ゴロツキに子供が魔物を大量におろした情報を小遣い稼ぎで流した職員はクビにしたそうだ。謝ってすむことではないが、と。
これはもふさまも反省した。というか、平謝りされた。治ったし、すぐに気を失ったから痛みもあまり覚えていないのだが、怖い思いと痛い思いをさせたのは自分のせいだと、みんなに謝った。父さまは謝罪を受け取り、でもそれ以上にいつも子供たち、私たちを守ってくださることに感謝していますと告げた。
わたしたちは、これからは捌いてもらうのは遠くのギルドで、それも変装し、わたしたちだとバレないように気をつけようと決めた。
この事件で、漠然と森から守られている一家だの、大黒柱がいない領主邸で、夫人と子供たちだけで大の男4人を捕らえたのはさすが辺境伯の血筋だのと、知れ渡っていったのを当人たちだけが知らなかった。
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