4 / 39
第一章 出会い
3日目 「水の魔法」
しおりを挟む
それからマリーちゃんとの生活が始まった。
夜には、私が元いた世界の話を昔読んだ小説の話だと言って聞かせてあげると、彼女はとても喜んで話を聞いてくれた。
また、この世界には魔法があるらしいが別の世界からきた私にそんな適性があるわけもなく、私の世界でのいわゆる科学というやつを見せてあげることにした。
「私ね! ちょっとだけ魔法が使えるのよ!」
そう言ってマリーが見せてくれたのは水属性の魔法みたいだった。
「えい! スプラッシュボム!」
彼女の手からボーリングの玉くらい大きさの水の玉が出てきて、それが宙を舞い一気にはじけ飛んだ。私にもほんの少し水が降りかかった。
「もーマリーちゃん! 水がかかるんだったらいってよね!」
「えへへ、ごめんなさい。」
(でも、これなんかに使えそう.....そうだ!)
「マリーちゃんって他の属性の魔法も使えるの?」
「ううん、使えないみたい。魔法適性って言うのは生まれながらのもので、大抵一属性だけなのよ。」
「え? じゃあこの国の人みんな魔法が使えるの?」
「みんなってわけじゃないけど、適性が高い人は多いかしらね。大体2割くらいの人に適正があるのだけれど、私の国では3割くらいって教わったわ!」
「ねえ、マリーちゃんちょっと手伝ってもらってもいい?」
突然のお願いにマリーは少し戸惑ったようだが、すぐに彼女は返事をしてくれた。
「もちろん、みよのお願いならなんでもきくわ!」
そういうと、よしきた! と言わんばかりの表情でみよは辺りを見回した。
(うーん。どうしよう。.....あっ)
使用人が箒ではいたあとなのか、屋敷の端の方に小さな落ち葉の山が見えた。
「ねえ、あの落ち葉が山になっているところに一緒にきて!」
「いいけど、何をするの?」
「いいからいいから!」
私はマリーの手を引き移動した。
「それじゃあスプラッシュボムを弾けないままの状態にしてもらってもいい?」
マリーはこくりとうなずいて水の玉を宙に浮かせた。浮かび上がった水の玉は水面で光が反射し、きらきらと輝いている。
「そうしたらその玉を太陽に向けてみて!」
地面には屈折した光が映し出されていた。
「うんうん! 次は地面の光がなるべく小さくなるように距離を調整してみて!」
マリーはそんな細かい調整をしたことは無いので、少し苦労していたが、みよにかっこ悪い所を見せたくなかったのか、一生懸命に水の玉に意識を集中させていた。
そうするとじわじわと、落ち葉はちりちりと音を立て、煙も出始めた。
「ええっ! すごいわ! どうして? 水属性魔法なのに火が.....」
そう誰もが知っている虫眼鏡の原理を応用したものだった。屈折して集まった光は熱を帯び、落ち葉をゆっくりと燃やしてゆく。
「えっへん!」
みよは自慢げに胸を張っていた。満足気な顔をして。
「みよも魔法がつかえたのね!」
「あ、違うの。これは私のもといた国の科学ってやつで.....」
「かがく? なんだかわからないけど面白そうね! 私、もっと知りたいわ!」
気がつくとあたりはオレンジ色に染まり、日が沈み始めていた。そう、この世界にも夕陽がある。
「うーん、今日はもう遅いから明日にしよっか?」
「遅くなるとお父様に怒られてしまうものね! わかったわ」
(これは、色々面白いことができそう......)
そして、マリーとみよは夕焼けに染まる空を背に手を繋いで屋敷へと帰ってゆくのだった。
夜には、私が元いた世界の話を昔読んだ小説の話だと言って聞かせてあげると、彼女はとても喜んで話を聞いてくれた。
また、この世界には魔法があるらしいが別の世界からきた私にそんな適性があるわけもなく、私の世界でのいわゆる科学というやつを見せてあげることにした。
「私ね! ちょっとだけ魔法が使えるのよ!」
そう言ってマリーが見せてくれたのは水属性の魔法みたいだった。
「えい! スプラッシュボム!」
彼女の手からボーリングの玉くらい大きさの水の玉が出てきて、それが宙を舞い一気にはじけ飛んだ。私にもほんの少し水が降りかかった。
「もーマリーちゃん! 水がかかるんだったらいってよね!」
「えへへ、ごめんなさい。」
(でも、これなんかに使えそう.....そうだ!)
「マリーちゃんって他の属性の魔法も使えるの?」
「ううん、使えないみたい。魔法適性って言うのは生まれながらのもので、大抵一属性だけなのよ。」
「え? じゃあこの国の人みんな魔法が使えるの?」
「みんなってわけじゃないけど、適性が高い人は多いかしらね。大体2割くらいの人に適正があるのだけれど、私の国では3割くらいって教わったわ!」
「ねえ、マリーちゃんちょっと手伝ってもらってもいい?」
突然のお願いにマリーは少し戸惑ったようだが、すぐに彼女は返事をしてくれた。
「もちろん、みよのお願いならなんでもきくわ!」
そういうと、よしきた! と言わんばかりの表情でみよは辺りを見回した。
(うーん。どうしよう。.....あっ)
使用人が箒ではいたあとなのか、屋敷の端の方に小さな落ち葉の山が見えた。
「ねえ、あの落ち葉が山になっているところに一緒にきて!」
「いいけど、何をするの?」
「いいからいいから!」
私はマリーの手を引き移動した。
「それじゃあスプラッシュボムを弾けないままの状態にしてもらってもいい?」
マリーはこくりとうなずいて水の玉を宙に浮かせた。浮かび上がった水の玉は水面で光が反射し、きらきらと輝いている。
「そうしたらその玉を太陽に向けてみて!」
地面には屈折した光が映し出されていた。
「うんうん! 次は地面の光がなるべく小さくなるように距離を調整してみて!」
マリーはそんな細かい調整をしたことは無いので、少し苦労していたが、みよにかっこ悪い所を見せたくなかったのか、一生懸命に水の玉に意識を集中させていた。
そうするとじわじわと、落ち葉はちりちりと音を立て、煙も出始めた。
「ええっ! すごいわ! どうして? 水属性魔法なのに火が.....」
そう誰もが知っている虫眼鏡の原理を応用したものだった。屈折して集まった光は熱を帯び、落ち葉をゆっくりと燃やしてゆく。
「えっへん!」
みよは自慢げに胸を張っていた。満足気な顔をして。
「みよも魔法がつかえたのね!」
「あ、違うの。これは私のもといた国の科学ってやつで.....」
「かがく? なんだかわからないけど面白そうね! 私、もっと知りたいわ!」
気がつくとあたりはオレンジ色に染まり、日が沈み始めていた。そう、この世界にも夕陽がある。
「うーん、今日はもう遅いから明日にしよっか?」
「遅くなるとお父様に怒られてしまうものね! わかったわ」
(これは、色々面白いことができそう......)
そして、マリーとみよは夕焼けに染まる空を背に手を繋いで屋敷へと帰ってゆくのだった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

ほっといて下さい(番外編)
三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。
本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。

糸と蜘蛛
犬若丸
ファンタジー
瑠璃が見る夢はいつも同じ。地獄の風景であった。それを除けば彼女は一般的な女子高生だった。
止まない雨が続くある日のこと、誤って階段から落ちた瑠璃。目が覚めると夢で見ていた地獄に立っていた。
男は独り地獄を彷徨っていた。その男に記憶はなく、名前も自分が誰なのかさえ覚えていなかった。鬼から逃げる日々を繰り返すある日のこと、男は地獄に落ちた瑠璃と出会う。
地獄に落ちた女子高生と地獄に住む男、生と死の境界線が交差し、止まっていた時間が再び動き出す。
「カクヨム」にも投稿してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる