11 / 43
第二章 ガノ王国編
冒険者ギルド
しおりを挟む
翌朝、俺達の馬車にはミミも同乗していた。ミミには俺のメイドになったってことで話を合わせて貰った。ミミは二つ返事で俺の奴隷になった。
こちらがお願いした商品は全部用意して貰っていた。ただ、タオルみたいな布はとんでもなく数が多かったので、一部だけ貰うことにした。石鹸の原料となる物は結構な量を集めて貰っていた。それもそんなに大量に要らないので半分ぐらいだけ貰った。香辛料や調味料はありがたく貰った。特に砂糖もたくさん用意して貰っていた。ミミとの約束でおやつも準備しないといけないから、大いに役に立つと思う。
俺が荷物を入れているのは、実は盗賊の親玉が腰に巻いていたマジックアイテムポーチと言う遺跡級アイテムというものだ。何でも古代遺跡と言う超レアな迷宮が時々現れることがあるらしい。らしいと言うのはほとんどの人が見たこともないからだ。数十年、数百年に一度そう言うものが現れ、迷宮を探索した時に極まれに遺跡級と呼ばれる超レアなアイテムが手に入るのだそうだ。このマジックアイテムもそんな遺跡級アイテムの一つだ。ただし、俺の場合本当の遺跡級アイテムは上から別のポーチを被せて見た目を変えて彩に持たせている。俺が持っているのは元の形に似せて作ったただのウエストポーチで、出し入れする時に無限倉庫を発動しているだけだ。
いずれにせよ、俺がこの遺跡級アイテムを持っていると言うことで、俺が迷宮探索者であると言った嘘もそのまま信じられているみたいで、大旦那様も上手くそれを利用している感じだ。
ともかく予定通り、俺と彩はアルンガルト王国を脱出した。向かうはガノ王国だ。
馬車の操車は皆に覚えて貰うことにした。ただミミは口では旦那様~とか言うけど態度は完全に甘えっ子状態だ。常に俺か彩の膝の上に乗っている。アリスも本当は同じようにしたいんだろうけど、一つ年上としてのプライドなのか一番奴隷としてのけじめなのか解らないけどせいぜい身体を擦りつけて、お兄ちゃん、お兄ちゃんと寄って来る感じだ。
そうそう、ミミの隷属の首輪は俺が無事に外せた。ミミに聞いたらアリスみたいなチョーカーを付けて欲しいと言うことだったので、無限倉庫に入っていた黒いチョーカーを付けてやった。ちなみに、隷属の契約は特製の物じゃなくてもできるようだ。要は首が閉まるものであれば何でも契約ができるみたい。要するに魔法付加と同じ原理なのだと思う。ただし隷属魔法は呪い発動だから、空きスロットとか必要ないみたいだけど。
あとアリスは彩と一緒に俺と深く交合うようになった。どうやら俺の能力がそうした行為によって彩に移っていることに気付いた様で、最初彩を口説き落として、彩と2人掛かりで説得されてしまった。ことが終わって本当の所を聞いてみたら、これで仮に村の人に見つかっても巫女になるために連れ戻されなくて済むと考えたみたいだ。でもそれは、初めてをあげたその日に人生最大の快感を味わって失神したことの照れ隠しだと思うけどね。
ちなみにミミは隣でぐっすり眠っている。この子が性に目覚めるのはまだずっと先の様な気がする。目覚めたらそれはそれで大変そうだけどね。
あと道中、檜の大森林があったのでその大木を使っていろいろ作っている。最初作ったのは檜風呂だ。大木をくり抜いて総檜風呂の完成だ。桶やイスも檜で作った。あとテーブルといすのセット。食器、調理台など様々だ。お陰で俺の練金と鍛冶スキルがLV5になりカンストして、それぞれ、「精錬」と「生成」という上位スキルになった。また、ミミの料理を手伝って「料理」スキルを手に入れて、そのまま彩とアリスにも付与した。お陰で野宿だと言うのに俺達の食生活はかなり充実したものになった。ただ一点ミミからの不満は、おやつのレパートリーが少ないということだ。その辺りはガノに着いたら器具や食材をきちんと揃えるからってことで納得してもらってる。全くどっちが主人なのか解らない状態だ。
アリスはやはり獣人族としてのポテンシャルが高いのか、レベルが上がり能力値が上がっていくと跳躍や、投擲などのスキルを自分で獲得するようになった。俺はそれを学んで一気にレベルアップしていくんだけど、それでも物理攻撃系のスキル習得についてはアリスから学んだことが大きいと思う。
あといろいろスキルを使って実感したのは、物理攻撃のアクティブスキルのレベルアップは、余程の強敵に対して物理攻撃を駆使して戦わないと、LV2からLV3へのレベルアップ、それから先のレベルアップは非常に難しいようだ。それは俺や彩のように異世界転移者補正が掛っていても難しい。生産系や魔法系のスキルは割とバンバン上がっていくんだけどね。
それともう一点。俺の彩やアリスに対する能力の付与については同じ能力を付与するとそのスキルのレベルが上がることが解った。つまり俺達のスキルレベルが上がれば、本来スキルレベルが上がりにくいアリスのスキルレベルも上げることができるようになった。勿論、アリス達にはスキルレベルとか見えないし、視覚的に確認はできないんだけど、物理攻撃系に置いて、レベルが1つ違うのは体感的にかなり違って感じるのだ。例えるなら
LV1初心者
LV2一般人
LV3熟練者
LV4達人(超一流)
LV5伝説
ぐらいの違いがある。魔法系で言えば、
LV1初級
LV2中級
LV3上級
LV4聖人級
LV5伝説
ってぐらいの違いがある。
つまるとこと、LV5によってカンスト後の上級スキルについては、伝説を越える物なのかもしれない。残念ながら攻撃系スキルでのカンストは経験してないので詳細は解らないけど、きっと凄いんだろうなーと思う。それはパッシブ系の上位スキルを経験するとよくわかる。
それからいろいろ観察していて気付いたことだけど、魔力を完全に枯渇させて眠るとどうも魔力総量が増えることがわかった。ただしどの程度増えるかはランダムみたいだ。これが解って彩とアリスには寝る前に俺が枯渇を確認するまで魔法の練習をさせている。そのお陰か2人とも魔力操作が上手くなった。もう少し頑張れば俺のように同時に魔法を放てるようになると思う。
魔力の練習をしてるとミミもやりたそうにしてるから、練習だけはさせてる。まずは魔力を感じる練習だ、随分出来るようになってきてるので、その内、相性のよさそうな初級魔法を教えようかと考えている。
とにかく、そんな旅を続けて約二週間後に目的の国、ガノ王国に到着した。ガノ王国の王都テシナは、一言で言えば古き街並みと新しい街並みが混然一体となった他種族が溢れる活気のある街だ。ガノ王国の一番の特徴は伝説の勇者が召喚され開いた国と言うだけでなく、この大陸で一番の規模を持つミナナロ大迷宮を持ち、そこから出る様々なアイテムによって皆が潤っていると言うことに尽きると思う。
俺と彩は隠蔽の指輪の効果を使って名前以外の情報を書き換えてガノ国に入った。門の周辺は東南アジアの下町って雰囲気だ。露店が数多く立ち並び、行き交う人や馬車の数も多い。兵士の数も多いけどそれ以上に冒険者の数が多いのも特徴的だ。街の反対側にミナナロ大迷宮があるらしく、ほとんどの冒険者は迷宮探索をメインで生業を立てているらしい。俺達も門番の兵士に、
「迷宮探索に来たんだったら、まず冒険者登録をした方がいいぞ。迷宮の情報や、迷宮で得たドロップアイテムの買い取り、武器や防具、魔道具などの販売や、宿の斡旋もしてくれる。他の国で冒険者登録してないのなら冒険者として実績を上げれば王国の騎士団へスカウトされることもある。尤もB級冒険者になったら、騎士団に入るよりも稼ぎが良くなるからな、スカウトを断る者がほとんどだがな。はっはっはっ。」
「そうですか。わざわざありがとうございます。では一度訪ねてみようと思うのですが場所を教えて下さい。」
門番の兵士に教わった道を進むと、3階建てで周囲の建物よりひと際大きな建物が目に入った。3人を連れて中に入ると、中は一見すると市役所の喫茶室付きのロビーと受付が合わさった様な感じだった。お昼前と言うこともあって中は閑散としていた。受付も3ヶ所だけが開いているようだ。俺達はその内の一つ(別に美人さんの場所を狙った訳じゃないけど、人族の優しそうなお姉さんだった)に進んで、
「すみません。冒険者の登録をお願いしたいのですが。」
「こんにちは。冒険者の登録は初めてですか?他の国での登録があれば記録を継承出来ますが。」
「いえ、今回が初めてです。」
「登録には、ステイタスの確認が必要になりますがよろしいですか?」
ステイタスは基本、その個人にとっての生命線だ。入場の際には治安維持のために仕方ないとしても、一組織がその情報に触れると言うことは考えてみれば大変なことだ。
「はい、今回俺と、こっちの3人の登録をお願いします。」
ミミはスキル的には何も得ていないんだけど、冒険者登録してそこでパーティー処理して貰うと、経験値が自動配分されると言う話を聞いていたので今後の為にミミもパーティー登録しておこうと決めていたのだ。アリスにも隠蔽の指輪を渡していて情報の書き換えを行っている。スキル的にかなりやばい状況になってるしね。ちなみに指輪は右手の薬指に着けている。本人は左手の薬指に固執してたけど、本人がこの世界で成人と見なされる15歳になって気持ちが変わらなければってことで納得させている。ちなみにこの世界は一夫多妻制が当たり前だそうだ。彩もアリスと俺が結婚することを受け入れていると言うか、アリスのためにも結婚してやって欲しいと言われている。アリスのやつに何か言われたのかもしれない。2人に問いただしても理由を教えてくれないのでそれ以上の追及はしてないけど。
「完了しました。それでパーティー名は決まっていますか?」
「えっと、セイジ(sage)でお願いします。」
「セイジですね。重複名はないようです。これで完了しました。」
「その水晶版みたいなものですぐにわかるんですか?」
「そうですよ。これは読み取りだけですけどね。古代遺跡のレアアイテムですよ。元々冒険者ギルドと言うのは、古代遺跡のレアアイテムを手に入れた超S級冒険者が創設したもので、この大陸のどの国家にも属さない独立した自治組織ですから。改めまして、ようこそ冒険者ギルドへ。」
「そうなんですね。すみません、俺、そう言う知識がなくて。」
「問題ありませんよ。冒険者登録をされた方はその時点で我々の仲間と言うことになります。これからギルドのことを知って下さいね。
さて、これから基本的な話をしますね。まず現在タクヤさんは、冒険者に登録されましたのでクラスがFとなります。クラスは、E、D、C、B、A、S、SSと上がっていきます。クラスが上がるには規定のポイントが必要になります。ギルドが指定する依頼を完了するか、魔物の討伐によって得られるドロップアイテムを規定数換金させることでポイントが得られます。具体的には、FからEに上がるのに10ポイント、Dに昇格するのに20ポイントが必要になります。またパーティーのクラスはリーダーの冒険者クラスが反映されます。パーティーのクラスが高くなると指定される討伐依頼の内容や、換金ポイントが得られるアイテムのレア度が上がりますのでご注意くださいね。」
「解りました。ご丁寧にありがとうございます。それから宿泊するところを斡旋して頂けるとお聞きしたのですが。」
「はい、こちらの方で宿屋や月貸しの部屋の斡旋も行っています。」
「えっと一軒家とかもあるんでしょうか?」
「パーティーホームですね。通常Bクラス以上にならないと維持が大変ですが。」
「一応、そちらの方を見せて頂ければと思います。予算に合わないようでしたら宿屋か部屋貸しの方を検討しますので。」
「解りました。少しお待ちくださいね。資料をお持ちします。」
しばらくして戻ってきた受付のお姉さんは、
「今ある一軒家の物件は少し大きいものばかりで、唯一、元は貴族の別邸として使われていた物件があるのですが、街の外れに有って、敷地内の井戸が枯れたために水の便も良くないのですが価格自体は格安の物件があります。月に銀貨50枚ですので部屋貸しの価格と同じになります。」
「そこはすぐに入居可能でしょうか?」
「ええ、家具類は何もないですが、清掃は定期的に行われていますし、庭の手入れもされてますので契約して頂ければ大丈夫ですよ。」
「では、そこをお願いします。野宿には慣れていますので場所があるならしばらくの生活には困りません。」
「解りました。取り敢えず一ヶ月ということで契約しては如何でしょう。鍵と場所の地図をお渡ししますので。」
彩達には相談せずに決めちゃったけど、一軒家なら問題ないだろう。生活に必要な物品を買いながら家に向かうことにした。
「彩、勝手に決めちゃったけどごめんね。」
「拓哉の判断だし問題ないよ。寧ろ一軒家で生活できるから嬉しい。」
「アリスも嬉しい、お兄ちゃん。」
「旦那様、ミミは頑張りますですぞー。」
「まずは、市場を回って寝具とかいろいろ買おうか。魔道具屋に行ってコンロとかも買わないといけないしな。」
「旦那さまー。是非オーブンを購入して下さいませー。」
「約束だからな、いいのがあったらな。」
「いいのがなくても買って下されー。」
「いや、いいのがなかったらパスな。」
こちらがお願いした商品は全部用意して貰っていた。ただ、タオルみたいな布はとんでもなく数が多かったので、一部だけ貰うことにした。石鹸の原料となる物は結構な量を集めて貰っていた。それもそんなに大量に要らないので半分ぐらいだけ貰った。香辛料や調味料はありがたく貰った。特に砂糖もたくさん用意して貰っていた。ミミとの約束でおやつも準備しないといけないから、大いに役に立つと思う。
俺が荷物を入れているのは、実は盗賊の親玉が腰に巻いていたマジックアイテムポーチと言う遺跡級アイテムというものだ。何でも古代遺跡と言う超レアな迷宮が時々現れることがあるらしい。らしいと言うのはほとんどの人が見たこともないからだ。数十年、数百年に一度そう言うものが現れ、迷宮を探索した時に極まれに遺跡級と呼ばれる超レアなアイテムが手に入るのだそうだ。このマジックアイテムもそんな遺跡級アイテムの一つだ。ただし、俺の場合本当の遺跡級アイテムは上から別のポーチを被せて見た目を変えて彩に持たせている。俺が持っているのは元の形に似せて作ったただのウエストポーチで、出し入れする時に無限倉庫を発動しているだけだ。
いずれにせよ、俺がこの遺跡級アイテムを持っていると言うことで、俺が迷宮探索者であると言った嘘もそのまま信じられているみたいで、大旦那様も上手くそれを利用している感じだ。
ともかく予定通り、俺と彩はアルンガルト王国を脱出した。向かうはガノ王国だ。
馬車の操車は皆に覚えて貰うことにした。ただミミは口では旦那様~とか言うけど態度は完全に甘えっ子状態だ。常に俺か彩の膝の上に乗っている。アリスも本当は同じようにしたいんだろうけど、一つ年上としてのプライドなのか一番奴隷としてのけじめなのか解らないけどせいぜい身体を擦りつけて、お兄ちゃん、お兄ちゃんと寄って来る感じだ。
そうそう、ミミの隷属の首輪は俺が無事に外せた。ミミに聞いたらアリスみたいなチョーカーを付けて欲しいと言うことだったので、無限倉庫に入っていた黒いチョーカーを付けてやった。ちなみに、隷属の契約は特製の物じゃなくてもできるようだ。要は首が閉まるものであれば何でも契約ができるみたい。要するに魔法付加と同じ原理なのだと思う。ただし隷属魔法は呪い発動だから、空きスロットとか必要ないみたいだけど。
あとアリスは彩と一緒に俺と深く交合うようになった。どうやら俺の能力がそうした行為によって彩に移っていることに気付いた様で、最初彩を口説き落として、彩と2人掛かりで説得されてしまった。ことが終わって本当の所を聞いてみたら、これで仮に村の人に見つかっても巫女になるために連れ戻されなくて済むと考えたみたいだ。でもそれは、初めてをあげたその日に人生最大の快感を味わって失神したことの照れ隠しだと思うけどね。
ちなみにミミは隣でぐっすり眠っている。この子が性に目覚めるのはまだずっと先の様な気がする。目覚めたらそれはそれで大変そうだけどね。
あと道中、檜の大森林があったのでその大木を使っていろいろ作っている。最初作ったのは檜風呂だ。大木をくり抜いて総檜風呂の完成だ。桶やイスも檜で作った。あとテーブルといすのセット。食器、調理台など様々だ。お陰で俺の練金と鍛冶スキルがLV5になりカンストして、それぞれ、「精錬」と「生成」という上位スキルになった。また、ミミの料理を手伝って「料理」スキルを手に入れて、そのまま彩とアリスにも付与した。お陰で野宿だと言うのに俺達の食生活はかなり充実したものになった。ただ一点ミミからの不満は、おやつのレパートリーが少ないということだ。その辺りはガノに着いたら器具や食材をきちんと揃えるからってことで納得してもらってる。全くどっちが主人なのか解らない状態だ。
アリスはやはり獣人族としてのポテンシャルが高いのか、レベルが上がり能力値が上がっていくと跳躍や、投擲などのスキルを自分で獲得するようになった。俺はそれを学んで一気にレベルアップしていくんだけど、それでも物理攻撃系のスキル習得についてはアリスから学んだことが大きいと思う。
あといろいろスキルを使って実感したのは、物理攻撃のアクティブスキルのレベルアップは、余程の強敵に対して物理攻撃を駆使して戦わないと、LV2からLV3へのレベルアップ、それから先のレベルアップは非常に難しいようだ。それは俺や彩のように異世界転移者補正が掛っていても難しい。生産系や魔法系のスキルは割とバンバン上がっていくんだけどね。
それともう一点。俺の彩やアリスに対する能力の付与については同じ能力を付与するとそのスキルのレベルが上がることが解った。つまり俺達のスキルレベルが上がれば、本来スキルレベルが上がりにくいアリスのスキルレベルも上げることができるようになった。勿論、アリス達にはスキルレベルとか見えないし、視覚的に確認はできないんだけど、物理攻撃系に置いて、レベルが1つ違うのは体感的にかなり違って感じるのだ。例えるなら
LV1初心者
LV2一般人
LV3熟練者
LV4達人(超一流)
LV5伝説
ぐらいの違いがある。魔法系で言えば、
LV1初級
LV2中級
LV3上級
LV4聖人級
LV5伝説
ってぐらいの違いがある。
つまるとこと、LV5によってカンスト後の上級スキルについては、伝説を越える物なのかもしれない。残念ながら攻撃系スキルでのカンストは経験してないので詳細は解らないけど、きっと凄いんだろうなーと思う。それはパッシブ系の上位スキルを経験するとよくわかる。
