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わたし、魔法少女がホントのわたしじゃないですよ(鏡を見ればわかります)
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なにはともあれ、もとに戻れてホントによかった。
これで心置きなく、もとの世界に戻っていける。
昨日と同じ日常に、帰っていける。
普通の生活を、送ることができる。
わたしの、いつもどおりの世界のなかで。
でも魔法少女から人間に戻るとき。
もしかしたら、もう魔法少女になることはできない。
ここでもとに戻ったら、このさき魔法少女には戻れない。
わたしはやっぱり、夢のなかで夢をみていただけで。
結局夢は、所詮夢のまま。
シャボン玉みたいに、簡単にはじけて消えてしまうものなんだと。
だって、一度でもさめてしまったユメを、二度みることは決してないから。
同じユメをみることは、絶対にできなから。
だからわたしのユメは、もうこれで終わりなんだって。
そんなことを、わたしは全然思ったりなんてしなかった。
だってわたしは確信してたから。
また、魔法少女になれることを。
何度でも、何回でも、いくらでも。
わたしのこころの求めるままに。
好きなだけ飢えを満たすことができるんだって。
わたしの本質のおもむくままに。
勝手に殺して壊すことができるんだって
それが自由にやれるんだと、わたしは確かに信じてた。
何の保証も、どんな証明も必要ない。
わたしは自分を疑わない。
わたしは自分を裏切らない。
たとえ世界のすべてがわたしを否定しても、それだけは変わらない。
それが間違いなく正しいことでも、それが善が悪だと断じることでも。
わたしは、わたしだけは自分の間違いと悪を肯定する。
わたしは、どんなときでも、何があっても、自分のことだけは信じてる。
それだけで、十分だった。
それにいまはひとりじゃない。
この小さな胸のなかに、エグイアスがいてくれる。
その無音の声が、わたしを信じてくれているのを感じるから。
その静かな眼差しが、わたしを肯定してくれているのを感じるから。
その熱い鼓動が何よりも、わたしのちからになったから。
わたしを信じる、ちからになるから。
だからもう、心配することはなにもない。
心残りもなにもない。
あとはただ、残りの仕事をすませるだけだ。
「さあ、チャッチャッとやることやって終わらせちゃおう」
「言われなくてもずっとやってるよ。それにしても急に元気になったね。元の姿に戻れたのがそんなに嬉しいの?」
「嬉しいというか、心配事はなくなったかな。やっぱりもとに戻ると落ち着くね」
なのに、こころもからだもザワザワするのはどうしてだろう。
安心できないのはなんでだろう。
この胸を掻きむしりたくなるような不安は、いったいどこからくるんろう。
「そう、それは良かった。キミはその姿でいるほうが自然なのかな?」
「それは、そうだよ。だってこれがわたしのホントの姿なんだし」
この姿で生れて育ってきたんだし。
何度か死にかけたような気もするけど。
「じゃあキミは、その姿に違和感を覚えないんだね」
違和感? そんなもの、あるわけ、ない。
だってこれが、こっちの姿が、わたしのホントの姿、なんだから。
訊くまでも、ないことじゃないか。
そんなこと訊かれたら、どっちがどっちだかわからなくなっちゃうじゃないか。
わからなくなって、不安定になるじゃないか。
安定しないから、落ち着かなくなくなるじゃないか。
「それは、そうだよ」
いまのところは、まだ。
「そう、それは良かった」
緑の目は、さっきと同じ言葉を繰り返す。
この緑の目にとって、悪いことってなんだろうか。
そもそもそんなもの、この緑の目にはあるんんだろうか。
でもそれは、見つける必要も、探す必要もないことだ。
少なくとも、いまはまだ。
「まあ、初めて魔法少女になったんだから、まだそう思っても不思議じゃないかな。姿もそうだけど、髪もその方が馴染みがあるだろうしね」
うん? 髪の毛?
「わたし、髪の毛まで変わってたの?」
「そうだよ。もしかして気づいてなかったの」
全然気づいてなかった。
たしかに言われてみれば、魔法少女が変身すると、髪の色や髪型が変わるのはよく見たっけ。
でもそんなの、自分じゃなかなか気づけない。
それこそ、鏡で自分を見でもしないと。
そうでもしないと、変わったことにも気づかない。
自分の姿が、わからない。
それよりも問題は。
「それで、どんなふうになってたの?」
「そうだね、髪型はそんなに変わらなかったよ。色については、キミのその髪の色とボクのこの目の色が、混ざり合わずに溶け合ったような色だったよ」
よし、決めた。魔法少女になったときは絶対に鏡を見ない。
だってこの髪とその目が合わさった、いや合わさってないのか、まあどちらにせよ、それはきっと綺麗なものであるはずない。
九割方はわたしのせいで。
「なんにせよ、キミから心配事がなくなったのは喜ばしいことだよ。心の余裕は大事だからね。その余裕で、今度はキミの友だちのことを心配してあげるといいんじゃないかな」
「え、なんで?」
わたしは言ってる意味がわからず問い返す。
きっといま、すごく間の抜けた顔をしてるんだろうなあ。
「だって、これからこの子、もとに戻るんでしょ。だったら、そんなの必要ないじゃない」
だったら、わたしに必要なのものはなんなのか。
もしそう訊かれたら、いまのわたしに答えがあるとは思はなかった。
これからさきも、答えがあるとは思えなかった。
これで心置きなく、もとの世界に戻っていける。
昨日と同じ日常に、帰っていける。
普通の生活を、送ることができる。
わたしの、いつもどおりの世界のなかで。
でも魔法少女から人間に戻るとき。
もしかしたら、もう魔法少女になることはできない。
ここでもとに戻ったら、このさき魔法少女には戻れない。
わたしはやっぱり、夢のなかで夢をみていただけで。
結局夢は、所詮夢のまま。
シャボン玉みたいに、簡単にはじけて消えてしまうものなんだと。
だって、一度でもさめてしまったユメを、二度みることは決してないから。
同じユメをみることは、絶対にできなから。
だからわたしのユメは、もうこれで終わりなんだって。
そんなことを、わたしは全然思ったりなんてしなかった。
だってわたしは確信してたから。
また、魔法少女になれることを。
何度でも、何回でも、いくらでも。
わたしのこころの求めるままに。
好きなだけ飢えを満たすことができるんだって。
わたしの本質のおもむくままに。
勝手に殺して壊すことができるんだって
それが自由にやれるんだと、わたしは確かに信じてた。
何の保証も、どんな証明も必要ない。
わたしは自分を疑わない。
わたしは自分を裏切らない。
たとえ世界のすべてがわたしを否定しても、それだけは変わらない。
それが間違いなく正しいことでも、それが善が悪だと断じることでも。
わたしは、わたしだけは自分の間違いと悪を肯定する。
わたしは、どんなときでも、何があっても、自分のことだけは信じてる。
それだけで、十分だった。
それにいまはひとりじゃない。
この小さな胸のなかに、エグイアスがいてくれる。
その無音の声が、わたしを信じてくれているのを感じるから。
その静かな眼差しが、わたしを肯定してくれているのを感じるから。
その熱い鼓動が何よりも、わたしのちからになったから。
わたしを信じる、ちからになるから。
だからもう、心配することはなにもない。
心残りもなにもない。
あとはただ、残りの仕事をすませるだけだ。
「さあ、チャッチャッとやることやって終わらせちゃおう」
「言われなくてもずっとやってるよ。それにしても急に元気になったね。元の姿に戻れたのがそんなに嬉しいの?」
「嬉しいというか、心配事はなくなったかな。やっぱりもとに戻ると落ち着くね」
なのに、こころもからだもザワザワするのはどうしてだろう。
安心できないのはなんでだろう。
この胸を掻きむしりたくなるような不安は、いったいどこからくるんろう。
「そう、それは良かった。キミはその姿でいるほうが自然なのかな?」
「それは、そうだよ。だってこれがわたしのホントの姿なんだし」
この姿で生れて育ってきたんだし。
何度か死にかけたような気もするけど。
「じゃあキミは、その姿に違和感を覚えないんだね」
違和感? そんなもの、あるわけ、ない。
だってこれが、こっちの姿が、わたしのホントの姿、なんだから。
訊くまでも、ないことじゃないか。
そんなこと訊かれたら、どっちがどっちだかわからなくなっちゃうじゃないか。
わからなくなって、不安定になるじゃないか。
安定しないから、落ち着かなくなくなるじゃないか。
「それは、そうだよ」
いまのところは、まだ。
「そう、それは良かった」
緑の目は、さっきと同じ言葉を繰り返す。
この緑の目にとって、悪いことってなんだろうか。
そもそもそんなもの、この緑の目にはあるんんだろうか。
でもそれは、見つける必要も、探す必要もないことだ。
少なくとも、いまはまだ。
「まあ、初めて魔法少女になったんだから、まだそう思っても不思議じゃないかな。姿もそうだけど、髪もその方が馴染みがあるだろうしね」
うん? 髪の毛?
「わたし、髪の毛まで変わってたの?」
「そうだよ。もしかして気づいてなかったの」
全然気づいてなかった。
たしかに言われてみれば、魔法少女が変身すると、髪の色や髪型が変わるのはよく見たっけ。
でもそんなの、自分じゃなかなか気づけない。
それこそ、鏡で自分を見でもしないと。
そうでもしないと、変わったことにも気づかない。
自分の姿が、わからない。
それよりも問題は。
「それで、どんなふうになってたの?」
「そうだね、髪型はそんなに変わらなかったよ。色については、キミのその髪の色とボクのこの目の色が、混ざり合わずに溶け合ったような色だったよ」
よし、決めた。魔法少女になったときは絶対に鏡を見ない。
だってこの髪とその目が合わさった、いや合わさってないのか、まあどちらにせよ、それはきっと綺麗なものであるはずない。
九割方はわたしのせいで。
「なんにせよ、キミから心配事がなくなったのは喜ばしいことだよ。心の余裕は大事だからね。その余裕で、今度はキミの友だちのことを心配してあげるといいんじゃないかな」
「え、なんで?」
わたしは言ってる意味がわからず問い返す。
きっといま、すごく間の抜けた顔をしてるんだろうなあ。
「だって、これからこの子、もとに戻るんでしょ。だったら、そんなの必要ないじゃない」
だったら、わたしに必要なのものはなんなのか。
もしそう訊かれたら、いまのわたしに答えがあるとは思はなかった。
これからさきも、答えがあるとは思えなかった。
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