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【三章】人魔の王
四話
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クワルクには以前から崇拝されているとは思っていたが、まさかそういう方向でも好かれていたとは。
これは多分、告白というやつなのだろうが、驚くほどロマンチックさがない。
だが俺の不安が軽くなったのは確かだ。ちゃんとクワルクも行為を望んでくれているのなら良かった。
俺がホッと表情を緩めると、横からハイハイと右手を上げてエダムが発言する。
「ちなみに僕はずっとルービン様を食いたいとは思っていたけど、その願望は塔まで持っていったから褒めて欲しいなぁ」
おい、エダムよ。そんな『墓まで持っていきました』みたいに言ってるけど結局掘り起こしてるじゃねーか。
どこに褒める要素があるんだ。まあ、清々しいほどにヤりたい気持ちは伝わってきたから良いけど。
それにエダムの事だ、重くなりすぎないようにあえて軽い言葉を選んでいるのだろう。俺とエダムの間に信頼関係があるからこそ言えるのだ。
今度はウルダが挙手して前のめりに話し出す。
「ウルダも、ルービン様、大好きだから、ルーシャンも好きになった。守りたいなって思う。少し、ルービン様への気持ちとルーシャンへの気持ちは、違うかもしれないけど……好きな気持ちは、ずっとある。好きだから、いっぱいセックスしたい、って思う!」
なんだろう。塔の時よりも更に童貞ボーイの勢いを感じる。がっつき具合はピカイチだな。そこが可愛いのだが。
ついついウルダの頭を撫でてサラサラした髪を堪能していると、リヴァロが俺の袖を掴んだ。
「お、俺も……ルービン様がずっと、好きだった……。歳の差があるし想いを伝えるのは諦めてたけど……。ルーシャンは、塔に入った時の俺とかなり年齢が近そうだし、もっと親しみやすくなったっていうか……えっと、だから、俺を前より男として見てもらえるんじゃないかなって……思って……!」
しどろもどろになりながらも、必死に言葉を紡ぐリヴァロが一番告白感がある。
生まれ変わらなければ知る事のなかった事実が次から次へと伝えられ、しばらくは他人事のように聞いていた。それも時間が経てばジワジワと俺の全身に染み渡って来る。
四人の想いを必死に頭の中で噛み砕いて飲み干せば。さっきまでとはまた違った恥ずかしさが込み上げてくる。
しかし、それ以上に申し訳なさも襲ってきた。
恋愛なんて感情の振れ幅が大きいものは、王である俺にとって最も縁が無いものだった。
真っ先に排除するべき感情だったから、恋というものがどうしてもわからなかった。四人の気持ちは嬉しいのだが、それ以上の考えを放棄するみたいに頭が空っぽになる。
だから四人と同じ想いを返してやれない。皆の気持ちに真剣に応えたいからこそ、俺は正直にそう告げようとした。
「……俺は、その……これまで恋愛をできる立場ではなかったから……お前達のような感情は──」
そこまで言った時点で俺の唇にクワルクの人差し指が押し当てられ、言葉を止められてしまう。だが、俺を見る四人の視線はとても温かいものだった。
「そんな事、私達が誰よりもわかっています。ずっと貴方を見続けていたのですよ。ルーシャンに同じ気持ちは求めていません。ただ知ってくれれば良いのです、私達四人が貴方を心から愛していると」
そうだ、俺も愛している。恋愛かはわからないが、俺は確かに四人を愛している。
俺にとって四人の存在は、家族とも言えるし、唯一無二の親友とも言えるし、信頼のおける相棒とも言える。様々な愛情が絡み合っている分、とても強い想いだと俺は信じている。
お前達が全てを捧げてくれたように、俺もお前達に全てを捧げて良い。これが愛でなくてなんだというのだ。
「俺も、お前達を心から愛している。それだけはずっと変わらない」
なんの衒いもなく俺は伝えた。
完全に同じ感情ではなくても、愛しているという気持ちは同じなのだ。
今はまだ恋がわからなくて良い。俺の“愛している”という言葉の中に、今後も沢山の感情が増えていくだろう。
俺にとって恋愛は自由の象徴だった。
ルービンにはできなかった事も、ルーシャンならできる。
ある程度冷静になった今でも、俺は四人と体を重ねたいと思っているのだから、いずれ恋愛感情もわかるようになるかもしれない。
俺の中に、未知に触れた子供のようにワクワクとした気持ちが湧いてくる。
これからの未来が楽しみだなんて、四人を失ってからずっと忘れていた感覚だ。
四人は俺の言葉を聞いて笑った。
「生まれ変わってまで会いに来た人の言う事は説得力が違うなぁ」
「ふふ……本当に」
「みんな、愛されてる」
「最高のご褒美じゃん!」
四人はと口々に話し、笑っていた。ちゃんと俺の想いが伝わっているなら何よりだ。
これは多分、告白というやつなのだろうが、驚くほどロマンチックさがない。
だが俺の不安が軽くなったのは確かだ。ちゃんとクワルクも行為を望んでくれているのなら良かった。
俺がホッと表情を緩めると、横からハイハイと右手を上げてエダムが発言する。
「ちなみに僕はずっとルービン様を食いたいとは思っていたけど、その願望は塔まで持っていったから褒めて欲しいなぁ」
おい、エダムよ。そんな『墓まで持っていきました』みたいに言ってるけど結局掘り起こしてるじゃねーか。
どこに褒める要素があるんだ。まあ、清々しいほどにヤりたい気持ちは伝わってきたから良いけど。
それにエダムの事だ、重くなりすぎないようにあえて軽い言葉を選んでいるのだろう。俺とエダムの間に信頼関係があるからこそ言えるのだ。
今度はウルダが挙手して前のめりに話し出す。
「ウルダも、ルービン様、大好きだから、ルーシャンも好きになった。守りたいなって思う。少し、ルービン様への気持ちとルーシャンへの気持ちは、違うかもしれないけど……好きな気持ちは、ずっとある。好きだから、いっぱいセックスしたい、って思う!」
なんだろう。塔の時よりも更に童貞ボーイの勢いを感じる。がっつき具合はピカイチだな。そこが可愛いのだが。
ついついウルダの頭を撫でてサラサラした髪を堪能していると、リヴァロが俺の袖を掴んだ。
「お、俺も……ルービン様がずっと、好きだった……。歳の差があるし想いを伝えるのは諦めてたけど……。ルーシャンは、塔に入った時の俺とかなり年齢が近そうだし、もっと親しみやすくなったっていうか……えっと、だから、俺を前より男として見てもらえるんじゃないかなって……思って……!」
しどろもどろになりながらも、必死に言葉を紡ぐリヴァロが一番告白感がある。
生まれ変わらなければ知る事のなかった事実が次から次へと伝えられ、しばらくは他人事のように聞いていた。それも時間が経てばジワジワと俺の全身に染み渡って来る。
四人の想いを必死に頭の中で噛み砕いて飲み干せば。さっきまでとはまた違った恥ずかしさが込み上げてくる。
しかし、それ以上に申し訳なさも襲ってきた。
恋愛なんて感情の振れ幅が大きいものは、王である俺にとって最も縁が無いものだった。
真っ先に排除するべき感情だったから、恋というものがどうしてもわからなかった。四人の気持ちは嬉しいのだが、それ以上の考えを放棄するみたいに頭が空っぽになる。
だから四人と同じ想いを返してやれない。皆の気持ちに真剣に応えたいからこそ、俺は正直にそう告げようとした。
「……俺は、その……これまで恋愛をできる立場ではなかったから……お前達のような感情は──」
そこまで言った時点で俺の唇にクワルクの人差し指が押し当てられ、言葉を止められてしまう。だが、俺を見る四人の視線はとても温かいものだった。
「そんな事、私達が誰よりもわかっています。ずっと貴方を見続けていたのですよ。ルーシャンに同じ気持ちは求めていません。ただ知ってくれれば良いのです、私達四人が貴方を心から愛していると」
そうだ、俺も愛している。恋愛かはわからないが、俺は確かに四人を愛している。
俺にとって四人の存在は、家族とも言えるし、唯一無二の親友とも言えるし、信頼のおける相棒とも言える。様々な愛情が絡み合っている分、とても強い想いだと俺は信じている。
お前達が全てを捧げてくれたように、俺もお前達に全てを捧げて良い。これが愛でなくてなんだというのだ。
「俺も、お前達を心から愛している。それだけはずっと変わらない」
なんの衒いもなく俺は伝えた。
完全に同じ感情ではなくても、愛しているという気持ちは同じなのだ。
今はまだ恋がわからなくて良い。俺の“愛している”という言葉の中に、今後も沢山の感情が増えていくだろう。
俺にとって恋愛は自由の象徴だった。
ルービンにはできなかった事も、ルーシャンならできる。
ある程度冷静になった今でも、俺は四人と体を重ねたいと思っているのだから、いずれ恋愛感情もわかるようになるかもしれない。
俺の中に、未知に触れた子供のようにワクワクとした気持ちが湧いてくる。
これからの未来が楽しみだなんて、四人を失ってからずっと忘れていた感覚だ。
四人は俺の言葉を聞いて笑った。
「生まれ変わってまで会いに来た人の言う事は説得力が違うなぁ」
「ふふ……本当に」
「みんな、愛されてる」
「最高のご褒美じゃん!」
四人はと口々に話し、笑っていた。ちゃんと俺の想いが伝わっているなら何よりだ。
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