魔物になった四人の臣下を人間に戻すため王様は抱かれて魔王になる

くろなが

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【一章】ルーシャン

八話*

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 俺はニヤつきそうになる顔を見られないようにするためにも、クワルクの髪を乱す勢いで両手でワシワシと撫でてやった。


「いいだろう、許す」
「なんでそんなに偉そうなんですか」


 王様だから偉いもんね。元、だけどな。楽し気な俺を見て不服そうに唇を尖らせるクワルクは子供みたいで可愛い。照れ隠しなのか仕返しなのか、クワルクは腰の動きを激しくして俺を攻め立てた。


「んあッ……!? あ、んぅっ、ぃあッ……ひぅッ」
「そうやって……淫らな声をあげて、いるのが……とても、お似合いですよ」
「あ゛あっ、ん、はぁっ……あ」


 お前の調子が戻ったようで何よりだよ。クワルクは俺に声を出させたいがために、わざと奥をゴツゴツ責めてくる。内臓を直接殴られているみたいで苦しいのに、苦しいだけではない疼きが腹の奥底に芽生えそうだった。


「ひぐッ……あ……ンッ、ぐっ……うあ、あっ……んぅ」
「ルーシャン……もっと、乱れて……」
「ん、んっ……んむ……ふぁ、んは……」


 クワルクはキスが好きなのか唇を合わせ、俺の歯列をこじ開けてまた舌を絡めてきた。上下の粘膜を同時に刺激されてゾクゾクと背筋に痺れが走る。


「んんんッ……んッ……ぁ……は……んぅ」
「んっ……ん、んぐ……っはぁ……ルーシャン……」


 口付けで興奮が高まったのかクワルクの絶頂が近付いているようだ。パンパンと肉のぶつかり合う音が大きくなり、肉壁を抉る動きは激しさを増した。


「あっ、や……はげしッ……クワ、ルクッ……アあッ」
「中に、注ぎますから……受け取って、ください……ッ」
「あ、んっ、ん……んぅ……ッ!」


 これ以上無理だというくらいクワルクは腰を押し付け、腹の奥にたっぷりと精液を注いだ。俺は穢れをしっかり吸収し、自分の内部へ留める。まだ俺の外見に変化は現れていないが、そう時間はかからず魔物のパーツが付くだろう。カッコイイといいな。
 クワルクはズルリと俺の中から性器を引き抜いた。コポッと精液が流れ出ていく感覚があって、こいつはこの一回でどれだけ出したんだよと驚いてしまう。


「そのまま脚を開いていてください」
「うっ……く……」


 クワルクは湯と指を使って俺の中から精液を掻き出し始めた。ある程度取り除いた後に魔法で仕上げの洗浄をしてくれたようだ。ちゃんとやると言ったことはしてくれるんだな。俺の内部が綺麗になった事を確認したクワルクは慌てたように湯だけ雑に浴びて出入口へ向かった。


「私はこれで失礼します。また貴方に運ばれるのは嫌なので」
「あ……うん。おやすみ」


 どうやらヤった後に急激に眠気が襲うのは共通らしい。眠そうに何度も瞬きをしてバタバタと出て行くクワルクは無事にベッドまで辿り着けるのだろうか。部屋に戻るまでに倒れてなきゃいいけど。
 性欲と同時に睡眠欲も回復してくれていなかったら俺の尻は死んでいただろうな。何周も輪姦されるという事態は避けられて本当に良かった。
 俺は髪と体を洗ってからゆっくり湯に浸かって疲れを癒すことに専念する。この調子だとリヴァロとエダムの相手もする事になるだろう。俺にだけ欲情しているのは不思議だが、何百年も共にいた仲間はさすがにそういう対象ではないか。家族以上の絆があるだろうしな。
 最後に気を引き締めるために冷水で顔を洗い、大浴場を出た。体をタオルで拭き、髪を温風で乾かし、服を着る。戦闘になる事もないだろうし、髪をまとめる事はせずそのままにした。
 風呂場を後にし、階段をのぼっているとリヴァロとエダムが待ち構えていた。少しだけ警戒したが、エダムは手を振って俺に笑いかける。


「やあルーシャン、ありがとうね。昨日僕達を部屋まで運んでくれたようで助かったよ」
「ああ、どういたしまして。良い筋トレになったよ」


 普通に挨拶をされて拍子抜けだ。エダムの隣にいるリヴァロは口をもごもご動かして言葉を探っているようだったが、決心したように口を開いた。


「き、昨日の怪我……大丈夫だったか?」
「平気平気、あれくらい冒険者してたらよくあるし。それにウルダが回復魔法で治療してくれたから元気だ」
「ふぅん。元気ならちょっと付き合え」


 リヴァロは俺の腕を掴んでグイグイ引っ張って行く。エダムも俺達のあとについて来た。やはりこのまま二人に犯されるのだろうかとぼんやり考えていたが、部屋に連れ込まれる感じでもなく、塔の上へ上へと階段を黙々と駆け上がっていく。気が付けば最上階まで来ていた。
 最上階は空が見えるように透明な結界が張られており、日光浴や野菜の栽培が可能になっている。憩いの場として俺が庭園のようなものを作ったのだが、その中心に透明の素材でできた俺の知らないドーム状の部屋があった。中には大きなベッドと少しの家具が見える。人が泊まるのに問題なさそうな空間だ。
 どうやらリヴァロとエダムが俺を連れて来たのはこの部屋を見せたかったからのようだ。リヴァロはドームを指差した。


「昨日、お前が魔王だと名乗っただろ。俺達が起きてここに来たら突然これがあった。なんか扉に魔力の痕跡で『王へ』って光が見えんだよ。もしかしたらお前へ向けてのもんかと思って……」
「なんで現れたのかもサッパリでねぇ。しかも絶対に僕達は入れないんだ。だからルーシャンが試しに入ってみてくれない?」


 二人にこれが何かはわからなくても俺にはわかる。俺はすぐに駆け寄り、扉を開いて中に入った。俺はこんなに簡単に入れたのに、扉を開け放っていても二人は一定距離から近付けないようだ。
 室内は時が止まったかのように埃も汚れもなくとても綺麗な空間だった。中央に鎮座するキングサイズのベッドには白いカードが置いてある。何も書かれていないのかと思ったが、それに触れると文字が浮かんだ。


『ごゆるりと御寛ぎください、王よ』


 とてもシンプルな内容だ。しかし、この短い文字の中に『必ず俺がここに来る』と信じている四人の想いが伝わってくる。俺を客人として迎えるためでもあり、魔物化した自分達から俺を守るための避難場所としての意味合いもあるのだろう。
 先の先を見越し、俺の事を常に考えてくれている臣下の愛情に目頭が熱くなった。

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