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【第五章】勇者を助けに異世界へ
九・五話 ユタカ×リスドォル 森 -ユタカ視点- 【前編】
しおりを挟むまだ腕を掴んで拘束はしてるけど、恥の上塗りはしないと言った手前、もうリズ様は抵抗らしい抵抗をしなかった。
手近な森に降り立ち、リズ様を解放する。
すぐさま少し距離を取ったリズ様だったが、逃げることもせずただ俺を睨んでいる。
「殺すなら早く殺せ」
前と状況は違うけど、やっぱり魔王様は倒されたがるんだなと懐かしくなってしまう。
俺はあえて何も答えずに一歩一歩とリズ様に近付き、それに合わせてリズ様も後退していく。
すぐに木に追い詰められてリズ様は行き場をなくした。
「魔物の世界は弱肉強食ですよね、魔王様。敗者が勝者に命令することはできないのでは?」
「……クッ……ならば好きにしろ」
好きにしろなんて言いながら、噛みつかんばかりに殺意を向けてくるリズ様が新鮮で、苛めたくなってしまう。
自分にSっぽい所があるとは思わなかった。
俺はせっかくの機会なので強者の特典を試させてもらう事にした。
主に命令する機会なんてないから少しドキドキしてしまう。
「じゃあ後ろに両手をついてお尻を突き出すようにしてください」
そう指示すると、リズ様は目を見開き息を飲んだ。
悔しそうに唇を引き結んだあと、俺に背を向けて木に両手をついた。
本気で嫌がるならやめる気だったが、ゆっくりとリズ様は上体を下げていき、腰が弓なりに反ってとても色っぽい格好になった。
「交尾が目的ならさっさと終わらせろ」
リズ様は吐き捨てるようにそう言うと、指先を動かそうとした。
「あ、勝手に服は消さないでくださいね」
衣服を魔法で消してしまいそうだったので釘を刺した。
俺の予想は当たっていたようで、リズ様は驚いたように首だけで振り返った。
「な……」
「なんでわかったって顔してますね。わかりますよ。俺は貴方の事を誰よりも知っていますから」
服の脱がし方について話し合いが済んでいるなんて、今のリズ様には想像もできないだろう。
俺は手早くリズ様の下を脱がしていく。
やっぱりこうして少しずつ暴いていくのはとても興奮する。
ズボンと下着を下げると、想像通り、リズ様の後ろは濡れて糸を引いていた。
俺を雄と認めて発情している証拠だ。
「魔王様、どうですか、俺に惚れました?」
「誰が惚れるか!」
「惚れてもないのに、俺を受け入れる準備をしちゃったんですか?」
俺はぬるぬるとしている谷間を指でなぞり、後ろからリズ様の耳を齧りつつ囁いた。
ビクリと肩が震えた後、リズ様の耳に赤みがさす。
後ろからはさらにコポリと透明の液が溢れ出てきてめちゃくちゃエロい。身体は正直だ。
「感情は関係ない……ッ」
「本当ですか? 結果的に犯されるとしても、最後まで抵抗せずに俺の言う事を聞いてくれてる時点で、かなり感情が入っていると思うんですけど」
「……無駄な労力を使わないようにしているだけだ! 断じてお前を好きになった訳でも、男前だと思っている訳でもない!」
典型的なツンデレか? これ絶対思ってるやつじゃん。
今までも薄々感じてたけど意外とリズ様、俺の外見好きだよな。
ツンどころか既にデレデレではないだろうか。
「そんな可愛い事言われたらヤバいんですけど」
「可愛くなどない! お前の目は節穴か!?」
「普段と違って元気な所も可愛いですね」
どちらかと言えば表情筋が死んでいるリズ様がこんなにも元気だと微笑ましい。
魔物になり、成長につれて今の大人しいリズ様になったのかと思うと、知らなかった時期のリズ様を見ているようなお得さを感じる。
俺はたまらず肉の窄まりに指を入れると、そこは待ち侘びたとばかりにぐねぐねと奥へ誘ってくる。
「ひぁッ、あぅ」
「やっぱり柔らかい……すぐ挿れてもいいですか?」
そう聞きながら、既に知っているリズ様の弱い所を探し、指先を動かして強く撫でた。
「はぁあ、アアッ!?」
「指でもこんなに反応するんですから、もっと大きいので擦られたら魔王様どうなっちゃうんでしょうね」
俺の言葉に反応するように、リズ様の中は咥え込んでいる指をギュッと締め付け、更に潤いが増した。
身体は本当に素直なのに、口はこれ以上声が出ないように必死に喰いしばったようだ。
フーフーと荒い息遣いしか聞こえなくなったため、俺はリズ様の口をもう片方の手でこじ開ける。
「噛むなら俺の手にしてください。憎い相手に少しでも意趣返しできますよ」
リズ様のためなら指の一本や二本噛み千切られても惜しくない。
多分正気になった時に治してくれるだろうし。なんてことを思っていた。
「うわっ」
「……ん、ふ……ふふ……」
しかし、俺の指に痛みが襲う事は無く、むしろ丁寧にリズ様の舌が俺の指を這いまわり、ゾクゾクと快感ともくすぐったさともつかない刺激に襲われ驚いてしまう。
その反応に気を良くしたのか、リズ様の口からは笑いが零れていた。
「ふん、可愛らしい声を上げるではないか。私に施しで反撃を与えようとするなど愚かな事だ」
さすがリズ様。相手の思い通りに動かない気高さがカッコイイです。
指フェラかぁ。エッチだ。しみじみと喜びを噛み締めてしまう。
「乗り気になってくれたようで嬉しいです」
「はあ!? 乗り気になどなっておらぬ!」
心外だと言わんばかりに否定するリズ様。慌てている所も可愛いです。
もう色々と我慢の限界なので、俺はリズ様の上下の口に入れていた指を取り去った。
最低限おろした下穿きから、俺の性器が弾かれたように勢いよく飛び出してくる。硬く熱く脈打ったそれは、早くリズ様の中に入りたいと主張していた。
濡れた中心に切っ先を当てるとリズ様が焦った声を上げ、こちらを見る。
「あ……そ、れは……ッ」
「どうしました?」
「……ゆ、ゆっくり……」
「え?」
突然リズ様が処女みたいな事を言い出して俺は気の抜けた声が出てしまう。
いや、まあ、記憶のない今のリズ様からしたら紛れもなく処女だもんな。
知らない相手に無理矢理奪われるんだから怖いだろう。
「魔王様、怖いですか? 無理ならやめます?」
「怖くなどない! ただゆっくりと言っただけではないか!」
「俺もさすがに本気で嫌ならやめますよ」
「だから嫌ではないと……ッ」
リズ様はそう言って数秒固まった後に項垂れて黙ってしまった。
背後から見える、髪のカーテン越しの首筋が真っ赤になっている。
そんな可愛い反応されたらゆっくり出来なくなってしまいますけど。この反応は完全に逆効果である。
しかし、理性を総動員して強引に突き挿れたい衝動を堪えた。
「……わかりました、ゆっくりしますね」
その言葉にリズ様の頭がより深く下がった。これは頷いたと捉えて良さそうだ。
記憶がなくてもちゃんと合意みたいなので、ありがたく続けさせてもらおう。
先端がズレないように押さえつつ、腰をゆっくりと進める。
「あ、あ……あ……ぁあッ」
奥へ進む動きの度に小さく声をあげるリズ様。侵略が確かに行われていると耳でも実感できる。
肉の道は相変わらず絶妙な力加減でこちらを締め付け、気持ち良さを丁寧に教え込まれている気分だ。
この快楽を忘れることなく、また来て欲しいと、甘え、ねだっているようにすら感じる。
身体は俺の事を覚えているとでも言いたげだ。
陰茎が完全にリズ様の中に納まり、下腹が密着した段階で俺は大きく息を吐いた。
「はぁ……あの、俺、ちゃんとゆっくりできてましたか?」
不安になり、確認する俺の言葉に、リズ様はゆっくりとこちらを振り返る。
潤んだ瞳の色に、赤以外も混じりだしていた。精神干渉に変化が出ているようだ。
少し目尻に精神の昂ぶりによる涙を浮かべながら、悔しそうな顔で頷いてくれた。
俺は安堵の笑みを浮かべる。
「それなら良かった」
「……もう何も聞くな……好きにしろ」
投げやりな言葉には照れも含まれているようだ。つまり俺の好きに動けということらしい。
確かにいちいち聞かれるのは羞恥プレイだろうし、さっき少し揺らぎそうだったけど俺は特殊性癖を持ち合わせていないのだ。
お言葉に甘えて、俺は素直に動きを再開させてもらうことにした。
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