異世界ハーレム漫遊記

けんもも

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第六章 魔物の森の街建設編

眷族専用神殿建立とドワーフ族

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聖精霊神殿の話が俺達の眷族の間に広がって、その神殿の様子を目にしたやつらの中からお願いが出てきた。聖精霊神殿が他の2つの神殿と比べて明らかにその威容が異なっているのは、聖精霊の加護を受けている人族の人口が圧倒的に多いためにその信仰のエネルギーみたいなものが溢れているってことらしいけど、信仰や忠誠心の深さでは自分達の思いの方が強いし、できればそれを受け入れる神殿を建てて欲しいと言うのが願いみたいだ。

俺自身精霊信仰とか持ってないし、神殿自体に何の意味があるのか解らないけど、眷族達の無言のプレッシャーもあり、森の家の南側で一番大きな魔力貯まりの場所に眷族専用の神殿を作ることにした。

と言っても宗教とか信仰じゃないんだからってことで、神殿内部で生活が出来るような言わば超高級マンションみたいなイメージで作り上げた。神殿の中に小さな街が作れる感じだ。結界や眷族以外には視認できないように細工したり防御面でもかなり気合を入れて作ってみた。ご神体みたいなものが必要なのかどうか知らないけど、俺が一番守りたい物の象徴として5人の妻達の指輪を俺の指輪に通したようなデザインのリングを作って神殿の地下に埋めておいた。すると、黄金に輝く光に包まれて神殿から大きな力が溢れだすのを眷族全員が感じたようだ。流石に俺もこの力の波動を感じてしまった。
この力の奔流が、後に大きな厄介事を引き寄せることになるんだけどこの時点ではそんなこと考えもしてなかった。

ちなみに神殿には名称を付けていない。ただ加護として何かあった方がいいという並列思考のアドバイスもあって、この神殿の加護の現れとして生活魔法を付与することにした。
生活魔法とは要するにいろんな精霊魔法の寄せ集めだ。焚き火を起こせる程度の火魔法、喉を潤せる程度の水を出せる水魔法、身体を綺麗にできる浄化魔法、避妊ができる避妊魔法、明りを灯せる雷魔法のライトの5つの魔法を全部使えるようになれる魔法をMP2程度で使えるようにアレンジして俺が作った魔法だ。俺の眷族になった者には全員使えるようにした。その他俺のオリジナル魔法も順次使えるようにする予定だ。

この神殿は基本5人の妻達によって運用されることになった。メインの守護はリザードマン族が進化し新しい種族名となったドラゴニュート族が付き、神殿内部の守護にはガルボ率いる元竜人族から進化(?)したハイドラゴ族が就くことになった。
これでやっと落ち着くかと思った矢先、エルフの最長老からお願いの念話が入った。
仕方ないので、エルフの神殿に出向いてみると、

「御使い様、わざわざお越し下さりありがとうございます。」

「それはいいけど、念話で言っていた、ドワーフ族のことって何?」

「はい、御使い様もご存知の通り、この大陸には御使い様の御加護を受けていない神殿があと一ヶ所あります。」

「ドワーフ族の土精霊神殿?」

「左様です。元々、ドワーフも我らエルフ族と同じように、妖精族より生まれ土精霊様の守護を任されて生まれた種族でございます。御使い様の御加護で我らエルフ族は新たな強い魔力貯まりの地で風精霊神殿を守護する役目を与えられ、種族が救われました。御使い様がお持ちになっている残り一つの魔力貯まりの地を、我らの同胞と呼べるドワーフ族に賜ることはできませんでしょうか。」

「別に俺が管理している訳じゃないけど、残ってる場所にドワーフ族が移りたいって言うのかな?」

「それは、必ずそう言うと思います。寧ろドワーフ族の方から願うことでしょう。ご存知の通りドワーフ族は、我らと同じように長命種であるにもかかわらず、種族の数は激減し遠からず種族が滅びることになるでしょう。我らエルフ族も御使い様の御加護がなければドワーフ族と同じ運命を辿っていたと思います。」

「その辺りはよくわからないけど、ドワーフ族って知り合いいないし、俺にとって縁も所縁もないけど。」

「我らがアルスラン王国から国を割り出て行く時に、ドワーフ族も誘い一緒に国を割りました。その後各々が国を持ち疎遠にはなっておりますが、同じ妖精族から生まれ出た種族同士交流はあります。どうか、ドワーフ族に会っては頂けないでしょうか?」

「会うのは別に構わないよ。と言うかどの道ドワーフの国にも行ってみるつもりだったし。」

「真でございますか。よろしくお願いします。」

その後、ドワーフ国の場所と土精霊神殿にいると言うドワーフ族の最長老宛ての手紙を貰って、早速行ってみることにした。

ドワーフ国は、一言でいえば炭鉱の街って感じだ。山を天然の城壁にした狭い場所に建て物がひしめき合う様に立ち並び、あちことから工房の煙突の煙が立っている。雑然とした街並みながら、ゴミが散らばっていることはなく、古いものでも大切に使い続けてるって感じだ。土精霊神殿は華美な装飾はないものの、重厚でいて落ち着いた雰囲気のある神殿だ。俺はエルフの最長老からの手紙を見せて、ドワーフ族の最長老との面会を申し出た。

「お待たせしたのう。ワシがドワーフ族の最長老じゃ。国のことなら国王の所へ行けばよいものを、わざわざワシの所に紹介するとは、あの老いぼれめが。」

「俺はリュウ・ハマダだ。見ての通り人族だ。こっちを紹介したのはドワーフ国と言うより、土精霊神殿の方の問題だと考えたんじゃないかあの爺さん。」

「お主が、エルフの救国の英雄と呼ばれておる人族の子か。」

「別にエルフ族を救った覚えはないけど、成り行きでそう言う話になってる。」

「まあよい。それで、手紙によると土精霊神殿とドワーフ族の将来のことについてお主にお願いせよと書かれておるが、どう言うことじゃ。」

「エルフの爺さんの話だと、今ある土精霊神殿の場所だと、精霊の加護が薄くなってドワーフ族が滅びるって話だけど。」

「ふん、そのようなこと。確かに土精霊様の御加護が弱まりドワーフ族の寿命も随分と短くなっておる。しかしそれはワシらの力ではどうしようもないことじゃ。まさか迷宮の底に神殿を建てる訳にもいくまい。」

「あー、そっからか。今俺が住んでる場所の近くに大きな魔力貯まりが5つあって、そこにエルフ族の風精霊神殿、竜人族の雷精霊神殿、人族の聖精霊神殿を移したんだよ。で、エルフの爺さんが同じ妖精族出身のドワーフ族が守護している土精霊神殿も移してくれないかって話になった。」

「なんと、3つの神殿が移っただと。そのような場所など・・・まさか魔物の森の竜の住処か?」

「今は竜はいないけどね、俺が殺して今俺がそこに住んでるし。」

「な、なんと。竜を殺しただと。お主は本当に人族なのか?魔族ではないのか?」

「俺は人族だよ。魔族じゃない。尤もそれを証明することは難しいけどな。ともかくそんなことはどうでもいいけど、ドワーフ族の土精霊神殿をそこに移す気持ちがあるかどうかを聞かせてくれ。」

「お主、そのようなことをしてドワーフ族に何を望んでおる。」

「別に何も望んでないよ。」

「我らの鍛冶の技術か?・・・・魔剣の技術か?」

「そんな技術があるの?でも別に欲しくないよ。お前達がこれ以上の物が作れるならそう言う技術にも興味があるけど。」

そう言って、俺が神スキルで作った武器をいくつか並べた。
鑑定スキルは持ってないだろうけど、スキルレベルから言えば達人の域にあるこいつなら、これらの武器の価値が解るだろう。

「こ、これは。神器クラスの武器ばかりじゃ。我らの持つ魔剣の技術などこれらに比べたら赤子のお遊びみたいなものじゃな。」

「ドワーフ族も別に武器を作りたい訳じゃないんだろう?酒造りや、金属を使った武器以外の物作りとかやってみたらどうだ。」

そう言って俺は一本のブランディーを出した。日本酒は召喚生成できなかったけど、ブランディー、スコッチ、バーボンは召喚生成できた。恐らく現在この世界にある物を使って自分達で作成可能ってことだろう。俺自身はコピーで無尽蔵に作り出せるけど、できればこの世界の人の手で作り出してみたいと思っている。

「これは何じゃ、器もガラスで作っておるのか?なんとも美しい器じゃ。」

「このコップも俺が作ったものだけどな、取り敢えず飲んでみろよ。」

最長老が一口ブランディーを口に含むと、カーッと目を見開いて固まった。すると入口のドアが開いてぞろぞろとドワーフ達が入ってきた。神眼でみると長老会のメンバーみたいだ。俺の顔を見ずにブランディーに目が釘付けだ。仕方ないので人数分コップを出してブランディーをついでやった。ついでに最長老のコップにも継ぎ足してやった。
最長老が再起動し、長老たちが一斉にコップのブランディーを飲み干す。
たっぷり1分以上固まった後、

「こ、これは、酒か?」

「あーこれは俺が作った酒だな。俺の住んでる場所の近くにはこれを作れる環境は整っているから、自分達で作ろうと思えば作れるぞ。」

「このコップもお主が作ったと言っておったが。」

「こんなの、本来はドワーフ族の方が得意じゃねえの。岩に含まれる珪素なんかを加工してるだけだし。」





「まあ、ともかくだ、俺がドワーフ族に求める物って特にないよ。少なくともお前達が作れるものとか俺も作れるだろうし。ただエルフの爺さんの話を聞いて、土精霊の力が弱まるといろいろ不都合を受けるやつも多いだろうし、なんとかできるならって思っただけ。」

「エルフ族がなぜ王国を捨てたのか、あの理由は本当だったのか・・・」

「その理由が何なのか知らないけど、エルフ族は俺の眷族になったから俺が守護することになったよ。勿論、全てのエルフ族がって訳じゃないんだろうけど、少なくとも風精霊神殿への忠誠を誓っていたエルフは皆俺の庇護下にある。俺の眷族に入るためには他種族への差別や偏見はなくして貰わないといけないからな。エルフは自分達の種族を生き残らせるために、これまでの差別や偏見を捨てることにしたんだと思うよ。そのために自分達の国を持つって意味を失ったんじゃないかなぁ。」

「我らも、お主の庇護下に入れと?」

「別に俺が望んでいるんじゃないよ。ドワーフ族として、土精霊神殿の守護種族として生き残るために、どうしたらいいのかよく考えたらって話だよ。」
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