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邂逅、そして会敵の朝✗25
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すっかりとしおらしくなったアーサを目の前にして、私は自分の成した結果と成果を確認する。
よしよし、どうやら仕込みは上々だ。
あとは仕上げを御覧じろ、といったところか。
うん、いいじゃないか。
どうやら、ここが私の分水嶺のようだ。
私はこの状況にそう当たりをつけ、次のステップに向けて動きだした。
「それではアーサの様子も落ち着いたようだし、そろそろ作業を再開しようか」
私は自分の言葉が嫌味や皮肉にならなよう細心の注意を払いながら、優しくアーサの背を押した。
「別にあたしはいつも通りだったけど・・・・・・・・・、でもそうだね。早くしないとみんなに遅れちゃう。あっ、でもキルッチにはひとつ言っておくことがあるからね」
「何だい、アーサ?」
アーサは目に力を込め、私の顔を真っ直ぐ見ながら高らかに宣言した。
「絶対に服は脱がないからね!」
・・・・・・・・・何・・・・・・・・・だと・・・・・・・・・。
それじゃあ私は・・・・・・・・・、いままで一体・・・・・・・・・何のために・・・・・・・・・。
私のしてきたことは・・・・・・・・・、全て無駄だったとでも言うのか・・・・・・・・・。
私は心のなかで滂沱と赤い涙を流しながら、突きつけられた無情な宣告を受け容れるしかなかった。
そのためには私の持てる全ての精神力を必要とし、なおかつ消費し尽くしたが。
そうして私は顔で笑って背中で泣いた。
それでも私はきりっとした姿勢を何とか崩さず保ったまま、アーサからの悲しい宣告に冗談を混じえて応えた。
「ハッハッハ。そんなことは当然じゃないか、アーサ。スーツの確認と点検作業をしているというのに、肝心のスーツを脱いでしまっては元も子もないじゃないか。まったく、アーサはそそっかしい子だなぁ。だが、そうだな。そう例えば、だ。これはまったくの仮の話に過ぎないのだが、もしそんなうれ・・・・・・・・・ごほん、大変な状況になってしまったら私は、全裸となったアーサの確認と点検をしなければならなくなってしまうじゃないか。そんな状況は、わたしの本意ではないよ」
私はしれっとそれとなく、言葉のなかに自分の願望を織り込んだ。
そしてそれとはなしにさり気なく、さらっと自分の言葉を偽った。
私は上の口では現実に反発するが、下の口は真実に忠実だ。
それが私の数少ない美徳のひとつであり、数限りない悪徳のひとつであると認識している。
しかし例えでも仮でもなく、本当にそうなったならどれだけの幸せが私の心に満たされることか。
いかんな、想像するだけで心がサタデー・ナイト・フィーバーだ。
そのときが来たならば、それはもう隅から隅まで念入りに確認し点検しなければなるまい。
私という一個の存在の全てを懸けて。
アーサの穴といわず筋といわず、体中を舐め回すように手入れをするのが私自身にかせられた使命であり義務となる。
だがこの願望を真実に改変し、現実に転換するには果たしてどうすればいいのだろうか。
八騎の敵を全て倒して最後まで生き残り、バトルロイヤルに勝利するればいいのか。
それとも星の入ったボールを七つ集めて、出てきた龍にお願いすればいいのか。
はたまた、この世の真理の扉を開けばいいのか。
どれが一番確実性の高い手段なのか、頭のなかで吟味していると。
「キルッチ、それってさっきあたしが言ったことと同じじゃん」
とアーサに突っ込まれてしまった。
アーサから突っ込まれる。
ああ、なんと美しい字面だろうか。
しかし、逆に私がアーサに突っ込むというのも何とも捨てがたく素晴らしい。
いつか実現しないかなぁ。
それこそ実現するならば、私はいかなる手段を取ることも辞さないのは言うまでもない。
「ほら、キルッチ。作業の続きするんでしょ。早くしようよ」
そんな駄目人間の見本のような思考を、アーサが衝撃のひと言で断ち切った。
「あ、ああ。そうだな。早く、そう、早くしないとな」
そうして私はアーサに促さるまま、その魅惑のくびれへと手を伸ばしていったのだった。
よしよし、どうやら仕込みは上々だ。
あとは仕上げを御覧じろ、といったところか。
うん、いいじゃないか。
どうやら、ここが私の分水嶺のようだ。
私はこの状況にそう当たりをつけ、次のステップに向けて動きだした。
「それではアーサの様子も落ち着いたようだし、そろそろ作業を再開しようか」
私は自分の言葉が嫌味や皮肉にならなよう細心の注意を払いながら、優しくアーサの背を押した。
「別にあたしはいつも通りだったけど・・・・・・・・・、でもそうだね。早くしないとみんなに遅れちゃう。あっ、でもキルッチにはひとつ言っておくことがあるからね」
「何だい、アーサ?」
アーサは目に力を込め、私の顔を真っ直ぐ見ながら高らかに宣言した。
「絶対に服は脱がないからね!」
・・・・・・・・・何・・・・・・・・・だと・・・・・・・・・。
それじゃあ私は・・・・・・・・・、いままで一体・・・・・・・・・何のために・・・・・・・・・。
私のしてきたことは・・・・・・・・・、全て無駄だったとでも言うのか・・・・・・・・・。
私は心のなかで滂沱と赤い涙を流しながら、突きつけられた無情な宣告を受け容れるしかなかった。
そのためには私の持てる全ての精神力を必要とし、なおかつ消費し尽くしたが。
そうして私は顔で笑って背中で泣いた。
それでも私はきりっとした姿勢を何とか崩さず保ったまま、アーサからの悲しい宣告に冗談を混じえて応えた。
「ハッハッハ。そんなことは当然じゃないか、アーサ。スーツの確認と点検作業をしているというのに、肝心のスーツを脱いでしまっては元も子もないじゃないか。まったく、アーサはそそっかしい子だなぁ。だが、そうだな。そう例えば、だ。これはまったくの仮の話に過ぎないのだが、もしそんなうれ・・・・・・・・・ごほん、大変な状況になってしまったら私は、全裸となったアーサの確認と点検をしなければならなくなってしまうじゃないか。そんな状況は、わたしの本意ではないよ」
私はしれっとそれとなく、言葉のなかに自分の願望を織り込んだ。
そしてそれとはなしにさり気なく、さらっと自分の言葉を偽った。
私は上の口では現実に反発するが、下の口は真実に忠実だ。
それが私の数少ない美徳のひとつであり、数限りない悪徳のひとつであると認識している。
しかし例えでも仮でもなく、本当にそうなったならどれだけの幸せが私の心に満たされることか。
いかんな、想像するだけで心がサタデー・ナイト・フィーバーだ。
そのときが来たならば、それはもう隅から隅まで念入りに確認し点検しなければなるまい。
私という一個の存在の全てを懸けて。
アーサの穴といわず筋といわず、体中を舐め回すように手入れをするのが私自身にかせられた使命であり義務となる。
だがこの願望を真実に改変し、現実に転換するには果たしてどうすればいいのだろうか。
八騎の敵を全て倒して最後まで生き残り、バトルロイヤルに勝利するればいいのか。
それとも星の入ったボールを七つ集めて、出てきた龍にお願いすればいいのか。
はたまた、この世の真理の扉を開けばいいのか。
どれが一番確実性の高い手段なのか、頭のなかで吟味していると。
「キルッチ、それってさっきあたしが言ったことと同じじゃん」
とアーサに突っ込まれてしまった。
アーサから突っ込まれる。
ああ、なんと美しい字面だろうか。
しかし、逆に私がアーサに突っ込むというのも何とも捨てがたく素晴らしい。
いつか実現しないかなぁ。
それこそ実現するならば、私はいかなる手段を取ることも辞さないのは言うまでもない。
「ほら、キルッチ。作業の続きするんでしょ。早くしようよ」
そんな駄目人間の見本のような思考を、アーサが衝撃のひと言で断ち切った。
「あ、ああ。そうだな。早く、そう、早くしないとな」
そうして私はアーサに促さるまま、その魅惑のくびれへと手を伸ばしていったのだった。
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