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2章 わたしに何ができるかな?
第34話 父さまがいない日
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翌日、父さまは朝早くに村へと出かけた。兄さまたちに、母さまとわたしのことを頼み、もふさまにも頼んだ。わたしが畑仕事をしているとき、双子は敷地を示す柵に何かをしていた。尋ねたら、侵入者を知らせる仕掛けを作っていると言う。敷地を張り巡らせた紐に触れると獣の骨があたってカラカラ音が鳴るやつ。辺境であったね、獣避けに。獣は音に敏感だから。それ以外にも庭に落とし穴など掘って、罠を作っている。父さまに頼むと言われて張り切っちゃってるね。でもそんな仕掛けが必要なら大問題だよ。なんか楽しくなっちゃってるみたいだから止めないけどさ。
わたしはルーティーンが終われば、もふさまと兄さまたちを誘って、保存食になる食材を探しに森に行く。もふさまは魔物を狩るのが楽しいみたいなので、冬になる前にもう一度、魔物を獲ってきて欲しいことをお願いしてある。領地の人の冬のタンパク源確保だ。
それ以外のジャムや乾燥野菜など、日々、作っていくつもりだ。
いつもの川原に行くと、ビリーとカールとマール、それから数人が川に来ていた。
途中で収穫してきた野菜や果物を川の水で洗って、野菜は乾燥させて、果物はジャムにする用意をしておく。
「領主さま、村に行ったって本当か?」
ビリーが兄さまに尋ねる。
「うん、挨拶と様子を見に行った」
「あのさ、嫌な意味で聞くんじゃなくて、本当に聞くだけなんだけど」
ビリーにしては歯切れが悪い。
「本当に土を生き返らせることってできるのか?」
「父さま、状態を見てみないとわからない、言った。でも、もし、鑑定して、原因わかれば、なんとか……」
「リディー」
兄さまに鋭く呼ばれて止められる。
「ごめん。確かなことは何もない」
兄さまはビリーに詫びる。
アラ兄に軽くほっぺをつままれる。口を尖らせてたみたいだ。自分のあまりにも幼い怒っているアピールに気が遠くなりそうだ。
「そうだよな、悪りぃ」
ビリーが言葉をおさめた。
気が気じゃないよね。
「鑑定か。……探索なら、兄ちゃんできるのに」
「探索できるの?」
勢いで迫ったからか、カールが片足を後ろにずらした。
「カールの兄ちゃんは冒険者なんだ」
「冒険者!?」
ロビ兄の目が輝く。
「スッゲー」
「いや、別に凄くは。初心者でレベルだってそんな高くないし」
「いいなー、話ききてー」
「ウチ、来る? 今、帰ってきてるんだ」
「行く!」
「わたしも!」
「え? リディーも?」
兄さまが慌てている。
「リディーは町まで歩けないだろ」
うっ。
お兄さん冒険者だと言った。今帰ってきているということは、また冒険に出ちゃうよね?
「お兄さん、いつまで、こっちいる?」
「えっとぉ、明後日には出発すると思う」
なんてことだ。せっかく探索が手に入るチャンスだったのに。
明らかにがっかりしたからかカールが提案してくれる。
「兄ちゃん、肉が好きだからさ。例えば、ここでこの間みたいにお肉をごちそうしてくれるっていえば、ここまで来ると思うよ」
「本当?」
「聞いてみないとだけど、明日もゴロゴロするって言ってたし。肉好きだから」
「もふさま!」
目で尋ねると、もふさまは頷いてくれた。
「いっぱい、お肉用意する。領地の子も、食べたい人、連れてきて」
ふふふ、食べ物をいっぱい用意しよう。
明日の午後から、川原でパーティをすることになった。各自、フォークと受け皿とスープ皿とコップは持参してもらうようお願いした。
兄さまたちも驚いていたが、わたしは川原でお昼寝をしたみたいだ。帰るぞと起こされた。もふさまを抱きしめてよだれを垂らして寝ていた。ごめんね、もふさま。口がゆるいみたい。
帰りがけにビリーが言った。見知った商人しかこの町には訪れないのが普通なのに、ここ最近ガラのよくない人たちが宿に泊まっているとか。だから大人と一緒にしか町には来ない方がいいと言った。それなら余計に川原でのパーティにしてよかった!
帰ってからお風呂に入り、パーティのための準備を始めた。
まずはなんちゃって塩唐揚げ作りだ。
まず、鶏じゃないし、揚げるわけではないから違うのだけど、なんちゃってモノぐらいにはなるのだ。
アラ兄に風魔法の練習で作ってもらった木を削ってできた菜箸でお肉に穴を開ける。
お肉に「てぃやー」と言いながら、お箸をぶっさしていたら、兄さまたちが若干ひいていた。
それをナイフで一口大に切ってもらって、深めのお皿にいれる。塩をして少し待ち、待っている間に用意した、ニンニクとジンジャをみじん切りにしてそれと油を揉み込む。寝かせておいて、時々揉み込む。それに粉をかけ並べてオーブンで焼くだけ。
スープはシチューにしようかね。あとは明日現地で燻製肉や干し肉を焼くつもりだ。
なんちゃって唐揚げは大好評で、味見をしたら夕飯で食べたいというので、もう一度漬け込み、明日の分を作った。もふさまなんか、てんこ盛りで食べたよ。やっぱり、もふさまはこってり好きだね。これはもう、マヨネーズを食べさせたいね。絶対気にいると思う!
