ゆえに赤く染まった星にひとりとなって

久末 一純

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邂逅、そして会敵の朝✗18

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 とはいえ、隊長の命令はまさに鶴の一声。
 軍に所属しこの隊に配属されている我が身としては、従う以外の選択肢はない。
 命令に、従うこと。
 これはもう、軍人である以上絶対だ。
 軍隊とは、軍人とは、突き詰めていけばこれが全てだ。
 この機能を十全に果たすためだけに、日頃の訓練も厳しい軍規もあると言っても過言ではない。
 故にこの隊を預かる最高階級保持者のヴァルカのお達しには、実効力と拘束力が備わっている。
 ヴァルカに目をつけられてしまったからには、ここで私のビバ・ノウレッジ至福の時間は虚しく終わりを迎えるのか。
 否、断じて否だ。
 いかなることにも例外は存在し、そして同じく抜け道もまた存在する。
 それはまさしく張り巡らされた蜘蛛の糸を縫って進むに等しい行為だが、私なら出来る。
 少なくともそうであると、私は私自身を信じている。
 アーサの極上の肉体を、まだまだ堪能するために。
 私のビバ・ノウレッジ至福の時間を、一秒でも長く続けるために。
 そのためなら私は、何でもすると覚悟を決めた。
 尊敬するヴァルカの言葉に反するのは軍人としては心が軋み、個人としても心が痛むが、致し方ない。
 なんだかさっきから仕方ないとばっかり言っている気がするが、それこそ仕方のないことなんだ。
 決して自己を正当化したり、罪悪感を減じるための言い訳として使用している訳ではない。
 仕方がないものは、仕方がないのだ。
 そうやって、割り切っているだけだ。
 その思考が既に言い訳以外の何物でもないのだが、私は全力で目を逸らす。
 その逸らした目の先にいるのは、そう他でもない、可愛い可愛いアーサだ。
 私の熟練の技により息も絶え絶えとなったアーサが、壁にもたれかかって荒い息を吐いていた。
 その姿の、なんと欲情を掻き立てることか。
 熱っぽく吐かれる吐息には、濡れたような艶を帯びている。
 どこを見ているともしれない目はトロンと霞がかっていて、ほとんど焦点を結んでいない。
 無防備にしなだれかかった姿勢がアーサの健康的な肉体のラインを強調し、浮き彫りにする。
 そして無意識に右の肘を掴んでいる左腕が、先程まで私にされるがままだったアーサの胸を押し上げている。
 偶然にも、そのツンと突き出た先端と目が合った。
 それが、またしても私の衝動を喚起する。
 ああ、また揉みたい。
 あの感触を、もう一度と言わず味わっていた。
 だが、駄目だ。
 ここは、ここだけは本当に我慢しなければならない。
 次のステップへと進むために。
 私は鼻血と血涙を堪えながら、アーサの耳許へと自分の唇を寄せていった。
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