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王都編
第十九話 「呪い」
しおりを挟む「ここ1週間での王都での死者数だよ」
「......それって殺されたってこと?」
ミーファは恐る恐る尋ねる。
「わからない。明らかに事故や病気で亡くなった人を除けば、死亡した人達の共通点は一度眠ったが最後苦しむこともなく、翌朝には目を覚さなかったらしい」
(何か裏が有る......ミーファはそう直感する)
「病気とかではないの??」
「いや、違うと思うよ。国の最高峰の鑑定士が死体を検証したけど、病気とかではなくてほんとにそう、寿命のような感じで亡くなっていたそうだよ」
「それってまさか子供も?」
「勘がいいね。だから不可解なんだ。特に障害を持っているわけではない子供さえも病気ではなく、突然朝には冷たくなっている。これほど怖いことはないさ」
「そんなことって......」
(こんなのおかしい、絶対裏で誰かが手を引いているとしか......)
「こんな状況が他国に知られたりすれば大惨事だし何より外から人を入れるわけにはいかなかった。だから国王も王都閉鎖に踏み切るしかなかったってわけ」
「それってまるで......」
ミーファが言いかけるとハロルドは、
「呪いだな。まるで誰かが意図的にやったような」
ミーファもそう言おうとしていたところだった。
(この勇者、察しがいい......)
「よくわかったね。この国の人達もこの得体の知れない現象を呪いとか厄災と呼んでいるよ」
「なるほど......よくわかったよ。ありがとう。ソラさん」
(呪いか......それって私達にも影響があるのかな)
「んで君たちお金持ってるの?」
急に話が変わってミーファは驚いたが、おそらく宿代のことだろう。
「はい、このくらいなら......」
ミーファは母から貰っていた数枚の硬貨を手の上に乗せてみせる。
「まあ、今日王都に入ったなら知らなくて当然か。例の一件で流行病かも知れないと考えた人があまり外に出なくなっちゃって、国王が対策として貨幣を発行するも価値は大暴落。うちもなかなか人が来ないもんで宿賃も大幅値上げってわけ」
そう言ってソラはため息をつく。
「じゃあ......」
ミーファ達が諦めて外に出ようとすると、
「待って! 宿賃はただでいいよ。そのかわり、この事件の調査をしてほしいんだよね。報酬は先払いってことで」
ソラは慌てて引き止める。
「でも、王国が調査してわからなかったのに私達が......」
「その依頼、受けた」
ハロルドはミーファの声を遮りそう言った。
「まあ僕も手伝うからさ......それじゃあ決まりだね! じゃあ明日からよろしくぅ! 今日はゆっくり休んで。部屋は二階の一番目の部屋だから。それじゃあね」
そう言われミーファ達は階段を登り自分達の部屋へと向かう。
(勇者さんとおんなじ部屋か~ちょっと緊張するかも)
ミーファは少しそう思ったが、特に何が起こると言うわけでもなくミーファ達は静かに床についた。
(ねえ、アニマ。話聞いてたよね?)
ミーファは思念で語りかける。
【はい、ずっと聞いていましたが】
(じゃあその呪いの原因ってわかったりする?)
【ええ、分かりますよ。×××××の影響です】
(え、今なんて言ったの?)
【ですから×××××の影響です】
ミーファにはアニマがなんと言っているのか理解することはできなかった......
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