ところで。わたしは畑の作物がちょっと収穫期間は長い気もするが、毎日獲れるのは変だとは思っていない。アラ兄はおかしいといっているが。
ただ、ビワンの実が育つのが恐ろしく早く、実がなる期間が長いとは思っている。だって獲っても獲っても次の日にはもう大きくなった実があるんだもの。ジャムにするのに大量に獲った次の日にも。あと、まあ、これは世界が違うのだから気にすることもないとは思うのだが、ビワンの実がなるのが秋って面白い。
ビワンの木を見上げるたびに、山吹色の実をみつけ、嬉しいんだけど首を傾げてしまう。
ご飯が終わってから、母さまに編み物ができるのか聞かれて、わたしは頷いた。かぎ針専門だけどね。母さまが教えてというので、まずかぎ針作りだ。
アラ兄と兄さまに頼んだ。風魔法をオールマイティーに使いこなすのが兄さま、細かいことに向いているのがアラ兄。ダイナミックなことに向いているのがわたしとロビ兄だ。ロビ兄は加えて勢いがある。魔法にも性格が現れるようで、わたしの魔法はどこかがさつだ。まぁ、いいんだけど。わたしの下手な絵を汲んでくれて素晴らしいのが出来上がった。何も言ってないのに、すべすべにしてくれてた。これなら手にとげが刺さることもないだろう。
一応、最初は自分でも挑戦してみたんだよ。けど、細くするところで同じ太さにできず、糸をひっかける先っちょ部分は頑張って楕円までだった。くびれを作ろうと思えばちょん切れて、いつのまにか棒はわたしの手より短くなった。
ふたりにお礼を言って、鎖編みから、細編み、長編みを披露して、このまま長くしていけばマフラーになるし、飾り編みやいろんなことができるのだと伝えてみた。
母さまはすぐに会得した。がさつながらもわたしは編み物はそれなりに自信があったのだが、母さまはもっともっと上手だった。目が揃っていてきれいだ。もっと細い針でレース編みもリボンにしたり、服につけたり、コースターだったり、いろいろ使えると話すと明日レース糸を買いに行こうというので、実は買っておいたレース糸をテーブルの上に出した。母さま、ものすごく楽しそう。
夜は母さまたちの部屋でみんなで眠った。大きなベッドは母さまとわたしたち4人が寝ても問題ないくらい広い。ま、寝ちゃえば朝まで起きないから、どんなすし詰め状態でも眠れると思うけど。
わたしはルーティーンが終われば、もふさまと兄さまたちを誘って、保存食になる食材を探しに森に行く。もふさまは魔物を狩るのが楽しいみたいなので、冬になる前にもう一度、魔物を獲ってきて欲しいことをお願いしてある。領地の人の冬のタンパク源確保だ。
それ以外のジャムや乾燥野菜など、日々、作っていくつもりだ。
いつもの川原に行くと、ビリーとカールとマール、それから数人が川に来ていた。
途中で収穫してきた野菜や果物を川の水で洗って、野菜は乾燥させて、果物はジャムにする用意をしておく。
「領主さま、村に行ったって本当か?」
ビリーが兄さまに尋ねる。
「うん、挨拶と様子を見に行った」
「あのさ、嫌な意味で聞くんじゃなくて、本当に聞くだけなんだけど」
ビリーにしては歯切れが悪い。
「本当に土を生き返らせることってできるのか?」
「父さま、状態を見てみないとわからない、言った。でも、もし、鑑定して、原因わかれば、なんとか……」
「リディー」
兄さまに鋭く呼ばれて止められる。
「ごめん。確かなことは何もない」
兄さまはビリーに詫びる。
アラ兄に軽くほっぺをつままれる。口を尖らせてたみたいだ。自分のあまりにも幼い怒っているアピールに気が遠くなりそうだ。
「そうだよな、悪りぃ」
ビリーが言葉をおさめた。
気が気じゃないよね。
「鑑定か。……探索なら、兄ちゃんできるのに」
「探索できるの?」
勢いで迫ったからか、カールが片足を後ろにずらした。
「カールの兄ちゃんは冒険者なんだ」
「冒険者!?」
ロビ兄の目が輝く。
「スッゲー」
「いや、別に凄くは。初心者でレベルだってそんな高くないし」
「いいなー、話ききてー」
「ウチ、来る? 今、帰ってきてるんだ」
「行く!」
「わたしも!」
「え? リディーも?」
兄さまが慌てている。
「リディーは町まで歩けないだろ」
うっ。
お兄さん冒険者だと言った。今帰ってきているということは、また冒険に出ちゃうよね?
