サクラ色に染まる日 〜惨めな私が幸せになるまで〜

碧みどり

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第一章 惨めな日々

3.義母と妹

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8つの時に祖父が亡くなり、サクラを取り巻く環境はガラリと変化した。

父が当主として七条家を継ぐと、今まで祖父を恐れて息を潜めていた義母がサクラを虐げ始めたのだ。


「お前は、お義父様に認められない私を馬鹿にしていただろ!!!」

「元々はお前の母親が私たち夫婦の幸せを奪ったのだ!!!お前の母親さえいなければ、こんな思いはしなくて済んだのだ!!!!」


今までの鬱憤を晴らすかのように義母に激しく罵られ、何度も何度も殴られた。


元々恋人だった父と義母の仲をサクラの母が引き裂いた。やっと父と一緒になれた後も、当主である祖父に認められずに肩身の狭い思いをした。この母娘が居なければ…七条家次期当主の妻として周囲から羨まれる生活ができたのに!


義母は元々恋人同士であった自分達を引き裂いたサクラの母に対する恨みと、自分たちを認めようとしなかった祖父への恨みをこれでもかとサクラにぶつけた。


そんな母親と同様に異母妹もサクラを虐げるようになった。強情な杏はサクラの持ち物を全て欲しがり、母や祖父の形見の品を全て取り上げた。


奪えるものが無くなったことが分かると「辛気臭い顔を見ると気分が悪くなる」と義母と共にサクラを屋敷から追い出し、離れの小屋で寝起きすることを強いた。


しかし、屋敷から追い出した後も彼女達は何度もサクラの元に現れ、顔が不快だ、仕草が気に入らない、等と難癖を付けては酷い言葉で罵り、暴力を振るう。


サクラの食事が用意されることはなくなり、「食事が欲しいなら行動で示せ」と給仕を押し付けられ、サクラは使用人同然の生活を余儀なくされたのだった。

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