ゆえに赤く染まった星にひとりとなって

久末 一純

文字の大きさ
上 下
32 / 45

邂逅、そして会敵の朝✗32

しおりを挟む
 さて、それではアーサを実際どうしてくれようか。
 アーサにどうして差し上げるのが、一番効果的なのだろうか。
 そんなことは、考えるまでもない。
 何故ならアーサ、君は既に私の手のなかにあるのだから。
 それが何を意味するか、君は解っているのかな?
 いや、解っていないからこそ、その余裕の姿なのだろう。
 だが、しかし、もしかして。
 真逆まさか解っていながら、この余裕を見せているのだろうか。
 先ほどまでも意趣返しとばかりに、見せつけているのだろうか。
 前者であると思いたいが、後者ではないとも言い切れない。
 アーサの内面における心象世界は、私でも計り知れないところがある。
 それを言い出したら人間はみんなそうなのだが、そんなことはどうでもいいので割愛する。
 いま考えるべきは、アーサのことについてだけだ。
 アーサがいい子であるのは間違いない。
 可愛らしく愛らしい、純真な子であることも識っている。
 だからといって彼女がかどうかを訊かれたら、私に応える術はない。
 私は、応えるべき答えを持っていない。
 だからこそ、信じるんだ。
 ひとはひとを、信じなければいけないんだ。
 自分のなかに生み出した仮定という名の幻を信じなければ、ひとはひとのなかで交わり生きられない。
 勿論にして無論、私はアーサと際限なく交わってイキたいので信じる以外の選択肢は存在しない。
 畢竟ひっきょう、それは決断しかない選択肢。
 私のなかにあるアーサという存在を、私の意志で信じるのだ。
 たとえそれが、鏡に映った自分自身だったとしても。
 というわけで心の整理がついたところで本題に移行。
 アーサの真意がどちらであったとしても、私のやることに変わりはない。
 何故なら過去は変えられないからだ。
 既に固定された事実は、変質することはないのだから。
 だからアーサ、君への愛情も欲望も、何もかわりはしないのだよ。
 つい先ほどまでこの私の手によって、艶の滴るような声をあげていたじゃないか。
 さんざん啼いて喘いで、私を大いに愉しまてくれたじゃないか。
 当の本人はそんなこと、もうとっくに忘却の彼方だろうが。
 アーサは良くも悪くも、過去にはこだわらない子なのだ。
 それ故に、私は何度でも楽しみ愉しむことが出来るのだ。
 なので、答えは簡単。
 答えは、過去にもう出ているのだ。
 さっきまで私がしていたことと、同じことをしてあげればいい。
 さっきまでアーサがされていたことを、同じように再現してあげればいい。
 そうすればアーサはまた籠のなかの金糸雀カナリアのように素敵な声を、私に聞かせてくれるはず。
 では方針も決まったところで、早速始めるとしようかな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

スライムイーター ~捕食者を喰らう者~

謎の人
ファンタジー
アルル・ジョーカー、十三歳。 盗賊団の下で育ったろくでなしの少女は、新しい人生を求めて冒険者となることを決意する。期待に胸膨らませ、馬車に飛び乗り、大きな街を目指して走り出す。 リンネ・アルミウェッティ、神官。 "捕食者を喰らう者"との二つ名を冠し、ベテラン冒険者へと上り詰めた悪食な神官は、しかし孤独な日々を謳歌していた。 女神の導きにより、出会ってしまった異端な少女たちは、共にコンビを組んで冒険へと繰り出していく。美味なるスライムを求めて彷徨う、飽くなき冒険心が織り成す、一大巨編超大作的なファンタジーの幕開けである。 「お味の方はいかがでしょう?」 「なにこれ、リンネさんの唾液味? それとも胃液味?」 「スライム本来の味です」  これは意外、美味でした。 だいたいこんな感じ! *「小説家になろう」にも投稿しています。 https://ncode.syosetu.com/n7312fe/

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...