魔物になった四人の臣下を人間に戻すため王様は抱かれて魔王になる

くろなが

文字の大きさ
上 下
57 / 125
【三章】人魔の王

八話*

しおりを挟む
 

 ウルダと位置を入れ替えて俺の正面に来たリヴァロが顔を覗き込む。


「ルーシャン、キスしてもいいか……?」


 恐る恐るといった様子で聞いてきた。今更そんな確認必要ないのに律儀なものだ。
 

「……構わないが、改めて聞かれると照れるな」


 そう答えながらもリヴァロに乳首を散々いじめられた事を思い出していた。ずっとされっぱなしというのも性に合わない。俺は上体を起こしてリヴァロに顔を寄せた。


「ん!?」


 リヴァロの顎を掴み、激しく口付けて先制攻撃だ。
 歯列をこじ開けて中に舌を侵入させて戸惑うリヴァロの舌を捕える。俺からしてくると思っていなかったであろう。リヴァロの動きがぎこちない。動揺が手に取るようにわかって楽しくなってきた。
 もっと深くリヴァロの舌を絡め、リヴァロの前開きのシャツのボタンを外し、胸元に手を差し込んで撫でる。


「ん……んぅ……ふ……ッ!?」


 リヴァロは慌てたようにくぐもった声をあげた。
 必死に俺から体を離そうとしたが、俺だって鍛えているのだ。そう簡単には外せまい。


「んっ、ぷはっ……ちょ、ルーシャン、離せ!」
「ふふ、俺だってリヴァロのココを触ってみたい」


 胸筋に手のひらをゆっくりと這わせると、リヴァロがビクリと震えた。


「も、もういいだろ!?」


 顔を真っ赤にして焦る姿がとても可愛い。慌てると目が泳ぐ所も昔のリヴァロと変わらなくて安心する。
 俺を傷付ける事を恐れて抵抗できない所も愛おしい。
 それでもあまり苛めても可哀想だから、最後に軽く乳首周辺を撫でるだけで解放してやった。


「リヴァロも胸に触れられる経験した方が面白……ためになるかなって」
「ひでぇ、面白いって言った!」


 リヴァロは仕返しとばかりに俺を押し倒して激しく口付けた。


「ぅわっ……ッんぐ……」


 リヴァロは俺の胸元をまさぐり、指先で乳頭を押し潰して刺激してくる。先程までのウルダとの情交で火が点いている身体が再び反応を示した。


「は……ぁ……ん、ふっ……ぅ……ッ」
「ん……ルーシャンは年下なんだから、お、俺に任せたらいいんだ……」


 ぎこちないが、余裕を演出しようとリヴァロが低く俺に囁く。
 どうやらリヴァロは俺に対して年上ぶりたいようだ。若い事を自慢に思えば良いものを、昔からリヴァロは皆に比べて貫禄がないとずっと気にしていた。
 やっと自分よりも年下だと思われる存在が現れて嬉しいのだろう。しかし、残念なお知らせがある。


「俺は今25歳だ。塔に入った頃のリヴァロより年上なのだが」
「え……嘘、詐欺じゃん……」


 想像以上にリヴァロはショックだったようで、打ちひしがれた表情をしている。
 俺がルーシャンとして生まれた国は、他の国の人種よりも幼く見えるため普段から実年齢よりも若く見られる事が多い。
 リヴァロは俺がシャウルスくらいの年齢だと思っていたのかもしれない。


「なんだ? 年上の俺は嫌いか?」


 リヴァロの額にキスをしてそう聞けば、頬を染め、照れたように言った。


「……好きに決まってんじゃん……ルービン様も、ルーシャンも、どっちも大好きだ」
「リヴァロ……んっ……」


 再び唇を重ねられ、リヴァロが俺の衣服を少しずつ脱がしていく。
 下着すらも脱がされ、完全に生まれたままの姿となった。何も纏っていなければ、それはそれで恥ずかしいのだから不思議なものだ。

 リヴァロもバサリと服を脱ぎ捨てた。
 脱ぐとよくわかるのだが、腹筋が綺麗に盛り上がっているし、腕の逞しさも塔に入る前の倍はありそうだ。
 典型的なガリ勉君だったのに、今ではファイター顔負けの肉体美を持っている。
 ルービンへの憧れだとしても、塔のような限られた施設では相当の努力が必要だっただろう。


「……良い男になったなぁ……」
「へっ……!?」


 俺は自然と感嘆の言葉を漏らしていた。
 突然の褒めに対応しきれなかったリヴァロが素っ頓狂な声をあげた。
 そのやり取りを見たウルダが、慌てたようにローブをハラリと脱ぎ落して素肌を見せつけてくる。


「ルーシャン! ウルダも、見て、ホラ、頑張った!」

 
 かなり細身なのは昔から変わらないが、ウルダの肉体もなかなか良い仕上がりだった。
 昔のガリガリという印象は無くなり、しっかりと筋肉の凹凸が見えて色気が出たように思う。脂肪が付きにくいタイプだろうによく頑張ったものだ。


「ほんとだ……ウルダもカッコ良くなったな」
「えへへ、嬉しい。四人でルービン様、何が一番好きかな、って話し合ってた。そしたら、筋肉って結論出たから、鍛えた」


 うん、そうだな。俺、筋肉大好き。
 何も間違えていないが、俺の四人からの印象ヤバいな。
 筋肉マウントを取りまくっていた過去を考えれば、そう思われるのは当然なのだが。自らの脳筋っぷりを少しだけ反省した。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

処理中です...