「お兄さん、いつまで、こっちいる?」
「えっとぉ、明後日には出発すると思う」
なんてことだ。せっかく探索が手に入るチャンスだったのに。
明らかにがっかりしたからかカールが提案してくれる。
「兄ちゃん、肉が好きだからさ。例えば、ここでこの間みたいにお肉をごちそうしてくれるっていえば、ここまで来ると思うよ」
「本当?」
「聞いてみないとだけど、明日もゴロゴロするって言ってたし。肉好きだから」
「もふさま!」
目で尋ねると、もふさまは頷いてくれた。
「いっぱい、お肉用意する。領地の子も、食べたい人、連れてきて」
ふふふ、食べ物をいっぱい用意しよう。
明日の午後から、川原でパーティをすることになった。各自、フォークと受け皿とスープ皿とコップは持参してもらうようお願いした。
兄さまたちも驚いていたが、わたしは川原でお昼寝をしたみたいだ。帰るぞと起こされた。もふさまを抱きしめてよだれを垂らして寝ていた。ごめんね、もふさま。口がゆるいみたい。
帰りがけにビリーが言った。見知った商人しかこの町には訪れないのが普通なのに、ここ最近ガラのよくない人たちが宿に泊まっているとか。だから大人と一緒にしか町には来ない方がいいと言った。それなら余計に川原でのパーティにしてよかった!
帰ってからお風呂に入り、パーティのための準備を始めた。
まずはなんちゃって塩唐揚げ作りだ。
まず、鶏じゃないし、揚げるわけではないから違うのだけど、なんちゃってモノぐらいにはなるのだ。
アラ兄に風魔法の練習で作ってもらった木を削ってできた菜箸でお肉に穴を開ける。
お肉に「てぃやー」と言いながら、お箸をぶっさしていたら、兄さまたちが若干ひいていた。
それをナイフで一口大に切ってもらって、深めのお皿にいれる。塩をして少し待ち、待っている間に用意した、ニンニクとジンジャをみじん切りにしてそれと油を揉み込む。寝かせておいて、時々揉み込む。それに粉をかけ並べてオーブンで焼くだけ。
スープはシチューにしようかね。あとは明日現地で燻製肉や干し肉を焼くつもりだ。
なんちゃって唐揚げは大好評で、味見をしたら夕飯で食べたいというので、もう一度漬け込み、明日の分を作った。もふさまなんか、てんこ盛りで食べたよ。やっぱり、もふさまはこってり好きだね。これはもう、マヨネーズを食べさせたいね。絶対気にいると思う!
ところで。わたしは畑の作物がちょっと収穫期間は長い気もするが、毎日獲れるのは変だとは思っていない。アラ兄はおかしいといっているが。
ただ、ビワンの実が育つのが恐ろしく早く、実がなる期間が長いとは思っている。だって獲っても獲っても次の日にはもう大きくなった実があるんだもの。ジャムにするのに大量に獲った次の日にも。あと、まあ、これは世界が違うのだから気にすることもないとは思うのだが、ビワンの実がなるのが秋って面白い。
ビワンの木を見上げるたびに、山吹色の実をみつけ、嬉しいんだけど首を傾げてしまう。
ご飯が終わってから、母さまに編み物ができるのか聞かれて、わたしは頷いた。かぎ針専門だけどね。母さまが教えてというので、まずかぎ針作りだ。
アラ兄と兄さまに頼んだ。風魔法をオールマイティーに使いこなすのが兄さま、細かいことに向いているのがアラ兄。ダイナミックなことに向いているのがわたしとロビ兄だ。ロビ兄は加えて勢いがある。魔法にも性格が現れるようで、わたしの魔法はどこかがさつだ。まぁ、いいんだけど。わたしの下手な絵を汲んでくれて素晴らしいのが出来上がった。何も言ってないのに、すべすべにしてくれてた。これなら手にとげが刺さることもないだろう。
一応、最初は自分でも挑戦してみたんだよ。けど、細くするところで同じ太さにできず、糸をひっかける先っちょ部分は頑張って楕円までだった。くびれを作ろうと思えばちょん切れて、いつのまにか棒はわたしの手より短くなった。
ふたりにお礼を言って、鎖編みから、細編み、長編みを披露して、このまま長くしていけばマフラーになるし、飾り編みやいろんなことができるのだと伝えてみた。
母さまはすぐに会得した。がさつながらもわたしは編み物はそれなりに自信があったのだが、母さまはもっともっと上手だった。目が揃っていてきれいだ。もっと細い針でレース編みもリボンにしたり、服につけたり、コースターだったり、いろいろ使えると話すと明日レース糸を買いに行こうというので、実は買っておいたレース糸をテーブルの上に出した。母さま、ものすごく楽しそう。
夜は母さまたちの部屋でみんなで眠った。大きなベッドは母さまとわたしたち4人が寝ても問題ないくらい広い。ま、寝ちゃえば朝まで起きないから、どんなすし詰め状態でも眠れると思うけど。
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