Lovely Eater Deadlock

久末 一純

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一番大事な仕事の基本~その八~

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 亜流呼が開けた穴から施設内部へと無事侵入を果たし、しばらく迷宮内ダンジョン内を歩き回ってみたがいまのところ特筆すべき成果は何もない。
 最初に遭遇した知らない誰か不運な男以降、この施設自体の敵戦力情報源とも亜流呼の言っていた謎の連中とやらとも出会っていない。
 当然ながら今回の仕事における最重要目標であり最大完遂事項である、依頼人がと申告したという未だ正体不明の品の奪還に関しても状況の進捗はない。
 ただ内部を歩き回れば回るほど、冗談であって欲しいという願いに対して現実の主張が強さを増してくる。
 もし今目の前にこの施設の設計者だか建造責任者だか知らないが、とにかくを造るのに関わった奴らがいれば、その頭をぶち開けてを造ったのか納得いくまで訊いたうえで、気が済むまで責め立てたい。
 現在で亜流呼が敵戦力を引きつけてくれている地上にされている。俺たちがこの施設そのものだと判断し、何重にも偽装が施されあらゆるものの眼から隠されたていた建築物には
 何故ならのほとんどのはこの施設のいからだ。
 俺と傷仁が侵入し、蟻の巣よりも深く掘られ、いくつもの通路が広がり、複雑に入り組んだ
 俺がこの地下まで降りてきた穴の断面が、底に到達するまで
 地下を歩き回っている間、下へと降りる階段はいくつもあったが
 恐らく地上部分でも稼働しているのは施設内への正規の入り口、物資の搬入口と作業用区画、あとは電力、ガス、水道、空調といった、ライフラインとインフラ設備くらいだろう。
 それも全て地上一階部分のごく限られた箇所にまとめて造られているはずだ。
 でなければこんなものを造った意味がない。
 実際にうちの調査課が地上の構造部分での人員や物資の出入りを調査し、追跡していた目的の品が運び込まれたあとに動きがないことを確認したうえでこの施設への襲撃の裏付けとしたはずだ。
 しかし内部構造までは調べきれなっかったようだ。
 でなければ亜流呼の説明はもう少し詳しく具体的かつ明確なものになっていただろう。
 それでも十分以上の調査能力だが、まさかこんな馬鹿げたものを実際に造る馬鹿がいるとは思はなかったろう。
 それは調査班だけでなく俺たち全員が同じことを思ったことだろう。
 こんな可能性は事前の作戦会議やブリーフィングでもでてこなかったのだから。
 その意味で相手の偽装は成功し、俺たちは一杯食わされたと言っていい。
 本来の想定としてはここまでの道中に仕掛けられた罠の数々で疲弊し損耗した侵入者を、地上構造部分の地下との連結部ではない別の内部に誘い込み狭い空間で身動きが取れないとことを囲んで殲滅、排除するのが基本的な迎撃手段なのだろう。
 木を隠すなら森の中というが、森を隠すために自然を造り出したようなものだ。しかも本当に隠されていたのはその根っこだ。
 ただそんな思いをしたのは今夜は相手も同じだろう。
 上空からの襲撃は敵の展開速度からみればまだ想定内だったとしても、それが鎧袖一触片付けられ挙げ句にこの屋根を一直線に施設本陣まで貫通させる鹿がいるとは想定外だったろう。
 そう考えれば多少は溜飲が下がというものだ。
 奇しくも俺たち三人が降りてった場所が屋上だとか屋根の上だと言っていたのはまさしく正解だった。
 ただその屋根板がここまで大きく分厚いとは思っても見なかっただけの話だ。
 亜流呼が上に戻ってきたのも頷ける話だ。
 、こんな窮屈な地下での探索や捜索は確かに亜流呼に向いていない。
 それに内部で火災が起きたら一大事だ。確実に消火装置は設置されているだろうが、そんなもな確実に役に立たないだろうことは考えなくても分かる。
 いまのところ何の障害もなければ何の損害もない。
 つまりは何も問題ないということだ。
 まあほとんど、というより全て亜流呼と傷仁のおかげだが。
 しかしそう考えるとこの施設、一度入るとそう簡単には地上に出られないのではないだろうか。
 階段がないことをみると恐らく物資搬入用とは別に人員輸送用のエレベーターがあるのだろうが、きっと大した輸送人数ではないだろうし、なによりここまで手の込んだ手の入れように偽装を施したのだ。
 人員の補充や入れ替え自体が稀だろう。
 多分いや確実にこの施設は外部から切り離されても完全に独立して機能できる。
 地上部分の設備は念の為と効率を優先させて設置されているだけなのだろう。
 もっと詳しく探せば見付かるだろうが、食料生産プラントや発電所、空調設備など研究と生活に必要なものは全てこの地下で完結しているはずだ。
 そんな引きこもりの理想郷、別名地の獄で闇雲に歩き回っても埒が開かないさてどうしようかと思ったまさにそのとき。
 一匹の黒い蝶がひらひらとこちらへ真っ直ぐに向かってきた。
 やはり俺に福音を告げるのは常に姉なのだと再認識しながら、次の行動を定めるため蝶の羽根を手に取った。
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