151 / 152
【番外編】本編小話
三話 ユタカとリズ様ラブホテルを漫喫する
しおりを挟む宿泊だったから時間は沢山ある。
あるのだが、気が付いたらセックスにもつれ込んでいた。
ラブホの魔力恐るべしだ。
ベッドでの一回目が終わって風呂に入った。
浴室はとても広く、シャワー室もあるのだがガラス張りで中が丸見えだ。
リズ様の白い肌に張り付いた濡れた黒髪に興奮してしまい、立ちバックでの二回目が始まった。
風呂を出てバスローブを羽織るリズ様が色っぽくてまた盛りそうだったが俺は耐えた。
大きなソファに腰を掛けたリズ様が長い髪を魔法で綺麗に乾かしている。
地球より異世界で圧倒的に長髪が多い理由は、魔法があるため手入れの煩わしさを感じていないからだろう。
髪を乾かし終えたリズ様が、サービスのウェルカムドリンクを飲みながら言った。
「ユタカ、アダルトチャンネルが見たい」
「えぇ!?」
まさかリズ様からそんな言葉が出ると思わず大きな声が出てしまった。
しかし、リズ様はいたって真面目な顔をしている。
「交尾の指南映像は魔界には存在しないからな。いや、人間が生息するメルベイユにすらも無い」
「そういえば映像どころか、エロ本もグラビア雑誌も漫画も無いですもんね」
「だから気になるのだ」
「わかりました」
大きなテレビの電源を入れてチャンネル操作すればすぐに女性の嬌声が響いた。
リズ様は食い入るように絡み合う男女の映像を見つめている。
恐らく、リズ様からすれば動物園の動物を見ているような感覚なのだろう。
俺はなんとなく気まずくてあまり画面が見られない。
居心地が悪くて他の設備でも見てまわろうかと思ったが、リズ様が俺の手首を掴んだ。
「どこへ行く」
「えっ、いや、部屋をもっと見てまわろうかと」
「馬鹿もの、せっかくの指南映像だぞ。ユタカがいなければ実戦できまい」
「実践!?」
何か凄いこと言い始めた。
テレビに目をやれば、ソファに座る男性の上でリードするように女性が腰を動かしている映像が目に入った。
これを、リズ様が……!?
「し、してくれるんですか」
「ああ。いつもユタカに任せっぱなしだからな。私だってできる事はしたい」
そんな事を言われて断る男など、どこの世界にもいないだろう。
こうして対面座位での三回目が開始した。
ソファでの営みを終えた俺達は休憩をするためにベッドへ転がった。
そこでリズ様が起き上がって頭上の台に置かれた物を手に取る。
「これはなんだ」
「コンドームですね」
「避妊具か。繁殖を目的としない行為に必要になるのだな」
「地球には魔法が無いので衛生面の意味でも使った方が良いんですよね」
そうは言ったものの、神でもある俺達には必要の無いアイテムだ。
俺もリズ様も自然に病気になどなったりしない。
良くて魔術とか呪いの類で体調を崩すくらいだろう。
そんな事を考えていると、リズ様が俺にゴムを差し出してきた。
「つけている所が見たい」
「……マジですか」
コンドームに興味津々のリズ様が可愛くてそれだけで勃起した。
私生活ではここまで見境なく盛る事が無かったから自分でも驚いている。
もしかしたら無意識に抑えていたのかもしれない。
ラブホという空間で解放された性欲は留まるところを知らず、四度目はゴムをつけたセックスとなった。
さすがにこれだけ回数をこなすと互いに空腹感が襲ったので、料理を注文して届けられた物を二人で食べた。
冷凍食品かと思いきや、近くの飲食店から料理が届けられているらしくて本格的な味に驚いた。
こうしてサービスを競い合ってリピーターを増やしているようだ。
「美味かったな。サービスの質が高いのに宿泊費が安価で驚くな」
「普通のホテルよりも部屋の中だけで全て完結できるのは楽ですねぇ」
「これだけ設備が整っているからこそ、性行為に集中できるということか」
「確かに……外に出ない前提だからこそですね」
そんな話をベッドでしながらも、俺は販売で買ったオモチャの手錠をリズ様の両手首にかけた。
フワフワした素材が巻き付いていて肌が傷付かないようになっている。
「リズ様、壊したらお仕置きですからね」
こんな物に拘束力なんて無い。
俺達の身体能力なら、ほんの少しでも力をこめれば手錠なんて粉砕できてしまう。
壊さない方が難しいと思ったのでそう言ってみた。
リズ様は俺を見てニヤリと笑う。
「ほう。お仕置きとはどういう事をしてくれるのだ」
「えっ……と……考えてませんでした」
拘束されている姿が見れただけで満足した俺は本気で何も考えていなかった。
まさか内容を訊ねてくると想定もしていなくて、誤魔化す余裕もなく素直に告げるとリズ様は虚を突かれた顔をしたあとに大笑いした。
「くっ……ふふふ、あははっ、ユタカは本当に可愛くて面白いな」
リズ様は手錠で繋がる腕の輪を俺の首に掛けてギュッと抱き締めてくる。
久し振りに子供扱いされて恥ずかしくなった。
俺は照れ隠しのため、そのままリズ様を押し倒して五回目にもつれ込んだ。
つい、リズ様を中で何度も何度もイかせてグッタリするまで抱きつぶしてしまい、そのまま朝を迎えることになる。
結局、ラブホは十二分に堪能したものの、調査としては不完全に終わった。
◇◆◇
数日後。
俺達は他にも調査隊を派遣する事に決めた。
「フランセーズ」
どこかの村を救ってまた一つ英雄として名を刻んだフランセーズが、その帰りに魔界に遊びに来た。
良いタイミングなので、調査を依頼するためのアイテムをリズ様が差し出した。
「ユタカの故郷の金と衣服。それと異世界への転移アイテムだ」
「うわ、簡単に転移アイテムとか出さないでよ。売ると国家予算レベルのお金になるよ……争いの火種にして戦争でも起こすのかい?」
露骨に嫌そうな顔をして転移アイテムを見るフランセーズが面白い。
異世界転移なんて簡単にできるものではないという認識は俺とリズ様は忘れがちだ。
俺は慌てて弁解する。
「いや、普通にテリアと遊んで来て欲しいだけなんだけど!」
「そうだ。そろそろ二人目が欲しいと言っていただろう」
「何で地球に遊びに行くって話にそれが関係あるの!?」
話が読めなくてギョッとするフランセーズの反応はもっともだ。
魔城の施設拡張のための調査だと言えば納得してくれたけど。
それからしばらく後。
真面目なフランセーズとテリアの調査は完璧だったし、更に無事二人目を妊娠したという報告も同時に受けた。
────それはまたいずれどこかで語られる話だろう。
0
お気に入りに追加
1,307
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる