Magical×Debtor/Girls=魔法少女はローン持ち+返済できれば何でもします!

久末 一純

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わたし、魔法少女らしくなれましたか(わたしは結構それっぽいと思います)

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 結局のところ、どっちにしたって変わらない。
 どうしたって変わらない。
 たとえ、生きるためにあがいたって。
 そのために、諦めずに逃げたとしても、ここがおまえたちの終わりの世界。
 そのまま、生きることやめたって。
 何もせず、逃げずに諦めているのなら、この世界でおまえたちは終わるだけ。
 それはおまえたちには、変えられない。
 何も選ばず、何も決められなかったおまえたちには、変えられない。
 ここで、殺されることは変わらない。
 、おまえたち。
 だって、わたしがいるんだから。
 わたしがおまえたちを殺すんだから。
 わたしがそすると選んで、そうやると決めたんだんだから。
 だから、どっちにしたって同じこと。
 逃げ続けたその果てに、ここまで落ちてきたんだとしても。
 わたしがこれ以上、逃さない。
 やりたいことをするために、ここに行きついたんだとしても。
 わたしが何処にも、行かせない。
 こんなこと、わたしにとって同じこと。
 おまえたちが、ホントは何しにこの世界に来たのか知らないけど。
 この世界で、おまえたちがホントに何をしたのか知ってるから。
 ここで好きなことができたんだから、もう十分でしょ。
 ここで勝手にしたいことをしたんだから、もういいでしょ。
 ここまで来て、自由になれて、よかったでしょ。
 最後に美味しいものも食べられて、満足したでしょ。
 わたしの世界で。
 わたしの友だちを。
 だからあとは。
 わたしが自由にやったげるから。
 わたしが好きに殺すから、わたしの勝手で死になさい。
 ね、残りものたち。
 けど、おまえちに福なんて残ってないよ。
 もちろんだけど、幸いなことに幸せなんて、あるわけないよ。
 残りもののおまえたちに残ってるのは。
 死に合わせた災いだけだ。
 と、いうわけで。
 まずは、残りもののひとりめ。
 適当に目についたあいつから。
 わたしが真っ直ぐ近づいてくるあいだ、何もせず首を振るだけだったあいつから。
 ひたすら首を振りながら、お友だちに視線で助けを求めても、なにもしてもらえなかったあいつから。
 ほら、そんなことばっかりしてるから、もう目の前についちゃった。
 あはは、そんな顔しなでよ。
 自分が逆の立場なら、同じことをするくせに。
 同じように、何もする気はないくせに。
 でも、その顔は、
 なんて、鼻の頭がくっつきそうな近さでその顔を眺めているうちに、ようやくやる気になったみたい。
 それとも、とうとうヤケになっただけなのかな。
 まあ、どっちでもいいけれど。
 そいつは、眺めていた顔そのままに、わたしの頭にガブリと噛みつこうと口をいっぱいに開いてみせる。
 この近さじゃ、手も足もでないから、それくらいしかできなよね。
 。だからそうするのはわかってた。
 でも、わたしを食べてもお腹を壊すと思うし、食べられるところも少ないから、きっとのほうが美味しいよ。
 そう思って、わたしはここまでくるあいだに拾っておいた、バレーボールくらいの大きな石を、わたしの頭の代わりにそいつの口に突っ込んだ。
 と、歯が砕けるような、とっても痛そうな音がした。
 あーでもこれは、ホントにかなり、痛いだろうなぁ。
 わたしも、食べ物と間違えてフォークを思いっきり噛んじゃったとき、かなり痛かったから。
 だから、
 よくわかるから、やったんだよ。
 そうして実際に痛みに歪んだをしているのを確認してから、わたしはそいつの両足を踏み折った。
 右から左へ、順番に。そして一歩距離をとる。
 くの字に曲がった両足じゃ、体を支えられるわけもなく、そいつのいい顔をしたままの頭は体ごと、上から下へと落ちてくる。
 丁度わたしの足もとに。
 その頭をサッカー選手みたいに、これも見様見真似で下顎めがけて蹴り上げた。
 すると、今度はと、顎と首が砕けた鈍い音と感触が、わたしの足と耳に伝わってくる。
 こいつらは、頭を潰せば殺せるのはわかってる。
 でもこの程度じゃ、死ななないもわかってる。
 これくらいなら、生きてるのはわかってる。
 死なないように、生きてるように、加減はしたから大丈夫。
 そいつは蹴られた衝撃で大きく真上に跳ね上がる。
 そのとき、頭から何かいろいろ撒き散らしながら、受け身もとれずに仰向けに落っこちた。
 そのときガツンと、後頭部を地面に打った音が聞こえたけど、それはわたしのせいじゃないからね。
 そいつは地面に落っこちてから、仰向けになったまま、両手で顔を覆って低い声で鳴いているだけだった。
 わたしは、両足が折れて骨が肉を突き破って曲がってるせいで、のたうち回ることもできないそいつのことを、じっくり観察しながら近づいてく。
 ふーん、骨も一応白いんだ。
 そうして仰向けになった体をまたいで、いつまでも顔を覆って低くすすり鳴いているだけのそいつを見下ろした。
 あーそんなふうに手で顔を隠したら、
 それにそれだと、お腹のまわりが丸見えだよ。
 ま、丁度いいからいいけどさ。
 ふんづけるのに。
 こいつらの内蔵が人間と同じ位置にあるかはわからないけど、とりあえず同じところを狙って踏んでいく。
 どっちかというと、踏むというより、ヒールが高いせいで突き刺すようになったけど、まあいっか。
 肺、心臓、横隔膜、胃、肝臓、脾臓、膵臓、十二指腸、胆嚢、腎臓、大腸。
 順番に踏んでいくたびに、空気が抜けるようにくぐもったうめき声が、頭のほうから聞こえたきた。
 何かこういうおもちゃ、どっかで見たことあった気がする。
 そうして三週くらい遊んで、おもちゃの体が穴だらけでべこべこになったところで、
 残りものの残りが全部。
 さっきチラチラ視線を合わせてたときから、こうなることはわかってた。
 こいつらはお互いを助け合ったりしない。お互いで協力したりもしない。
 そしてお互い揃って同じように、わたしに壊されていくだけだ。
 そんなやつらが視線で意思を伝える理由は何なのか。
 いったいどんな意思を伝える必要があったのか。
 こいつらは、自分では何もしないし、何も選ばないし、何も決められない。
 ただ美味しいところを横からさらっていくだけだ。
 そんなやつらが他人に贈るメッセージは、ひとつだけ。
 
 ホント、都合のいいやつら。
 そんなやつらは、次はどんな顔で鳴くんだろう。
 わたしはどうしたら新しい顔が見られるか、想像しながらくすりと笑って、くるりとまわってふり返る。
 そして、緑の目の言うとおり、自分の意思は言葉にして伝えるのが一番だと、改めてそう思う。
 こいつらを見て、そう思う。
 こいつらみたいになりたくないと、心の底から思うから。
 だからわたしは言葉にして、自分の思いをこいつらに伝えてやる。
「おまえたちにはどんなことでもしてあげるから、わたしのことだけ愉しませなさい」
 伝わったかはわからないけど、そんなことはどうでもいい。
 伝えたから、別にいい。
 わたしが愉しめるなら、、それでいい。
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