上 下
20 / 23
王都編

第十九話 「呪い」

しおりを挟む

「ここ1週間での王都での死者数だよ」

「......それって殺されたってこと?」

 ミーファは恐る恐る尋ねる。

「わからない。明らかに事故や病気で亡くなった人を除けば、死亡した人達の共通点は一度眠ったが最後苦しむこともなく、翌朝には目を覚さなかったらしい」

(何か裏が有る......ミーファはそう直感する)

「病気とかではないの??」

「いや、違うと思うよ。国の最高峰の鑑定士が死体を検証したけど、病気とかではなくてほんとにそう、寿命のような感じで亡くなっていたそうだよ」

「それってまさか子供も?」

「勘がいいね。だから不可解なんだ。特に障害を持っているわけではない子供さえも病気ではなく、突然朝には冷たくなっている。これほど怖いことはないさ」

「そんなことって......」

(こんなのおかしい、絶対裏で誰かが手を引いているとしか......)

「こんな状況が他国に知られたりすれば大惨事だし何より外から人を入れるわけにはいかなかった。だから国王も王都閉鎖に踏み切るしかなかったってわけ」

「それってまるで......」

 ミーファが言いかけるとハロルドは、

「呪いだな。まるで誰かが意図的にやったような」

 ミーファもそう言おうとしていたところだった。

(この勇者、察しがいい......)

「よくわかったね。この国の人達もこの得体の知れない現象を呪いとか厄災と呼んでいるよ」

「なるほど......よくわかったよ。ありがとう。ソラさん」

(呪いか......それって私達にも影響があるのかな)

「んで君たちお金持ってるの?」

 急に話が変わってミーファは驚いたが、おそらく宿代のことだろう。

「はい、このくらいなら......」

 ミーファは母から貰っていた数枚の硬貨を手の上に乗せてみせる。

「まあ、今日王都に入ったなら知らなくて当然か。例の一件で流行病かも知れないと考えた人があまり外に出なくなっちゃって、国王が対策として貨幣を発行するも価値は大暴落。うちもなかなか人が来ないもんで宿賃も大幅値上げってわけ」

 そう言ってソラはため息をつく。

「じゃあ......」

 ミーファ達が諦めて外に出ようとすると、

「待って! 宿賃はただでいいよ。そのかわり、この事件の調査をしてほしいんだよね。報酬は先払いってことで」

 ソラは慌てて引き止める。

「でも、王国が調査してわからなかったのに私達が......」

「その依頼、受けた」

 ハロルドはミーファの声を遮りそう言った。

「まあ僕も手伝うからさ......それじゃあ決まりだね! じゃあ明日からよろしくぅ! 今日はゆっくり休んで。部屋は二階の一番目の部屋だから。それじゃあね」

 そう言われミーファ達は階段を登り自分達の部屋へと向かう。

(勇者さんとおんなじ部屋か~ちょっと緊張するかも)

 ミーファは少しそう思ったが、特に何が起こると言うわけでもなくミーファ達は静かに床についた。

(ねえ、アニマ。話聞いてたよね?)

 ミーファは思念で語りかける。

【はい、ずっと聞いていましたが】

(じゃあその呪いの原因ってわかったりする?)

【ええ、分かりますよ。×××××の影響です】

(え、今なんて言ったの?)

【ですから×××××の影響です】

 ミーファにはアニマがなんと言っているのか理解することはできなかった......

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

処理中です...