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【三章】人魔の王

五話* ウルダ+リヴァロ×ルーシャン

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 俺が幸せを噛み締めていると、リヴァロとウルダの熱い視線に気付いた。
 さっきまで俺はリヴァロとウルダの頭を撫でていたから、二人との距離は近い。
 目が合うと、興奮気味にウルダが俺の胸に触れてきた。その性的な動きに一気に空気が妖しくなる。


「んっ……いきなりだな……っ」
「いきなりじゃない、ずっと、待ってた。また、こうしてルーシャンに触れられるの……」


 ウルダの荒い息遣いが耳元でする。
 吐息が熱い。ウルダは俺の頬や耳たぶを唇だけでみ、そのくすぐったさによって、俺の興奮に火がついた。
 しかし、この熱が伝染したのは俺だけじゃなかった。リヴァロが無遠慮に衣服の隙間を割って、俺の内腿の際どい部分を撫でてきたのだ。


「はぁ、う……アッ……!」
「ルーシャン……俺も触りたい……もっと沢山……」


 そのままリヴァロは俺の尻の割れ目に指を這わせた。すぐにでも繋がりたいという願望を隠しもしない。
 魔物化などしていなくても、リヴァロとウルダが本当に俺を求めているのだと実感する。
 俺もこのまま流されてしまいたかったが、理性をかき集めて二人を制止した。


「リヴァロ、ウルダ……ちょっとだけ、待て……」
「……ん」


 俺の言葉に二人は少しだけ動きを止めた。二人の表情は不満というよりも悲し気で罪悪感が凄い。
 俺だって早くしたいよ。意地悪で言っているわけではないのだ。

 パッと見た感じ、今いる石造りの部屋はギリギリ寝泊まりができるくらいの完成度だ。ほとんど防犯設備もない状態で全員が性行為に耽って奇襲でもされたら、いくら皆が強くてもピンチに陥るだろう。
 俺は、まだ様子を見ているだけのクワルクとエダムに声を掛けた。


「あの……クワルク、エダム、こんな状況で悪いのだが……この拠点の強化を頼めないだろうか」


 塔近辺に今までほとんど誰も寄り付かなかったのは、恐怖の対象である魔物四天王という架空の存在があったからだ。
 しかし、塔が倒れた今、その抑制効果が無くなったと考えた方が良い。
 シャウルスがある程度は手を回しているだろうが、興味本位でこの地を訪れる者は増えるはずだ。どんな相手が来ても対処できるようにしておきたい。
 俺の願いを聞き入れたクワルクとエダムは、すぐにベッドからおりて頷いてくれた。


「ええ、お任せを。直ぐに建物全体の強度を高め、結界も厚くします」
「じゃあ僕は、侵入者を探知できる仕掛けを森に張り巡らしてきましょうかねぇ」


 理解が早くて助かる。
 恐らく俺に言われなくても近々やろうとしていた事なのだろう。本当に頼りになる。


「すまない、よろしく頼む」
「んふふ。僕達へのご褒美も期待してるよ、ルーシャン」


 エダムがそう言って俺の唇にキスして部屋から出て行った。
 まあ、追い出すみたいな形になってしまったから、できる限りの要望は叶えてやりたい。
 が、エダムが相手ではとんでもない要求がきそうで怖い。怖いなんて思いながら、俺は勝手に恥ずかしい要求を期待して興奮していた。
 ああ、俺はなんてはしたない存在になってしまったんだ。


「明日が楽しみですね、ルーシャン。では行ってきます」


 クワルクもとびきりの笑顔で告げて出て行った。
 自然と明日も二人同時に相手をする事になったみたいだな。塔初日の仕切り直しと思えばそれも良いかもしれない。
 当たり前のように複数での行為を受け入れてしまう自分の変化に衝撃を受けるものの、こんな自分にも慣れなければならない。
 人魔化で生まれる獣のごとき欲望は、変えようとして変えられるものではないのだから。

 性に奔放になりつつある己に、ほんの少しだけ凹みはしたが、すぐにそんな考えも消え失せた。
 視界にウルダの顔が映ったと思ったら、激しく口付けられたのだ。


「んん、んッ……ん、ぐ……っんぅ」
「ん、ぅん……はぁ……ルーシャン……ルーシャン……ねえ、もう、していい?」


 雨に濡れた子犬のごとき表情で迫られて断れるわけがない。最初から拒否するつもりなんてないけど。
 淫乱だと思われても構わない。俺は素直に求めた。


「……ふふ、そうだな。俺もしたい」
「っおい、ルーシャン! ウルダ甘やかすと即突っ込まれるぞ」


 リヴァロが俺を抱き寄せてウルダから距離を取った。
 ガルガルと威嚇でもしそうな剣幕だ。リヴァロのそんな心配性な所も可愛いんだよな。
 しかし、ウルダは納得のいかない顔で首を傾げてリヴァロに反論した。


「えー? ルーシャンは、そっちの方が、嬉しい……でしょ? 強引にされると、喜ぶよ?」


 ウルダはリヴァロの腕の中から俺を奪い、そのままベッドに押し倒した。
 俺の脚を掴んで大きく開かせ、服の裾を捲りって下半身を露わにする。
 下着の隙間からカシュが俺の後ろからズルリと出てきて、その後には透明の液体がコポリと溢れ出てくる。


「あ、あまり、見ないでくれ……」
「……すげぇ」


 挿入を期待しているみたいに濡れそぼる俺のアナルを見たリヴァロの顔が真っ赤になりながらも感想を零す。普通では無くなった肉体を再認識させられて、羞恥で俺の顔も熱くなった。

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