異世界ハーレム漫遊記

けんもも

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第六章 魔物の森の街建設編

貿易都市国家イータリー

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それから、3日後、いつ国境を越えたのかわからないけど、無事、貿易都市国家イータリーに到着した。
イータリーは、コボルト族という犬耳を持った亜人を中心とした都市国家だ。領土は、この城壁で囲まれた都市の中ということだ。しかし、貿易で栄えているだけあって、大きな川に面し、船を使った商船による大量運送と、陸路馬車を使った運搬により、連邦国内のみならず、アルスラン王国、ノクターン帝国にまでその販路を広げているらしい。あちこちの都市に、それぞれの商会の本部支部が置かれていて、実質的な領土と言う面では広大だと言えるかもしれない。
いずれにせよ、物流の中心だけあって、街全体が活気があるし、大小さまざまな商会があって、非常に賑わっている。元いた世界に例えれば、大阪や上海って感じかな。
街にいる人種も様々だ。都市を運営しているのは、この街の大商会の集まりであるコボルト族なのかもしれないけど、世界各国の商会も、ここに商会の支部を置いているようだし、必然、いろんな人種が集まってくるのかもしれない。

街全体は、新旧様々な建物が混ざり合っていて、建物の高さも大きさも統一性はないけれども、川に面した場所に作られた港と、そこに隣接する様な形で作られている倉庫群は整然と作られていて、効率よく船で運んだ荷物が、陸送に分配あるいは逆に、馬車で運んできた荷物、商品を船積みできるように道や、建物が配置されているようだ。
また街の中には、人工的な水路が作られていて、各商会の倉庫から水路を使って、港へ物を運搬したり、商品を自分達の倉庫や店舗に運び入れたりできるようになっている。丁度、ベニスみたいな感じ。よくできているなぁと思う。ただ、水害があれば、街は一発で沈むんだろうけどね。この世界では、地震や水害の対策って要らないのかもしれないな。

「皆、船に乗ったことある?」

「「「「ない。」」」」

「うちは、ある。って言ってもあっちの世界やけど。四国に行く時にフェリーに乗ったことあるで。」

「俺は、飛行機はあるけど、船はないな。まっともかく折角の機会だし、船で街を見て回ろうか?」

「「「「「うん(ええなー)」」」」」

裏通りでゴーレム馬車を収納した後、辻馬車ならぬ、辻川船に乗り込んだ。ゴンドラみたいなものだ。水路から眺める街は、馬車から見るより大きく見えた。皆とおしゃべりしながら、俺は、船の船頭さんに聞いてみた。

「船って、川だけじゃなくて、海にも出ることあるの?」

「兄さん、船は初めてだろう。山の人間だね。確かに、川は海に通じてはいるけど、海には魔の森に居る以上の魔物が住んでるからね。陸の近くなら少しは安心だけど、海を船で進むなんて、水精霊様の御加護があっても無理って言うものだ。」

「そしたら、海から、川を伝って魔物が来るんじゃないの?」

「途中に小さな滝みたいなところが何ヶ所もあるし、川には城壁みたいな堰も作ってる。心配しなくても大丈夫だよ。」

海もいつかは行ってみなきゃいけないかもだけど、今はいいか。エルフ王国の本にもセーレーン族のことはほとんど書かれてなかったしな。情報が少なすぎるしなぁ。

その後船頭さんに、街の中で綺麗な場所とか、お勧めの場所とかを周って貰って、最後ちょっと値ははるけどお勧めの食堂を紹介して貰って、船を降りた。

降りた場所は、街のメイン通りに面した場所にある大きな食堂というより、レストランの裏口に当たる入り口だった。船から降りて直接、お店に入れるような構造になっているんだね。

で、入ったレストランは、一言で言えば高級中華料理屋さん。中華料理店で見かけるあの、クルクルまわせる台がテーブルの上に置かれている。店の雰囲気は中華っぽくないけど、なんとなく赤を基調とした店内だし。

予約なしだったけど、個室が空いてたのでそこに案内してもらって、メニューをみてみた。
よくわからない。魚がメインの料理みたいだけど、注文を取りに来た店員さんに、

「俺達みんな初めてなんで、お勧めのコースでお願いします。」

と言ったら、

「お勧めは、魚になりますがよろしいですか?魚料理が慣れておられないようなら、肉料理のコースもありますが。」

「俺達は、魚で大丈夫ですが、川魚ですよね?」

「川魚も使いますが、海で獲れた魚も使っています。いろんな味をお楽しみ頂ける様に、大皿で、何種類かの料理をお出しすることになります。」

「じゃあ、それで。」

しばらく待つと、最初、コルを炒めたもの(チャーハン)と、さっぱり味のスープが出てきて、その後、つみれや、魚の唐揚げ、あんかけ、焼き物など、いろんな料理が出てきた。調味料は、唐辛子を利かせた様な味や、甘酢っぽい味など、俺だけでなく、マリアや他の娘も大いに味を楽しんで、刺激になったようだ。

「こんな風に、大皿を回して食べるのもいいね。家にも作ろうか?」

「お願い。久しぶりって言うか、皆揃って外食なんて初めてだったけど、おいしかった。こんな風に食べるのもいいものね。このテーブル気に入った。」

「ニーナも好き!」

「「中華料理みたい(やな)」」

「いつも以上に、皆でご飯を食べてるって感じがして、ボクも好き。お魚もいろんな食べ方があるんだね。ボクも勉強したい。」

「この街は、いろんな国の文化が入ってきているだろうから、他にもいろいろ面白いレストランとか、料理があるかもな。また来ような。」

食後、そのまま大通りのお店を見て回る。
衣料品、食品、武器、防具、魔道具、アクセサリー、木工などなど、いろんなお店が並んでいる。いろんな国の商会が、自分のところのメイン商品を売っているんだろうか。いずれにせよ、通り全体と言うより街全体が活気に満ちている。
一軒の食糧品店に入ってみる。野菜や果物は、種類も割と豊富だし、値段も手ごろな感じだけど、ライカ粉や塩の値段が、今まで見てきた中でかなり高くなっている。ライカ粉なんて、この近くのエルフ国でかなり大きな穀倉地帯が広がっていたようだけど、不作でも続いているんだろうか?

「ライカ粉とか、塩が、高いねぇ」

果物を選びながら、店員に聞いてみた。すると、店員が、

「それはそうですね。王国と帝国が戦争を始めるんで、戦略物資となる穀物、塩、武器防具、魔道具関係は、軒並み上がってますからね。穀物なんか毎日港から運ばれていますよ。」

「ほう、どっちに?」

「どっちって、それは、買ってくれるなら、王国だろうと帝国だろうと関係ないですよ。実際、この都市には両方の商会が何軒かありますし、そこを中心にいろんな物資が動いているんで、今、この街は特需ですよ。」

「もう、戦争ははじまってるの?」

「お客さん、知らないんですか?確か、明日開戦ですよ。通知が発布されたじゃないですか。」

「あーしばらく、魔の森とか探索してたんでね。街は久しぶりなんだ。」

「あっ、そうなんですね。じゃあー運が良かったですよ。最近は、ライカ粉とか塩以外は、値段も随分落ち着きましたからね。一時は、ほとんど全ての物品が値上がりしてましたから、生活するのは大変でしたよ。」

「でも、今回の戦争は、王国の方が有利なんじゃないの?帝国の皇帝が死んで、帝国の戦力落ちてるって聞いてたけど。」

「いやね、お客さん。これは、噂話なんですけどね、どうも帝国には切り札があるみたいなんですよ。」

「切り札?何か新しい兵器とか開発したとか?」

「いや、そう言うんじゃなくて、伝説の勇者を召喚したって噂ですよ。しかも4人。」

「何?伝説の勇者?あれって、前の皇帝の時に召喚されて、その後死んだんじゃないのか?」

「お客さん、詳しいね。帝国の人?じゃないか。雰囲気が違うな、帝国人とは。ともかく、それとは別に、召喚したらしいって話。でも、伝説の勇者っているなら、お客さんのように黒目黒髪なんだろうけど、帝国のは2人は金髪で、後の2人は赤髪らしいよ。で、皇族と同じ赤髪なんで一時は、前皇帝の生まれ変わりって話も出たぐらいでね。ともかく、その4人が、相当強いらしい。4人とも、1対1なら天下無双の強さって言うんだからね。」

その後、いろんな話を聞いた上で店を出た。
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