異世界ハーレム漫遊記

けんもも

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第六章 魔物の森の街建設編

竜人族の移住

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翌日、俺はアリアの街に行ってまずアンに会うことにした。まず代官公邸に行くと、アン一家は全員王都に行って不在とのことだった。いつ戻るかは不明だと言う。
少し不安。まあ、大きな人的損害を出しての停戦だから、浮かれてはいないだろうけど、アンパパは停戦に向けて大きな功績があったはずなので、多少はお祝いムードがあるのかと思ったけど。もしかして、出世したとか?
考えても仕方ないので、そのまま、王都のアンの私邸に飛んだ。

「これは、リュウ様、ご無沙汰しております。」

「急に訪ねてきて申し訳ない。ミトラス殿は御在宅だろうか?」

「はい、在宅しております。呼んで参りますので、こちらでお待ち下さい。」

そう言って、セバスがいつもの応接間に案内してくれた。
どうも、活気がない。違和感バリバリだなぁ。
しばらくすると、アンパパ一家が全員応接間にやってきた。
アンパパは俺の姿を見ると、抱きつかんばかりに寄ってきて握手をしながら、

「リュウ殿。よく来て下さいました。この度の戦では私の命ばかりか、王国を救って頂きました。心からお礼申し上げます。」

アンママもアンも、涙を流さんばかりに頭を何度も下げている。

「えっと、俺のことはアン達には、話したんですか?」

俺は小声でアンパパに聞いてみた。

「申し訳ない、リュウ殿。妻とアンだけには本当のことを話している。とは言っても、私自身、本当はリュウ殿が何をなされたのかわかっておらぬ。他の者に話しても夢物語だと笑われるだけでしょう。勿論、2人とここにいるセバス以外には、国王にも話をしていない。」

「わかりました。取り敢えず、ミトラス殿がご無事でよかったです。それで、なぜ、この時期に私邸におられるのですか?」

「いや、それはですな・・・」

少し言い淀むアンパパの代わりに、アンが話し始めた。

「リュウ様、この度は父の命を助けて頂きありがとうございました。また停戦協定を結べたのもリュウ様のご活躍があってのことだとお聞きしています。この度の無意味な戦争を数日で停戦に導いて頂き、本当にありがとうございました。
この度の戦争は、貴族派が主導して戦争を起こしました。父を初め国王派の忠臣達は最初から戦争には反対しておりました。戦争が始まり父も参戦せざる得ない状況になり参謀として参戦しました。」

「アン、もう良い。その後は自分の口からリュウ殿にお話ししよう。」

そう言って、アンパパが語りだした。

「全ては私の力の無さが原因ですが、この度の初戦では貴族派の二世たちに手柄を立てさせるための無謀な作戦。いや作戦とも言えない力押しで、開戦してしまいました。初戦で主だった士官が多く討ち取られ、さらに功を焦った第二陣に控えていた軍の第二戦。最後は帝国の勇者の急襲により将軍をはじめ力のある将兵が数多く討ち取られてしまいました。本来は、初戦での大敗の時点で時間を置き軍備を建て直し作戦を変更すべきでした。
私は、自分の配下の者に停戦に持ち込めなくても最低でも一週間は時間を稼ぐから、その間に王宮の参謀部に連絡を取り、遠征軍の軍の立て直しと作戦の建て直しを至急やって貰うよう進言するようにと指示しておきました。
帝国軍の停戦協定の会議の場に馬を進めている時の私は、二度と生きて王国には戻れないだろうと思っていました。突然リュウ殿の声が聞こえた時には本当にびっくりしましたぞ。周りを見ても姿が見えませんでしたからな。
ともかくリュウ殿の助言で停戦は、王国にとっても十分に納得のいく形で結ぶことが出来ました。しかしながら王国は大きな犠牲を払っておりました。誰かが責任を取らねばなりません。停戦の際に私は遠征軍の全権を委任されていましたからな。その責任も負わされてしまいました。
国王と王府内務長の取りなしで、戦争で大きな犠牲を払った責任と有利な条件で停戦を結んだ功績で、私が何らかの責任を取らされることはなくなりました。」

「父上、責任を取らされなかったとは言えないでしょう。実際、アリア市の代官職を事実上罷免されて、次の職に就くことは叶わなくなったではないですか。」

「アンよ、そう言うな。あの意味のない戦いで十万近い王国の兵の命が失われたのだ。私も軍を率いていた者としての責任はある。しかもあまりにも早期に戦争が終わってしまって、物資が余ってしまって市場の物価が低下して、商人にも恨まれておる。私は生きてこうしてお前達と暮らせるだけでありがたいと思っている。」

「事情は解りました。それで、ミトラス殿は、この後どうされる予定ですか?」

「地方に行けば、いずれかの貴族の領地で仕官可能かもしれません。今は、風当たりが強くなるので、どなたにもお願いしておりませんが。」

「父上。そのようなこと出来ぬことなどわかっておいででしょう。王府での仕官が出来ねば、父上に仕官できる場所などありません国王陛下にお願いすべきです。」

「それはできんと何度も話しただろう。最早、王国は貴族派によって新しい体制に移ることだろう。時代の流れだ。貴族の領地での仕官は第一には考えておらん。王国を出て自由都市連邦のいずれかの都市国家へ行こうと考えておる。皆には苦労をかけることになるが。」

「ミトラス殿、状況は理解できました。もし王国を出る決心をされたなら私にいくつか伝手がありますよ。王制を廃止いたエルフ共和国とか、他にも新しく建設されている都市とか。遠慮なく言って下さいね。あーこちらのメイドの皆さんや直接の配下の方々も一緒に移れると思いますよ、多分。」

「リュウ殿がそのようにおっしゃるなら、いいお話なのでしょう。もう一度、妻たちとも話し合って御返事させて頂きたいと思います。」

その後いろいろと話をして、お土産にソーセージをはじめいろいろ渡してアンの家を出た。そのまま、南門の商店街区に飛んだ。

戦時物資として確保されていた物品が溢れるように売りに出されていた。特に生鮮食料品や肉類は投げ売り状態だった。俺は、投げ売りされている食料品を片っ端から購入していった。確認するのも嫌になるぐらい膨大な量の食材が貯まった。中古服なども投げ売り状態だ。こっちもかなりの数を購入した。
俺はそのまま帝都に飛んで、同じように投げ売り状態だった食料品などを大量に購入した。化身魔法で姿を変えて購入してたんで、俺の身元がばれることはないだろう。



その後、雷精霊神殿に飛んで、教皇に会いに行った。

「準備は進んでる?」

「はい、御使い様。御使い様に従って移住を希望している者は、すでに準備を終えております。各家庭に一人は、アイテムボックスを所持しておりますので、必要なものは各自家から持ち出しております。」

「全部で何人ぐらいになったの?」

「はい、一部、帝国に残ることを選択した者たちもいますので、全部で1万人ほどになります。よろしいでしょうか?」

「問題ないよ。取り敢えず、場所の整地は終わってるし、俺の街までの水路と簡単な陸路は作っているよ。一旦、魔力貯まりの近くに全員移住させようと思うけど。」

「ありがとうございます。神殿の建設は、徐々に作り上げようと思っております。神殿はなくとも、我らの雷精霊様への祈りは欠かしません。」

その後、教皇の指示で、神殿前の大広場に、移住希望の竜人族が集まってきた。皆が片膝をつけて、頭を下げてる。

「この神殿はもう使わない?あっちの宿舎とか建物なんかも使わないかな?」

「えっ、はい。この場所に残る者はいない予定です。建物はそのまま残していく予定でしたが、拙かったでしょうか?」

「いや、使わないなら、俺が貰っとくね。」

そう言って、神殿をはじめ、主だった建物を全部アイテムボックスに収納した。移住先の宿舎もすぐに必要だろうしね。

「よし、じゃあ、順番にこのゲートを潜って移動してくれ。ただし、このゲートには結界をかけているから、俺に忠誠を尽くしてない奴は潜れないようになっている。もし心にやましい気持ちや俺に対して不信感を持っているなら、潜らないように。」

俺は、全員にそう宣言して、最初にゲートを潜った。

潜った後、教皇をはじめ主だった人が揃ったところで、一番魔力貯まりが強い場所の上に、雷精霊神殿をアイテムボックスから取り出して設置した。すると、神殿自体が淡い黄色い光に包まれた。教皇をはじめ神殿の巫女や司祭達は、呆けたような様に神殿を見つめている。後から出てくるやつらも、神殿の様子を見てその場にひれ伏す者や、茫然としている者など様々だ。その間に、俺はどんどんアイテムボックスに入れてきた神殿の他の建物を設置して、下水道とつないでそのまま生活できるようにしていった。
小一時間ほどで、移住移転は完了した。
俺は念のためゲートを戻ってみた。そこには、50人ほどの竜人族が残っていた。

「御使い様、我々はどうしてゲートを潜れないのでしょうか?」

「それは、俺に聞くより自分達の心に聞くしかないよ。少なくともお前達が移住を希望しているのは、教皇に忠誠を尽くしてのことじゃないんだろう?帝国に残ることになった奴らの連絡員か何かか?」

「とんでもありません。我々は、そこの竜人族を裏切って、人族と婚姻をしたような裏切り者とは違います。竜人族の繁栄を心から願っております。」

「うーん、勘違いしているみたいだけど、俺は別に竜人族の繁栄を願っている訳でも、竜人族だけを守っている訳じゃないぞ。俺にとっては種族がどうとか全く興味がないし。お前達がそのような考えなら、俺の場所に来ることはできない。取り敢えず、この場所は、しばらくこのままにしておくから、今後の身の振り方をよく考えなおすことだ。」

そう言って、司祭服を着た、少し偉そうな奴らの間を通って、平服して頭を下げている一人の竜人族の女性の前に進んだ。

「えっと、あなたの名前は?」

「わ、私は、カミロン・シュペルツと言います。」

「あなたが、人族と結婚した人?」

「はい、申し訳ございません。人族である夫を愛して結婚していました。」

「御主人は?子供はいないの?」

「主人は、先の戦争で死亡しました。子供は娘が一人おりましたが、主人が出兵に当たり作った借金を返済するために娘を奴隷商に売ってしまいました。こちらに来て親切な方にお金を貸して頂いてすぐに買い戻しに行ったのですが、すでに娘は売られた後でした。娘は、人族の姿をしておりますので竜人族として追われることもないでしょうが、私は家にあった全ての物を売却してお金をお借りした方にお金を返すためにここへ来ておりました。この後は、何としても、娘を探し出そうと思っております。」

「娘さんの名前は、カミラ?」

「えっ、御使い様、どうして娘の名前をご存知なのでしょう?」

「カミラは、今俺と一緒にいるよ。カミロンも会いに来る?」

「おー。精霊様の御加護ありがとうございます。」

そのまま、泣き崩れてしまった。

俺は、周囲で俺達の話を聞いて若干侮蔑の表情を浮かべている奴らを無視して、カミロンを連れてゲートを潜り、そのままゲートを閉じた。念のため、さっきの奴らの所には俺の意識を移している鳥ゴーレムを放っている。こいつらの行動如何によっては、処分しなくてはならないしね。

俺がゲートを閉じて再び戻ってみると、教皇以下移住者全員が、片膝をついて待っていた。一緒にいたカミロンについては何も言わず、カミロンがお金を借りていたという人物を呼んだ、ラルリアさんだった。相変わらず秘書みたいな美人さんだ。お金を返した後カミロンは俺が連れて行くからって話をして森の家に転移した。
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