魔物になった四人の臣下を人間に戻すため王様は抱かれて魔王になる

くろなが

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【一章】ルーシャン

十一話*

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 今度は最上階からデカい男を抱えて往復する事になった訳だ。負荷ありの筋トレとしては最高だな。だがその前に尻の中をどうにかしないとそんな激しい運動は無理だ。
 今日二度目の風呂に行くしかない。手早く洗浄を済ませてしまおう。ついでに自分の角がどうなっているのか確認もしたいしな。だが、塔の完成に立ち会った時には確実に設置してあった筈の鏡は全て取り外されていた。風呂場にも洗面所にもない。恐らく、四人は己の魔物化を直接確認したくなかったのだろう。それに気付いて少しだけ胸が痛んだ。変化に喜んでいる俺がおかしいのだ。
 結局、俺のために用意された部屋に姿見があったので無事に変化を確認する事ができた。


「おお……これは見事だ」


 俺のこめかみ辺りに巻き型の羊角があるのだが、なんと素材が赤い宝石だった。想像以上に綺麗でカッコ良くて嬉しい。どうりでスベスベした感触だったわけだ。黒い髪にもよく映える。何度も何度も角度を変えて美しさを堪能してしまった。
 角だけと言っても範囲が大きい変化だ。それでもまだ俺の思考に影響はない、筈だ。ちゃんと俺は目的を覚えている。四人と触れ合い、穢れを吸収して人間に戻す。よし、大丈夫だ。


「さあて、エダムとリヴァロを部屋に運んでやるか」


 部屋に運ぶまではなんの問題もなかった。無事に俺は二人を自室へ運ぶことができた。しかし、一人一人の体を濡れタオルで拭いている時に、自らに起きている異変に気付いた。


「……嘘だろ……」


 俺はリヴァロの部屋でただ体を拭いてやっただけだ。たったそれだけなのに、後ろが疼き、粘着質な液体が溢れてきたのだ。まるで女性の愛液のように。俺はすぐにリヴァロにシーツを掛けて部屋を出た。男に、臣下の肉体に興奮しただなんて思いたくなかった。
 なんでだ。魔物化によって性欲が減るのではないのか。しかも本来は受け入れるべき場所ではない部分が反応するだなんて、意味が分からなかった。
 まだエダムも拭いてやらなければならない。さっきの現象は勘違いであってくれと願いながら水桶を抱えてエダムの部屋に入った。何も考えず、ただ拭くだけなのに性器まで勃起し始めた。さっきまでの情交を思い出してしまう。昨日はそんな事なかったのに、何かがおかしかった。


「あ……」


 綺麗に拭き終わる頃には、俺の内腿には透明の液体が伝っていた。そういえば何で俺は服も着ずに全裸でウロウロできているんだ?
 倉庫なんて遠くもないし、風呂を出た時に昨日ならば当然のように服を着ていたのに。羞恥というものが曖昧になっているのか?
 いや、触れ合うのに服は邪魔なんだからこれは効率化だ。セックスでこんなに成果が出ているんだから、この変化は全て俺に都合が良いではないか。何で俺はこんなに焦っているんだ。
 少し驚いてしまったが、冷静になればなんて事はなかった。俺は脚に伝う液体をタオルで拭って立ち上がる。いつでもお前達の求めに応じる事ができるようになったのはありがたい。きっと皆も喜んでくれる。


「ウルダのシーツを変えてやらないと」


 気分が晴れた俺は鼻歌交じりにシーツを抱えてウルダの部屋へ向かった。ぐっすり眠っているウルダを抱え、ソファに移動させてからベッドメイキングをした。ああ、いつになったらお前達はヤった後に睡魔が襲わなくなるのだろう。回数が増えれば、もっともっと触れ合えるのに。もう疼く下半身の感覚にも慣れていた。どうせ明日になれば満たされるのだ。
 綺麗になったベッドにウルダを寝かせ、最後にクワルクの部屋へ向かった。風呂からちゃんとベッドにたどり着けたのか心配だったからだ。
 覗いてみれば、クワルクは辛うじて上半身だけベッドにしがみついて膝立ちの状態で寝ていた。ギリギリ間に合わなかったようだな。可哀想なのでクワルクをベッドに引き上げて寝かせてやった。
 さすがに俺も眠くなってきた。今日はクワルクのベッドで寝る事にしよう。


 ◇◆◇◆


「起きてください、ルーシャン」


 眠っている俺をクワルクが優しく揺り起こした。声も柔らかく、かなり険が取れている。


「……ん……クワルクがいる……?」
「私の部屋なのですから当然でしょう。何故貴方がここで眠っているのですか」


 そうだ、俺が今クワルクの部屋のベッドにいる事を思い出した。


「なぜって……単純に疲れたから?」
「はあ。それより聞くべき事がありますね。この頭は一体……」


 クワルクはそっと俺の角に触れた。同じ魔物の要素が生まれた事で親近感でも湧いたのだろうか。


「ふはは、俺は魔王だと言っただろう。塔にいるだけでも力が戻ってきているようだな。やっと本来の姿に近付いたのだ」


 四人分の穢れを直接体内に注がれているのだから俺の変化は早いが、四人の外見が変わるのはまだ先だろう。この時間差のお陰で直接穢れを奪われているとは思わない筈だ。
 俺の角から頬に手を移動させたクワルクは問いかけた。


「まあ、貴方の話に少し信憑性が出ましたね。しかし、ルーシャンは魔王になって何を望んでいるのですか」
「ん~……世界平和?」
「それって魔王の仕事でしたか?」


 怪訝そうな顔をしながらも、クワルクの手付きが妖しくなってきた。俺の首をなぞり、胸にまで下りてくる。性的な意思を隠そうともしないのが可愛い。


「はは。明確な悪者がいると一番簡単に人は協力できる。魔王こそ世界平和に必要な要素だと思うぞ。まあ、今の世界は平和過ぎて全く必要ないがな」
「なら、魔王になんてならず、ずっと私達といたらいいんです」
「んっ……」


 クワルクは俺の乳首を甘く噛んだ。もう俺はこの先の快楽を知ってしまっている。クワルクの与えてくれる丁寧で優しい刺激だけでは足りない。いっそ最初の時のように強引にしても良いのに。俺の性器に触れようとしているクワルクの手を掴んで、俺は強引にアナルへ触れされた。もう後ろの疼きは限界だ。ヌルヌルと勝手に濡れている部分に驚いたようにクワルクは目を開いた。
 どれだけ驚かれても俺は何も感じなかった。ただ俺はクワルクを求めていた。


「……なぁ、クワルク。お願いだ……早くっ……クワルクが欲しい……めちゃくちゃに犯して……中、精液でいっぱいにして……」


 昨日の俺は何故かこう言葉にするのをとても嫌がっていた気がするが、何故あんなに嫌がっていたのかはもう思い出せなかった。

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