悠遠の誓い

angel

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わたるはオレ以上にアホだった。
勉強ができないコイツに「高校にはクビってものがあるんだぞ」と教えると「ホンマか!?」って驚いてた。ホンマだ。
オレは海瑠がしてくれたように教科書とにらめっこしながら勉強ノートを作ってわたるに教えた。
学校帰り毎日どっちかの家に行き一緒に遊んだ。

「ネットにつながる携帯に買い変えようかな」

渉の家の出しっぱなしのコタツで携帯をいじりながら相談する。

「なんでや?それで繋げたらええやん」
「これ繋がんない携帯なんだ」

そういうオレに「そんなわけあらへんやろ」と携帯を取り上げ何やら操作し始める。
指紋認証を乗り越え更にポチポチ操作するわたる。勉強はできないくせにこういうことには長けてるんだなと感心する。

「ほら、でけたで」

渡された携帯の画面にはネットニュースの文字。操作方法を教わりながら検索してみる。

〈関西弁で押し通す人〉と打つとダダダッと出てくる言葉。


【関西人のココロイキ】
【東京でも関西弁で押し通す理由】
【電車内のおもろい関西弁談義】

「うっわ~なんなん最初にソレ検索する?悪意あるわ~」

コタツの向こうでゲラゲラ笑うわたるにつられてオレも笑った。十年来の友人のように安心できる存在が出来たことが、ただただ有難かった。

「ありがとな」

一緒にいてくれて、って言葉はあえて言わなかった。

「何がや」と笑う渉。マスクをしてないその顔は例えるならキツネだ。悪者に描かれることの多いキツネに例えるのはどうかと思うが似てるのだからしょうがない。

「渉は良いキツネだな」

「はぁ?意味わからん。どこがキツネやねん」

クシャッと笑うと目がなくなるとこって言うと「アホか」って笑いながらこづかれた。






家に帰ったオレは早速調べたかったことを調べる。

{CM 天使のような 銀髪}

出て来たのは未確定な噂ばかりだった。
【なんのCMだったのか?】
【癒ししかなかった】
【企業名わからず】
【汚れた現代社会に鉄槌を下しに来た天使】
【モデルはいるのか】
【果たしてCGなのか?】

海瑠のことなんて1つも出てこなかった。CMを出した会社名でもわかればアイツのその後がわかるかもしれないと思ったのに。

このCMを出したのは海瑠だ。それは間違いない。これを見たシルヴァリオンが連絡してくるようにCMという方法を使ったんだろう。連絡は…来たのかな?
母ちゃんが仕入れてきた噂によると海瑠の家は空き家になっていて、じぃちゃんばぁちゃんは鎌倉に戻ったそうだ。「海瑠アメリカに行っちゃったんだねぇ」という言葉がグサリと刺さる。「バカショタに付き合い切れなくなったんかねぇ」なんて無神経な言葉にイラつき、食べかけの夕飯を残して部屋に逃げた。

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