それからいろいろ観察していて気付いたことだけど、魔力を完全に枯渇させて眠るとどうも魔力総量が増えることがわかった。ただしどの程度増えるかはランダムみたいだ。これが解って彩とアリスには寝る前に俺が枯渇を確認するまで魔法の練習をさせている。そのお陰か2人とも魔力操作が上手くなった。もう少し頑張れば俺のように同時に魔法を放てるようになると思う。
魔力の練習をしてるとミミもやりたそうにしてるから、練習だけはさせてる。まずは魔力を感じる練習だ、随分出来るようになってきてるので、その内、相性のよさそうな初級魔法を教えようかと考えている。
とにかく、そんな旅を続けて約二週間後に目的の国、ガノ王国に到着した。ガノ王国の王都テシナは、一言で言えば古き街並みと新しい街並みが混然一体となった他種族が溢れる活気のある街だ。ガノ王国の一番の特徴は伝説の勇者が召喚され開いた国と言うだけでなく、この大陸で一番の規模を持つミナナロ大迷宮を持ち、そこから出る様々なアイテムによって皆が潤っていると言うことに尽きると思う。
俺と彩は隠蔽の指輪の効果を使って名前以外の情報を書き換えてガノ国に入った。門の周辺は東南アジアの下町って雰囲気だ。露店が数多く立ち並び、行き交う人や馬車の数も多い。兵士の数も多いけどそれ以上に冒険者の数が多いのも特徴的だ。街の反対側にミナナロ大迷宮があるらしく、ほとんどの冒険者は迷宮探索をメインで生業を立てているらしい。俺達も門番の兵士に、
「迷宮探索に来たんだったら、まず冒険者登録をした方がいいぞ。迷宮の情報や、迷宮で得たドロップアイテムの買い取り、武器や防具、魔道具などの販売や、宿の斡旋もしてくれる。他の国で冒険者登録してないのなら冒険者として実績を上げれば王国の騎士団へスカウトされることもある。尤もB級冒険者になったら、騎士団に入るよりも稼ぎが良くなるからな、スカウトを断る者がほとんどだがな。はっはっはっ。」
「そうですか。わざわざありがとうございます。では一度訪ねてみようと思うのですが場所を教えて下さい。」
門番の兵士に教わった道を進むと、3階建てで周囲の建物よりひと際大きな建物が目に入った。3人を連れて中に入ると、中は一見すると市役所の喫茶室付きのロビーと受付が合わさった様な感じだった。お昼前と言うこともあって中は閑散としていた。受付も3ヶ所だけが開いているようだ。俺達はその内の一つ(別に美人さんの場所を狙った訳じゃないけど、人族の優しそうなお姉さんだった)に進んで、
「すみません。冒険者の登録をお願いしたいのですが。」
「こんにちは。冒険者の登録は初めてですか?他の国での登録があれば記録を継承出来ますが。」
「いえ、今回が初めてです。」
「登録には、ステイタスの確認が必要になりますがよろしいですか?」
ステイタスは基本、その個人にとっての生命線だ。入場の際には治安維持のために仕方ないとしても、一組織がその情報に触れると言うことは考えてみれば大変なことだ。
「はい、今回俺と、こっちの3人の登録をお願いします。」
ミミはスキル的には何も得ていないんだけど、冒険者登録してそこでパーティー処理して貰うと、経験値が自動配分されると言う話を聞いていたので今後の為にミミもパーティー登録しておこうと決めていたのだ。アリスにも隠蔽の指輪を渡していて情報の書き換えを行っている。スキル的にかなりやばい状況になってるしね。ちなみに指輪は右手の薬指に着けている。本人は左手の薬指に固執してたけど、本人がこの世界で成人と見なされる15歳になって気持ちが変わらなければってことで納得させている。ちなみにこの世界は一夫多妻制が当たり前だそうだ。彩もアリスと俺が結婚することを受け入れていると言うか、アリスのためにも結婚してやって欲しいと言われている。アリスのやつに何か言われたのかもしれない。2人に問いただしても理由を教えてくれないのでそれ以上の追及はしてないけど。
「完了しました。それでパーティー名は決まっていますか?」
「えっと、セイジ(sage)でお願いします。」
「セイジですね。重複名はないようです。これで完了しました。」
「その水晶版みたいなものですぐにわかるんですか?」
「そうですよ。これは読み取りだけですけどね。古代遺跡のレアアイテムですよ。元々冒険者ギルドと言うのは、古代遺跡のレアアイテムを手に入れた超S級冒険者が創設したもので、この大陸のどの国家にも属さない独立した自治組織ですから。改めまして、ようこそ冒険者ギルドへ。」
「そうなんですね。すみません、俺、そう言う知識がなくて。」
「問題ありませんよ。冒険者登録をされた方はその時点で我々の仲間と言うことになります。これからギルドのことを知って下さいね。
さて、これから基本的な話をしますね。まず現在タクヤさんは、冒険者に登録されましたのでクラスがFとなります。クラスは、E、D、C、B、A、S、SSと上がっていきます。クラスが上がるには規定のポイントが必要になります。ギルドが指定する依頼を完了するか、魔物の討伐によって得られるドロップアイテムを規定数換金させることでポイントが得られます。具体的には、FからEに上がるのに10ポイント、Dに昇格するのに20ポイントが必要になります。またパーティーのクラスはリーダーの冒険者クラスが反映されます。パーティーのクラスが高くなると指定される討伐依頼の内容や、換金ポイントが得られるアイテムのレア度が上がりますのでご注意くださいね。」
「解りました。ご丁寧にありがとうございます。それから宿泊するところを斡旋して頂けるとお聞きしたのですが。」
「はい、こちらの方で宿屋や月貸しの部屋の斡旋も行っています。」
「えっと一軒家とかもあるんでしょうか?」
「パーティーホームですね。通常Bクラス以上にならないと維持が大変ですが。」
「一応、そちらの方を見せて頂ければと思います。予算に合わないようでしたら宿屋か部屋貸しの方を検討しますので。」
「解りました。少しお待ちくださいね。資料をお持ちします。」
しばらくして戻ってきた受付のお姉さんは、
「今ある一軒家の物件は少し大きいものばかりで、唯一、元は貴族の別邸として使われていた物件があるのですが、街の外れに有って、敷地内の井戸が枯れたために水の便も良くないのですが価格自体は格安の物件があります。月に銀貨50枚ですので部屋貸しの価格と同じになります。」
「そこはすぐに入居可能でしょうか?」
「ええ、家具類は何もないですが、清掃は定期的に行われていますし、庭の手入れもされてますので契約して頂ければ大丈夫ですよ。」
「では、そこをお願いします。野宿には慣れていますので場所があるならしばらくの生活には困りません。」
「解りました。取り敢えず一ヶ月ということで契約しては如何でしょう。鍵と場所の地図をお渡ししますので。」
彩達には相談せずに決めちゃったけど、一軒家なら問題ないだろう。生活に必要な物品を買いながら家に向かうことにした。
「彩、勝手に決めちゃったけどごめんね。」
「拓哉の判断だし問題ないよ。寧ろ一軒家で生活できるから嬉しい。」
「アリスも嬉しい、お兄ちゃん。」
「旦那様、ミミは頑張りますですぞー。」
「まずは、市場を回って寝具とかいろいろ買おうか。魔道具屋に行ってコンロとかも買わないといけないしな。」
「旦那さまー。是非オーブンを購入して下さいませー。」
「約束だからな、いいのがあったらな。」
「いいのがなくても買って下されー。」
「いや、いいのがなかったらパスな。」
3
お気に入りに追加
464
あなたにおすすめの小説
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる