39 / 69
1.5章 それぞれの思いと3年の月日
シュヴァ編 2年
しおりを挟む
「お前、またでかくなってないか?」
俺の相棒から言われたひと言だった。
「あ?普通だろ」
「いやいや、最近馬よりデカイって噂になってるぞ」
確かに、昔はヴァイスの膝に乗れるサイズだったのだが、今では逆転していて、ヴァイスが俺に乗ってくるようになっていた。
乗るのはいいのだが、ダイブからの顔面擦りつけてスーハースーハーしてくる謎な行為は辞めてほしい。俺はヴァイスの事が誰よりも好きだが、あの行為だけは嫌いだ。
「だいたいなぁ…くどくど」
始まってしまった。お説教タイムである。俺は水や、火などの魔法より闇魔法が得意なので、影に潜ったり影を使って分身したりできるのだが、欠点があり、自分より小さいものには入れない。その為、昔と違いヴァイスの影に入れなくなってしまった。そこで、街中を堂々と歩くようになった。
しかも、魔力が年々増え、人型の調整が難しくなったせいで、獣型で堂々としているのである。当然、街は大騒ぎになった。それ以来時々お説教タイムが入る。
聞きたくないので耳を下向きにし、外の方に向ける。
「てめっ聞いてないだろ」
「ガウガウ~」
僕は獣です人間の言葉わかんなーいとアピールしてみると、すごく怒った顔をされた。
「あ~であった当初。3年前は可愛かったのに、なんでこう育ったかなぁー? しかも、最近俺置いていくし」
俺達は3年前、初めてあった時、俺の母から魔法を受け、離れると死ぬ、ヴァイスが怪我をすると俺に来ると言う理不尽な環境にあった。
それが解けたのが今から1年と半年前。つまり、俺達が出会ってから1年とちょっとしたときである。
「み、見つけた」
ヴァイスが母を見つけたときである。ちなみに母はヴァイスの事が好きすぎて、屋敷のメイドに潜伏していた。俺は、母がベット直しの時とかにこっそりヴァイスの髪の毛採取とかをしていたのに気づいていたが、母と会えるのが嬉しくて黙っていた。
しかし、とうとうバレたようである。
「ダリア! お前クビ」
「嫌ですわ~」
秒で断る母を清々しいとさえ思った。
「絶対、嫌ですわ~何度だって潜入してやるんだから~ それに、私いい仕事したと思いますのよ?」
母はちらっとヴァイスの弓に目をやる。
「そ、れ、無償だったでしょう? 知ってますのよ。嬉しくて一緒に寝てることも、鍛冶屋のドワーフに言われて毎日別の食材狩ってることも私知ってますのよ?」
その時、母にすべてげろっていたのは俺である。今思えば本当に申し訳ない。
「ちっ 仕方ねぇな。1つ条件がある」
「なんですの?」
「これ解け」
そうやって、ヴァイスは母のマークであるダリアの花が描かれている首を差し出した。それで、こうして今もヴァイスの隣でお茶を母が入れているのだ。
あの時、俺は魔法が消えたとき、寂しく思った。例え俺にとって悪い魔法でもなんだか繋がれている気がして嬉しかったのだとその時気づいた。相棒だって言われたのが消える気がしたのだ。
まぁ、そのせいで次の日勝手に契約の魔法をかけたのだけど。1つは同じ、ヴァイスの傷を請け負う魔法。
あとは…お互い離れても戻ってこれるような魔法。
そして、補い合う魔法。お互いが、足りないものをお互いが補う魔法だ。
まさかコレのせいで、俺の魔力がゴリゴリに強化されるとは思って無かったが、ヴァイスが魔力0な事で、俺が魔法面を頑張ることになったのだ。なんなら、ヴァイスは俺の魔力を勝手に使えると思うのだが、多分まだ気づいていないだろう。
俺はボンッと人型になり、自分の手を確認する。そこには半分のハートがある。その事に安心し、今日も平和だなぁと眠ることにした。横でヴァイスが「なんだよ急に」やら「ねるなー」やら叫んでいたが、聞こえないふりをする。
最近は1人で、人型で長くいるための、他の魔法を使う修行しつつモンスター狩りをしているので疲れているのである。もちろん、未だにりんごやらみかんやらを狩ってるヴァイスには口が避けても言えないけど。
「ふふふっすごいだろ~」
俺は夢の中でヴァイスに修行の成果を見せ褒めてもらっていた。なぜだか、リアルに撫でられているようで気持ちいい。
「たくっ、仕方ねぇなぁ」
本当は現実でも、ヴァイスがなでてくれていたのだが、寝ていた俺は知らないことである。
俺の相棒から言われたひと言だった。
「あ?普通だろ」
「いやいや、最近馬よりデカイって噂になってるぞ」
確かに、昔はヴァイスの膝に乗れるサイズだったのだが、今では逆転していて、ヴァイスが俺に乗ってくるようになっていた。
乗るのはいいのだが、ダイブからの顔面擦りつけてスーハースーハーしてくる謎な行為は辞めてほしい。俺はヴァイスの事が誰よりも好きだが、あの行為だけは嫌いだ。
「だいたいなぁ…くどくど」
始まってしまった。お説教タイムである。俺は水や、火などの魔法より闇魔法が得意なので、影に潜ったり影を使って分身したりできるのだが、欠点があり、自分より小さいものには入れない。その為、昔と違いヴァイスの影に入れなくなってしまった。そこで、街中を堂々と歩くようになった。
しかも、魔力が年々増え、人型の調整が難しくなったせいで、獣型で堂々としているのである。当然、街は大騒ぎになった。それ以来時々お説教タイムが入る。
聞きたくないので耳を下向きにし、外の方に向ける。
「てめっ聞いてないだろ」
「ガウガウ~」
僕は獣です人間の言葉わかんなーいとアピールしてみると、すごく怒った顔をされた。
「あ~であった当初。3年前は可愛かったのに、なんでこう育ったかなぁー? しかも、最近俺置いていくし」
俺達は3年前、初めてあった時、俺の母から魔法を受け、離れると死ぬ、ヴァイスが怪我をすると俺に来ると言う理不尽な環境にあった。
それが解けたのが今から1年と半年前。つまり、俺達が出会ってから1年とちょっとしたときである。
「み、見つけた」
ヴァイスが母を見つけたときである。ちなみに母はヴァイスの事が好きすぎて、屋敷のメイドに潜伏していた。俺は、母がベット直しの時とかにこっそりヴァイスの髪の毛採取とかをしていたのに気づいていたが、母と会えるのが嬉しくて黙っていた。
しかし、とうとうバレたようである。
「ダリア! お前クビ」
「嫌ですわ~」
秒で断る母を清々しいとさえ思った。
「絶対、嫌ですわ~何度だって潜入してやるんだから~ それに、私いい仕事したと思いますのよ?」
母はちらっとヴァイスの弓に目をやる。
「そ、れ、無償だったでしょう? 知ってますのよ。嬉しくて一緒に寝てることも、鍛冶屋のドワーフに言われて毎日別の食材狩ってることも私知ってますのよ?」
その時、母にすべてげろっていたのは俺である。今思えば本当に申し訳ない。
「ちっ 仕方ねぇな。1つ条件がある」
「なんですの?」
「これ解け」
そうやって、ヴァイスは母のマークであるダリアの花が描かれている首を差し出した。それで、こうして今もヴァイスの隣でお茶を母が入れているのだ。
あの時、俺は魔法が消えたとき、寂しく思った。例え俺にとって悪い魔法でもなんだか繋がれている気がして嬉しかったのだとその時気づいた。相棒だって言われたのが消える気がしたのだ。
まぁ、そのせいで次の日勝手に契約の魔法をかけたのだけど。1つは同じ、ヴァイスの傷を請け負う魔法。
あとは…お互い離れても戻ってこれるような魔法。
そして、補い合う魔法。お互いが、足りないものをお互いが補う魔法だ。
まさかコレのせいで、俺の魔力がゴリゴリに強化されるとは思って無かったが、ヴァイスが魔力0な事で、俺が魔法面を頑張ることになったのだ。なんなら、ヴァイスは俺の魔力を勝手に使えると思うのだが、多分まだ気づいていないだろう。
俺はボンッと人型になり、自分の手を確認する。そこには半分のハートがある。その事に安心し、今日も平和だなぁと眠ることにした。横でヴァイスが「なんだよ急に」やら「ねるなー」やら叫んでいたが、聞こえないふりをする。
最近は1人で、人型で長くいるための、他の魔法を使う修行しつつモンスター狩りをしているので疲れているのである。もちろん、未だにりんごやらみかんやらを狩ってるヴァイスには口が避けても言えないけど。
「ふふふっすごいだろ~」
俺は夢の中でヴァイスに修行の成果を見せ褒めてもらっていた。なぜだか、リアルに撫でられているようで気持ちいい。
「たくっ、仕方ねぇなぁ」
本当は現実でも、ヴァイスがなでてくれていたのだが、寝ていた俺は知らないことである。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる