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わたし、魔法少女の仕事を再開します(休憩は終わりです)

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 よし、もーやめよう。
 あれこれ考えるのなんて、もーやめた。
 自分が何を思ったかなんて、うだうだ考えるのはもーやめだ。
 もともとわたしは、ものを考えるのに向いてない。
 ものごとを考えるようにできてない。
 何かを考えて動くより、何でも勘だけでやってしまう。
 ちゃんと考えたはずの行動が、いい結果になったことなんてほとんどない。
 ちゃんと考えたはずなのに、裏目にでることがほとんだ。
 困っている人を助けたのだって、やったことじゃない。
 人が困っているのを見たから、助けようと思っただけ。
 そう教えられたから、そうしただけ。
 そんなわたしが、自分のことを考えたって無意味だった。
 自分自身で考えたって、無駄だった。
 だって考えるって、答えをだすためにすることだから。
 答えを見つけるためにやることだから。
 だったら、そんなの最初からわかってた。
 どこにあるか、わかってた。
 、嫌でもわかる。
 やってるうちに、自然と気づく。
 答えは、最初から目の前にあることに。
 わたしのなかには、ないことに。
 考えるまでもなく。
 考えるまでもないことを、考えているしているだけだった。
 ただあたまのなかで、ぐるぐるまわっているだけだった。
 無駄で、無意味なことをしているだけだった。
 答えなんて、もうとっくにでてたのに。
 始めから、見つけてたのに。
 
 そのことを、受け入れないようとしなかっただけ。
 このことを、認めようとしなかっただけ。
 そうするだけで、終わる話だったのに。
 そうしていれば、始まることもない話だったのに。
 前を向いているつもりで、目を閉じていた。
 前へ進んだつもりで、足踏みしてた。
 それを受け入れてしまったら。
 これを認めてしまったら。
 あいつらと、、と。
 わたしは、、と。
 本当はそうしていることこそが、あいつらと同じことをしているというのに。
 それこそが本当に、あいつらと同じモノになっていることだというのに。
 それでも、だからこそ、わたしは。
 わたしは自分が、そういうモノだと受け入れる。
 わたしは自身を、こういうモノだと認識する。
 わたしが、どれだけ自分がどういうものだと思っても、どんなに自身がどういうものでありたいと思っても、そこはカラッポ。
 カラッポだから、何もない。
 何もないから、何も見えない。
 何も見えないから、見たいものを描いて思う。
 あれがそうなんだと。あれこそがそうあるべき姿なんだと。
 正しく善きものであるのが、そうありたいと思うのがわたしなんだと。
 だからそれは、違うモノ。
 わたしの内側だけで思っている、そこには存在しない。
 
 ホントに見るべきはものはわたしの内側にあるものじゃなく、
 姿、ホントのわたし、自分自身。
 たとえそこに、何が映っていたとしても。
 わたしが何を言ったのか。わたしが何をやったのか。わたしがひとに何を、どれだけのことをやったのか。
 わたしが、どれほどのことを何もしなかったのか。
 そして、をひとがどう思って、何を感じ、どんなふうに考えるのか。
 それを思えば、そこを見れば、ホントのわたしはそこにある。
 だから、最初からわかってた。
 そこまでわかっていたのなら。
 あとは簡単なことだった。
 最初からやることはひとつだけだった。 
 そのためにわたしは鎖を外し、目を開いて外を見る。
 そのためにわたしは檻から出て、足を踏み出し前へ進む。
 そこにあるのが、、それがわたしというなら、それでいい。
 いまのわたしを、知っていることをちゃんと知る。
 自分で描いたわたしに、鏡に映るわたしを重ね合わせる。
 そのときの痛みを受け入れて、できたキズを認識する。
 ひとはかわれる。
 良くも悪くも、変わってしまう。
 善いほうにも悪いほうにも、変わっていける。
 自分を知って、受け入れて、認識する。
 いまのわたしが、間違っている悪しきものだというのなら。
 ここを出発点にすればいい。
 ここからスタートすればいい。
 わたしは、善いほうへと変わっていけばいいだけだ。
 わたしの憧れた、なりたかった魔法少女を、目指していけばいいだけだ。
 そのためにまず、あいつらを殺さなきゃ。
 わたしがちゃんと、死ぬってどういうことなのか、何のために殺されるのか、とっくり教えてあげるから。
 だからこれから、ここからわたしのやることは。
 「さあ!。だからおまえたちも、
 すぐ後ろですごく大きなため息が聞こえたけど、それは無視。
 どうせ何を言っても言わなくても、勝手についてきて勝手にしゃべりだすんだから。
 そしてわたしは宣言どおり、終わりの続きを始めるために、に向かって大きく跳んだ。



 確かにひとは変わっていける。
 だけど、それがどれだけ難しいことか、このときのわたしは知らなかった。
 変わることができなかったモノがどうなるか、知らなかった。
 あそこがわたしの終着点だと、あのときのわたしは分からなかった。
 スタートしてもゴールなんてどこにもないと、分からなかった。
 あいつらが、救いようのないモノなら。
 わたしは、そのとき解っておけばよかったんだ。
 ホントのがどんなものか、わたしはそのとき、ちゃんと識るべきだったんだ。
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