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【番外編】本編小話
三話 ユタカとリズ様ラブホテルを漫喫する
しおりを挟む宿泊だったから時間は沢山ある。
あるのだが、気が付いたらセックスにもつれ込んでいた。
ラブホの魔力恐るべしだ。
ベッドでの一回目が終わって風呂に入った。
浴室はとても広く、シャワー室もあるのだがガラス張りで中が丸見えだ。
リズ様の白い肌に張り付いた濡れた黒髪に興奮してしまい、立ちバックでの二回目が始まった。
風呂を出てバスローブを羽織るリズ様が色っぽくてまた盛りそうだったが俺は耐えた。
大きなソファに腰を掛けたリズ様が長い髪を魔法で綺麗に乾かしている。
地球より異世界で圧倒的に長髪が多い理由は、魔法があるため手入れの煩わしさを感じていないからだろう。
髪を乾かし終えたリズ様が、サービスのウェルカムドリンクを飲みながら言った。
「ユタカ、アダルトチャンネルが見たい」
「えぇ!?」
まさかリズ様からそんな言葉が出ると思わず大きな声が出てしまった。
しかし、リズ様はいたって真面目な顔をしている。
「交尾の指南映像は魔界には存在しないからな。いや、人間が生息するメルベイユにすらも無い」
「そういえば映像どころか、エロ本もグラビア雑誌も漫画も無いですもんね」
「だから気になるのだ」
「わかりました」
大きなテレビの電源を入れてチャンネル操作すればすぐに女性の嬌声が響いた。
リズ様は食い入るように絡み合う男女の映像を見つめている。
恐らく、リズ様からすれば動物園の動物を見ているような感覚なのだろう。
俺はなんとなく気まずくてあまり画面が見られない。
居心地が悪くて他の設備でも見てまわろうかと思ったが、リズ様が俺の手首を掴んだ。
「どこへ行く」
「えっ、いや、部屋をもっと見てまわろうかと」
「馬鹿もの、せっかくの指南映像だぞ。ユタカがいなければ実戦できまい」
「実践!?」
何か凄いこと言い始めた。
テレビに目をやれば、ソファに座る男性の上でリードするように女性が腰を動かしている映像が目に入った。
これを、リズ様が……!?
「し、してくれるんですか」
「ああ。いつもユタカに任せっぱなしだからな。私だってできる事はしたい」
そんな事を言われて断る男など、どこの世界にもいないだろう。
こうして対面座位での三回目が開始した。
ソファでの営みを終えた俺達は休憩をするためにベッドへ転がった。
そこでリズ様が起き上がって頭上の台に置かれた物を手に取る。
「これはなんだ」
「コンドームですね」
「避妊具か。繁殖を目的としない行為に必要になるのだな」
「地球には魔法が無いので衛生面の意味でも使った方が良いんですよね」
そうは言ったものの、神でもある俺達には必要の無いアイテムだ。
俺もリズ様も自然に病気になどなったりしない。
良くて魔術とか呪いの類で体調を崩すくらいだろう。
そんな事を考えていると、リズ様が俺にゴムを差し出してきた。
「つけている所が見たい」
「……マジですか」
コンドームに興味津々のリズ様が可愛くてそれだけで勃起した。
私生活ではここまで見境なく盛る事が無かったから自分でも驚いている。
もしかしたら無意識に抑えていたのかもしれない。
ラブホという空間で解放された性欲は留まるところを知らず、四度目はゴムをつけたセックスとなった。
さすがにこれだけ回数をこなすと互いに空腹感が襲ったので、料理を注文して届けられた物を二人で食べた。
冷凍食品かと思いきや、近くの飲食店から料理が届けられているらしくて本格的な味に驚いた。
こうしてサービスを競い合ってリピーターを増やしているようだ。
「美味かったな。サービスの質が高いのに宿泊費が安価で驚くな」
「普通のホテルよりも部屋の中だけで全て完結できるのは楽ですねぇ」
「これだけ設備が整っているからこそ、性行為に集中できるということか」
「確かに……外に出ない前提だからこそですね」
そんな話をベッドでしながらも、俺は販売で買ったオモチャの手錠をリズ様の両手首にかけた。
フワフワした素材が巻き付いていて肌が傷付かないようになっている。
「リズ様、壊したらお仕置きですからね」
こんな物に拘束力なんて無い。
俺達の身体能力なら、ほんの少しでも力をこめれば手錠なんて粉砕できてしまう。
壊さない方が難しいと思ったのでそう言ってみた。
リズ様は俺を見てニヤリと笑う。
「ほう。お仕置きとはどういう事をしてくれるのだ」
「えっ……と……考えてませんでした」
拘束されている姿が見れただけで満足した俺は本気で何も考えていなかった。
まさか内容を訊ねてくると想定もしていなくて、誤魔化す余裕もなく素直に告げるとリズ様は虚を突かれた顔をしたあとに大笑いした。
「くっ……ふふふ、あははっ、ユタカは本当に可愛くて面白いな」
リズ様は手錠で繋がる腕の輪を俺の首に掛けてギュッと抱き締めてくる。
久し振りに子供扱いされて恥ずかしくなった。
俺は照れ隠しのため、そのままリズ様を押し倒して五回目にもつれ込んだ。
つい、リズ様を中で何度も何度もイかせてグッタリするまで抱きつぶしてしまい、そのまま朝を迎えることになる。
結局、ラブホは十二分に堪能したものの、調査としては不完全に終わった。
◇◆◇
数日後。
俺達は他にも調査隊を派遣する事に決めた。
「フランセーズ」
どこかの村を救ってまた一つ英雄として名を刻んだフランセーズが、その帰りに魔界に遊びに来た。
良いタイミングなので、調査を依頼するためのアイテムをリズ様が差し出した。
「ユタカの故郷の金と衣服。それと異世界への転移アイテムだ」
「うわ、簡単に転移アイテムとか出さないでよ。売ると国家予算レベルのお金になるよ……争いの火種にして戦争でも起こすのかい?」
露骨に嫌そうな顔をして転移アイテムを見るフランセーズが面白い。
異世界転移なんて簡単にできるものではないという認識は俺とリズ様は忘れがちだ。
俺は慌てて弁解する。
「いや、普通にテリアと遊んで来て欲しいだけなんだけど!」
「そうだ。そろそろ二人目が欲しいと言っていただろう」
「何で地球に遊びに行くって話にそれが関係あるの!?」
話が読めなくてギョッとするフランセーズの反応はもっともだ。
魔城の施設拡張のための調査だと言えば納得してくれたけど。
それからしばらく後。
真面目なフランセーズとテリアの調査は完璧だったし、更に無事二人目を妊娠したという報告も同時に受けた。
────それはまたいずれどこかで語られる話だろう。
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