ゆえに赤く染まった星にひとりとなって

久末 一純

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邂逅、そして会敵の朝✗37

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「さて、まずは何から言うべきか。いや、お前には、まず何から話してやるべきか」
 ヴァルカは右手を額に当ててひとつ頭を振ると、おもむろにそう切り出した。
 足を肩幅に開き、両手は互いの肘を掴むように組んでいる。
 ヴァルレカラッド・イーソス隊長が、両手を組んだら用心するのだ。
 あれこそは我らが隊長の必聴の構え、無限お説教のお姿だからだ。
「お前に言いたいことはそれこそ山ほどあるのだ、いちいちひとつひとつ並べていたら時間がいくらあっても足りはしない」
 その間私の視線は、手を後ろの組んだ直立不動の姿勢のままヴァルカの言葉を拝聴していた。
 その光景から、目を離せるはずなどなかった。
 何故なら、
 小隊一の大きさを誇りながら、なおかつ形の崩れなど一切見られないたわわに実ったふたつ果実。
 まさしくロケットと評して差し支えない至高の一品、いや二品か、それがヴァルカの組まれた両手の上の堂々と載っかっているのだ。
 そんなものに狙いを定められては、目を離せる訳がない。
 そんな美しい光景から目を離すなど、おっぱい様に失礼だ。
 故に私は目が血走るほどにこの上なく集中し、ヴァルカの大きなふたつの膨らみ全力で注視しているのだ。
 その視線に、ヴァルカは当然のように気付いたいた。
「こら、一体さっきからどこを見ている、キルエリッチャ・ブレイブレド隊員。まったくお前ときたら、本当に何時でも何処でも変わらんな。それがお前の揺るぎない強さの源であると共に、切り離すことの出来ないどうしようもない玉に瑕だ。何とかならんものかと日々頭を悩ませているが、一向に解決策が思いつかん。本当に一体果たしてどうるべきか、いまの私には皆目見当もつかん」
 そこでヴァルカはその大きな胸の裡の悩みを吐き出すように、ひとつ大きく溜め息を吐いた。
 その動作につられるように、ヴァルカの柔らかな胸部装甲ががぷるんと揺れた。
 申し訳ありませんヴァルカ隊長、全ては私の責任です。
 ですが隊長、あえて意見を具申致す機会を頂けるなら、そのふたつのご立派様は大変な凶器であると小官は愚考致します。
 何故なら先ほどから小官はそのご立派様に目を奪われると同時に、目を釘付けにされているかであります。
 などとは流石の私もこの場で口が裂けても言えはしない。
 ああそれにしても、やはり小隊長ともなれば毎日が激務なのだろう。
 それにあれほどのご立派様をふたつも掲げていらっしゃるのだ。
 きっと、肩も凝るに違いない。
 きっと、そうに違いない。
 私でよければいつでもその疲れを癒やすために、全力を尽くす所存である。
 まずはヒヤッとしてヌルっとした液体を手にとって、ヴァルカの全身に塗りたくる。
 次に自分自身も隈なく液体塗れにし、これで準備は完了。
 あとはふたりで組んず解れつ、私の全身を使ってヴァルカの体をマッサージするだけだ。
 その手順も決まっている。
 まず最初に胸を揉む。
 その次にまた胸を揉む。
 そしてそのまた次も胸を揉む。
 そう、とにかく疲れの原因であろう大きなふたつのおっぱいを重点的に揉み解し、たっぷりねっとり癒やされてもらうのだ。
 ヴァルカの疲労の原因の大きな一角を占めているのが自分の行動だという事実からは、一時的に目を背ける。
 心のなかに作成した自分専用の棚の上に、ポイッと投げて見なかったことにする。
 そんなふうに私がヴァルカをどう癒やすか。
 どうしたらふたり揃って気持ちよくなれるか熟考しているあいだにも、ヴァルカの話は続いていた。
「うちの小隊員はみんな揃いだが、それと等しく問題児揃いでもある。そのエースにして筆頭がお前だ、キルエリッチャ・ブレイブレド隊員。その点については自覚はあるか?」
「はい。勿論であります、おっぱい隊長」
 ・・・・・・・・・しまった。
 やってしまったっー!
「・・・・・・・・・ほう、お前は私のことをそう認識していたのか。成程、成程。小隊長として部下への理解がこれでまたひとつ深まったことを、。これでお前に相応しい説教は決まった。今回はその点を重点的に、私と一緒にゆっくりじっくり話をしようじゃないか。それはもうお前が満足するまで、思う存分にな。ああそれと、最初に言っておくが絶対に逃さんぞ?」
 そう告げるヴァルカの氷点下の眼差しは、確かに私の目を奪い釘付けにして離さなかった。
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