92 / 125
【四章】王と魔王
十八話*
しおりを挟む笑う俺を見てクワルクは恥ずかしそうに顔を赤くした。
照れ隠しなのか少し乱暴に俺の両手首を捕え、ベッドに押し倒した。ボフッと勢いよく俺の背中がベッドに沈み、スプリングが軋む。
俺を見下ろすクワルクが、欲情を孕んだ熱っぽい声で言った。
「貴方の中も……私の欲望で汚して良いですか」
問いかけというより、決定事項の宣言といった意志の強さを感じる。
勿論、俺だってそのつもりなのだ。理由なんかなくても抱いて欲しい。愛されたい。その欲望で体中を満たして欲しい。
「ああ。この身体にも教え込んでくれるのだろう? 愛も、快楽も」
「お任せください」
その言葉を皮切りに、再び深い口付けを交わしてクワルクは手を俺の胸元へ移動させた。
ルーシャンよりもボリュームのある胸の感触を楽しむように、クワルクは何度も何度も両胸を揉んでいる。
キスを終えたクワルクの顔を見れば、恍惚の表情を浮かべていた。
「ああ、この豊満な御身体……とても、とても美しいです……ルービン様」
「んっ……ん……」
「……ふふ……ルービン様のここ、尖ってきましたね」
「くッ……うぁ!?」
クワルクが俺の乳首を舌先で舐めた。
この身体では初めてのはずの刺激が、想像以上の快感をもたらして俺は驚きに目を見開いた。しかし、驚いたのはクワルクも同様だったらしい。
「おや……ルービン様に才能がおありなのか、それともルーシャンの時に脳で覚えた感覚が反映されているのか……そうなると、脳というのは物質的な構造よりも魂に直接の繋がりが深い、という事に……?」
クワルクの目つきが変わり、独り言のように考えを口に出している。
すぐに研究者の顔になるのは四人の悪い癖だと思う。それも魅力ではあるのだがムードもへったくれもない。
別に俺だってムードを求めるようなタイプでもないが、愛し合おうとしている所で他の事に熱中されてしまうと、嫉妬に似た感情が湧くのは仕方のない事だと思う。
俺はクワルクの頬をむにっと摘まんだ。
「考えるくらいならもっと俺の身体を調べれば良いだろう。直接触れるよりも想像の俺の方が良いというのか?」
挑発するように言えばクワルクがハッとしたように首を横に振り、俺の手を優しく頬から外した。
「大変失礼致しました。原因を考えるよりも、今はこの魅力的な肌をしっかりと味わうべきですね」
「研究熱心であるのは魔術師としては正解だが、恋人としてはまだまだ互いに勉強が必要だな」
「はい、精進致します」
天才魔術師にも恋愛は難しいらしい。
完全無欠の臣下が、実は不器用で人間らしい所があるのだと知る事ができた俺は四人に対して更に愛しさがこみ上げた。
クワルクは意識をこちらに戻し、俺の乳首を執拗に責める。
「あっ、ン……ん、くぅッ……」
「あぁ……こんなにも敏感に反応していただけるなんて」
片方の乳首はおしゃぶりにでもされたように常に口に含まれ、吸ったり舐めたり噛んだり好き放題されている。
乳頭から甘い痺れが走り続け、俺はその快楽に止めどなく身を震わせていた。
「ん……ん……くっ……ぁ……あッ」
「はぁ……ルービン様……ずっと……こうしてたい……」
しゃぶるのを止め、うっとりと俺の乳首を見つめたクワルクがそう呟き、再び吸い直す。
最初は性的な触れ方だったのだが、もう途中からはただただ好きで吸っている感じになった。赤子でもここまで吸い続けないと思う。
「触り、過ぎだッ……そこばかり……!」
吸われていない反対側の乳首は粘液を塗りたくられ、摩擦で傷付かないようにしてからずっと指でも弄られていた。
形をなぞったり、乳輪だけを撫でたり、指の腹で押してみたり、先端をこねくり回したり、引っ張られたり、とにかくクワルクの長い指で弄ばれ続けた。
むず痒いような、強過ぎない快楽に延々と炙られた身体はどうにかなってしまいそうだ。
胸の刺激で俺の性器は硬く張り詰め、イけそうでイけないもどかしさに涙が出そうだった。
「クワルク……も……つらい……」
「辛い、とは……こちらの事ですか?」
「ぁっ……!」
俺が辛さを訴えると、クワルクは人差し指で俺の性器をツンと一度だけつつく。それだけで達してしまいそうなのにどうしても射精できなかった。
ルーシャンの身体なら胸だけでも達せるのに、と考えてしまう。我ながら好色に染まってしまったと思う。
何でもいいからこの中途半端な快楽から解放して欲しいのだが、クワルクが神妙な顔つきで言った。
「実は今、とても難しい問題に直面しております」
「……んん?」
「臣下としては、性器に直接触れて王の願いを叶えたい。しかし、恋人としては最初から私のもので中だけで達する所を見たい、という願望が入り乱れており……」
「真面目に悩むのはそこなのか……?」
悩むまでもなく恋人としてしたい事をすれば良いのだ。
四人の中で最も臣下としての忠義が厚いクワルクだから、切り替えが難しいのだろうか。
ルーシャンの時はそこそこフランクに接してくるのに、やはりルービンであるというのはクワルクにとって特別なのだろう。それならば対策は一つだ。
「クワルク、命令だ。恋人としての欲求のみで行動しろ」
「ッ……! 御意のままに!」
命令するなんて一番恋人ムーブから離れている気がするが、クワルクはウキウキとした表情になっているので正解だったようだ。
10
お気に入りに追加
1,690
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される
秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】
哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年
\ファイ!/
■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ)
■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約
力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。
【詳しいあらすじ】
魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。
優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。
オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。
しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。
異世界に転移したショタは森でスローライフ中
ミクリ21
BL
異世界に転移した小学生のヤマト。
ヤマトに一目惚れした森の主のハーメルンは、ヤマトを溺愛して求愛しての毎日です。
仲良しの二人のほのぼのストーリーです。
ちょろぽよくんはお友達が欲しい
日月ゆの
BL
ふわふわ栗毛色の髪にどんぐりお目々に小さいお鼻と小さいお口。
おまけに性格は皆が心配になるほどぽよぽよしている。
詩音くん。
「えっ?僕とお友達になってくれるのぉ?」
「えへっ!うれしいっ!」
『黒もじゃアフロに瓶底メガネ』と明らかなアンチ系転入生と隣の席になったちょろぽよくんのお友達いっぱいつくりたい高校生活はどうなる?!
「いや……、俺はちょろくねぇよ?ケツの穴なんか掘らせる訳ないだろ。こんなくそガキ共によ!」
表紙はPicrewの「こあくまめーかー😈2nd」で作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる