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【一章】ルーシャン
二十四話
しおりを挟む修理も終わったのだ。地下を出ようという雰囲気になった時に、ウルダが言いにくそうに俺に声を掛けた。
「差し出がましいこと、とは、わかっているのですが、これを……」
ウルダが手に乗せていたのは、ウルダの手と同じ、透き通った水色のドロッとしたスライムのような物体だった。それとも生物なのだろうか。俺には判断がつかない。
「これは?」
「カシュ、と呼んであげてください。ルーシャンへプレゼント、です」
百聞は一見に如かずとばかりに、カシュはウルダの手からズルンッと落ちたかと思えば、俺の裾に飛び移った。そしてスルスルと衣服の中に潜り、俺のアナルに入って来た。あまりの躊躇のない行動に俺はすぐに反応ができなかった。
「んっ……!? あ、あれ……?」
「ルーシャン、違和感は、ありませんか?」
「大丈夫だ……」
「あ、あの、下着、が心もとない、ですし……その」
ああ、なるほど。俺の尻が勝手に濡れて脚に粘液が伝う事を気にしてくれたらしい。端的に言えばアナルプラグをプレゼントしてくれたわけだ。だが、カシュは性具のようなあからさまな物ではなく、何かが中にいるような感覚もなくてとても快適だった。
「ありがとう。助かるよ」
「あと……えっと、ど、どうしても、誰とも会いたくない時……には、カシュが、慰めて、くれます……ので」
どんどんウルダの声が小さくなって、最後はほとんど聞き取れない程だった。つまり、俺が今よりも更におかしくなって所かまわずヤりたくなり、それでも四人と接触したくない時はカシュが相手してくれると。ありがたいけど情けないとしか言いようがない。もうどちらがシモの世話をしているのかわからない。しかし本当に俺の心情をよく理解してくれている。さすが臣下だと言わざるを得ない。素直に喜ぶことにしよう。
「うん、助かる。仕事に集中できそうだ」
「はい……無理は、なさらないで、くださいね」
「ああ」
俺達は地下を出て、ウルダも俺も自室へ戻った。もう夜だ。まだ一緒に眠っていないリヴァロかエダムの部屋に行きたい気持ちはあったが、普通に眠れる気がしない。気を失うまで俺は大好物のおチンチンをねだるに決まっている。今日は大人しく自分の部屋で眠ろう。
アミュレットの素材は手に入ったが、穢れ吸収の魔法の組み込み直しもあるし、色々と補強が必要だ。俺はひとまず寝る前に部屋の中に使えそうな物が無いか探す事にした。
ほとんど木製の家具で、清潔感のある白色でまとめられている。さすがに場所が場所なので、王室のように宝石などを埋め込まれているような事はない。限られた物資で過ごさなければいけない塔だ。期待するような素材などあるはずもなかった。
「そう都合の良いことは続かないよな……」
俺は休憩のためベッドに腰掛け、横にあるナイトテーブルの棚を開く。そして片付けていた四人からのメッセージカードを手に取った。短い言葉を何度も読み返す。やはりこうして手元に残る文字は良いものだ。手紙というのはいつの時代も特別な存在で、大きな力を持つ。
そう考えて俺はハッとした。待てよ。紙は木だ。木には隙間が沢山あるし、実際、杖などの加工品には魔力を籠めて使用される。宝石には大きく劣るが、十分素材となり得る。
文字にも力を籠められる。何より手紙は見たら手にしたくなる。そして文字を追いたくなる。俺だってこの部屋に来てすぐに触れて目を通したのだ。それくらい手紙には魔力がある。
「これは、いけるな」
現状、四人は俺が宝石を用いて何かしようとしているのはわかっているのだ。アミュレットの破片を返してくれたのも、それを注意しておけば対応できると判断したからだろう。ならばわざわざ同じ物を作るのは愚かだ。
そもそも体が作り変わっている今の俺に、機敏な動きで四人に触れるなんて出来ないだろう。しなだれかかって誘惑してセックスする未来しか見えない。
ずっとアミュレットの修理の事しか考えていなかったが、宝石と木で四枚の小さなメッセージカードを作ろう。アミュレットよりも簡単に触れさせる事ができるはずだ。
初日ではルーシャンと四人には“繋がり”がほとんどなく、アミュレットをパイプにして直接触れて穢れを移すしかできなかった。しかし、幸いにも今の俺は四人の魔力にかなり馴染んでいる。選択肢が増えている事に今更気付くとは。
今ならカードから吸い上げた穢れを俺の元に移すという遠隔操作も塔内なら可能だろう。さすがに少し無茶をする事になるが、どうせ後は眠りにつくだけなのだ。
俺は早速、砕けている宝石を更に細かく砕き粉末にしていく。昔なら全て手作業だったが、今は魔法で済ませられるのだからありがたい。それが終わると、次は椅子の背もたれを魔法で砕いた。こちらもどんどん粉砕していく。これで基本の合成素材は完成だ。残りは明日塔内から集めてくれば良い。
合成で、素材を組み立てるのに必要なのは術者の体液だ。普段なら血液を使うが、俺が怪我をすればカシュが何かしらの反応を示してしまう可能性がある。いくらこの部屋が他者に感知できない空間といえど、製作者は四人なのだ。魔物成分が減った今の四人なら侵入できるようになっているかもしれない。
そんな真面目な事を考える自分もいるが、メッセージカードを読んでいるだけでハァハァと呼吸が荒くなり、下半身が疼いてしまう。メッセージに宿る四人の愛情を感じて俺は発情していたのだ。本当に見境がなくなっている。そんな淫乱な俺が選ぶ体液なんてわかりきっている。
「はぁ……カシュ……」
俺はたまらずカシュを呼んでいた。カシュはすぐに俺の意図を理解してくれたようで、中で大きく蠢いたのを感じる。そのままカシュは的確にイイ所をゴリゴリと押し始め、あっという間に俺のおチンポはビンビンに勃起させられていた。
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