サクラ色に染まる日 〜惨めな私が幸せになるまで〜

第一章 惨めな日々

4．惨めな日々

「私の大事なものを返して！」

「どうしてそんな酷いことをするの！？」


義母と杏の仕打ちに初めは泣いて抵抗した。

母が亡くなってすぐに現れた新しい家族を、
サクラなりに歓迎して、一生懸命関係を作ろうと努力してきたつもりだった。自分に悪いところがあるのなら改めるからと泣きながら何度も縋り、謝罪した。しかし、彼女達はそんなサクラを嘲笑うだけで状況は悪化するばかり…。


次第にサクラは抵抗を辞め、表情を殺して耐えるようになった。抵抗を示すと更に声を荒げ、強い怒りをぶつけられるのだ。俯き、謝罪をすることで解放される…。サクラに残された、自分を守る唯一の方法だった。


なんて惨めなんだろう…。


心がどんどん冷えていくのが分かった。


小屋での生活を強いられるようになって以降、父と顔を合わすことは無くなった。

愛のない結婚の元に産まれたサクラを元々愛していなかったのか、政略結婚の為に、別れざるを得なかった義母に負い目を感じていたのかは分からない。しかし、屋敷から消えたサクラに父は全く関心を示さなかった。


そんな当主の姿を見ていた使用人達も、誰一人としてサクラに近付くことは無かった。