幼女のようじょ

えあのの

文字の大きさ
上 下
25 / 39
第二章 冒険のはじまり

24日目 「ふしぎなお屋敷」

しおりを挟む

 「こんなに大きいの?!」

 みよは思わず声が出てしまい、マリーに口を塞がれる。

 目の前にあったのはとても大きなお屋敷だった。さすがにファルクール家には及ばないがそれと同等くらいには立派なお屋敷だ。

 「リリちゃんのおうち素敵ね......!」

 マリーは小声でそう囁く。

 「それにしても森の近くにこんなに大きな家があるなんて聞いたことないけど......」

 貴族が持つほど大きなお屋敷があれば誰かが知っていそうなのに誰もが聞いたことがないようだ。

 リリが扉をコンコンとノックして何か不思議な呪文を唱えたかと思うと扉がギーっと音をたてて開く。

 「あの呪文一体何なのかしら?」

 そうマリーが呟くと

 「私も長く生きてきたけどあの呪文は知らないわね、魔法の詠唱文のようなものであることはわかるのだけど」

 シエルはそう答える。

 よく見てみれば、扉の向こうには誰もいないようだ。

 「ひとりでに開いたのです......」

 みいは少し驚いて耳を動かしている。

 「早く行かなきゃ扉が閉まっちゃう!」

 みよが合図すると全員扉の方へと向かう。

 4人が恐る恐る扉の中へとはいると

 みよは首筋にひんやりとしたものを感じる。

 「ひゃっ!」

 「あらあら、お友達かしら~こっそりつけてくるなんてどうしたの?」

 振り返ると帽子を被った綺麗な女の人が立っていた。ずっとニコニコしているがなんだか考えてることがわからなくて少し怖い。

 ふと気がつくとマリーは右手にみいは左手にと少し怯えるようにみよの袖にしがみついている。

 「ずいぶんとかわいいお連れさんね、その様子だとリリに危害を加えにきたってわけではなさそうね」

 その女の人がそういうと、それまで張り詰めていた空気が一気に緩んだ気がした。

 「ごめんなさいね、少し怖がらせちゃったみたい。リリがお友達を家に連れてくるなんて初めてのことで私も少しびっくりしてしまったの。許してちょうだい。」

 そういうと三人の頭を撫でる。なんだか少し暖かい気がする。

 その様子を驚いた顔で見ていたリリは頭を撫でているのをみて胸を撫で下ろしている。

 「お母さま! その人たちは悪い人じゃないの。なんというかその知り合いというか......」

 そう言いながらリリは気恥ずかしそうにみよたちの方を見つめる。

 「リリは私達の大事な友達よ!」

 マリーがそういうとえへへという表情でリリは可愛らしく微笑んでいる。

 「みればわかるわ、少なくとも悪い子たちではなさそうね。それはそうとしてこっそり人の家までつけてくるのはいかがなものかしら。」

 女の人がそういうとみなバツが悪そうに目を逸らす。

 「まあいいわ。この場所にたどり着いてしまったなら話すことがあるわ、一緒に来てくれるかしら」

 そういうとこっちへと手招きをしながら屋敷の奥の方へと向かっていく。

 ふとリリの方へ目をやるとコクコクと頷くのでみんなでリリのお母さんについて行くことにした。

 一体何を言われるんだろう......
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

人生負け組のスローライフ

雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした! 俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!! ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。 じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。  ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。 ―――――――――――――――――――――― 第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました! 皆様の応援ありがとうございます! ――――――――――――――――――――――

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!

マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です 病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。 ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。 「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」 異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。 「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」 ―――異世界と健康への不安が募りつつ 憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか? 魔法に魔物、お貴族様。 夢と現実の狭間のような日々の中で、 転生者サラが自身の夢を叶えるために 新ニコルとして我が道をつきすすむ! 『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』 ※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。 ※非現実色強めな内容です。 ※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。

処理中です...