ゆえに赤く染まった星にひとりとなって

久末 一純

文字の大きさ
上 下
25 / 45

邂逅、そして会敵の朝✗25

しおりを挟む
 すっかりとしおらしくなったアーサを目の前にして、私は自分の成した結果と成果を確認する。
 よしよし、どうやら仕込みは上々だ。
 あとは仕上げを御覧じろ、といったところか。
 うん、いいじゃないか。
 どうやら、ここが私の分水嶺のようだ。
 私はこの状況にそう当たりをつけ、次のステップに向けて動きだした。
「それではアーサの様子も落ち着いたようだし、そろそろ作業を再開しようか」
 私は自分の言葉が嫌味や皮肉にならなよう細心の注意を払いながら、優しくアーサの背を押した。
「別にあたしはいつも通りだったけど・・・・・・・・・、でもそうだね。早くしないとみんなに遅れちゃう。あっ、でもキルッチにはひとつ言っておくことがあるからね」
「何だい、アーサ?」
 アーサは目に力を込め、私の顔を真っ直ぐ見ながら高らかに宣言した。
「絶対に服は脱がないからね!」
 ・・・・・・・・・何・・・・・・・・・だと・・・・・・・・・。
 それじゃあ私は・・・・・・・・・、いままで一体・・・・・・・・・何のために・・・・・・・・・。
 私のしてきたことは・・・・・・・・・、全て無駄だったとでも言うのか・・・・・・・・・。
 私は心のなかで滂沱と赤い涙を流しながら、突きつけられた無情な宣告を受け容れるしかなかった。
 そのためには私の持てる全ての精神力を必要とし、なおかつ消費し尽くしたが。
 そうして私は顔で笑って背中で泣いた。
 それでも私はきりっとした姿勢を何とか崩さず保ったまま、アーサからの悲しい宣告にを混じえて応えた。
「ハッハッハ。そんなことは当然じゃないか、アーサ。スーツの確認と点検作業をしているというのに、肝心のスーツを脱いでしまっては元も子もないじゃないか。まったく、アーサはそそっかしい子だなぁ。だが、そうだな。そう例えば、だ。これはまったくの仮の話に過ぎないのだが、もしそんなうれ・・・・・・・・・ごほん、大変な状況になってしまったら私は、。そんな状況は、
 私はしれっとそれとなく、言葉のなかに自分の願望を織り込んだ。
 そしてそれとはなしにさり気なく、さらっと自分の言葉を偽った。
 私は上の口では現実に反発するが、下の口は真実に忠実だ。
 それが私の数少ない美徳のひとつであり、数限りない悪徳のひとつであると認識している。
 しかし例えでも仮でもなく、本当にそうなったならどれだけの幸せが私の心に満たされることか。
 いかんな、想像するだけで心がサタデー・ナイト・フィーバーだ。
 そのときが来たならば、それはもう隅から隅まで念入りに確認し点検しなければなるまい。
 私という一個の存在の全てを懸けて。
 アーサの穴といわず筋といわず、体中を舐め回すようにをするのが私自身にかせられた使命であり義務となる。
 だがこの願望を真実に改変し、現実に転換するには果たしてどうすればいいのだろうか。
 八騎の敵を全て倒して最後まで生き残り、バトルロイヤルに勝利するればいいのか。
 それとも星の入ったボールを七つ集めて、出てきた龍にお願いすればいいのか。
 はたまた、この世の真理の扉を開けばいいのか。
 どれが一番確実性の高い手段なのか、頭のなかで吟味していると。
「キルッチ、それってさっきあたしが言ったことと同じじゃん」
 とアーサに突っ込まれてしまった。
 アーサから突っ込まれる。
 ああ、なんと美しい字面だろうか。
 しかし、逆に私がアーサに突っ込むというのも何とも捨てがたく素晴らしい。
 いつか実現しないかなぁ。
 それこそ実現するならば、私はいかなる手段を取ることも辞さないのは言うまでもない。
「ほら、キルッチ。作業の続きするんでしょ。
 そんな駄目人間の見本のような思考を、アーサが衝撃のひと言で断ち切った。
「あ、ああ。そうだな。早く、そう、
 そうして私はアーサに促さるまま誘惑、その魅惑のくびれへと手を伸ばしていったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

スライムイーター ~捕食者を喰らう者~

謎の人
ファンタジー
アルル・ジョーカー、十三歳。 盗賊団の下で育ったろくでなしの少女は、新しい人生を求めて冒険者となることを決意する。期待に胸膨らませ、馬車に飛び乗り、大きな街を目指して走り出す。 リンネ・アルミウェッティ、神官。 "捕食者を喰らう者"との二つ名を冠し、ベテラン冒険者へと上り詰めた悪食な神官は、しかし孤独な日々を謳歌していた。 女神の導きにより、出会ってしまった異端な少女たちは、共にコンビを組んで冒険へと繰り出していく。美味なるスライムを求めて彷徨う、飽くなき冒険心が織り成す、一大巨編超大作的なファンタジーの幕開けである。 「お味の方はいかがでしょう?」 「なにこれ、リンネさんの唾液味? それとも胃液味?」 「スライム本来の味です」  これは意外、美味でした。 だいたいこんな感じ! *「小説家になろう」にも投稿しています。 https://ncode.syosetu.com/n7312fe/

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

追い出された万能職に新しい人生が始まりました

東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」 その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。 『万能職』は冒険者の最底辺職だ。 冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。 『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。 口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。 要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。 その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

処理中です...