魔物になった四人の臣下を人間に戻すため王様は抱かれて魔王になる

くろなが

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【一章】ルーシャン

十二話* クワルク×ルーシャン

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 クワルクは俺の中に指を入れ、柔らかさを確かめるように二本、三本と増やして動かした。グニグニと内壁を押されて気持ちが良い。どこから溢れているのかわからない粘液が増えたのがわかる。


「あうっ……ん、ふぅ……」
「……これは、ご自分で準備を?」
「んあ……はぁ……ふふ、自然とお前達を受け入れられるようになったのだ……進化した、とでも言うべきかな……?」


 すればするだけ早く四人を救える。お前達にいっぱいれられる。面倒な準備も必要なくなったらもっと沢山できる。早く繋がりたい。ただ気持ち良くなって、それだけで全てが上手くいく。お前達だってそれを望んでいるはずだ。
 しかし、クワルクの動きが止まってしまった。


「クワルク……?」
「何故そこまでして……私達の欲に応えるのですか」


 なぜ? 面白い事を聞く。その欲も全て俺のものだからだ。その命、魂、肉体、全てお前達が捧げてくれたもの。だが長いこと預かり過ぎた。もう返してやらなければいけない。溜め込んだ不要なものを全て俺に注いで欲しい。穢れを綺麗に取り除き、まっさらにして返してやる。それが主として最後の仕事だ。


「俺が、そうしたいから、では駄目なのか……?」
「……いえ、そうですね。それで十分です」


 クワルクはほんの少しだけ微笑んで、俺の両脚を広げて体を間に割り込ませる。待ちわびた瞬間だ。俺はゆっくりと貫かれた。


「……ぁ……あ、あ……クワルク……はいって、きた……」
「ええ、貴方の中にいます……しばらく、このままでも良いですか?」
「ん……」


 クワルクは繋がったまま、ただ俺を抱き締めた。俺もクワルクの背中に手をまわして力をこめる。密着した事で聞こえるクワルクの鼓動に耳を澄ます。それだけで俺の精神がみるみる安定していくのがわかる。
 しかし、落ち着いてくるとさっきまでの自分の行動が急に恥ずかしくなってきた。やっぱり自分はどこかおかしくなっているんだ。自覚すると体が熱くなって変な汗が出てくる。俺の異変に気付いたクワルクが顔を覗き込んできた。


「どうしました、ルーシャン……顔が赤いですよ」
「あ、あまり……見ないでくれると助かるんだが……」
「ふっ……自ら私の性器をおねだりしたことが気になりますか?」


 ピンポイントで当ててくるな。だが、それだけ俺の行動がおかしいとクワルクも感じたということだろう。そのままいつもみたいにガツガツ犯してくれたら良かったのに。なんで抱き締めるなんて余裕のある行動をしたんだ。


「正気に戻らなきゃよかった……お前のせいだぞ……」


 完全に八つ当たりなのは自分でもわかっているが、あまりの居たたまれなさに何か文句を言わずにはいられなかった。ヤりたい意思を出したのはお前の方が先なんだからな。俺はまだ完全に誘ったわけじゃないからセーフなはずだ。自分でもよくわからない言い訳がグルグルと頭を巡る。羞恥が戻ると俺の尻が更に反応して、トロトロと液体が結合部から溢れ出る感触があった。
 顔から火が出るとはこういう事なのだろう。顔面が燃える様に熱い。恥ずかし過ぎて両手で顔を覆った。しかしすぐにクワルクがその手を外して俺の両手をベッドに押さえつけた。


「大胆な貴方も大変魅力的でしたが、こうして恥ずかしがっている方がクるものがありますね」


 ニヤりと笑って、クワルクは突然腰を動かし始めた。


「ひゃっ……アッ、な、いきなり……ッ」
「いきなり……煽ってきたのは、貴方の方だ、ルーシャン」
「ああッ、あっあ、くっ、んはっ……アッあ、あ──!」


 男の性器を咥えることに快感を覚えた俺の後ろは、クワルクをギチギチに締め付けた。中を前後に擦られる度に気持ち良くて勝手に俺の性器からは精液が零れていた。射精した感覚はなかったのに、快感が続いて頭がおかしくなりそうだ。


「うっ、うぅ……イって……る……イッてるのにッ……!」
「ええ、かわいい声でイってますね……私に動くのをやめて欲しいんですか?」
「やぇて……やめぇ……ッも、むり……なのにぃ……」
「可哀想に。まあ、やめてあげませんけど」


 酷い。本当にこの男は酷い奴だ。だが変に長引かせるよりは親切とも言えるのかもしれない。クワルクの動きは激しさを増し、絶頂が近い事を知らせていた。


「あぐっ、ふっ、あッ……ン、んぁ……きもちぃ……きもちひッ……」
「んっ……は……ああ、気持ちいいですね……も、イきます……っ……!」
「やだ……ッへん、だから……ッああ、はぁ、アッ……んぅ!」
「ふ……ッく……ん──っ!」


 クワルクの最後の一押しの刺激でまた俺はイっていた。中に出されたクワルクの精液を腸壁がゴクゴクと飲んでいるみたいに蠢いている。本当にこれは腸なのだろうか。完全に別物になってしまったような気がしてきた。外観からはわからない魔物化なのかもしれない。逆にそうであって欲しい。そうであってくれ。


「ルーシャン……? 大丈夫ですか?」


 行為の疲れではなくメンタルのダメージでぐったりしている俺にクワルクは心配そうに声をかけた。


「……だいじょうぶ……。クワルクは……眠くないのか?」
「そういえば、今のところは平気ですね」


 その言葉通り、目元も声も眠そうな様子はなくハッキリとしている。クワルクは俺から一旦離れ、タオルと着替えを持ってきてくれた。ありがたく受け取り、体を拭いているとクワルクが頭を下げた。


「今更ですが……数々の乱暴を働いてしまい、本当にすみませんでした」
「えっ……」
「最初は君主だの魔王だの何言ってんだコイツって思っていたんですけど、なんだか本当に貴方に仕えていたような気がします」


 すっかり険が取れたとは最初にも思っていたが、かなり昔のクワルクに近い状態になっている。それは喜ばしい事だが、王であるルービンの事を思い出していないかヒヤヒヤした。体を繋げることになってしまうのなら最初にルービンだの君主だの名乗らなきゃ良かった。頼むからそこだけはずっと忘れていてくれ。


「お、おお……」
「どうしましたか?」
「いや、えっと、もうその設定は忘れていいから。この塔の主はお前らなんだし、俺は完全に部外者だろ。立場的にはお前達の方が上だから、可能であれば俺を雇って欲しいんだ」
「雇う?」


 やっと話し合いができそうになったのだ。しばらく塔に滞在するのならばやりたい事があった。俺はずっと考えていた提案をした。


「塔のメンテナンスをさせて欲しい。こう見えて結構詳しいんだぞ」
「そうでしょうね。眠っている私達の世話をして、どこに何があるかも理解しているようですからそれについては疑っていません」


 思ったよりもあっさり受け入れられて拍子抜けだ。逆になんだか怖い。だがこれで少し前進だ。深く考えても仕方ないのだから素直に喜んでおこう。


「さすがに今、私だけでは決められませんから、他の三人とも話しましょうか」
「ああ、そうしてくれると助かる」


 今の俺には魔力がある。もう誰に頼らなくても塔のシステムを更新する事ができるのだ。穢れの対処方法を色々試せるかもしれない。

 穢れの根絶のため、四人に俺を穢れごと処理してもらおうと思っていたが、直接四人と触れ合って少し考えが変わっていた。
 ここに来るまで俺は、四人に憎んでいて欲しかったのかもしれない。塔の中にひと欠片でも俺を恨んだ痕跡でもあれば良かったのだが、そんなものは何一つとして見つからなかったばかりか、俺の部屋まで用意してくれていた。
 こんなに王を想っている四人に俺を殺させるなんてできない。自我を失った俺を処分して欲しいだなんて、結局は四人に全てを押し付けていた前世と何も変わらなかった。
 また同じ過ちを繰り返す前に気付けただけでも良しとしよう。自我がある間に、より良い方法を考え直さなければな。

 そんな俺の考えを遮るように、クワルクが視界に割り込んできた。綺麗な顔を近付けて俺の唇に触れる。唇を離したクワルクの表情は意地悪そうな笑みを浮かべていた。


「で……仮に雇う許可を得たとして、貴方は報酬に何を望むのですか?」


 雇うと言ってもこんな塔では金銭なんて意味がない。俺は確実に穢れを吸収しなければいけないのだが、四人が冷静になればなる程、今までのように俺を求めなくなる可能性がある。だからこう言うしかない。


「……これからも……毎日、抱いて欲しい……」


 自分でもなんの説得力がないとはわかっているが、決して下半身が疼くからじゃないからな。穢れのためだから。
 いっそ笑ったり、下品な奴だと罵って欲しかった。しかし、俺の恥ずかしいおねだりを聞いているクワルクは、完全に俺を淫乱キャラと認定しているのか、要求に納得して頷くだけだった。泣きそう。

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