95 / 203
10章
あざ
しおりを挟む
渉のこめかみに青あざができていた。
「こけてぶつけた」というが痛々しくて見てられない。
髪の毛で隠せばイケるやろ。といつも通りバイトをするが本当に転んだだけなんだろうか―――――?
もしかして新しパパとやらが…?そう考えると心配でたまらなかった。
オレはまだ渉の両親を見たことがなかったからだ。
「渉」
「んあ?」
渉の手を取り真剣な顔で言う。
「困ったことがあったらオレに言ってくれ。お前のためだったらいつでも体張るから」
キョトンとしたあとアババババと言いながら手を振り払われる。
「困ってへん!なんも困ってへんから!」
挙動不審になる渉。ますます怪しい…。振り払われた手を再びガシッと握る。
「明日と明後日バイト休みだし。オレ1回お前ん家泊まりたい、いいか?」
「うぇっ!?なんで?」
「お前も今度オレん家泊まればいいじゃん。冬休みの宿題も一緒にやろーぜ」
断らせない。オレは…コイツを新しパパから守るんだ!
一緒に渉の家に帰り簡単な夕飯を作る。今日は鍋焼きうどんだ。
長らく母親と二人暮らしだったという渉は一通りの料理が出来た。
「洗い物メンドイからいつも一皿料理や」って笑う渉だがこの日の鍋焼きうどんもスゴクおいしかった。
「せやろー関西風のつゆもイケるやろが」
以前 うどんのつゆで言い合いになったことがあったのを引き合いに出してくる。悔しいがその通りだった。
一緒に洗い物をして順番にお風呂に入る。
渉はオレがついこの前まで一人で髪を洗えなかったことを知らない。
「お先にお風呂ありがと」
「おー俺も入ってくるわ」
コタツのおいてある部屋の奥の4畳半が渉の部屋だ。狭いからベッドじゃなく布団を敷いて寝てるらしい。
2つ並べて布団を敷くとキツキツだった。
「ショタ髪乾かさんのか?」ドライヤーを手に戻ってきた渉。
「オレ自然乾燥なんだ」
「なんでや、冬やぞ風邪ひくやろ」
「苦手なんだよドライヤー」
頭に巻いたタオルを奪われちょいそこ座れって言われる。
「これなソフト乾燥って機能がある最新式のたっかいヤツなんや」って当てられた風は熱くも冷たくもなくふわりとしたぬるい風でいつもの息が詰まるような嫌さがなかった。
「ほら 気持ちええやろ?ママのやけどな。これ使たら髪の毛サラサラなるんやで」
髪に触れる手が優しくて気持ちいい。
(海瑠…オレ ドライヤーも克服できちゃうかもしんない)
勉強も渉に教えることでずいぶんと得意になってきた。人に教えると頭に入りやすいんだって。
(海瑠がいない世界なんて生きていけないとメソメソ毎晩泣いてたのが嘘みたいだ)
「ほな寝よか」
布団に入り電気を消そうとする渉に「あっ…」と言いかけやめた。「ん?」と言いながら電灯のひもを引くと真っ暗にはならず小さなオレンジ色の豆電球が部屋を薄暗く照らした。
『オレの家以外泊まるの禁止ね』あの日の海瑠の声が蘇る。
あっという間に隣で寝息をたてている赤髪を見ると、こめかみの青あざがオレンジのライトに照らされる。呼吸とともに上下する胸。
「オレが守るからな…」そっと手を伸ばし額にかかる髪をなでつけた。
「こけてぶつけた」というが痛々しくて見てられない。
髪の毛で隠せばイケるやろ。といつも通りバイトをするが本当に転んだだけなんだろうか―――――?
もしかして新しパパとやらが…?そう考えると心配でたまらなかった。
オレはまだ渉の両親を見たことがなかったからだ。
「渉」
「んあ?」
渉の手を取り真剣な顔で言う。
「困ったことがあったらオレに言ってくれ。お前のためだったらいつでも体張るから」
キョトンとしたあとアババババと言いながら手を振り払われる。
「困ってへん!なんも困ってへんから!」
挙動不審になる渉。ますます怪しい…。振り払われた手を再びガシッと握る。
「明日と明後日バイト休みだし。オレ1回お前ん家泊まりたい、いいか?」
「うぇっ!?なんで?」
「お前も今度オレん家泊まればいいじゃん。冬休みの宿題も一緒にやろーぜ」
断らせない。オレは…コイツを新しパパから守るんだ!
一緒に渉の家に帰り簡単な夕飯を作る。今日は鍋焼きうどんだ。
長らく母親と二人暮らしだったという渉は一通りの料理が出来た。
「洗い物メンドイからいつも一皿料理や」って笑う渉だがこの日の鍋焼きうどんもスゴクおいしかった。
「せやろー関西風のつゆもイケるやろが」
以前 うどんのつゆで言い合いになったことがあったのを引き合いに出してくる。悔しいがその通りだった。
一緒に洗い物をして順番にお風呂に入る。
渉はオレがついこの前まで一人で髪を洗えなかったことを知らない。
「お先にお風呂ありがと」
「おー俺も入ってくるわ」
コタツのおいてある部屋の奥の4畳半が渉の部屋だ。狭いからベッドじゃなく布団を敷いて寝てるらしい。
2つ並べて布団を敷くとキツキツだった。
「ショタ髪乾かさんのか?」ドライヤーを手に戻ってきた渉。
「オレ自然乾燥なんだ」
「なんでや、冬やぞ風邪ひくやろ」
「苦手なんだよドライヤー」
頭に巻いたタオルを奪われちょいそこ座れって言われる。
「これなソフト乾燥って機能がある最新式のたっかいヤツなんや」って当てられた風は熱くも冷たくもなくふわりとしたぬるい風でいつもの息が詰まるような嫌さがなかった。
「ほら 気持ちええやろ?ママのやけどな。これ使たら髪の毛サラサラなるんやで」
髪に触れる手が優しくて気持ちいい。
(海瑠…オレ ドライヤーも克服できちゃうかもしんない)
勉強も渉に教えることでずいぶんと得意になってきた。人に教えると頭に入りやすいんだって。
(海瑠がいない世界なんて生きていけないとメソメソ毎晩泣いてたのが嘘みたいだ)
「ほな寝よか」
布団に入り電気を消そうとする渉に「あっ…」と言いかけやめた。「ん?」と言いながら電灯のひもを引くと真っ暗にはならず小さなオレンジ色の豆電球が部屋を薄暗く照らした。
『オレの家以外泊まるの禁止ね』あの日の海瑠の声が蘇る。
あっという間に隣で寝息をたてている赤髪を見ると、こめかみの青あざがオレンジのライトに照らされる。呼吸とともに上下する胸。
「オレが守るからな…」そっと手を伸ばし額にかかる髪をなでつけた。
1
お気に入りに追加
415
あなたにおすすめの小説
「誕生日前日に世界が始まる」
悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です)
凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^
ほっこり読んでいただけたら♡
幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡
→書きたくなって番外編に少し続けました。
王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。
新緑の少年
東城
BL
大雨の中、車で帰宅中の主人公は道に倒れている少年を発見する。
家に連れて帰り事情を聞くと、少年は母親を刺したと言う。
警察に連絡し同伴で県警に行くが、少年の身の上話に同情し主人公は少年を一時的に引き取ることに。
悪い子ではなく複雑な家庭環境で追い詰められての犯行だった。
日々の生活の中で交流を深める二人だが、ちょっとしたトラブルに見舞われてしまう。
少年と関わるうちに恋心のような慈愛のような不思議な感情に戸惑う主人公。
少年は主人公に対して、保護者のような気持ちを抱いていた。
ハッピーエンドの物語。
【完結】私立秀麗学園高校ホスト科⭐︎
亜沙美多郎
BL
本編完結!番外編も無事完結しました♡
「私立秀麗学園高校ホスト科」とは、通常の必須科目に加え、顔面偏差値やスタイルまでもが受験合格の要因となる。芸能界を目指す(もしくは既に芸能活動をしている)人が多く在籍している男子校。
そんな煌びやかな高校に、中学生まで虐められっ子だった僕が何故か合格!
更にいきなり生徒会に入るわ、両思いになるわ……一体何が起こってるんでしょう……。
これまでとは真逆の生活を送る事に戸惑いながらも、好きな人の為、自分の為に強くなろうと奮闘する毎日。
友達や恋人に守られながらも、無自覚に周りをキュンキュンさせる二階堂椿に周りもどんどん魅力されていき……
椿の恋と友情の1年間を追ったストーリーです。
.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇
※R-18バージョンはムーンライトノベルズさんに投稿しています。アルファポリスは全年齢対象となっております。
※お気に入り登録、しおり、ありがとうございます!投稿の励みになります。
楽しんで頂けると幸いです(^^)
今後ともどうぞ宜しくお願いします♪
※誤字脱字、見つけ次第コッソリ直しております。すみません(T ^ T)
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる