34 / 69
第一章 乙女ゲームの世界に生まれて
31 レッツ狩り
しおりを挟む
「そうじゃ、おぬしこれから試し引きにいくじゃろ?」
「もちろん!!」
専用武器もらってワクワクしない方が嘘だろ?
もちろん今から試しにいく予定だ。だって興奮が収まらないし。
「わし、りんごが食べたい」
「は?」
「おぬしの事じゃて、どうせモンスター狩るんだーレベルアップだーと言う事は目に見えておるのじゃ」
ドキッとした。確かに、俺はスライム狩りしようと思っていたからだ。
「しかし、防具もない、魔力もない。友達もいない。ないないばっかりのぬしにモンスターははやいのじゃ」
「友達はいるわ!!」
あと2つは本当に無いから否定できない。
「僕も早いと思うな」
ルイにまで言われた。せっかく作ってもらったのにモンスターNGでレベルアップできないとか…意味ないじゃん!
「じゃぁどうすればいいんだよ!」
「だから、わし今日はりんごが食べたい気分じゃ」
「はぁ??」
またりんごかよ。商店街で買ってこればいいじゃないか。それとも俺に買って来いっていってるのか?
「なるほど…ふふっ。ドワルフさんも策士ですね」
忘れてたけど、ドワじぃって本名ドワルフだったっけ。俺はすっかりドワーフのじぃさんで覚えてしまっていたよ。
「なんだよ! 二人して、りんごがなんなんだ?」
また俺だけ置いてけぼりくらっている。俺そんなに察し力低いのかな?
色々と自身なくなっていくよ。悲しい。
「ドワルフさんはそれで、りんごを取ってこいって言ってるんだよ」
ルイにそれと言われた物は俺の弓だった。
「りんごを? 弓で?」
「そうじゃ。りんごの果梗だけに矢を当てれば落ちるじゃろう? 綺麗な物をよろしく頼むでの。食べれるものでよろしくなのじゃ」
なるほど、茎みたいなところに矢を当てて、りんごを落とせってことか。にやりっと笑みが溢れる。
「ちなみに、落としたものが、地面につく前に拾わないと潰れちゃうからダッシュも必要になるよ」
え、そこは下で待機してくれないんだ。きびしいかよ。
「ほれ!さっさと行くのじゃ」
ドワじぃに追い出され、ルイとシュヴァを連れてりんごの木を探す。
「あったの~」
シュヴァが指す方向にそれらしいものは見えない。
「何もないけど?」
「あるの~!!」
「僕らにはわからない野生的な何かかもしれないし、行ってみようか」
しばらく歩くと、立派な木が見えた。俺の身長の5倍ぐらいの木で、ルイに肩車されても届かないだろうとわかる。りんごの木は赤くつややかなりんごが沢山なっていた。
「そ、想像よりでかい…」
「そう? こんなもんじゃないかな?」
「りんごー!」
とりあえず、弓を構え矢羽が両方黒い矢を1本抜き出し、りんごめがけて放つ。
──ヒュッ。
俺の放った矢はりんごに向かって…いかない。外での練習をしたことが無い俺の矢は風に煽られ想像と違う方に飛んでいく。
「おぉー凄い飛ぶねぇ」
俺の矢が全然違う方に飛んだのは、木にすら当たっていないのでわかるのだが、肉眼で見えないほど早く、どこに行ったかわからないほど遠くに飛んでいった。
ど、ドワじぃ。なんてものを作るんだ。明らかにこれは人に当たると危ないものとわかる。弓は練習用よりも軽かったので、殺傷力は低いのかと思っていたが、逆らしい。
慌てて説明書を開くと下の方に、『ぬしでも攻撃力が出るように弓を軽く、弦を引く力があまりいらないような魔石をつけてるでの。扱いには気をつけるのじゃ』と書いてある。
目の前でドワじぃのウィンクが見えたような気がする。そんな効果いらない! りんご狩る為に殺傷力いらないだろ。りんご破壊する気か。
気を取り直して、りんごめがけて矢を射る。あいかわらず矢が早すぎて見えはしないが、当たったのはわかった。なぜなら、狙っていたりんごの真ん中に大きな穴が空いているからだ。
「…い、威力」
「さすがドワルフさんだね」
「大きな穴なのー」
それから見えないほど早い矢から無事なりんごを1個収穫するまでに、放ったらとりあえず走るを繰り返した。もちろん、数えられないほどの穴だらけのりんごと、10本ほどの穴だらけになった木を作ってしまったのだが、それには目をつぶってほしい。
りんご農家とかじゃなくて、野生産でよかった…。これが育てたりんごの木とかだったら申し訳無さすぎる。
穴だらけの木が街で噂になるのと、シルヴィア家の食卓がしばらくりんごだらけになるのは、ドワじぃに綺麗なりんごを渡して、ボロボロになりながら家に帰った後の事である。
「もちろん!!」
専用武器もらってワクワクしない方が嘘だろ?
もちろん今から試しにいく予定だ。だって興奮が収まらないし。
「わし、りんごが食べたい」
「は?」
「おぬしの事じゃて、どうせモンスター狩るんだーレベルアップだーと言う事は目に見えておるのじゃ」
ドキッとした。確かに、俺はスライム狩りしようと思っていたからだ。
「しかし、防具もない、魔力もない。友達もいない。ないないばっかりのぬしにモンスターははやいのじゃ」
「友達はいるわ!!」
あと2つは本当に無いから否定できない。
「僕も早いと思うな」
ルイにまで言われた。せっかく作ってもらったのにモンスターNGでレベルアップできないとか…意味ないじゃん!
「じゃぁどうすればいいんだよ!」
「だから、わし今日はりんごが食べたい気分じゃ」
「はぁ??」
またりんごかよ。商店街で買ってこればいいじゃないか。それとも俺に買って来いっていってるのか?
「なるほど…ふふっ。ドワルフさんも策士ですね」
忘れてたけど、ドワじぃって本名ドワルフだったっけ。俺はすっかりドワーフのじぃさんで覚えてしまっていたよ。
「なんだよ! 二人して、りんごがなんなんだ?」
また俺だけ置いてけぼりくらっている。俺そんなに察し力低いのかな?
色々と自身なくなっていくよ。悲しい。
「ドワルフさんはそれで、りんごを取ってこいって言ってるんだよ」
ルイにそれと言われた物は俺の弓だった。
「りんごを? 弓で?」
「そうじゃ。りんごの果梗だけに矢を当てれば落ちるじゃろう? 綺麗な物をよろしく頼むでの。食べれるものでよろしくなのじゃ」
なるほど、茎みたいなところに矢を当てて、りんごを落とせってことか。にやりっと笑みが溢れる。
「ちなみに、落としたものが、地面につく前に拾わないと潰れちゃうからダッシュも必要になるよ」
え、そこは下で待機してくれないんだ。きびしいかよ。
「ほれ!さっさと行くのじゃ」
ドワじぃに追い出され、ルイとシュヴァを連れてりんごの木を探す。
「あったの~」
シュヴァが指す方向にそれらしいものは見えない。
「何もないけど?」
「あるの~!!」
「僕らにはわからない野生的な何かかもしれないし、行ってみようか」
しばらく歩くと、立派な木が見えた。俺の身長の5倍ぐらいの木で、ルイに肩車されても届かないだろうとわかる。りんごの木は赤くつややかなりんごが沢山なっていた。
「そ、想像よりでかい…」
「そう? こんなもんじゃないかな?」
「りんごー!」
とりあえず、弓を構え矢羽が両方黒い矢を1本抜き出し、りんごめがけて放つ。
──ヒュッ。
俺の放った矢はりんごに向かって…いかない。外での練習をしたことが無い俺の矢は風に煽られ想像と違う方に飛んでいく。
「おぉー凄い飛ぶねぇ」
俺の矢が全然違う方に飛んだのは、木にすら当たっていないのでわかるのだが、肉眼で見えないほど早く、どこに行ったかわからないほど遠くに飛んでいった。
ど、ドワじぃ。なんてものを作るんだ。明らかにこれは人に当たると危ないものとわかる。弓は練習用よりも軽かったので、殺傷力は低いのかと思っていたが、逆らしい。
慌てて説明書を開くと下の方に、『ぬしでも攻撃力が出るように弓を軽く、弦を引く力があまりいらないような魔石をつけてるでの。扱いには気をつけるのじゃ』と書いてある。
目の前でドワじぃのウィンクが見えたような気がする。そんな効果いらない! りんご狩る為に殺傷力いらないだろ。りんご破壊する気か。
気を取り直して、りんごめがけて矢を射る。あいかわらず矢が早すぎて見えはしないが、当たったのはわかった。なぜなら、狙っていたりんごの真ん中に大きな穴が空いているからだ。
「…い、威力」
「さすがドワルフさんだね」
「大きな穴なのー」
それから見えないほど早い矢から無事なりんごを1個収穫するまでに、放ったらとりあえず走るを繰り返した。もちろん、数えられないほどの穴だらけのりんごと、10本ほどの穴だらけになった木を作ってしまったのだが、それには目をつぶってほしい。
りんご農家とかじゃなくて、野生産でよかった…。これが育てたりんごの木とかだったら申し訳無さすぎる。
穴だらけの木が街で噂になるのと、シルヴィア家の食卓がしばらくりんごだらけになるのは、ドワじぃに綺麗なりんごを渡して、ボロボロになりながら家に帰った後の事である。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ
藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。
そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした!
どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!?
えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…?
死にたくない!けど乙女ゲームは見たい!
どうしよう!
◯閑話はちょいちょい挟みます
◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください!
◯11/20 名前の表記を少し変更
◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜
ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。
沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。
だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。
モブなのに魔法チート。
転生者なのにモブのド素人。
ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。
異世界転生書いてみたくて書いてみました。
投稿はゆっくりになると思います。
本当のタイトルは
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜
文字数オーバーで少しだけ変えています。
なろう様、ツギクル様にも掲載しています。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる