7 / 125
【一章】ルーシャン
七話* クワルク×ルーシャン
しおりを挟むウルダは性欲が落ち着いたのか俺から離れた。棚から綺麗なタオルを取り出し、洗面台の水を桶に入れて持ってきてくれた。ありがたくベタつく皮膚を綺麗に拭う。中のものは風呂に行ってどうにかしよう。ベッドに腰掛けたウルダが俺に今更な質問を投げかけてきた。
「……そういえば……ルーシャン、なんで……ベッドにいた?」
「俺に寝床がないから勝手にベッドを使わせてもらったんだよ。お邪魔して悪かったな」
初日だから体力回復のために一番大人しいと思ったウルダを選んだが、まさか寝ている間に犯されるとは思っていなかった。しかし体力回復という点では治療もして貰えたし良しとしよう。暴走している欲望の中でも俺への気遣いがあるんだから凄いよ。
ウルダはフルフルと首を振って俺の手を握って微笑んだ。
「ずっと、ウルダの部屋、いていいよ……?」
そう言ってくれるのはありがたいが、一人だけに集中して穢れを取るのは良くない。一人だけ急速に変化すれば穢れを奪っていると気付かれる。周りとの差で違和感を感じないよう、少しずつ平等に変化させていかなければ。できれば寝床は毎日ローテーションしたい所だ。
俺はウルダの頭を撫でてた。性欲の次はやはり睡眠欲が襲うのか、とても眠そうに目を擦った。
「ははは、ありがとう。毎日は無理でも必ずまたここに寝に来るからその時はまたベッドに入れてくれ」
「……うん!」
「ホラ、無理せず横になれ。お昼寝の時間だ。シーツはまた後で替えに来てやるから今はタオル敷いて我慢してくれよ」
「ん……そのまま……撫でて、欲しい……」
可愛い願いだ。言われた通り横になったウルダの髪を梳いたり撫でたりしていると、スゥスゥ寝息が聞こえてきた。まるで子守りだ。前世では俺が世話をされる側だったから新鮮で楽しいけどな。まさかシモの世話までする事になるとは思わなかったが。
俺は就寝用の服を拾って上だけ着た。下はさすがに風呂で中を綺麗にしないと穿けないから仕方ない。服の丈が長めだから丸出しというのは避けられているが早く風呂へ行こう。
もうさすがに皆起きただろうか。可能ならばちゃんと話し合いがしたい。自由に行動しても良いのか、俺がどういう扱いになるのかは聞かなければなるまい。なんにしても尻の中を綺麗にしないと行動できないから速やかに移動しよう。
俺は静かにウルダの部屋の扉を開いた。
「ここにいたのですか、ルーシャン」
「ひょえっ!? クワルク……!」
扉の前ではクワルクが腕を組んで待ち構えていた。俺はビックリして飛び跳ねそうだった。クワルクは上から下へ俺の全身を見渡し、下を穿いていない状態に気付いて舌打ちをした。
「また男を咥え込んでいたのですね。あなたはとんだ好き者のようだ」
苛立った声でそうなじりながら、何故か正反対の優しい手付きでクワルクは俺を抱き上げた。
「な、なんだ!?」
「そのまま歩き回られたら床が汚れるでしょう。ガバガバになっていないならちゃんと締めてください」
相変わらず言葉に棘はあるが、少し態度が軟化してる?
別に逃げるつもりもないし、接触できるならそれに越したことはないので俺は大人しく運ばれる事にした。ありがたい事に行き先は風呂場だった。内心、部屋に連れ込まれて犯されるのかなって焦ってたんだよね。誤解してゴメンな。
脱衣場で服を脱がされ、石造りの大浴場に運ばれて浴槽の縁に座らされた。さすがにもうここまで来ればクワルクの世話になる必要はないだろう。
「ありがとうクワルク。もう自分で出来るから……」
「いえ、私が中を綺麗に掻き出して差し上げましょう」
「え……?」
良い笑顔のクワルクがバサリと乱暴に衣服を脱いだ。クワルクの中心はビキビキに血管が浮き出てそそり立っていた。全然誤解でもなんでもなく犯されるわ。場所が違うだけだこれ。心の中で謝った俺に謝れよなクワルクさんよぉ。
昨日は全く余裕がなくて感想も何もなかったけど、改めて見るとクワルクのが一番デカいかもしれない。ゆっくりと肩を押され、俺はそれに従って上体を倒した。昨日は尻を使わせないと心の中で誓っていたが、素直に望むのならば拒むつもりはない。
俺を見下ろすクワルクの表情は、てっきり人を小馬鹿にした笑いでも含んでいると思ったのに、どこか寂し気な置いてけぼりの幼子のようだった。
「私だけ、貴方の中を知らないのは不公平でしょう」
「あんんッ……あぅ……ぐ、ンぁ!」
先程までウルダを迎え入れていたのをわかっているからか、遠慮なくクワルクは俺の中に押し入ってきた。ミチミチと肉壁を着実に押し広げて侵入する衝撃に勝手に声が出てしまう。デカいなと思ったものですら受け入れられてしまう自分の体にも驚いた。昨日喉に突っ込まれた時のような乱暴さはないが、性急に腰を動かし始めた。
「アハハ……貴方は、本当にいやらしい身体をしている。口もなかなかでしたが、こちらもとても良いですね」
「ヒッ……く、あッ……んぁ……っ」
クワルクは性器が抜ける直前まで引き、一気に中へ戻る動きを繰り返している。本当に中の精液を掻き出そうとしているように感じる。独占欲のようなものを感じ、頭が溶けてしまいそうだ。
「ん、は、あっ……あ、ぁあ……ックワルク……」
「……ッなにを……?」
大きな動作に揺さぶられながらも、俺は両手を伸ばしてクワルクの髪に触れた。突然の俺の行動にクワルクは驚いた顔をしている。
「……ん……ぁ……ん、ふふ……綺麗、だ……」
クワルクの髪は細くてとてもサラサラしている。昔から歩くだけでフワッと髪が靡くから、それがお前の甘いマスクと相まって幻想的だった。そういえば滅茶苦茶女性にモテていたよな。魔物化によって頬を這う植物すらもお前の魅力を引き立たせるアクセサリーにしかなってない。
こんな状況なのに俺は笑っていたと思う。気が付けば、クワルクの動きが鈍くなっていた。
「……クソッ……なんで……こんな……!」
突然、ポタポタと水滴が俺の顔を濡らした。浴室だからではない。その水源はクワルクの瞳だった。大粒の涙が溢れ出ている。苦し気に涙を零すクワルクの顔には、抗えない性欲を俺にぶつけたくないという本来のクワルクの感情が見え隠れしていた。それなのに快楽を貪る事を完全には止められない己に苛立っているのだ。
「こんな事、しては、いけないのに……なぜ……ナゼ……」
「……クワルク……だ、いじょうぶ、だから……」
「んンッ……!?」
俺は衝動的にクワルクの頬を掴み、顔を引き寄せて唇に口付けた。お前は余計な事を考えなくていい。ただ俺を求めていればいいんだ。舌を口内へ忍ばせれば、クワルクもすぐに舌を絡めてきた。何度も何度も角度を変え、俺達は深い口付けを重ねた。
「んぅ……ん、ん……ッ」
「ふ……う……んぁ……は……っルーシャン……」
「んは……あ……クワ、ルク……」
それだけに集中したお陰か、クワルクは冷静さを取り戻したようだ。クワルクがゆっくりと上体を離し、俺を見つめた。もう泣いていなくて安心した。しかし、ソワソワとクワルクの目が泳いでいて顔が赤い。
「どうした……?」
「その……き、昨日……キスが下手だと言ったのは……訂正します」
素直か。思わず噴き出すところだった。どうにか堪えたので褒めて欲しいものだ。まったく、俺の臣下は真面目で可愛すぎるな。
30
お気に入りに追加
1,703
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる