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わたし、魔法少女になってもしあわせを感じることができました(満ち足りるってこういうことですよね)
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悲鳴をあげるお腹の虫を抱えながら、ご飯を炊いていないという食前絶後の大失態をやらかしてしまったわたし。
こんなのとのん気にあれこれ喋ってる前に、やらなきゃいけないことがあったのに。
最初に確認するべきは、冷蔵庫じゃなくて炊飯器だった。
そして米びつの中身だった。
いまもひっきりなしに鳴き続ける、お腹の虫がわずらわしい。
わたしだって泣きたい気分だよ。
けどどっちがないたところで自分がないてることには変わりない。
それにこんなことでくじけていられない。
こんなことでくじけてたら、いままで生きてこれなかった。
といわけで後悔終了。
下を向くのを止めて前を見る。
ここからは、未来のために動くんだ。
美味しい晩ごはんを食べるために。
そのために、まずはご飯を炊かなくちゃ。
日本人だもん、お米を食べないと力がでない。
幸い米びつの中にはしっかりお米がつまってる。
これも叔母からの援助のひとつだ。
決して贅沢ではないけど、足りないものはひとつもない。
まさに無駄なものが一切ない、絶妙な支援だった。
これが学校で習った、文化的で最低限度の生活ってものなのかな。
だとしたら、わたしはこれでしあわせだ。
屋根のある家に住めて、ちゃんと洗濯した服を着られ、温かいご飯が食べられる。
これ以上、何が必要だというんだろうか。
失くしてしまったものがひとつだけあるけれど、それを取り戻したいとは思わない。
ひたすら悲しくて寂しいとは思っても、元に戻したいとは思わない。
だって失ってしまったものは、戻ってきてはいけないものだから。
もしもあの子、京があのときもう終わってしまっていたとしたら。
わたしきっと、あの子に思うことは何もない。
死んでしまったひとは、生き返ってはいけない。
死んでしまったひとを、生き返しちゃいけない。
絶対に。それだけは、やっちゃいけなんことなんだから。
わたしにはそんなこと、絶対にできないけど。
そんなことをするやつがいたら、わたしが絶対に殺してやる。
最優先で、真っ先に、何があっても。
じゃないと、ひとが生きる価値がない。
生きてることに意味がない。
だから、ひとを殺したモノは絶対に幸せになってはいけないんだって。
そう、母から教わった。
でもそうだとしたら、わたしはしあわせにはなれないんじゃないだろうか。
しあわせになっては、いけないじゃないんだろうか。
だけど、わたしはいましあわせだから、わたしはひとを殺してない。
だから安心、大丈夫。
そんな些細な、けれど確かなしあわせを噛みしめながら、研ぎ終わったお米を炊飯器に入れてスイッチオン。
お米は研ぎすぎないで、軽く流すくらいが丁度いいんだよね。
あとはご飯が炊けるのを待つだけ。そのあいだにおかずをつくっちゃいたいけど、それはすぐできちゃうから後回し。
そのあいだに、お風呂に入ってこよう。
タオルや着替えの準備をしてると、いままでおとなしくしていた緑の目が不思議そうに訊いてくる。
「食事の支度をしてると思ったら、今度は急に何してるの? 夜逃げの準備?」
さっき帰ってきたばっかりでしょ。
それにいまはそんな必要ないし。
「ご飯が炊けるまでお風呂に入ってくるんだよ。時間は有効に使わなきゃ」
「それは無駄がなくていいことだね。湯浴みと風呂は、人類の習慣と発明の中でも特に素晴らしいもののひとつだからね。ゆっくりと色々な汚れを落としてくるといいよ」
「そうさせてもらうよ」
そう答えて、わたしは両手に抱えたタオルや着替えを見ながら一応言っておくことにする。
どうせなんて言うかわかってるけど。
「覗かないでね」
「覗かないよ。その行為に意味も理由も必然性も無いからね」
ほらやっぱり。
わたしは予想どおりの答えに見送られながら、今日一日分のケガレを落としにお風呂場へと入っていった。
こんなのとのん気にあれこれ喋ってる前に、やらなきゃいけないことがあったのに。
最初に確認するべきは、冷蔵庫じゃなくて炊飯器だった。
そして米びつの中身だった。
いまもひっきりなしに鳴き続ける、お腹の虫がわずらわしい。
わたしだって泣きたい気分だよ。
けどどっちがないたところで自分がないてることには変わりない。
それにこんなことでくじけていられない。
こんなことでくじけてたら、いままで生きてこれなかった。
といわけで後悔終了。
下を向くのを止めて前を見る。
ここからは、未来のために動くんだ。
美味しい晩ごはんを食べるために。
そのために、まずはご飯を炊かなくちゃ。
日本人だもん、お米を食べないと力がでない。
幸い米びつの中にはしっかりお米がつまってる。
これも叔母からの援助のひとつだ。
決して贅沢ではないけど、足りないものはひとつもない。
まさに無駄なものが一切ない、絶妙な支援だった。
これが学校で習った、文化的で最低限度の生活ってものなのかな。
だとしたら、わたしはこれでしあわせだ。
屋根のある家に住めて、ちゃんと洗濯した服を着られ、温かいご飯が食べられる。
これ以上、何が必要だというんだろうか。
失くしてしまったものがひとつだけあるけれど、それを取り戻したいとは思わない。
ひたすら悲しくて寂しいとは思っても、元に戻したいとは思わない。
だって失ってしまったものは、戻ってきてはいけないものだから。
もしもあの子、京があのときもう終わってしまっていたとしたら。
わたしきっと、あの子に思うことは何もない。
死んでしまったひとは、生き返ってはいけない。
死んでしまったひとを、生き返しちゃいけない。
絶対に。それだけは、やっちゃいけなんことなんだから。
わたしにはそんなこと、絶対にできないけど。
そんなことをするやつがいたら、わたしが絶対に殺してやる。
最優先で、真っ先に、何があっても。
じゃないと、ひとが生きる価値がない。
生きてることに意味がない。
だから、ひとを殺したモノは絶対に幸せになってはいけないんだって。
そう、母から教わった。
でもそうだとしたら、わたしはしあわせにはなれないんじゃないだろうか。
しあわせになっては、いけないじゃないんだろうか。
だけど、わたしはいましあわせだから、わたしはひとを殺してない。
だから安心、大丈夫。
そんな些細な、けれど確かなしあわせを噛みしめながら、研ぎ終わったお米を炊飯器に入れてスイッチオン。
お米は研ぎすぎないで、軽く流すくらいが丁度いいんだよね。
あとはご飯が炊けるのを待つだけ。そのあいだにおかずをつくっちゃいたいけど、それはすぐできちゃうから後回し。
そのあいだに、お風呂に入ってこよう。
タオルや着替えの準備をしてると、いままでおとなしくしていた緑の目が不思議そうに訊いてくる。
「食事の支度をしてると思ったら、今度は急に何してるの? 夜逃げの準備?」
さっき帰ってきたばっかりでしょ。
それにいまはそんな必要ないし。
「ご飯が炊けるまでお風呂に入ってくるんだよ。時間は有効に使わなきゃ」
「それは無駄がなくていいことだね。湯浴みと風呂は、人類の習慣と発明の中でも特に素晴らしいもののひとつだからね。ゆっくりと色々な汚れを落としてくるといいよ」
「そうさせてもらうよ」
そう答えて、わたしは両手に抱えたタオルや着替えを見ながら一応言っておくことにする。
どうせなんて言うかわかってるけど。
「覗かないでね」
「覗かないよ。その行為に意味も理由も必然性も無いからね」
ほらやっぱり。
わたしは予想どおりの答えに見送られながら、今日一日分のケガレを落としにお風呂場へと入っていった。
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